【CAUTION!】
この作品を読むかどうかは自己責任です。
気分を害しようと、それは自己責任です。
お金がないのも自己責任です。
彼女がいないのも自己責任です。
それでもいいという方は、文頭に
『(`・ω・´)フォォォ』
と書き込んでからコメントしてください。
ただし色々と否定的な※はなし。
作者の心が痛むから。
ではまた後書きにて。
#26
とある晴れた日の昼過ぎ。俺は非常に参っていた。すでに1時間は経過しただろうか。ぴったりと折り曲げられた脚はとうの昔に感覚を失い、それでいて僅かにでも触れられたら何とも情けない声を出しそうなほどに痺れている。
「…………俺が悪かったよ」
「………」
何度謝罪の言葉を口にしただろうか。
ごめんなさい、すみません、申し訳ありません、私は蛆虫です。
「そろそろ許してくれないか?」
「………」
生まれてきてごめんなさい。ロリコンは病気です。
「本当に悪かったと思っているんだ」
「………」
どうぞこの性犯罪者を檻のついた病院にぶち込んでください。
「許してくれよ………鈴々」
「………つーん、なのだ」
鈴々を怒らせてしまった。
***
拠点 鈴々
事の発端は昨夜の事だった。
「「ふぇぇえええぇぇええん」」
「なんだぁ!?」
その日の政務を終わらせた俺が添い寝のローテーションを思い浮かべ、今晩は鈴々とかうへへへへ等と考えている時の事だ。突如、甲高い悲鳴………いや、泣き声と共に執務室の扉が開く。
「―――っと、朱里に雛里か。どうしたんだ?」
「ふえぇぇええん、ご主人様ぁ!」
「うわぁぁん、全然終わりませぇぇん」
現れたのは朱里と雛里のちびっ娘☆軍師ーずだ。手に大量の竹簡を抱えていたかと思えばそれを床に投げ出し、俺の腰にむしゃぶりついてくる。
「ほら、もう夜も遅いんだから泣かない。ちゃんと聞いてやるから、まずは落ち着け」
「ひっく、えっぐ……ふぁい」
「うぅ…ひぐっ……ご主人様ぁ………」
「よしよし」
しばらくの間、2人の頭を撫でながら、俺は床に散らばったものに目を落とす。仕事の量が多すぎて空回りしているのだろう。
今日は少し寝るのが遅くなるかな、なんて考えながら、俺は2人が落ち着くのを待つのだった。
「―――なるほどな」
なんとか落ち着きを取り戻しつつも、目を真っ赤にさせた2人を膝に乗せて、俺は事情を聞く。予想通り、政務が終わらなかったのだ。
「確かに今月に入ってから急務が増えたからなぁ。難民の受け入れに軍備拡張、それに伴って農地の拡大に新しい農法の試験、商家グループから出たクレームの処理に、街の整備と新しい警備隊の訓練予定……………はぁ」
思わず溜息が出る。もちろん大量の案件に対してではない。
「言っただろう?ヤバくなったら俺か詠に相談しろって。なんでこんなになるまで放っておいたんだ?」
「ごめんなさい……」
「あ、あの、朱里ちゃんは悪くないんです!その…私が買った本を休憩中に読もうなんて言い出したから………」
「そ、そんな事ないよ、雛里ちゃん!少しだけ試し読みして、仕事が終わってから読めばよかったんだから!ご主人様、雛里ちゃんは悪くないんです。私がいけないんです」
「うん、そうだね」
「あれっ?」
また溜息が出る。最近雛里がどんどん黒くなっていってる件についても検討が必要だ。
「はぁ………それで、また新しい801本の研究に夢中になって、案件を片づけられなかたんだな?」
「………はぃ」
「………すみましぇん」
「仕方がないな。いいよ、俺がやっておいてやる」
「えっ!でも……」
「私も手伝いましゅ、ご主人様!」
「あれっ?私は?」
コントはもういいから。
「駄目だ。2人ともまだ成長期なんだから、しっかり休みなさい。なに、2人の兄貴はこのくらいすぐに終わらせてやるさ。2人は明日の朝一で内容を確認して、手を加えるだけでいいぞ。だからもう寝な」
「「はぃ……おやすみなさぃ………」」
言うが早いか、朱里と雛里は俺の膝に座ったまま、胸にもたれかかって眠りに落ちていった。
ぶっちゃけ、この案件が出たのは10日前だ。2人の実力なら、多少の回り道があっても半分くらいは終わってる筈だろう。なのに、ここにある竹簡はその9割が手付かずの状態。要するに、801本をこの10日間ずっと読みふけっていた訳だ。この案件が落ち着いたらお仕置きだな。
この世界に時計などある筈もなく、時間を図るには自分の感覚に頼るか、月の位置で判断するほかない。
「………なんとか終わったか」
万が一に備えて、ある程度の代替案を考えていた事が功を奏した。窓から見える月が天頂に昇る頃には、細かいところは別として、大枠で裁断を下す事が出来ていた。
「………ご主人様ぁ、そんなの入らないれすぅ」
「あわわ…そっちにも入れるんですかぁ………」
背後から聞こえる寝言に、そういえば2人はここで寝落ちしたんだなと思い出す。俺も疲れたし、今日はこの2人と寝るかと思った瞬間、また別の事を思い出した。
「………………やばっ、忘れてた」
*
そうだ。そもそも、今日の添い寝は鈴々の番だったのだ。朱里たちの慌てぶりがあまりに酷かったので、思い切り頭の中からそれが消えていた。
「もう、寝ちまったよな……さすがに」
そっと扉を開ければ、奥から規則的な呼吸の音が聞こえてくる。やはり寝てしまっていたか。そのまま部屋の中に入り、音をたてないように扉を閉める。
「ごめんな、鈴々」
聞こえるはずもない少女に言葉をかけながら、彼女が寝る寝台に近づいた。その時―――雲が月を隠していたのだろうか―――月明かりが部屋の中に差しこみ、少女の姿を映しだした。
「…おにぃ、ちゃん」
「………」
俺を呼ぶ声はほんの少し湿り、瞳から頬にかけて、何かが通ったあとが浮かび上がった。
「………ごめんな、鈴々」
再び目元に浮かび上がった雫を人差し指の背でそっと拭い、俺は妹の隣に寝ころんだ。
「おに…ちゃん……」
「あぁ、俺はここにいるよ」
「にゃー…」
眠りにありながらも俺の匂いを感じ取ったのか、鈴々が抱き着いてきた。申し訳なさでいっぱいになりながら、俺は少女を抱き締め、彼女同様に眠りに落ちた。
***
眠りに入った時間自体は遅くはないのだが、やはりあれだけの案件を一気に消化した事で脳が疲弊していたのだろう。俺が目を覚ましたのは、正午になろうかという時間だった。目を開けば鈴々の怒った顔。瞬時に昨日の事を思い出し、平謝りを続けながら鈴々に事情を説明したという訳だ。
「………なぁ、どうしたら機嫌を直してくれるんだ?」
「ふーん、なのだ」
やっぱり機嫌は直らない。
「遅くなってしまったのは謝るから――――――」
「違うのだ!」
「――――――え?」
俺の言葉に、鈴々は立ち上がった。
「鈴々が怒っているのはそんな事じゃないのだ!」
「え、でも……」
「朱里と雛里から朝ごはんの時に話は聞いたのだ。鈴々が言いたいのは、なんでお兄ちゃんが鈴々の部屋に来た時に、鈴々を起こしてくれなかったのか、って事なのだ」
「あ……」
そういう事か。俺は勘違いをしていた。鈴々だって何も分からない子どもじゃない。俺といられる時間が減ってしまった理由も、とっくに旅をしていた時のような状態には戻れない事も分かっているのだ。
「お兄ちゃんが起こしてくれたら、鈴々は幸せに寝れたのだ。なのに、お兄ちゃんは…お兄ちゃんは………」
ついには、ポロポロと涙を零してしまう。本当に俺は馬鹿だ。大切な妹をまた泣かしてしまうなんて。考えるよりも早く、身体は動いていた。足の痺れなんて関係ない。俺にはやるべき事がある。
「ごめんな、鈴々……ごめんな」
「ひっく、うっく…もう、いいのだぁ………」
俺は鈴々を抱き締めたまま、彼女のように涙を零すのだった。
そして今、俺は鈴々と共に街へと繰り出している。
「にゃにゃー、いつもより遠くまで見えるのだ!」
「そりゃそうだ」
肩の上ではしゃぐ鈴々に笑みを零しつつ、俺は通りを歩く。すれ違う人々は微笑ましげに俺達を振り返るが、そんな事は気にならない。俺のロリコンっぷりは公然の事実だからな。
「にゃ!お兄ちゃん、屋台を発見したのだ!あれは………ラーメンなのだ!」
「マジか!鈴々隊長、どうしやすか?」
「突撃、注文、完食なのだー!」
「合点承知!」
俺は妹を担いだまま、人の間を縫うように走り出した。仕事の事は忘れよう。後で頑張ればいいさ。今は、こうして妹と戯れる事の方が大切だ。
あとがき
前書きにも書いた通り、一刀君が最近甘すぎる気がする。
ま、いっか。
ふと思ったのは、作品内では紳士淑女とか言ってるけど、
この話をここまで見てる淑女ってどのくらいいるんだろう?
ま、いっか。
という訳で、前書きにも書いた通り、次回の拠点のアンケやります。
現在登場した中での、見たいキャラを選んでください。
いくつ書くかは決めてないけど、人気のあるものを書こうかなと。
ま、いっか。
ではまた次回。
バイバイ。
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この話書いてて思ったのは、最近一刀君があまりはっちゃけてない気がする。
もう少し弾けさせたいぜ。
という訳で#27の拠点アンケします。
どぞ。