No.338744

真・小姫†無双 #28

一郎太さん

はい、覚醒して30時間が経過する一郎太です。
アンケの結果、この御方と相成りました。
拠点はキリよく#30までやるつもりなので、アンケは継続です。
まだ拠点で出ていないキャラに投票してね。
ではどぞ。

2011-11-24 01:57:15 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:7995   閲覧ユーザー数:5425

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(`・ω・´)フォォォ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#28

 

 

「「「………」」」

 

背中に感じる。

 

「「「………」」」

 

複数の視線を。

 

「「「………」」」

 

突き刺さるような、

 

「「「………」」」

 

それでいて舐めるような、

 

「「「………」」」

 

そんな視線を、俺は知っている。

 

 

 

 

 

 

拠点 空

 

あれは反董卓連合から月たちを助け出し、南陽の街に戻ってしばらくの事だった。愛紗は……まだうちの陣営に加わってなかったな。

 

「───どうだ、空。ここの暮らしには慣れたか?」

 

華雄と霞は武将として調練に参加し、詠は朱里と雛里と軍師として議論を交え、恋とねねは動物園併設幼稚園の開園準備に精を出し、月も侍女(めいど)長として指揮をとり始めた頃だったか。

 

「うむ、月もよく顔を出してくれておるし、兄上もおる。洛陽なんぞよりもずっと楽しいぞ!」

 

正直な話、俺は空の待遇を持て余していた。なにせ彼女は武の才などまるでなく、宮廷の豊富な書物で培った知識はあれど、それを政治や軍略に活かせるという訳でもない。

 

「じゃが…───」

 

南陽もさすが袁家が治めてきただけあって、その書庫のキャパも膨大だ。

 

「───私だけ仕事をしないというのも、なんだか申し訳ない気がしてのぅ」

 

なんと健気な。

 

 

 

 

 

 

だが、空が言う事ももっともだ。ただ世話をされ、持て囃されるだけでは、これまでの傀儡となんら違いはない。

 

「そうだよなぁ…でも、どうしたものか………」

 

彼女の特性を考えて適職を模索するが、なかなか思い付かない。

 

「兄上…私も兄上の力になりたいのじゃ……」

 

俺の思考を読み取ったか、今にも泣き出しそうな瞳で俺を見上げてくる。

 

「空……」

 

陶磁器のように真っ白な頬は朱に染まり、黒曜石のような瞳から透明の雫が流れ落ちる。

 

あぁ、駄目だ、空…俺達は兄妹なんだ………

 

だが、俺に抗う力は残っていなかった。その小さな身体を抱きしめ、漆黒の髪に顔を埋めて香りを堪能し、俺の(自主規制)は天を穿つが如く──────。

 

「───兄上?」

「おっと妄想はここまでにしておこう」

 

……………妄想?

 

 

 

 

 

 

「───執筆なんてどうだ?」

「書き物かや?」

 

前述の通り、空に政や兵法を操る力はない。

 

「そうだ。空がこれまで蓄えてきた知識を使って、本を書くんだ」

 

だが、空が蓄えてきた知識のみに焦点を当てれば、朱里や雛里、そして詠にもひけを取らない筈だ。

 

「みんなの力になりたいと言ってくれたよな。だったら、本の売上の一部を資金に充てたっていい。街の人たちに読み聞かせたっていい」

「………」

「暇潰しに俺が話してやった話を使ったっていい。どうだ、やってみないか?」

 

黙って俺の言葉に耳を傾けていた空が、おもむろに立ち上がり。

 

「それなのじゃ、兄上っ!」

 

そして俺に飛びついた。

 

   *

 

「───聞いた?」

「えぇ…聞いたわ」

 

そして、それを覗き見る影2つ。

 

 

 

 

 

 

数日後。空はあてがわれた自室にて筆を取っていた―――が、その進みは遅い。

 

「昨日まではあんなに調子が良かったのに、今日はさっぱりですね、空様」

「そうじゃのぅ……」

 

茶を入れながら話しかける月に、タコのようにすぼめた唇と鼻で筆を挟んだ少女は応える。その見た目はまるっきり学校の授業に集中しない生徒のようだ。

 

「書きたい物語はあるのじゃが、どうも何かが足りぬ気がしての」

 

空が書いているのは、南陽の日常を切り取った物語だった。城の中で遊ぶ鈴々たちや、勉強に励む軍師たち、真剣に仕合をしていたと思えばくだらない事を始める大人たち(一刀・七乃・霞)、兄に連れられて目にした街の様子等々――――――。

だが、どうも物足りない。幸せな風景を描けている自信はある。だが、それでも足りないと思えてしまうのだ。

しばらく天井を見上げながらうんうんと唸っていた空だったが、その矛先を月に向けた。

 

「………月には読みたい物語があるか?」

「私ですか?そうですね……男女の色恋に関する書は洛陽にも少なかったですし、読んでみたいというのはありますね」

「色恋か……じゃが、そのようなものは経験したこともないしのぅ」

 

月にお題を提示され考え込む空は気づかない。月の瞳が怪しく光っている事に。

 

   *

 

「――――――想像の産物か……それは面白そうじゃが、同時になんとも難しそうな内容じゃな」

「そんな事ないですよ、空様。実際、あまり出回っていないのですが、そういった本は隠れた人気があるのです」

 

空と共に茶を口に運びながら、月は微笑む―――怪しく。

 

「月も読んだ事があるのか?」

「はい。それに詠ちゃんも。私達も『いくつか』持ってますので、よろしければお読みになりますか?」

「本当か?ならば是非頼む。妾は読んだ事がないからのう」

「もちろん構いませんよ。お湯もちょうどなくなりましたので、沸かすついでに部屋から持ってきますね」

「うむ、頼んだぞ!」

 

少女の笑顔に微笑みで返して立ち上がると、月は背を向けて部屋を出た。相変わらず、仄暗い笑みを浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

――――――数日後。

 

「――――――これより『第1回腐女子会議』を開催するわ」

 

城の奥まったところにある一室―――ただし、一刀が『()()()()会議』を行なうのとは別の部屋に、5人の処女………ゲフン、少女が集っていた。だが、その姿は異様。彼女たちは、一様に蝶を模した仮面で目元を隠しているのだから。

その中の1人のあげた声に、4人のうち半分はビクリと肩を震わせ、1人は楽しみだというように目を輝かせ、1人は微笑みを湛えている。

 

「はわわっ、『腐女子』ってなんですか!?」

「あわわ……婦女子と発音する事に抵抗がありますぅ」

 

肩を震わせた2人は、いつもの口癖で驚きを露わにする。彼女たちはこの会議の主旨を知らない。それもそのはず、昨日2人がそれぞれの部屋に帰った時に見つけた招待状によって案内されただけなのだから。2人が被っている仮面は、その時招待状と共に置いてあった―――寝台の下に隠してあった(えろ)本と共に。

 

「アンタたち、口調には気をつけなさい。でないと仮面の意味がなくなるわよ」

「はわわっ!?」

「あわわわわわ……」

 

そして司会者の言葉の意味を理解し、再び口癖を出す。司会者も諦めたのか、溜息をついて会議を進行させる。

 

「それで、今日の議題だけど、この『伯仮面』が新しく書く本についてよ」

「うむ!私もこの(じゃ)(んる)の本は最近知ったばかりじゃったからな。ちょうど最近本を書き始めておったところじゃし、何か指南をしてもらいたいと思って、そこの『文仮面』にこの会議を開催してもらったのじゃ」

「はい。『孔仮面』ちゃんも『(ひよこ)仮面』ちゃんも同類なのに、それを隠していましたから、私がお二人の部屋に入った際に、いつも(えろ)本を隠している場所から出しておいたのですよ。こうでもしなければ、絶対に認めませんからね」

 

『伯仮面』に同調し、『仲仮面』も補足する。2人はどうして隠し場所を驚いていたが、彼女の服装は侍女(めいど)服だ。彼女の本来の仕事を思い出し、ならば仕方がないと溜息を吐く。

 

「なるほど…そういう事だったんですね」

「仰りたい事はわかりました。でも、なんで私だけ(ひよこ)なんですか!?他の皆はあざ――――――」

 

(ひよこ)仮面』が何かの単語を発そうとした瞬間、彼女が被っていた魔女帽子が弾き飛ばされた。

 

「――――――え?」

 

突如頭上の負荷が消えた事に、事態を把握できないでいる少女に、『文仮面』はゆっくりと口を開いた。

 

「口を慎みなさい。私達は見張られているのよ………仮面をつけて、一堂に会した時からずっと、ね」

「それって……」

 

いったい何を言っているのだろう。件の少女だけでなく、その隣の『孔仮面』と『伯仮面』も目を見開いていた。『仲仮面』だけは、ただ真面目な顔で少女を見つめている。

 

「………以前、とある(ろり)(こん)が言っていたわ。何か秘密の会合をする時、それも素性を隠して仮面をつけて会合を行なう場合は、どこからともなく音もなく、それを見張る存在がいるそうよ。通称『仮面舞踏会(ますかれぇど)の番人』」

 

誰かが唾を飲み込む音が聞こえた。

 

「その番人は、『仮面の掟』を破る者を絶対に許さないの。今回は『(ひよこ)仮面』も初めてだったし警告で済んだけど………次はないと思いなさい」

「ひゃ、はひっ!」

 

その鋭い視線に、『(ひよこ)仮面』は上擦った声で応えるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――初回にして、会議は紛糾する。

 

「だから主と従者が一番クるって言ってるでしょ!」

 

主従関係こそが至上の攻受の関係と主張する者。

 

「はわわっ!でもでも、先生と生徒っていう禁断の関係の中の葛藤がいいと思いましゅっ!」

 

すでに使い古されたベタな展開を望む者。

 

「主従の関係でも、従者が主を閨の中でだけイジめるのもありだと思いましゅ!」

 

最近の不遇から、捻じ曲がった性格が性癖にまで顕れた者。

 

「へぅ……男の子どうしもいいかな、なんて………」

 

腐った発言をする者。

 

なかなかに会議は進まない。

どれだけ議論は白熱しただろうか、誰もがすっかり息を荒くした頃、ずっとその会議の様子を見ていた『伯仮面』が手を挙げた。

 

「ずっと疑問に思っておったのじゃが、お主らがいう『主』や『先生』とは誰の事を指すのじゃ?」

「「「「………………………」」」」

 

その無垢な発言に、皆は閉口し、同時に後悔する。彼女はまだこの(じゃ)(んる)に足を踏み入れるか入れないかの段階だ。最初はソフトなものから洗脳しなければ、逆にひいてしまうのではないか。そして同時に思う。妄想なのだから、なんでもいいじゃん、と。

 

「そうね……そこは想像しやすい『イイ男』を考えればいいと思うわ」

 

少女の質問に『文仮面』が答え、他の3人も頷く。すると『伯仮面』はなるほどと頷き、再び口を開く。

 

「なるほどのぅ。では、お主らの指す『主』や『先生』はかず、じゃなかった。『彼』の事なのじゃな」

「「「「……………………」」」」

 

なんとも言えない空気が広がった。無理もない。彼女達がしているのは、『(びょ)(うき)』の話なのだ。現実世界に則した瞬間に、その価値は下がってしまう気がした。だが、無垢な少女は再三頷き、こう言った。

 

「ならば、妾は兄上との事を書いてみるのじゃ!」

 

 

 

 

 

 

それから少女の観察が始まった。自らが兄上と呼ぶ青年とはまだまだ付き合いが短い。ならば、彼の事をもっと知らなければ。

 

「相変わらずアイツは()()とばかりいるわね」

 

眼鏡の少女の視線の先には、桃色の髪を後頭部で2つに分けて結わった少女を肩車する対象の姿。

 

「でも、それを言ったら私達も()()に分類されちゃうよ、詠ちゃん」

 

詠と同じように壁に身を隠して廊下の先を覗き見る月が問う。

 

「確かに仲穎も文和も小さいからのぅ。まぁ、私もじゃが」

 

そしてもう1人。

 

3人はそれからも、じっとその青年を(うち2人は妄想をしながら)観察し続けた。

 

   *

 

そう、俺は知っている、この視線を。

 

あれは高校1年の時だったか。俺が通っていた聖フランチェスカ学園は元女子高という事もあり、男子生徒が圧倒的に少ない。必然的に、数少ない男子は仲良くなる。俺も、及川という関西弁がウザい眼鏡と仲良くなっていた。

 

「ねぇねぇ、北郷君と及川君って、本当に仲がいいよね」

「そうか?」

「まぁ、ワイとかずピーは断金の仲やからなー」

 

秋のある日、隣の席の女子が話しかけてきた。及川がまたくだらない事を言ったので、何か突っ込もうとしたが、それよりも早く、その女子―――女子3人組は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

 

「あ、やっぱり!?」

「だよね?だよね?」

「最初に見た時からそうじゃないかなーって思ってたんだ!」

 

最初はまたテンションの高い女達だと思っていたが、その理由は数か月後の冬に判明する。昼休みの暖房の聞いた教室で、机に伏せって眠っているクラスメイトの腕の下から覗くノートによって。

 

すべてをここで話す事はしない。いまでもたまに悪夢として出てくるからだ。俺と及川が、まさか…そんな――――――。

 

話は戻るが、いま俺が感じている視線は、彼女達から受けた視線とそっくりなのだ。そして俺はその正体の可能性を考える。

一番可能性が高いのは朱里と雛里。あの2人の収集した(えろ)本はなかなかの数がある。だが、彼女たちはいつもこの時間は仕事でいっぱいいっぱいだ。そのような余裕があるのだろうか。

次に考えたのが七乃たち大人の連中。だが、それもない。実地でいろいろとやってるからな。

鈴々たちもない。そんな学識はない。美羽もない。あの娘は愛すべき馬鹿だ。

では――――――。

 

「そういう事か………」

 

俺は季衣を肩に乗せたまま溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

数週間後。空が俺の部屋を訪ねてきた。

 

「どうしたんだ、空。いつもは部屋で書き物をしている時間だろう」

 

扉を開けて俺に飛びついた妹を撫でながら問えば、にぱっと可愛らしい笑顔で一歩下がり、ソレを差し出した。

 

「………本?」

「うむ、本じゃ!正真正銘、妾が書き上げた本じゃ!」

 

受け取って表紙に目を通せば、『御遣いと天子~禁断の愛~』というタイトルが目に入った。『天子』はこの国では空を指すとして、御遣いとは何なのだろうか?

 

「読んでみてもいいか?」

「うむ!月や詠、朱里や雛里にも手伝ってもらったから、出来はいいと思うぞ。ぜひ感想を聞かせてたも」

「あぁ、じゃぁ少しだけ――――――」

 

早く読めと笑顔でせがむ妹の頭をひとつ撫でて、俺はページを捲った。

小説は、とある占い師が告げた占いから始まっていた。曰く――――――。

 

   *

 

「………空さんや」

「なんじゃ?」

「この辺りの描写とか、どうやって考えたの?」

「そこは雛里と朱里の本を貸して貰うたのじゃ。流石伏流鳳雛と呼ばれるだけはあるな。政治や経済、兵法、儒学の他にもたくさん本を持っておる」

「そうか」

 

決まりだ。あの2人はお仕置きだな。

 

「月と詠にも色々と手伝って貰ってな。描写の書き方とか睦み事の最中の台詞とかな」

「そ、そうか…」

 

まさかあの2人も腐っていたとは………。

 

俺は何とも言えない感情を抱くのだった。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、拠点は空たんでした。

ちなみにイメージは黒髪の腰くらいまであるロングに、色白で、美羽の線をもっと細くした感じ。

ほっぺぷにぷにだと思う。

 

今回は会議のところがよく書けたと思う。

やはりギャグはフリーダムにやらなければな。

 

フリーで思い出したけど、最近一郎太がハマってるのは、フリーのノゲルゲーム。

時間もそんなにかからずに読み終えられるし、掘り出し物がけっこうある。

ちなみにおすすめは小豆クリーニングさんの『ほん呪』シリーズ。

皆さんも時間があったらダウンロード&プレイしてみてください。

 

さて、寝るか。

 

 

 


 
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