オーイーの変心
C1 バブーの塔
C2 薔薇風呂での大勝負
C3 反オーイー連合
C4 遅れてきた男
C5 スタンドプレイ
C1 バブーの塔
最新鋭防衛拠点バブーの塔に共和派議員達が集まる。共和派議員Aはバブーの塔を見上げる。共和派議員達はバブーの塔内部に入っていく。塔の最上階に現れるヴォルフガング・オーイー。傍らにロズマリー女王とトルバドル。後ろにはブレイマン伯爵、リーレ男爵をはじめとする貴族派議員が居る。
共和派議員A『オーイー殿も最新鋭のバブーの塔に招待してくれるとは粋な計らいじゃの・・・。』
共和派議員B『なに、オーイー殿はガギグルス公を指導者に抜擢して下さったお方。我々、共和派と王党派の良き橋渡し役になってくれるに違いない。』
ヴォルフガング・オーイー『諸君。今日、集まってもらったのは他でもない。』
共和派議員C息を荒げ、顔を赤くする。
共和派議員C『おい、あのちっこいのは誰だよ。縞パン丸見えじゃねえか。』
共和派議員Bは顔をしかめる。
共和派議員B『知らないのかい。現ロズマール王国王女ロズマリー・ロズマールさ。お前、よく議員だなロリコン。』
楕円形の水晶からの光が共和派議員達を包む。
共和派議員A『お、何ぞ?』
ヴォルフガング・オーイーは満面の笑みを浮かべる。
ヴォルフガング・オーイー『処刑!』
塔内に木霊すオーイーの声と共に大爆発が起こる。黒焦げになり四肢がちぎれた死体が塔の最下層に大量に転がる。
ロズマリー『ヒッ!』
ロズマリー女王は下の炭化した死体の群れを見て、その場に倒れこむ。
ロズマリー『あ・・・あ・・・あ・・・ぁ・・・やぁ・・・』
ロズマリー女王は震えながら失禁する。
ヴォルフガング・オーイー『虫ケーラが!!今から無限の時を謳われるわしの神政の邪魔をさせるものか!コウモリの落としたフンどもめが!!』
高笑いをするオーイーと横で踊り狂うトルバドルが火炎の龍で吹き飛ばされる。後ずさりするブレイマン伯爵。
ブレイマン『なっ、何奴!!』
通路より、リシューが二人の黒巫女を従えて出てくる。
リシュー『ブレイマン伯爵!貴様らの悪事もこれまでよ!』
ブレイマン『なっ!貴様!リシュー・・・。フン、共和派議員が全滅してからお出ましとは、狙いが見え見えだな!』
ブレイマン伯爵の顔から一滴の汗が垂れる。彼は剣を抜き、ロズマリー女王を人質にとる。
ブレイマン『これで貴様も手出しできまい。』
ヴォルフガング・オーイー『待たれよ!』
塔内に響き渡る声。炭化し黒焦げのトルバドルが下に投げ捨てられる。
ヴォルフガング・オーイー『ブレイマン伯爵。怖気づかぬとも良いわ!』
眼を見開き、汗を流すリシュー。
リシュー『なっ、オーイー・・・あれを喰らってまだ生きていたのか!』
ヴォルフガング・オーイーは満面の笑みを浮かべる。
ヴォルフガング・オーイー『中途半端なクソガキよ。本当の魔法と言うのはだな・・・。』
オーラがヴォルフガング・オーイーを包み、彼の煤で染まった上着が破れ、筋肉で10倍ほど体が膨れ上がる。リシューは呪文を唱え、火炎の龍がヴォルフガング・オーイーを包み込む。しかし、ヴォルフガング・オーイーはそれを、大胸筋を張ってリシューの方へと跳ね返す。
リシューは二人の黒巫女の襟首を掴み、盾にする。爆風と共にバブーの塔に穴が開く。
半身が吹き飛ばされ、腸がはみ出した二つの黒巫女の死体と上半身裸になりながらもう一人の黒巫女と共に馬で駆け去るリシューの姿を塔にできた穴から見るヴォルフガング・オーイー。
C1 バブーの塔 END
C2 薔薇風呂での大勝負
ニランゼン城大浴場。水浴びする全裸の老若男女達。奥の間ではアンセフィムが薔薇風呂に浸かっている。
浴場の入り口から悲鳴。駆けこんでくる馬に乗った上半身裸で傷だらけのリシュー。老若男女達は唖然として立ちつくす。リシューの馬はアンセフィムの方を向き、駆け寄る。
アンセフィムはバスタオルを右手に取って、左手に剣を持ち、バスタオルで前を隠しながら立ち上がる。そして、剣をリシューに突き付ける。
アンセフィム『貴様!ここを我が城と知っての狼藉か!!!』
リシューは馬から降り、アンセフィムに向かって土下座する。
リシュー『御無礼を。急を要する事柄の為、仕方なく。』
浴場の入り口から駆けこんでくるアンセフィム軍兵士達。
アンセフィム『貴様には元老院からの討伐令が出されておるわ!捕らえて連れて行け!!』
リシューは立ち上がり、アンセフィムの方を向く。
リシュー『話だけでも!!』
アンセフィムはリシューから眼をそらし、水飛沫をあげ、剣とバスタオルを置き、再び浴槽に浸かる。リシューを取り囲むアンセフィム軍兵士達。
リシュー『元老院は王党派と結託し、王党派と共和派の親睦の為と偽って呼び寄せた共和派を虐殺したのですよ!』
アンセフィムは薔薇風呂の薔薇を手に持って遊んでいる。アンセフィム軍兵士達に取り押さえられるリシュー。
リシュー『ガギグルスを絶賛した全大陸の英雄ラ・ファイエット・イーゲルティン殿も元帥号を剥奪され、コキュートス魔獄へ投獄。民衆も共和派よりの考えを持つ疑いがあるものは全員国家反逆罪の名の下、罪を着せられ処刑されております。この惨状は元老院と貴族派で国家を私物化する重大な謀反!国民へ対する裏切り行為!!!』
アンセフィム軍兵士達はリシューを引っ張る。
リシュー『今、国民に正義を示す行動をすればおのずと王位は復興し、その権威はアンセフィム様の元へと転がりこんでくることでしょう!!』
アンセフィムは手に持った薔薇を落とす。
アンセフィム『待て。リシューを離すのだ。』
アンセフィム軍兵士達は顔を見合わせ、リシューを離す。アンセフィム軍兵士Aはリシューの下に駆け寄る。
アンセフィム軍兵士A『よろしいのですか?』
アンセフィムはリシューの方を向きながら口を開く。
アンセフィム『ダオンを呼べ。』
アンセフィム軍兵士A『はっ!』
アンセフィム軍兵士Aは駆けて、途中で転び、また再び立ち上がると浴場から出て行く。アンセフィムとリシューは互いに見つめ合いながら沈黙の時が暫く流れる。浴場の入り口からアンセフィム軍兵士Aに連れられたダオンが現れる。
ダオン『お呼びでしょうか…。』
アンセフィムはリシューを指さす。
アンセフィム『この男をどう思う?』
ダオンはリシューを見つめる。
ダオン『新興宗教の教祖であり、黒巫女を配下に置く…。到底信用置ける人物ではありませんが、討伐令が出されているにも関わらず単身敵地に乗り込んでくることなどよほどの事情が無ければできません。』
アンセフィムは顎をさすり、リシューを見る。
アンセフィム『では、リシュー、何があったのか詳しく述べてみよ。』
リシュー『はっ。』
リシューは一礼して一歩前にでる。
リシュー『私は元老院の命によりバブーの塔を建設し、その監督者として現地に赴いておりました。しかし、こともあろうか元老院議長ヴォルフガング・オーイーは新しき指導者となったロズマリー女王を引き連れて入場し、私の目の前で王党派と共和派の親睦の為と偽って呼び寄せた共和派議員達を処刑したのであります。私はオーイーの暴虐が許せなかった!!だから、その場で奴と戦ったのでありますが…奴の力は強く…ご覧のありさまです。部下も二名戦死致しました。』
ダオンは顎髭をさすり、アンセフィムに耳打ちする。アンセフィムは2、3回首を縦に振り、笑いだす。
アンセフィム『…オーイーめ!ガギグルス亡き後、国家を私物化し、暴虐を働く。いい度胸だ!それに呼応する貴族派も貴族派だ。』
アンセフィムは水飛沫をあげて立ち上がる。
アンセフィム『よし、各地に檄文を飛ばせ!奴らに鉄槌を下してやる。』
ダオンはアンセフィムの正面に出て一礼し、口を開く。
ダオン『殿、前ぐらい御隠し下さい。』
アンセフィムは眼を見開いて顔を赤らめ、湯船に顔の半分まで浸かり、再び顔をあげてリシューの方を向く。
アンセフィム『し、しかし、リシュー。もし、貴公の報告が虚偽であったと分かった場合、その場で切り捨てる。分かったな。』
リシュー『御意。』
リシューは深々と頭を下げる。
C2 薔薇風呂での大勝負 END
C3 反オーイー連合
ロズマール共和国、バーバツ平原に敷設されたアンセフィム軍天幕を取り囲む大多数の人型機構と機動城塞。正面にアンセフィム。隣にリシューが座る。周りには全大陸の英雄ラ・ファイエット・イーゲルティン、ゼオン・ゼンゼノスを筆頭とするロズマール共和国の名だたる将達が席に座っている。
アンセフィム『諸君、私の呼びかけに良く答えてくれた。』
コアラ獣人のテイラーは立ち上がり、拳を振り上げる。
テイラー『当たり前だ!この手紙を見て頂きたい!』
テイラーは机の上に一通の手紙を叩きつける。
テイラー『私の友人の共和派議員達もこれと同じものをもらい、そしてその内容、信頼したヴォルフガング・オーイーからのメッセージを鵜呑みにして一人残らず殺された!!じっとしてなどおられるものか!!!』
天幕の中にアンセフィム軍兵士Bが駆けこんでくる。ロズマール共和国の将達は一斉にアンセフィム軍兵士Bを見る。
アンセフィム軍兵士B『た、大変です!バブーの塔が、バブーの塔が消えました!』
アンセフィムは眉を顰め、アンセフィム軍兵士Bを見つめる。リシューは眼を見開き、額から汗を垂らす。
アンセフィム『何だと!!』
アンセフィムは机を叩き、リシューを見る。
アンセフィム『どういうことか!よもや塔に足でも生えたと言うのであるまいな。』
リシューは喉を鳴らし、口を開く。
リシュー『…足どころか手も生えています。』
ロズマール共和国の将の一人、ド・ウゼーが口を開く。
ド・ウゼー『塔は動くもんじゃない。聳え立つものですよ。機動城塞でもあるまいに…。』
リシューは諸将達を見る。
リシュー『バブーの塔は移動拠点として構築コストの削減、構築した塔を敵軍に利用されぬ為、人型機構への変形機能が付いております。また、魔法攻撃を無効化するAMSと物理攻撃を受け付けないAAFにより高い…高い防御性を持ちます。』
アンセフィムは立ち上がり、リシューを睨みつける。
アンセフィム『そんな話、聞いておらんぞ!』
リシューはアンセフィムに頭を下げる。
リシュー『も、申しわけありません。ただ、その3点ともオーイーが変心を起こした際、1割も完成していなかった為、言う必要はないかと…。オーイーがことを起こしてから日が浅く他の2点はおろそかな筈…。』
アンセフィムはリシューの方を見向きもせず、椅子に勢いよく腰を下ろす。ゼオンは椅子に深くかけ直し、腕組みをする。
ゼオン『なるほど未完成品と言う訳か。』
ラ・ファイエット・イーゲルティンはアンセフィムの方を向く。
ラ・ファイエット・イーゲルティン『いずれにせよ、のんびりしている暇はありませんな。』
アンセフィムは頷く。アンセフィム軍兵士Cが天幕に駆けこんでくる。
アンセフィム軍兵士C『た、大変です!バブーの塔がこちらへ向かってきております。』
テイラーはアンセフィムに近寄り一礼する。
テイラー『フフフ、馬鹿な奴らめ、ノコノコと!先鋒はこのテイラーにお任せ下さい!亡き同胞たちの無念を晴らす為!!』
雀獣人のギブン、アナウサギ耳族のエルデバレ、マーマンのマカロンが立ち上がる。
ギブン『我々にも出撃の許可を!亡き友の仇を討たせて下さい!』
アンセフィムは、頬杖をつき、頷く。
アンセフィム『よかろう。』
テイラー『では!』
テイラーを先頭にアンセフィムに背を向け、ギブン、エルデバレ、マカロン達は天幕から出て行く。
リシューはアンセフィムの方を向く。
リシュー『私の目測によれば奴らはまだ魔法にも弱い筈。』
アンセフィムはリシューの方を向く。
アンセフィム『で、どうする?』
リシューが手をならすと彼の傍らに黒巫女のシンシティアが現れる。
リシュー『我が魔道に精通する黒巫女隊を送ります。』
リシューが顎をあげるとシンシティアは一礼し、姿を消す。
リシュー『これで準備は万全、後はオーイーを血祭りに上げるため、他の皆さまには戦闘の準備にとりかかって頂くだけかと…。』
リシューは椅子に座っている将兵たちを見る。
C3 反オーイー連合 END
C4 遅れてきた男
反オーイー連合天幕。ド・ウゼーの部下が一礼して入って来る。ド・ウゼーの部下がド・ウゼーに耳打ちする。ド・ウゼーは眼を見開いた後、眼を細めて何回か頷く。ド・ウゼーの部下は一礼し、天幕から去っていく。ド・ウゼーは立ち上がり、一礼する。
ド・ウゼー『…まことに遺憾ながら、我が領地で反乱が起こってしまった。軍を引かせてもらう。』
ド・ウゼーは天幕から駆け足で出て行く。アンセフィムは舌打ちし、天幕の入り口を睨みつける。
アンセフィム『ド・ウゼーめ、たかが反乱ごときに…。』
反オーイー連合陣営から颯のごとくド・ウゼーの軍勢が去る。アンセフィム軍兵士Cが天幕に駆けこんでくる。
アンセフィム軍兵士C『も、申し上げます!ギブン殿討ち死に!!エルデバレ殿討ち死に!!マカロン殿重傷!!!テイラーどの自領に撤退!!!!シンシティア殿、塔に突撃し、戦死されました!バ、バブーの塔には傷一つ付いておりません!!』
アンセフィムは立ち上がる。リシューの顔は青ざめる。
アンセフィム『何だと!!』
アンセフィムはリシューを睨みつける。
アンセフィム『これはどういうことだ!未完成の筈の他の2点も完成しているではないか!!!よ、よもや貴公、オーイーと組んで私をはめようとしているのではないか!!』
アンセフィムは剣の柄に手をかけるが、すぐに手を離す。
アンセフィム『今更、貴公を切り捨てオーイーに詫びを入れたとしてもアルシュトの森林決戦以上の恥さらしだ。撤退などできん。しかし、魔法も物理攻撃も駄目ならば…。』
ロズマール共和国の将達は顔を見合わせる。ロズマール共和国将Aが口を開く。
ロズマール共和国将A『オーゼンデスゲイルズ砲ならば塔を跡形も無く塔を消し去ることができるのでは?』
アンセフィムは手を叩く。
アンセフィム『おおっ、確かにあの破壊力ならば奴らを跡形も無く消し去ってくれよう。』
ダオンは前に出る。
ダオン『なりません!あの用意周到なオーイーのこと、塔内には必ずロズマリー女王が居る筈。もし、幼年の者を死に追いやったとすれば我らの名に傷がつき、正義は失われます。』
アンセフィムはダオンを見る。
アンセフィム『し、しかしだな。ダオン、現状ではこうするより他に…。』
ラ・ファイエット・イーゲルティンが口を開く。
ラ・ファイエット・イーゲルティン『失礼ながらあれについている重力砲とオーゼンデスゲイルズ砲はレプリカです。我々の技術力ではイレジスト前王の発明を解明することはまだできておりません。』
アンセフィムはラ・ファイエット・イーゲルティンに詰め寄る。
アンセフィム『はぁ、で、ではガギグルスは張り子の虎でエグゼニを牽制したというのか!!』
リシュー『グググ、己、我が作った塔とはいえ、ここまで完璧なものであるとは…。』
リシューは目をつむり、額に手を当てて椅子に倒れるように座る。ロズマール共和国の将達は額から汗を流すもの多数。
ガグン『つまりだ。あの塔に捕らわれた姫様を救い出せばいいということだな。』
天幕の中にガグンが馬に乗って入って来る。ガグンはリシューに向かって手を振る。
ガグン『よっ。』
リシュー『あ!?』
リシューは眉を吊り上げる。アンセフィムは唖然とする。
アンセフィム『貴公は我々の話を聞き、現状を把握しておるのか?』
ガグン『簡単なことだ。よじ登ってやれば良い!』
ガグンは親指を立てて、ウィンクする。リシューはガグンの前に詰め寄り、睨みつける。
リシュー『遅れてきて何をほざくかガグン!!だいたい貴様は病み上がりだろうが!世界強武につけられた傷口が開かぬ内に、お家に帰って養生しておれ!!!』
ガグンは身を少し引く。
ガグン『むむむっ、やってみなければわからぬ!』
アンセフィムは力無く椅子に崩れ落ちる。
アンセフィム『勝手にしておれ…。我々は軍議で忙しいのだ!』
ガグンはアンセフィムの方を見る。
ガグン『よかろう。承った。これより俺は勝手に行動させてもらう。』
ガグンは反オーイー連合の天幕から出て行く。天幕の外よりガグンの声。
ガグン『リシューめ、らしくない。』
C4 遅れてきた男 END
C5 スタンドプレイ
反オーイー連合の天幕からでる将達。数百メートル先にはスキップして反オーイー連合天幕へ向かっているバブーの塔。塔展望台で高笑いするヴォルフガング・オーイー。顔面蒼白にして、汗をたらす将達多数。ゼオン・ゼンゼノスが先頭に出る。
ゼオン『逃げ出したものはここから去るが良い!!しかし、今対峙しているのは国家反逆罪で気に入らぬ者を粛清する輩どもだ。降伏したとしても、逃げ出したとしてもその恐怖は追ってこよう。引いても死、前進しても死であるならば私は不名誉よりも名誉の方を選ぼう!』
ゼオンは剣を抜き、天に掲げる。ロズマール共和国の将達は頷く。ラ・ファイエット・イーゲルティンが口を開く。
ラ・ファイエット・イーゲルティン『あれ、誰か塔に登っとるぞ…。』
ゼオンは前のめりになり、塔の方を見つめる。
ゼオン『あれは…ガ、ガグン殿ではないか?』
アンセフィムは双眼鏡を覗く。
アンセフィム『…間違いない。ガグンだ。』
ガグンは二刀流で剣をバブーの塔の壁に突き刺しながらよじ登っていく。反オーイー連合陣営にガグン軍が乱入する。ロズマール共和国将達の前にヒメナとティガノが躍り出る。
ヒメナ『ガグン様は何処におられる!』
リシューはバブーの塔を指さす。ヒメナとティガノはバブーの塔を向いた後、リシューの方を向く。
ヒメナ『貴様!ガグン様は病み上がりだぞ!!何かあったらただではおかないからな!』
リシュー『元配下に貴様呼ばわりされる筋合いはないわ!』
ティガノは剣を抜き、リシューの首の横に突き付ける。リシューの眼に映えるのは塔に登っていくガグン。
ガグンは塔の展望台の手摺を飛び越え、その足が高笑いするオーイーの後頭部に勢いよく当たる。
ヴォルフガング・オーイー『あ~れ~。』
ヴォルフガング・オーイーはバブーの塔から転落する。バブーの塔展望台からは暫く悲鳴が聞こえる。
ガグン『敵将ブレイマンを討ち取ったぞ!!』
ガグンは塔から剣に突き刺した生首を掲げる。ティガノは剣を下ろし、ヒメナと共にバブーの塔の方を向く。アンセフィムは双眼鏡を下ろすと、拳を握りしめる。
アンセフィム『こ、こうしてはおられん!』
他のロズマール共和国の将達も自陣営の下へ向かう。
大音響と共にバブーの塔が転び、切り裂かれた壮麗な衣服の部分を開けに染め、傷口から内臓を見せて散乱する死体の群。バブーの塔に駆け寄るロズマール共和国将達。
砂煙の中から右手の剣に生首を突き刺し、左手に目を閉じているロズマリー女王を抱いたガグンが現れる。ガグン軍の者達はガグンの傍に駆け寄る。
ヒメナ『ガグン様!よくぞ御無事で!!』
ガグンは顔を少し赤らめてガグン軍の者たちを見回す。
ガグン『な、何だ。お前ら…来ていたのか。』
ガグンはロズマール共和国将達の方を向き、一歩進む。
ガグン『おお、そうだ。これぞブレイマンの首よ!』
ガグンは生首をロズマール共和国の将達に見せる。アンセフィムは生首を見つめる。
アンセフィム『これは…リーレ男爵だが…。』
リシューが散乱している死体の一つを指さす。
リシュー『…あっちがブレイマンだ。』
ガグンはリシューの指さす方向を見る。
ガグン『えっ!そなの…。』
C5 スタンドプレイ END
END
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
・必要事項のみ記載。
・グロテスクな描写がございますので18歳未満の方、もしくはそういったものが苦手な方は絶対に読まないで下さい。