一刀たちが再会してから数日が過ぎたある日…
一刀は冥琳の政務を手伝っていた。
午前中の政務が終わり、一刀は昼飯を食べに街まで出てきていた。
「ごちそうさーん」
「あいよー」
(ふぅ~、食った食った。こっちでも変わらないなぁ。…美味かったぁ)
一刀が入った店は、前の外史で行きつけにしていた大衆酒家だ。
店を出た後、一刀はまだ午後の仕事まで時間があるので、町を見て回ることにした。
(う~ん、やっぱどこもあっちと同じなんだなぁ。…さてと、もうそろそろ帰らないと冥琳に………)
「うわぁぁ~~~~~~~~んっ!!」
「………んっ!?………あっちかな?」
館に帰ろうとした時に泣き声が聞こえてきたので、そちらに歩いて行った。
「たしかこっちの方から………あっ、いたいた」
一刀が泣き声が聞こえたところに行ってみると、そこでは一人の女の子が泣きじゃくっていた。
「どうしたのかな?」
一刀は女の子の目線に合わせるようにしゃがみ込んで、話し掛ける。
「ひっく……ぐすっ……おかぁ…さん…と……うぅっ……うわぁぁ~~~~んっ!」
「あ~、お母さんとはぐれちゃったんだ………よしっ!お兄ちゃんが一緒に探してあげる」
「……っ、ひっく……ほん…と…?」
「うん。だからもう泣きやんで……ねっ」
「ひぐっ……んっ、くっ……うん」
「よし。えらいえらい」
「えへへへっ♪」
一刀は女の子が泣き止むと優しく頭を撫でてあげた。
女の子も頭を撫でられて嬉しくなり、笑顔になった。
「それじゃあ、お母さんを探しに行こっか!」
「うんっ♪」
一刀は立ち上がり、女の子に手を差し伸べる。
女の子もそれを見て一刀の手を握り返す。
一刀と女の子はとりあえず、大通りまで歩いてきた。
(しかしどうやって探したらいいものか………とりあえずあそこで聞いてみるか)
「すいませーん」
一刀は近くの屋台の店主に声を掛ける
「いらっしゃい!何にしましょう?」
「あっ、違います。じつはこの女の子のお母さんを探してて…見たことありませんか?」
「う~ん。この辺りじゃ見かけない子だなぁ」
「そうですか…(くいっくいっ)…んっ?どうしたの?」
繋いだ手を引っ張られて一刀は女の子の方を見る。
「………おなかすいた………」
「あ~…ちょっと待ってね。すいません、そこの肉まん一つ下さい」
「はいよっ!」
一刀は肉まんを受け取って、店主に代金を支払う。そして肉まんを女の子に手渡す。
「ありがとうおにいちゃん♪」
「どういたしまして」
「いただきま~す…はむっ、もぐもぐ…」
「どう?おいしい?」
「うん♪すっごくおいしいよ♪」
「おうっ!そいつはよかった。ありがとなお嬢ちゃん」
女の子は美味しそうに肉まんを頬張っている。
一刀はそんな女の子の姿を幸せそうに眺めていた………と、そこへ声が掛けられる。
「あらっ?か…じゃなかった…『北刀』じゃない」
「………んっ?…ああっ、雪蓮か」
「こんなところで何してるの?」
「ああっ。実はこの子がお母さんとはぐれちゃったみたいで…一緒に探してるんだ。雪蓮こそ何してんだ?」
「へっ!?ああっ、私はその~………」
雪蓮の目は何かを探すかのように右へ左へ泳いでいる。
「(また政務をさぼって勝手に抜け出してきたな………)はぁ~~~。あんまり冥琳を困らせるなよな」
「ぶ~ぶ~!なによ~~、私より冥琳の方が大事なんだ~~~」
「いやっ、そういうことじゃなくてだな…」
「ふふふっ♪冗談よっ♪………そうだっ!私もその子のお母さん一緒に探してあげる♪」
「いいのか?」
「もちろん♪(なんとか冥琳に言い訳もできそうだし♪)」
「ありがとう。…さて、それじゃあまたお母さんを探しに行こっか?」
「うんっ♪」
一刀は雪蓮にお礼を言って、女の子に向き直って声を掛ける。
そして今度は三人で探し始めた。
「ん~~~、なかなか見つからないわねぇ~」
「そうだなぁ…こう人が多くちゃ探しにくいしなぁ………そうだっ!ちょっとごめんね」
「ふぇっ!?」
「これならどうだ!」
「うわぁ~~~♪たかいたか~~い♪」
一刀は女の子に肩車をしてあげた。
「ととっ…落ちると危ないからあまりはしゃがないでね?」
「私も見てるから大丈夫よ♪」
「うん、頼むよ。」
そして、また三人で女の子のお母さんを探し始める。
「…だいぶ歩き回ったなぁ」
「ねぇ…『北刀』、少し休まなくても大丈夫?」
「うん。大丈…「あっ!おかあさんだぁ~♪」えっ?どこだ?」
「あっちあっち♪」
「こっち?」
「ちがうよ~!あっちだってば~」
「…その子、下に下ろしてあげたらいいんじゃない?」
「あっ、そうだな。………よいしょっと」
「おかあさ~~~~ん」
女の子は下に下ろしてもらうと、すぐに母親のもとへと駆けだしていった。
「あっ………」
「ふふふっ♪よっぽど嬉しかったみたいね♪…さっ、私たちもいきましょ♪」
「うん。そうだな」
二人も女の子の後ろ姿を追い掛けるようについていった。
「大変ご迷惑をおかけしたみたいで申し訳ありません。少し目を離したらいなくなってしまって………」
「いえいえ。見つかってよかったですよ」
「ほんとにありがとうございます。あの…何かお礼をしたいのですが…」
「当たり前のことをしただけなんで構いませんよ」
「ですが…」
「う~ん…それじゃあ今度はちゃんと子供の手を握っててあげてください」
「…そうですね。ほんとにありがとうございました。…ほらっ、ちゃんとお礼を言いなさい」
「うん♪え~と、おにいちゃん、おねえちゃん、ありがとうございました」
「よしよし♪えらいわね~。今度はお母さんの手を放しちゃだめよ♪」
雪蓮はしゃがみ込んで女の子の頭を優しく撫でてあげる。
「うんっ♪」
女の子も撫でられて、嬉しそうに元気に返事をする。
「それでは、失礼させていただきます」
「はい。お気をつけて」
「おにいちゃん、おねえちゃん、ばいば~い♪」
「「ばいば~い♪」」
「ふふっ♪やっぱり子供ってかわいいわねぇ~♪」
雪蓮は一刀の肩に頭を預けるようにもたれかかる。
「そうだなぁ~」
「…なんだか私も早く子供が欲しくなってきちゃったなぁ」
一刀の腕に自分の腕をからめながらそんなことを呟く。
「………へっ!?いやっ…あっ…あの…雪蓮さん!?//////」
「ふふっ♪照れちゃってかわい~♪」
(………腕に柔らかいものがプニプニと当たってるんですが………)
「でも、肩車をしている時の…『北刀』…なんだかお父さんみたいだったわよ♪」
「おっ、お父さんっ!?」
「ええ♪…ねぇ、その時の私たちって、周りからは親子みたいに見えてたのかな?」
「親子ぉ~~~!?」
雪蓮に親子と言われて、一刀は思わず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「あははっ♪…さっ、冥琳も怒ってるだろうから、私たちも早く帰りましょ。あ・な・た♪」
「っっ………!!//////」
ボンッ…という音が聞こえそうなほど、一刀は真っ赤になってしまった。
雪蓮も真っ赤になっていたのだが、今の一刀には気付く余裕がまったくなかった。
そして二人はそのまま館へと帰って行った。
館へ着くと冥琳が眉間にしわを寄せて、二人が帰ってくるのを待っていた。
なんとか二人は事情を説明して事なきを得ようとした………が、出来なかった………腕を組んだまま二人仲良く館に帰ってきたため、火に油を注ぐ結果となってしまったのだ。
結局、二人とも徹夜で政務に励む羽目になってしまった………
一方、街では、仲睦まじそうに歩く一刀と雪蓮の姿を見た民の間で、ついに孫策様もご結婚か…などと噂が広まっていた………
<座談会>
作者:さて、前回の座談会で一刀がどこかに行ってしまわれ…
雪蓮:あら、一刀なら部屋にいたわよ。
作者:おおっ!これはこれは、雪蓮様。ようこそこちらに。
雪蓮:あなた、一刀に何かしたの?寝台で丸くなって何かぶつぶつ呟いてるんだけど…
作者:あ~。そんなに落ち込んでおられましたか…
雪蓮:…あんまり一刀をからかわないでくれる?一刀をからかっていいのは私たちだけなんだから♪
作者:…ですが雪蓮様、落ち込んでる一刀を…ごにょごにょごにょごにょ…
雪蓮:うん、うんうん。…それいいわね♪…でも、あんまり調子に乗るとどうなるか…(キランッ!!)
作者:ハイ。ワカッテオリマス…(………南海覇王はしまってください………)
雪蓮:わかればよろしい♪
作者:(ふぅ~。助かったぁ~…)さて、今回は初めての拠点となりましたが、如何だったでしょうか?
雪蓮:やっぱり一刀は優しいわねぇ~♪それに私も…
作者:最初でしたので、やはりここは、雪蓮様と一刀で書かせていただきました。
雪蓮:早く私も一刀の子供を授かりたいわねぇ~…
作者:(…なんか惚けられそうだな…)…なら、そろそろ落ち込んでる一刀を…
雪蓮:…そうね。そうさしてもらうわ♪それじゃあね♪
作者:では、私もこの辺で………あっ、作品説明で書いたことなんですが、ご協力よろしくお願いします。
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この作品は真・恋姫✝無双の二次創作となっております。
第四話となりますが、第三話で原作の第一章に当たる部分が終わり。また、原作の祭の拠点のほんの一部分ですが、入れてみたので、今回は拠点に挑戦してみました。
内容に関しては………とりあえず読んでみてください………
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