No.328613

真・小姫†無双 #7

一郎太さん

というわけで続けて投稿。
今日は#10まで上げ捨ててしばらく姿を消す予定。
どぞ。

2011-11-03 00:07:40 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8704   閲覧ユーザー数:5948

 

 

 

【CAUTION!】

 

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(´;ω;`)ブワッ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#7

 

 

朱里と雛里の天才少女を旅の仲間に加えてから、さらに時は過ぎる。季節の移り変わりもあるが、それ以上に昼の間隔が長くなり、鈴々と出会った土地からかなり南にきた事が窺えた。

 

朱里たちを仲間に加えてから、ちょくちょく黄色い布を頭に撒いた賊共に襲われる頻度が多くなった。男どもが皆同じような格好をし、何かのチームのようだ。世紀末ヒャッハーな状況を思い起こしたが、その割にはマッチョが少なく、どうも面白くない。

 

道中の街々で休憩し、食糧を補充しながら旅は進み、俺達はひと際大きな街へと辿り着いた。

 

「そろそろひと稼ぎしておかないとな。金も少なくなってきたし」

 

6人で泊まれる宿で部屋をとり、残金を確認して俺は呟いた。

 

「そうですね。ですが、ここ南陽は大都市のひとつです。仕事もたくさんありそうですよ」

「はい。先ほども写本のお仕事募集の看板を見ましたし、私と朱里ちゃんはそっちに当たってみますね」

 

文系少女が頷く。どうやら街に入ってから宿に来るまでに、見つけていたらしい。出来た妹たちだ。

 

「ボク達はどうしようか?」

「流琉は料理が得意だから、どこかの飯店で仕事を探すといいと思うのだ」

「そうだね。ボクと鈴々は力仕事かな」

「それがいいかもね。季衣も鈴々も、ちゃんとお仕事してよ」

 

おっと、こっちの体育会系少女も負けていない。本当に出来た妹たちだ。

 

「そうだな。じゃぁ、しばらくはこの街に滞在して、旅費を稼ぐか」

 

そういう事になった。

 

 

 

 

 

 

言葉の通り朱里と雛里はさっそく仕事を貰ってきたようで、宿で本を書き写す作業に没頭している。流琉は宿の近くの大きな店の厨房で鍋を振るっているのを先ほど見かけたし、鈴々と季衣も建築現場で大量の木材を抱えて周りの男どもを驚かせていた。

で、俺はというと――――――。

 

「バイトもいいけど、やっぱり妹たちよりも稼ぎたいよな、兄として」

 

という訳で、俺は街の中心部にある巨大な建物に忍び込んでいた。

 

「おらぁっ!」

「ぐっ!?」

 

呻き声を上げて、槍を持った男が倒れた。これで15人目だ。そろそろレベルアップしてもいいと思うんだけど。倒れた男を引き摺って適当な物陰に隠し、廊下を進む。扉があれば開けて中を確認し、盗めそうな物がなければ探索を再開する。その繰り返し。

忍び込んでから大体30分ほど歩いただろうか。俺はそれを耳にした。

 

「ーーーーーーーっ!!」

「へっへっへ、大人しくしてろよ、袁術様。アンタは大事な人質なんだからな」

 

角の向こうから何やら男の声が聞こえる。その不審なセリフに、俺はそっと角から顔を覗かせた。はたしてそこには、ボロイ着物を着た男の後ろ姿。何かを抱えているようだ。

 

「何をやって………っ!」

 

そして俺は見た。男の腕の中で暴れる小さな身体と、流れるような蜂蜜色の髪。俺にはわかる。あれは女の子だ。それも美少女系の。何故って、匂いがするんだもん。

 

「―――ぷはっ!放せっ、放すのじゃ!」

 

その声は細く高い。間違いないな。俺は男の背後に飛び出し――――――

 

「死ねや、この変質者がぁっ!!」

「がっ―――」

 

――――――男の頭を蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

「この度はお嬢様を助けて頂いて、本当にありがとうございました」

「うむ、助かったのじゃ!」

 

俺の雄叫びに何事かと人が集まり、気絶した男は連れていかれた。俺が助けた幼女に案内されて広間に行けば、いつの間に情報が伝わったのか、バスガイドみたいな恰好をした女にお礼を言われる。

 

「それにしてもお主は強いのじゃな」

「まぁね。幼い女の子が絡んだ時の俺に勝てる人間はいないだろうな」

「なんと!それほどか………なぁ、七乃や」

「はい、なんですか?」

 

俺の偉大さに目を見開いた少女が、隣のバスガイドを振り返った。

 

「妾の軍には目立った武将もおらんし、この者を我が軍加えるはどうじゃ?」

「さすがお嬢様です。相手の意向も考えずにその発言!素敵です!」

「そうじゃろ?そうじゃろ?」

 

ガイドにおだてられ、金髪幼女はうはははーと高らかに笑う。鈴々や季衣とはまた違った馬鹿さ加減が可愛らしい。

 

「で、どうじゃ、お主?妾の軍に入らぬか?」

「うーん……」

「何か問題でもあるのですか?」

 

少女の提案に俺は唸り、ガイドの女が問う。

 

「ひとつお願いしてもいいか?」

「なんじゃ?」

「胸の前で両手を軽く握って、上目遣いで『わ、妾を助けてたも……主様(ぬしさま)』ってお願いしてくれたら入る」

「!」

 

俺の言葉を聞いた途端、女の目がキラリと獰猛に光ったのを、俺は見逃さなかった。

 

「よぉわからんが、それでいいのか?」

「あぁ。その前にアンタ、ちょっとこっちに来てくれるか?」

「はいはーい」

 

彼女も俺が言いたい事を理解しているようだ。語尾に♪でもつきそうな口調で、スキップしながらこちらに来た。

 

「よし。じゃぁ、さっき言った通りにお願いしてみてくれ」

「お嬢様、頑張ってください」

 

俺と女の言葉に、幼女は軽く握った拳を胸の前に持ってきて、顎を引く。そして――――――。

 

「わ、妾を助けてたも……主様」

「「ヘーイ!!」」

 

俺と女はハイタッチをかます。俺以外のロリコン男は絶滅すべきだが、ロリコン女なら歓迎だ。俺は心の友を得た。

 

「失礼します!」

 

と、そこに水を差す声。どたどたと兵士が入ってきた。

 

「何者かが侵入した模様です!15人ほど、見回りの衛兵が気絶しているのを発見しました!」

 

忘れてた。

 

 

 

 

 

 

「という訳で、これから引っ越すぞ」

「「「「「え?」」」」」

 

宿に戻れば5人の愛する妹たちが揃っていたので、俺はさっそく切り出した。朱里と雛里は何やら書いており、鈴々と季衣と流琉は肉まんを頬張っているところだった。

 

「城に行ってきた。で、袁術に誘われたから、あの娘の軍に入る事にした。ついでに武将を3人と軍師を2人連れて来るって言っといたから、お前らも準備してくれ」

「「はーい!」」

 

元気よく返事をしたのは、鈴々と季衣。残りの3人は口をぽかんと開けていた。2人が荷物を纏めるなか、いち早く正体を取り戻した朱里が口を開いた。

 

「で、ですが袁術さんって言ったら政治もまともに行なっておらず、民の心も離れていると聞きます。そんな陣営に加わるんですか!?」

「そ、そうでしゅ!袁術さんの軍に入っても、私達の目的は果たせないと思います!」

 

雛里も同調した。駄目だ。全然駄目だな。まったく分かっちゃいねぇ。

 

「な、何を分かってないと………?」

「はっきり言って、袁術はお馬鹿キャラだ」

「きゃら?」

「そんなお馬鹿な幼女が、政治なんてまともに出来るわけもない。だからきっと、周りの大人たちが好き勝手にやっているんだ」

「あわわ…確かに袁術さんはまだ年若いと聞きますし、それもあり得ない話ではないと………」

 

雛里がなるほどと頷く。

 

「それに、こうも考えられるぞ。この街の政治は最悪でも、金は有り余ってる。朱里と雛里が頑張って政治をよくしていけば、ここを取っ掛かりに出来るとは思わないか?」

「「………」」

 

2人が目を見開く。

 

「はわわ…す、すごいでしゅ、ご主人様!私達はすでに善政を敷いているところに行って、そこで頑張るとばかり思ってました!」

「その発想はなかったです!でも、ご主人様の言う通りですっ。大陸を変えるなら、いずれはこの街も変えなければなりません。そうですよね、先か後かの違いだけですよね」

「そうだろう、そうだろう」

 

目をキラキラと輝かせて、朱里たちも荷物の準備を始めた。

 

「………でも兄様?」

 

と、流琉が俺の服を引っ張った。

 

「ん?」

「私、軍を指揮した事なんてないんですけど……」

「気にするな。俺が教えてやるから」

「え、兄様軍略もわかるんですか!?」

「俺はお前達の兄貴だからな。兄貴は何でも出来るものなんだ」

「凄いです、兄様!」

 

軍略って言ってもあれだろ?突撃ー!とか迎撃ー!とか言ってればいいんだろ?

 

 

 

 

 

 

美羽(袁術)と七乃(張勲)に妹たちを紹介した次の日から、俺達はさっそく仕事に取り掛かった。個人的な欲望を言えば、みんなときゃっきゃうふふしたいのだが、美羽を取り巻く状況を鑑みれば、それは少し先の事になりそうだ。

 

「ご主人様、この人とこの人、あとこの人が賂を受け取って、送り主達に都合のいい制度を発布しています。お願いしてもいいですか?」

「任せろ」

 

まずやるべきは諸悪の根源である駄文官を排除する事と定めた俺と朱里と雛里は、七乃から情報を得てその対応を始めていた。

朱里が文官のリストを見せながら俺に依頼をし、俺がそれを実行する。まぁ、見所のあった兵を使って、はるか遠くの長江に沈めさせるだけなんだけどな。あと、ついでに財産も貰っておく。

 

「ご主人様、こっちは賂の送り主の商人や豪族の名前です。説得に行ってもらってもいいですか?」

「勿論だ」

 

雛里に乞われ、俺はそいつらの家へと行き、交渉の末に納得して貰う。ふん、あんな太った身体で俺を殴ろうとするから痛い目を見るんだ。

 

「お前達、幼女は好きなのかって聞いてるのだー!」

『Yesロリータ、Noタッチ!』

「幼女を愛してるのかー!」

『Yesロリータ、Noタッチ!』

「えと…よ、幼女の為に死ねるのかー!………恥ずかしいよぉ」

『Yesロリータ、Noタッチ!』

 

また俺が制作した【紳士(ろりこん)育成指導要領】に従って、鈴々たちも軍を訓練している。最初の1週間は俺自身が出向いて熱き想いをぶちまけたが、今では彼女たちでも十分に機能している。幼女本人に調練される事も相まってか、袁術軍の士気は上がり続けていた。

 

「はーい、美羽様。今日は孫子を読みますよー」

「むー、言い回しが難しいから嫌いなのじゃ」

「駄目です。一刀さんと約束したんですから。お嬢様を『お嬢様』っぽくする、って」

「七乃と一刀の言い回しも難しいのじゃ」

 

また美羽は七乃の指導のもと、勉強に励んでいた。幼気な少女が頑張っている姿は、人の心を打つ。彼女の街の人間への好感度を上げる為にもこれは必要な事だった。あの七乃(ろりこん)に関しては、俺の妹たちとイチャイチャする事を条件として、これまでの甘やかしを辞めると約束してくれた。

 

こうして、俺達が城に入ってからわずか1か月で、南陽の街の状況はどんどんと改善されていくのだった。

 

 

 

 

 

あとがき

 

という訳で、こっちの陣に。

 

まぁ、予想通りだろうな。

 

ではすぐ次の回で。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
101
7

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択