No.342026

真・恋姫✝無双 呉~新たな外史で綴る物語~ [ 第一話 ]

tawardsさん

この作品は真・恋姫✝無双の二次創作になります。

それでは、本編を始めさせていただきます。

2011-12-01 21:56:08 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:5441   閲覧ユーザー数:4355

「ふむ……もう春じゃと言うのに肌寒いのぅ」

 

「気候が狂っているのかもね。……世の中の動きに呼応して」

 

「……確かに、最近の世の中の動きは、少々狂ってきておりますからな」

 

「官匪の圧政、盗賊の横行。飢饉の兆候も出始めているようだし。……世も末よ、ホント」

 

 星が煌めく夜空の下を二人の美女が会話をしながら歩いている。

 

 二人の名は孫策(真名『雪蓮』)と黄蓋(真名『祭』)という。

 

「王朝では宦官が好き勝手やっておるようだしのぅ。……盗賊にでもなって好きに生きたいと望む奴が出るのも、分らんでもないな」

 

「真面目に生きるのが嫌になる、か。……ま、でも大乱は望むところよ。乱に乗じれば私の野望も達成しやすくなるもの」

 

「全くじゃな」

 

「今は袁術の客将に甘んじてるけど。…乱世の兆しが見え始めた今、早く独立しないとね」

 

 二人は現在の世の中の動き、自分たちの置かれている状況を語り合う。

 

「堅殿が死んだ後、うまうまと我らを組み入れたつもりだろうが……いい加減、奴らの下で働くのも飽きてきたしの」

 

「そういうこと。……だけどまだまだ私たちの力は脆弱。……何か切っ掛けがあれば良いんだけど」

 

「切っ掛けか。……そういえば策殿。民の間である噂が流れておるのを知っておるか?」

 

「あ~、あの管輅ってエセ占い師の。…確か、黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す。って占いよね。」

 

「そうじゃ。胡散臭い占いじゃがそういうことに縋りたくなるぐらい、世の中が乱れとるということだろう」

 

「ホント、世も末だこと」

 

「うむ。……さて策殿。偵察も終了した。そろそろ帰ろう」

 

「そうね。さっさと帰らないと冥琳に――――――」

 

と二人が帰ろうとした時、『バシ――――ン』と空を切り裂くような音が響き渡った。

 

「 ……なにこの音?」

 

「策殿!儂の後ろに!」

 

 二人はお互いをかばい合うように辺りを警戒した。

 

 もう一度、空を切り裂くような音が響き渡った瞬間、周辺が白く輝きだした。

 

「…なに…これ……、…さ………い・・・・・・・・・」

 

「…策……ど……の………」

 

 周辺が白く輝くと同時に、二人の美女は気を失っていった。

 

 

 

 少しして、一人の女性が目を覚ました。

 

「……んっ、ここ…は…?…………あれっ!?私はあの時毒矢にやられてそのまま………」

 

 先に気が付いたのは雪蓮であった。自分の体を見て不思議そうにしている。

 

「…いったいどういうこt「うっ、う~~ん」えっ!?」

 

 自分の置かれている状況に訳が分からず考えているところに声が聞こえ、そちらに振り返った・・・

 

「…う……そっ!?……さ…い……祭なのっ!?」

 

 声を出した人物を確認すると雪蓮はすぐにその人物のそばに駆け寄った。

 

「祭っ!ねぇ祭ってばっ!」

 

「う~~~んっ、なんじゃいったいうるさいのう、人が気持ちよく寝てるという…の……に………」

 

「祭~~~~~~!!!」

 

 声を出したのは祭であった。祭が気が付くと雪蓮は祭に抱きついた。

 

「なっ!?なぜ策殿が……?それにここはいったい?たしか儂は久々に開かれた宴で皆と酒を飲んでそのまま眠ってしまったはずじゃが………」

 

「私も訳が分からないのよね。曹操の軍が攻めてきたときに私は毒に犯されて………」

 

 二人は話しながら周辺を見渡し今の状況・場所を確認していく。そして一つの思い出と照らし合わされていく。

 

「ねぇ、祭、この場所ってひょっとして…」

 

「うむ。策殿もそう思っておるか」

 

「ええ。多分、だけどね」

 

「ならば儂等のとる行動は…「祭!すぐ行くわよ」ちょっ!?策殿っ………はぁ、まったくのぉ。さて儂も早く行かねばな」

 雪蓮は今の状況を確認して思い至ったことを祭に確認し、同じ事を考えていたと分かると、祭が話してる途中で声を掛けすぐに駆けだして行った。祭も雪蓮が話の途中で駆けだしていった瞬間、引き留めようとしたが、仕方がないといった感じで溜息をついて、後を追いかけて行った。

 

(もしあの時と同じなら…いえっ、きっとあの時と同じはず。ならあの場所に……必ずいるはず!)

 

 雪蓮はある一人の青年を思い浮かべながらある場所に向かっていた。それは『天の御遣い・北郷一刀』を見つけた場所である。

 

「…はぁ…はぁ…はぁ…。確…かこの辺りだったはず」

 

 雪蓮は記憶を頼りに『北郷一刀』を見つけた場所へとやってきた。

 

「どこっ!どこにいるのよっ!!」

 

 辺りを見回すが何も見つからない・・・

 

「…うそ…でしょ……どう………………あの時と………じゃないの……答え…よ………か…「策殿っ!」」

 

 涙がこぼれ落ちそうになりながら、呼ばれた声に振り返ろうとした時、一瞬だったが暗い夜を照らす白く輝くものが目に映った。

 

「…あれはっ!」

 

 雪蓮はすぐにその場所に駆け寄った。そして、後から来ている.祭に声をかける。

 

「祭っ!こっちよ」

 

「…はぁ…はぁ…、策殿っ!大丈夫か?」

 

「ええっ。それよりも祭、見て…」

 

「これはっ…」

 

 2人の視線の先、そこには雪蓮が思い描いていた一人の男性、ずっとそばに居続けたいと思っていた『天の御遣い・北郷一刀』がいた。

 

「ねえ、祭…これって…夢…じゃないのよね」

 

「うむ。儂もまだ状況がさっぱり分らんが、夢ではないであろう」

 

「そうね。私も全然訳が分かんないけど・・・それよりも今は早く館に帰りましょ。」

 

「そうじゃな」

 

 祭の返事を聞くと、雪蓮はまだ眠っている『北郷一刀』の上半身を抱き起こし左側に回り込むと左腕を首に回して立ち上がる。それを見た祭も空いている右側に回り込んで右腕を首に回して支える。そして二人は館へと向かって歩き出した。

 

 

 

 三人が館に帰ってくると、門の前に一人の女性が立っていた。

 

 女性の名は周瑜(真名『冥琳』)という。

 

 冥琳はこちらに向かって歩いてくる人影を確認すると目に涙を湛えながら声を絞り出した。

 

「…しぇ……れ…ん…、ほ…んと…に…雪蓮…なの?」

 

「あら♪他にどの私がいるっていうのよ♪」

 

「でも…あなたは……あの時……曹操が攻めてきたときに……、それに私も赤壁で………」

 

「なっ!!もしや冥琳…お主もなのか!?……ふむ、ますます訳が分からんのぅ………。とにかく今はこやつを早く部屋に連れていくかの」

 

「そうね、詳しい話はその後で」

 

 それを聞いて冥琳は二人の間にいる人物に目をやった。

 

「なっ…!?まさかっ…!?」

 

「そっ♪冥琳が今頭の中で思い描いてる人よ♪…さぁ、冥琳も祭も早く部屋へ行くわよ」

 

「「ああ(うむ)、そうだな(じゃな)」」

 

 

 

 四人は館の中のある部屋に入って行った。そう、『天の御遣い・北郷一刀』を拾って寝かせていた部屋だ。

 

 三人は『北郷一刀』を起こさないようにゆっくりと寝台に寝かせた。

 

「とりあえずこれで大丈夫ね。で、私と祭は一緒にいたからいいとして、冥琳、あなたが気が付いた時のことを教えてもらえるかしら」

 

「ええ。…私が気が付いた時は自分がいったいどういう状況なのか理解出来なかった。私は確かにあの赤壁の戦いで自分の命が尽きていくのが実感できたのだから。でも、気が付いた時には最初はここがどこなのかも分からなかったわ。辺りをよく見まわすと、ここが自分の部屋だということに気が付いたわ。その後は……」

 

「ふむ、そして急いで部屋を飛び出して門の前まで来たところで儂等を見つけたということじゃな」

 

「はい。祭殿の仰るとおりです。」

 

「ふ~ん、それじゃやっぱり冥琳も私と同じで最後の時まで記憶があるわけだ」

 

「えっ!同じって…それじゃあ雪蓮、あなたもなの?」

 

「そっ♪私は曹操が攻めてきたときに命を落とした。そのことは二人がよく知ってるわよね。」

 

「「ええ(うむ)」」

「私もあの時に、自分の命が尽きるのを感じたの。でも気が付いた時には祭と一緒に荒野で倒れていた…って訳」

 

「そうだったのね。では祭殿は?」

 

「儂か?…儂はじゃ「祭さま~~~~~~~」っとこの声は穏か。お~~い、穏、こっちじゃこっちじゃ」

 

「祭さま~~~、もぉ~さがしまし「「穏っ!!」」ふぇっ!!」

 

 穏と呼ばれた女性は陸遜(真名『穏』)という。

 

「えっ!?えっ!?なん…で……しぇ…れん…さま…と………めい…りん……さま…が………………ふっ、ふええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」

 

 穏は呼ばれたほうを見て二人の姿を見ると、何かが弾けたように冥琳に抱きついて泣き出した。

 

「う~~~む、この様子じゃとどうやら穏も同じようじゃのぉ」

 

「どうやらそうみたいね」

 

 三人は穏が泣き止むまで静かに待つことにした。穏は一頻り泣いたあと冥琳から離れて三人に向き直った。

 

「ところで穏よ、いったい何故儂を探しておったのじゃ?」

 

「えっとぉ、それはですねぇ、皆で宴を開いていたじゃないですかぁ、そのまま眠ってしまってぇ起きたらまったく違う場所にいたので皆さんを探していたんですぅ」

 

「お主、皆を探しておったって、ここがどこなのか気付いておらんのか?」

 

「ここはどこですかぁ?」

 

「はぁ~、やれやれ。ここは荊州南陽、我らが主、孫策殿の館じゃろうが」

 

「あぁ~♪どおりで見覚えがあったわけですねぇ~♪」

 

「ふふふっ♪穏ってば相変わらずなのね♪」

 

「ええ。雪蓮の言うとおりね」

 

 穏のおかげで部屋の中が温かい空気で包まれていく。

 

「じゃが、穏も同じとなるとこの場に儂等がいるということからして、おそらく蓮華様達も………」

 

「はい。祭殿の仰るとおりと思われます。それに………」

 

 そう言って冥琳は寝台のほうを見た。それに合わせて三人も寝台に目を向けた。

 

 そこには規則正しい寝息を立てて眠る『北郷一刀』の姿があった。

「あらまぁ♪これはぁ~~~♪」

 

 最初に声を出したのは穏であった。

 

「うむ。穏も知ってて当たり前じゃろうが、しかしこやつが儂等の知っておるあやつと同一人物とは限らんのじゃないのかのぉ?」

 

「確かに祭殿の言うとおり、姿形はどこから見ても同じですが…」

 

「あら♪私は心配ないと思うけど」

 

「…雪蓮、それはまたいつもの勘か?」

 

「そういうこと♪」

 

「ふむ。策殿がそう言うのであれば大丈夫じゃろう。…さて、儂は今日は頭を使いすぎたのでもう部屋で休ませてもらうことにしよう」

 

「穏もそうさせてもらいますぅ♪」

 

「ええ。私もそうさせてもらいます」

 

 そう言って祭と穏は部屋を出て自分の部屋へと戻って行った。

 

「…雪蓮、あなたももう部屋で休んだほうがいいんじゃない?」

 

「…ううん。私はそばにいるわ」

 

 冥琳に答えながら雪蓮は寝台の傍に椅子を持ってきて腰掛ける。

 

「……そう。なら、後はよろしくね」

 

「…ええ。おやすみ、冥琳♪」

 

「おやすみ、雪蓮」

 

 冥琳は部屋を出て扉を閉める。

 

(ふぅ…、ホントは私も傍にいたかったのだがな………)

 

 扉を閉めた後で少し扉にもたれかかりながらそんなことを思いつつ、冥琳も自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 二人っきりになった部屋の中で雪蓮は寝台で眠っている『北郷一刀』の髪を指で優しく梳きながら語りかけていくように話し始める。

 

「ふふっ♪ごめんね、冥琳。ホントはあなたも傍にいたかったのでしょ?…でも、ありがと♪」

 

「皆の前では心配ないなんていったけど…、ほんとはね、すっごく不安なの…」

 

「もし、私の知ってるあなたじゃなくて、似ているのにまったくの別人だったらって思うと急にすっごい怖くなってきたの………」

 

「…だからお願い…、目を覚ましたら最初に私の…私の真名を呼んで………。そしたら…安………出…る……と……お………も………か…ら………………」

 

 そのまま雪蓮は眠りについた。頬には二筋の涙の痕が残されていた。

 

「………ん……もう……い………に………」

 

 『北郷一刀』の寝言が静かな部屋に吸い込まれるように消えていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<座談会>

作者:さて、というわけで本編が始まりました。

一刀:序章からずいぶん早かったんだな。

作者:一応序章は短くして、続きを書いておりましたので。

一刀:しかし、最初っからとんでもない展開だな…

作者:そこはまぁ無い知恵振り絞った結果で…

一刀:それに若干キャラも変わってるんじゃ?

作者:オリジナル部分に関しては120%妄想なので今後ますます変わるかもしれません。

一刀:あんま変えすぎると、違うものにならないのか?

作者:なるべくは原作通りのキャラ設定でいくつもりです。

一刀:まぁいいや。で、始めるからには最後までやり遂げるんだろ?

作者:それはもちろん!最後まで頑張ります!

一刀:そんなこと言って大丈夫か?

作者:いや、最初に決意表明しておかないとやり切れる自信が…

一刀:まっ、頑張って書いてくれよ。そんじゃ俺はこの辺で。

作者:はい。私も失礼します。


 
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