No.333480

真・小姫†無双 #24

一郎太さん

ごめん、続き。
どぞ。

2011-11-12 17:47:24 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:8017   閲覧ユーザー数:5605

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『('∀`)カァチャン』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ただし色々と否定的な※はなし。

 

作者の心が痛むから。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#24

 

 

「どういう事ですかっ!?」

 

おぉ、怖い怖い。

 

「どういう事も何も、ここは真性の()()()()の集う会議だ。その性器………もとい聖域で、己の愛を貫けないような奴はいらない」

「愛…?」

「あぁ……華雄」

「なんだ?」

 

俺は華雄に向き直った。

 

「お前の愛を、この日和見女に教えてやれ」

「………あぁ」

 

華雄は立ち上がり、関羽の目を見つめ、堂々と口を開いた。

 

「私が最も愛しているのは、董卓様だ!」

「なっ!?」

「連合が組まれた頃の月様からは考えられないほどに落ち着いた表情。それでいて、仕事の合間の休憩時間に、かつての辛い時間を思い出し、憂いを帯びる顔。それを北郷様に頭を撫でられ、頬をほのかに赤く染めながらも涙を滲ませて微笑むお姿――――――」

「………………」

「我々の食事を作り、いつもの事なのに美味しいという言葉にほっと胸を撫で下ろすお姿。洗濯物を取り込もうとして、背が足りずに必死にぷるぷると震えながら背伸びをするあの小さいお身体。私はそのすべてを愛しているのだ!」

「なっ―――」

 

言い終えたとばかりに、華雄は額の汗を腕で拭って再び腰を下ろす。ふむ、6割、といったところか。

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

関羽を見れば、絶句している。俺は立ち上がって机を回り、彼女の肩を叩いた。

 

「どうだ?これが(ろり)(こん)の力だ。思わず圧倒されただろう?」

「………ごくり」

 

一筋、関羽の頬を汗が伝う。

 

「お前は、彼女に勝てるのか?」

「え……?」

「武の話ではない。お前は、彼女の真っ直ぐな心に勝てるのか?華雄だけでなく、張遼も張勲も同じ心を持つ(ろり)(こん)だ。お前に、彼女たちの中に入っていくだけの気概があるのか?」

「くっ……何故だ………何故、私の身体は震えているっ!?」

 

言葉の通り、彼女は両腕で身体を抱き締めるが、その震えは治まるところを知らない。

 

「言っただろう。俺達は()()の為に戦っている。その幼い姿を思い浮かべるだけで、これだけの覇気を出せるのだ」

「………っ」

「この覇気を、お前に出せるのか?」

 

話は終わりだ。俺は扉へと向かう。

 

 

 

 

 

 

「――――――待ってください!!」

 

扉に手をかけたところで、背後から声がかかる。俺はニヤリと口元を緩めるがすぐにそれを真一文字に結び直し、振り返った。

 

「まだ何かあるのか?」

「私に…私にもう一度機会をくださいっ!」

「………」

「私は北郷殿の下で働きたいのです!どうか、お願いしますっ!!」

 

今度こそ、俺は笑みを浮かべる。

 

「霞」

「ん?」

「関羽を兵と共に鍛えろ。彼女は()()()だ。こいつの常識を覆してやれ」

「えぇで、任せぇ。来ぃ、関羽。ウチがアンタに()()()()を守る意志がどれだけ強いのか教えたる」

「え?………え?」

 

俺達の会話に茫然としていた関羽は、霞に連れて行かれるのだった。

 

 

 

 

 

 

――――――練兵場。

 

霞は洛陽から連れてきた自身の隊の調練を再開した。この日鍛えていたのは張遼隊所属の1番隊。彼女に従うなかでも選りすぐりの兵を集めた部隊だ。

 

「大丈夫ですかねぇ」

「心配か?」

 

隣に立つ七乃が頬に指を当てながら呟く。

 

「まさか。でもウチの方針に従えない人なんて、邪魔にしかならないです。関羽さんって凄く真面目な感じですし、彼女の心を変えるのは難しいと思うんですけど」

「大丈夫だ。霞にもひとつ指示を出してある」

「あら、どんな指示ですか?」

「それは見てからのお楽しみだ」

「焦らすのは閨の中だけで十分です♪」

「……………」

 

流すぜ。

 

さて、霞が来たようだ。関羽は隊の最後尾で偃月刀を持って立っている。

 

「さっきは悪かったな、アンタら。これから調練を再開するで」

「「「「「Yesロリータ、NOタッチ!」」」」」

「ひぃっ!?」

 

霞の言葉に、隊の全員が槍の石突を地面に打ち鳴らして応える。くくく、関羽も驚いているようだな。

俺と七乃が城壁から眺めるなか、調練が始まった。

 

 

 

 

 

 

調練開始から30分ほど経った頃だろうか、その怒号が場内に轟いた。

 

「全員止まれやっ!!」

 

霞の叫びに、兵達は一斉に動きを止める。

 

「あれ?何か問題でもありましたか?」

 

七乃は首を傾げている。無理もない。いくら七乃が(ろり)(こん)だからといっても武官ではないからな。だが、俺には理由がわかる。もちろん原因はアイツだ。

 

「そこのアンタ!前へ出ぇ!!」

「……………」

 

霞が呼び出したのは、勿論関羽だ。

 

「………アンタ、やる気あんのか?」

「あ、ありますっ」

「アンタがウチらの軍に入りたい言うから、こうやって参加させてやっとんのやで?それでその体たらくか?」

「そ、そんな事は――――――」

「黙らんかいっ!………ウチかてアンタの武は知っとるで?んなもん見れば分かる。どこの軍に行っても立派に将軍職張れるやろ。せやけどな、ココの軍に限っては、アンタは一兵卒にも及ばへん」

「な、なんだとっ!張遼、我が武を愚弄する気か!?」

 

流石に一兵卒にも劣ると言われたのは許せないのだろう。関羽は目をつり上げて殺気を放つ。しかし、霞はそれを易々と受け流し、言葉を続けた。

 

「愚弄なんてするかい。事実を言ったまでや。その証拠を見せたる――――――なぁ、アンタ」

「はっ!」

 

霞は関羽から視線を外し、1人の兵を前に出させる。

 

「アンタの宝を言うてみぃ」

「Yesロリータ!私は董卓様を愛しておりますっ!!」

 

関羽は目を丸くした。無理もない。董卓は彼らにとっての、かつての主なのだ。身分の差を弁えない発言に、関羽はただ茫然と成り行きを見ている。

 

「えぇ根性や。そこのアンタ、ちょい董卓呼んできぃ。一刀の許可は得とる、言えば来てくれるからな」

「Noタッチ!了解いたしました!」

 

命じられるや否や、彼は走って練兵場を出て行った。

 

 

 

 

 

 

数分後、月を引き連れて先ほどの兵が戻って来る。

 

「あ、あの霞さん……一刀さんが許可したって言われて来たんですけど………」

「あぁ、忙しいとこ悪いな、月っち」

「いえ、それは大丈夫なんですが」

 

月を出迎えた霞は、彼女を手招きする。月もそれに従ってとことこと近づいた。

 

「ちょぉ耳貸しぃ」

 

そして、霞は月の小さな耳に口を近づける。羨ましい。

 

「―――えっ?………へぅ、分かりました」

 

何事かを言われた月は、真っ赤になった頬を両手で抑えながらも、最初に呼び出された張遼隊の兵士に近づいた。兵も膝をついて、臣下の礼をとる。月は、いまだ真っ赤な顔で口を開いた。

 

「えと、その…頑張ってくださいね、お兄ちゃん」

「は…はいっ!」

「へぅ…恥ずかしいです………」

 

『お兄ちゃん』

 

その言葉を直に受けた兵士から、闘気が溢れ出す。

 

「なっ!?」

 

驚く関羽に、霞は口角を獰猛に上げながら声をかけた。

 

「どうや、関羽。これが、アンタが馬鹿にしとった一兵卒やで?関羽、コイツと勝負せぇ。関羽が勝ったら、ウチが一刀に頼み込んで将軍にしたる………アンタ、関羽に勝ったら月が頭撫でてくれるから、しっかり気張りぃ」

「恐悦にございますっ!」

「え、ちょ、霞さん!?」

 

霞の勝手なご褒美に、月が目を丸くした。

 

 

 

 

 

 

「う、うぅ……生きててよかった………」

「へぅ…そんな事言わないでください………その、かっこよかったですよ。これからも霞さんのもと、頑張ってくださいね」

「はいぃっ!!」

 

練兵場の一角では、1人の兵士が月に頭を撫でられて咽び泣いている。そりゃそうだ。奴自身が言ったのだからな。月が好きだと。

 

「くっそぉ、羨ましいぜ!!」

「いいなぁ。俺も張飛将軍に抱き着いて欲しいな」

 

それを見ている兵士たちからも、羨望の声が上がる。くくく、たまには褒美をやらなければ、士気も下がってしまうからな。

 

「そんな……この、私が………」

 

練兵場の隅では、ボロボロになった関羽が倒れている。俺は城壁から降り、彼女に近づいた。

 

「………北郷、殿?」

「わかっただろう?これが、()()()()を守る者の力だ。人は何かを守ろうと剣を取る時にこそ、力を発揮する」

「……………」

「守りたいものなんて人それぞれだ。かつてお前に守りたいものがあったように、こいつらにも俺達にも守りたいものがある。その意志の力で、お前は負けたんだ」

「……………」

「俺達は、俺達が守りたいものの価値を知っている。だからこそ、守りたい者の言葉で誰にも負けない力を手に入れられるんだ」

「…私にも」

「………」

「私にも、その価値を知る事は出来るのでしょうか?」

「勿論だ。1週間で、お前を真性の(ろり)(こん)にしてやる。部屋を用意してある。今日はもう休んで、明日からの修行に備えろ」

「………はいっ」

 

関羽は倒れたまま、力強い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで、今度こそ今日はおしまい。

 

バイバイ。

 

 

 


 
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