No.336370

真・小姫†無双 #27

一郎太さん

というわけで、投稿。
うん、書いてみて思った。
詠ちゃんあんまりデレてない。
アンケも継続だよー。
どぞ。

2011-11-19 00:20:31 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:7912   閲覧ユーザー数:5347

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(`・ω・´)フォォォ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#27

 

 

「ほれ」

「……………」

 

眼鏡の奥の三白眼が丸く見開かれている。

 

「ほいさ」

「………………」

 

背後から飛んできた方天画戟を軽々躱し。

 

「おっと、危ない」

「………………」

 

侍女が零した熱々のお湯から身を守り。

 

「こんなもので俺の愛をはぐらかそうなど100年早いばはっ!?」

「お兄ちゃん、ごめんなのだ!」

「………………」

 

2階から(何故か)振ってきた鈴々を顔でキャッチし。

 

「………一刀も完璧超人という訳ではないみたいね」

「甘いな。空から女の子が降ってきたのだ。それを受け止めない(ろり)(こん)はいない」

 

ようやくさっきから口をぽかんと開けっ放しだった少女―――詠が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

拠点 詠

 

「あれ?」

 

執務に入っての俺の第一声がそれだった。いつものように置き、いつものように朝食を摂り、いつものように仕事に向かう。執務室を現場としているのは軍師及び文官、そして俺だけである。お前は武将じゃなかったっけ?というツッコミはなしだ。だって、幼女だけで3人、(ろり)(こん)だけで3人………考えたら武将が6人もいるとは、なかなか豪勢な勢力だな、ここも。

 

「「おはようございます、ご主人様」」

 

返事を返すのは2人の幼女。朱里と雛里だった。これはいつもの姿。だが、次いで聞こえてくる筈の、気の強そうな声が聞こえてこない。

 

「詠は来てないのか?アイツが寝坊とは珍しいな」

 

そう、詠がいないのである。俺もそこまで遅く来るわけではないが、俺が来ればいつも詠を含めた3人の軍師は既に仕事を始めている。それがお馴染みの光景だった。

 

「さきほど月さんが来ました。なんでも、詠さんは、今日は体調が優れないとか」

 

朱里が状況を説明してくれる。マジか。幼女が病気とは国を挙げての一大事だ。

 

「マジか……あとで見舞いにでも行くか」

 

一人ごちて、俺はいつもの席に着いた。

 

「はわわっ!?」

「あわわ……」

 

そう、1人分空けて座っている朱里と雛里の間に。

 

「今日も2人は可愛いな。愛してるぞ」

「「………はぅ」」

 

顔を真っ赤にして気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

「邪魔するぞー」

 

ノックをして返事も待たずに部屋に入る。詠の私室だ。

 

「あっ、ちょ、待って!」

 

あ?慌てた声に視線を向ければ、詠が椅子から立ち上がったところだった。右手にはさっきまで読んでいたであろう本が抱えられている。

 

「どうしたんだ、そんなに慌てて?」

「いいから一度出てなさい!」

「うおっ!?」

 

威勢のいい声と共に本が投げつけられ、扉を閉める事で間一髪それを避ける。扉を閉めた直後に、その扉の向こう側が揺れた。

いったいなんだったんだ?

 

「――――――いいわよ」

 

待つ事1分。部屋の向こうから詠の声が聞こえた。今度は何も投げてこねーよな。

 

「………って、何やってんだ?」

 

今度はしっかりと詠の姿を確認出来た………と言っても布団から覗く顔だけだが。

 

「なにって、体調が悪いから休んでんでしょ?」

「その割には元気そうだな、オイ」

 

顔色は良好、血色もいい。声は擦れてもいない。本当に病気か?

 

「本当に病気か?」

「なによ、疑うって言うの?」

「だって、お前めちゃめちゃ元気そうじゃん」

「そ、そんな事ないわよ、げほっげほっ」

 

そんな棒読みな咳は初めて聞いたぞ。

 

 

 

 

 

 

問答を続けていれば、月がやって来た。手に盆を持っている事から、詠にお茶を入れに来た事がわかる。

 

「ご主人様もどうぞ」

 

詠に茶を入れ、俺にも注いでくれた。しかし、俺はそれを断る。

 

「え…どうしてですか?」

「月の分がないだろう。俺はいいよ。月が飲みな」

「でも……」

 

予想外に俺が詠の部屋にいたから自分が使う筈だった器を出したのだろうが、俺は紳士だ。そんな事をさせる訳にはいかない。という訳で、月の耳元に口を寄せ、そっと囁いた。

 

「俺は後でいいよ………月の器を使わせてもらうからさ」

「え、それって――――――へぅ」

 

その意味を理解した月は顔を真っ赤にしてしまう。

 

「も、もう、ご主人様!からかわないでください!」

「月は可愛いなー」

「へぅぅ……」

 

メイド服(※俺作)姿の月がぽかぽかと俺の胸を叩いてくる。あぁ、立ってしまいそうだ。

 

「ちょっと、一刀!月に触るんじゃないわよ!」

「月が触ってくるんだもんなー?」

「え、詠ちゃん。そんな事言ったら駄目だよ?」

「ゆ、月ぇ……」

 

そんなこんなで、詠は元気そうだった。

 

 

 

 

 

 

「不幸になる日?」

 

落ち着いた2人から、詠が休んだ本当の理由を聞く。

 

「そうなんです。詠ちゃんは何故か定期的にそういう日があって、だから此処に来る前もその日は仕事を休んで1人ち部屋でじっとしてるんです」

「なんとまぁ、右手が疼くな」

「「?」」

 

首を傾げる2人に、問いを重ねる。

 

「で、不幸ってどんな事が起きるんだ?詠が歩けば5分に1回は転ぶとかか?」

「そんなのじゃないわよ。あと、一刀は根本的に勘違いしてるわ」

「?」

「あの、詠ちゃんの不幸というのは――――――」

「ボク以外に降りかかるのよ」

「………………は?」

 

なんとも恐ろしいものだ。詠が不幸になるのではなく、詠以外が不幸になるというのか。

 

「待て、月はどうなるんだ?」

「何故か月だけは大丈夫なのよね。だから正確には、ボクと月以外が不幸になるの………その日ボクを見てしまったらね」

 

なるほどな。もしその話が本当なら、俺も不幸になってしまうらしい。

 

「そういう事か………だったら今日1日をどうすべきかは決まってるな」

「分かってくれた?だったら一刀も――――――」

「城内をくまなく回るぞ、詠!」

「は?」

 

月詠コンビの目が丸くなった。

 

「くく、くくく…ふはははははははっ!!最近は初期のこの作品からは考えられないくらいに落ち着いていたんだ。もっと盛り上げなければ、読者などすぐに離れていってしまう!」

「「………」」

「行くぞ、詠。城内の人間を不幸のどん底に叩き落としてくれようぞ!」

「はぁっ!?」

 

俺は詠の手をとって立たせ、そのまま部屋を出て行く。

 

「………はっ!詠ちゃん、ご主人様ぁ!」

 

背後から月の楽しそうな声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

「あ、兄ちゃん!一緒にご飯食べよー!」

「月さんと詠さんも一緒にどうですか?」

 

まずは食堂。鈴々は外食なのか、そこには季衣と流琉の姿。そして、宙を舞う盆の影。さらにその先では給仕の侍女が漫画のようにベタリと床に突っ伏していた。

 

「「危ないっ!?」」

「「へ?」」

 

月と詠の声が重なり、季衣と流琉の声が重なる。前者2人の視線もくるくると回転しながら飛んでくる物体に注がれ、後者2人はようやく振り返ったところだ。その着地地点には、季衣たちがいま食べていたばかりのラーメン。底面を床と平行にしたまま高度を下げた盆の上には、熱々の湯気を上げる麻婆豆腐。組み合わせとしてはアリだが、この勢いでは大惨事間違いない。という訳で。

 

「よっ、と」

 

盆がラーメン丼に着地する寸前にキャッチした。みんなのお兄さんは何でも出来るのだ。

 

「う、うわぁ!麻婆!?」

「あ、危なかったぁ」

 

季衣と流琉はようやく事態に気づいて目を丸くし、月と詠はほっと胸を撫で下ろしていた。

 

* ←あな○

 

「これで分かったでしょ?ボクの所為で不幸が伝播しちゃうのよ」

 

先程こけた侍女が季衣と流琉に平謝りする光景を背に、詠が口を開く。

 

「確かにあんなミスも珍しいな。特に段差とかもなかったし」

 

どうやら、月と詠の言葉も本当の事のようだ。俺はますますおもしろくなりそうだと、季衣と流琉に別れを告げ、食堂を出た。

 

 

 

 

 

 

「はわわっ!?終わったばかりの案件に墨がぁ!?」

「あわわわわわわ……朱里ちゃん、引出しの中に入っちゃったよぉぉ!?」

「はわわ!と、止めてよ雛里ちゃん!じゃないと()()()()本が読めなくなっちゃうぅぅ!?」

 

執務室で説明口調の軍師ーずの会話を楽しんで。

 

「七乃や、この蜂蜜変な匂いがするぞ?」

「どれどれ…ぺろっ………あらら、これは腐っちゃってますねぇ」

「なんぞ!?」

 

美羽の部屋で美羽が嘆く姿に萌え。

 

「か、書き上げたばかりの『御遣いと天子』の新作がぁ!?」

「な、なんですって!?」

「へぅ…また徹夜しなくちゃいけないのかなぁ………」

 

詠たちの説明を裏切って、空の部屋でばかりは月たちにも不幸が及び。

 

「な、なぜ蜂がこんなにいるのだ!?」

「華雄が力任せに木を斬り倒すからやろ!?」

 

蜂から逃げる華雄と霞を、腹を抱えて大笑いし。

 

「………あ」

「ほいさ」

「………ごめん、おにぃ」

「大丈夫だ。でも気をつけような」

 

愛紗と鍛錬中の恋の手をすっぽ抜けた方天画戟を華麗に受け止め。

 

「で、出れないですぞぉ……」

 

動物園でパンダに抱きしめられたまま抜け出せないでいるねねの頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

「――――――なかなかおもしろかったな」

「ボクはアンタがことごとく災難を切り抜けた事に驚きよ」

「そういう事言っちゃダメだよ、詠ちゃん」

 

再び詠の部屋に戻ってきた。詠は大仰に溜息を吐き、月も心なしか心労が溜まったようだ。

 

「まぁ、詠の不幸体質も堪能したし、俺もそろそろ戻るよ。2人とも疲れただろう、今日はもう休んでおけ」

「はい、ご主人様もあまり無理はなさらないように」

「不幸体質も1日限定のはずだから、明日には仕事に戻るわ」

「りょーかい」

 

2人に見送られ、俺は部屋を出る。ギャグに走ろうと思ったが、あまり思いつかなかったのでダイジェストでお送りした事だけが気がかりだが、ま、俺が楽しかったからよしとしよう。

 

たまにはこんな風に遊んだ日があってもいいよな。

 

そんな事を考えながら、俺は廊下を歩くのだった。

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「………………何、コレ?」

 

執務室に戻った俺を出迎えたのは、山と積まれた竹簡だった。

 

「はわわ、ご主人様ぁ…」

「2人だけじゃ手が回らないですよぅ……」

 

そしてその山に埋もれるように筆を走らせ続ける朱里と雛里。

 

「まぁ、俺も手伝うけど、なんなんだ、コレ?」

 

朝見た時は、こんなになかった筈だ。というか明らかに増えすぎている。

 

「これは全部今日届いた竹簡です…」

「はい。華雄さんと霞さんが暴れて壊した城内の備品の報告に、美羽ちゃんからの蜂蜜の予算見積書、あとねねちゃんがパンダに埋もれて熱中症になっちゃったので、明日からの動物園の仕事内容と、街の一角で起きた家屋連続崩壊事件の報告書に、変な芸人2人組が街のいたるところで騒動を起こしているから何とかして欲しいという陳情書、それから空腹で園を抜け出した動物たちが食べ荒らした食べ物の被害報告書に――――――」

 

雛里の説明を聞きながら、俺は思った。

 

あぁ…俺は不幸を躱した訳じゃなかった………ただ溜めこんでいただけなんだ、と。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

はい、という訳で、詠ちゃんがアンケ1位獲得です。

前書きにも書いたけど、あんまデレてないorz

 

まぁ、いいや。

 

というわけで、拠点で見たいキャラがいたらコメントしてください。

鈴々と詠は作ったので、それ以外で。

あと1人1キャラでね。

 

ではまた次回。

 

ばいばい。

 

 

 


 
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