No.328615

真・小姫†無双 #8

一郎太さん

というわけで、#8。
どぞ。

2011-11-03 00:10:51 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:11404   閲覧ユーザー数:5877

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(´;ω;`)ブワッ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#8

 

 

「だから、雛里ちゃんはあのままがいいんですよって」

「分かってないな。『あわわ…死んでください、この変態共………』とか時々毒を吐くから可愛いんじゃないか」

「そういう見方もありますか………鈴々ちゃんや季衣ちゃんには、たまに女の子らしい恰好させてみたいですよね」

「それには同意する。背丈も近いし、美羽の私服で何か見繕えないか?」

「今度探しておきますね」

 

七乃と2人、軍略(ろりこん)会議をしていると、扉をノックする音が聞こえた。

 

「失礼します」

 

ぴょこんと魔女帽子が現れた。

 

「あら、雛里ちゃんですか、どうしたんですか?」

「あ、はい。ちょっとご主人様にお伺いしたい事がありまして」

「俺?今夜は確か雛里の番だったな。いま履いている薄緑色の下着もいいが、青と白の縞々も捨てがたい」

「あわわっ!?な、なんで知ってるんですかぁ!?」

 

ちなみに、城に来てからは夜一緒に寝るのは交代制になった。『鈴々→季衣→流琉→朱里→雛里→美羽→鈴々―――』というように、1週間に1回の頻度で、一緒に寝ている。ちなみに七乃は俺と1つずらして『美羽→鈴々→季衣―――』という順番だ。ちょーしあわせ。あと、七乃と共謀して、皆で寝られる巨大ベッドを作ろうと企画中でもある。

 

「あ、それいいですね。今度買っておきますから、履いて見せてくださいね、雛里ちゃん」

「あわわっ、こっちにも変態がいますぅ……」

 

毒を吐かれた。

 

「で、どうしたんだ?」

「あ、えと…旗に関してなんですが………」

「旗?」

「はい、兵を率いる時の牙門旗です。我々はそれぞれ姓の文字を掲げるのですが、ご主人様も『北郷』でいいのか聞こうと思って」

 

なるほど、それはまったく考えてなかった。そういえば、普通の人の城にいた時は『公孫』の旗があったな………あ、公孫賛だ。

 

「そうだな…ちょっと考えておくよ。自分で仕立て屋に行くから、店の場所だけ教えてくれ」

 

安直に『北郷』とするのは面白くないし、ぶっちゃけダサい。これは懸案事項だな。

 

 

 

 

 

 

数週間後、洛陽からの使者を名乗るものが、俺達の城を訪れた。

 

「こちらが勅にございます」

 

仰々しく竹簡を掲げる。七乃がそれを受け取り、美羽に渡した。

 

「何て書いてあるんだ?」

「黄巾党の本隊の位置が分かったから、諸侯で協力して討てという勅じゃ」

「ようやく終わるんですね……」

 

朱里が感慨深げに呟き、雛里と流琉も頷く。

 

「わかりました。我々も用意ができ次第、出陣致します。ご苦労様でした」

 

七乃の言葉に、使者は一礼をして玉座の間を出て行った。

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、遠征組なんですけど、美羽様と私は行くとして、誰が行きますか?」

「はいはい!鈴々が行きたいのだ!」

「ボクも行きたい!」

 

七乃の言葉に、真っ先に鈴々と季衣が手を挙げた。

 

「そうですね、将としてご主人様と鈴々ちゃん、そして季衣ちゃん。南陽の守りとして流琉ちゃんを残すのが妥当でしょうか。これまでの黄巾党の力とうちの兵の練度を考えると、数の差はあれど我々の優位は揺らぎません。他の諸侯も参陣するでしょうし、兵は3万。守勢として1万を残していきましょう。軍師に関しては、戦略は雛里ちゃんの方が得意なので、雛里ちゃんが参加し、私が此処に残ります」

 

雛里も同じ意見のようだ。朱里の横でうんうんと頷いている。だが、そこに待ったをかける声。

 

「何かあるんですか、ご主人様?」

 

俺だった。

 

「メンツに関して、異議を申し立てる」

「はわわっ、何か問題でもあるのでしょうか?」

 

他の皆も何事かと俺に注目する。俺は大仰に間を空けると、ゆっくりと言葉を吐いた。

 

「あぁ………ぶっちゃけ、つまらん」

 

朱里と雛里、そして流琉がずっこけた。

 

 

 

 

 

 

「もうっ、兄様はもっとまじめにやってください!」

「俺はいつだって真面目だぞ、流琉。という訳で、ここはクジで決めよう」

 

言うが早いか、軍議ようの石版に、軽石で線を引いていく。いわゆるあみだクジだ。軍師用に4本引き、1本を当たりとする。そして武将用に6本引き、うち2本に当たりを付けた。

 

「さぁ、1人2つずつ選んでくれ」

「主様、妾と七乃はええのかや?」

「何言ってるんだ。美羽はうちの大将だし、七乃も大将軍だ。2人が参加するのは必須だぞ」

「なるほどのぅ」

 

美羽と会話をしているうちに、それぞれ選び終わったようだ。俺はさらに横線をランダムに何本か引いた。

 

「よし、じゃぁ決めていくぞ」

 

俺は端から線をなぞっていった。

 

   *

 

「という訳で、遠征組は美羽・七乃・鈴々・季衣・雛里そして俺。居残り組が流琉と朱里だ」

「………私の案と同じですね、ご主人様」

「言うな。こういうのは気分転換だ」

 

結局時間を潰しただけだった。

 

 

 

 

 

 

数日後、大陸の中央に諸侯とその軍勢が集結していた。しかし、どの軍も功を挙げようとしており、皆が好き勝手に陣を敷き、協調するつもりはないようだ。

そのうちのとある軍勢の本陣で、1人の少女が頭を抱えて泣きそうな顔をしている。

 

「あわわわわわわわ……………」

「どうしたんだ、雛里?」

「だ、だって、恥ずかしいですよぉ………」

「いったい何が恥ずかしいというんだ。いつもより敵の数が増え、傍観者が十数万いる程度じゃないか。雛里はいつものように策を出してくれればいいんだぞ?」

「そっちじゃないです。これですよぅ………」

 

涙目で雛里が指差すのは、袁術軍本陣にはためくひと際大きな牙門旗だった。風に棚引く長方形の布には、蜂蜜の入った壺と、それを抱えるデフォルメされた山吹色をした熊の刺繍。ちなみに熊は赤いTシャツを着ている。まわりには紋様の代わりにデフォルメされた色とりどりの花が浮き上がっていた。

 

「何がいけないんだ?可愛いじゃないか」

「可愛いとかそういう問題じゃありましぇん……軍を象徴する筈の旗が、なんでこんな事になっちゃってるんですかぁ!?」

「そりゃ、美羽と言ったら蜂蜜だろ?なぁ?」

「うむ!」

「そうですよ、雛里ちゃん。お嬢様と蜂蜜は切っても切れない関係なんです。十分に象徴してるじゃないですか」

 

俺のふりに、美羽が力強く頷き、七乃も同調する。

 

「いつの間に変えたんですか!?」

「だいぶ前に雛里が俺の旗の文字を聞きに来ただろ?その時に思いついて、店に行った時に変えてもらったんだ」

「あわわ…そんな事を………そっ、それに美羽ちゃんの旗だけじゃありません!他の旗もじゃないですかぁ………」

 

雛里の言葉に、俺は周囲を見渡す。そこには色とりどりの旗。

 

鈴々には可愛らしい虎。ただ、どちらかというとトラ猫に見える。漫画に出てくるような、太い骨付きの肉を咥えていた。

季衣は鈴々とライバルなので竜。ただし、目がパッチリとした子どもの竜だ。口にはオレンジ色の玉(星が4つ付いている)を咥えさせている。

雛里には卵の殻を頭と腹につけたヒヨコ。中央に大きいのと、右上左上左下に小さいの、右下には生まれる前の軽くヒビが入った卵を置いてある。

七乃には蜂蜜を集めるという事で、ポップな絵柄のミツバチの牙門旗があてがわれている。

ちなみに、俺の旗には『萌』の文字が、これまたポップなフォントで刺繍されている。文字の色はピンクで、周りにはハートマークがいくつか散りばめられていた。

 

雛里は再度頭を抱えるが、何かに気づき、ハッと顔を上げた。

 

「ご主人様…もしかして………」

 

いまだ涙目で俺を見上げてくる雛里の頭を優しく撫でてやり、笑顔で親指を立てた。

 

「あぁ、朱里と流琉のも変えてあるぞ」

「あわわっ!?しゅ、朱里ちゃぁぁん!」

 

少女の悲痛な叫びが戦場に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

――――――南陽。

 

黄巾党本隊討伐に一刀達が発ってから数日が経過した。いま、朱里と流琉は3000の兵を率いて行軍していた。本隊とは別の黄巾党が現れたからと、討伐に向かっているのだ。

 

「ねぇ、朱里」

「………言わないで」

「でも……」

「お願いだから言わないでよぉ……」

 

2人が率いる部隊の前方には、風になびく2本の牙門旗。

 

片方は、中央でフライパンとオタマが交差した絵の旗。2つの料理道具の周囲には、丼や皿、包丁などが配置されている。

 

「いくら私が料理好きだからって、これは流石に………」

「流琉ちゃんはまだ意味が分かるし連想出来るからいいじゃない」

 

言葉を切って、朱里はもう1本の旗に視線を向けた。

 

「私なんて………『801』だよ?あれって何かの記号!?というか読めないんだけど!」

 

そこには中央に『801』の、この大陸にはないアラビア数字がデカデカと浮かび上がり、『♂』と『♂』、『♂』と『♀』、『♀』と『♀』がそれぞれ交差し、『801』の左下、右下そして上部に配置されている。まさに三位一体。

 

「もはや何かの暗号だよぅ……」

 

2人はがっくりと肩を落とす。と同時に、この旗を諸侯の目に晒さなくてよかったと思った。

 

ちなみに、旗の由来を聞いた時、隠してあるエロ本がバレていたと知って朱里が顔を真っ赤にするのは、一刀達が遠征から帰って来てすぐの事である。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

ちゃんと熊さんには目線を入れて誤魔化しています。

 

あと2個。

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
97
4

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択