【CAUTION!】
この作品を読むかどうかは自己責任です。
気分を害しようと、それは自己責任です。
お金がないのも自己責任です。
彼女がいないのも自己責任です。
それでもいいという方は、文頭に
『(´・ω・`)やぁ』
と書き込んでからコメントしてください。
ではまた後書きにて。
#4
公孫賛の街を出てからまた数週間が過ぎた。彼女のおかげで食糧も路銀もたっぷりあるし、旅は順調に進んでいる。
「やっ、はっ、たぁ!」
「ほいさ、ちょいさー、ちょいやっさ!」
馬たちが脚を折って休みつつ地面に生えた草を食べている横で、俺は義妹といちゃいちゃしていた。
「全然当たらないのだー」
「くくくっ、俺は鈴々のお兄ちゃんだからな。兄は妹よりも強いものなのだ!」
「むむぅ……うりゃりゃりゃりゃぁっ!!」
「ほれ」
鈴々が蛇矛を振るい、俺が気持ち悪い動きでそれを躱す。余裕そうに鈴々には言っているが、正直に言って辛い。だって速いんだもん。
しばらくそうして戯れていると、急に馬たちの雰囲気がざわついた。
「にゃ?」
「何か近づいているのか?」
俺達が馬をなだめようと武器を収めた瞬間――――――
「ぐおおおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」
――――――茂みからぷーさんが飛び出してきた。
「熊なのだ!」
「残念ながら蜂蜜はないぞっ!?」
4つ足で駆ける熊は最初から気づいていたのか、それとも視界に入ったからなのか、俺達の馬に向かって突き進む。
「Yesロリータ!」
「Noタッチ、なのだぁ!」
だが甘い。俺の妹は強いからな。
鈴々の蛇矛のひと振りによって、熊は仰向けに崩れ落ちる。起き上がる気配もない。馬は……よし、減ってはいないな。
「よくやったぞ、鈴々」
「えへへー」
自慢の妹を撫でようとした時だった。再び茂みが鳴る。
「待てぇぇええっ!」
「ちょっと、季衣!先に行かないでよ!」
茂みの奥から、2人の美少女が飛び出してきた。
片方は薄い色のノースリーブと短パンに身をつつみ、桃色の髪をサボテンみたいな形に2つ結わっている。その手にはトゲがいくつも着き出た鎖つきの鉄球を、地面を削りながら引き摺っている。
もう片方は、ローライズのスパッツに白と橙のノースリーブを重ね着て、その手には巨大な円盤を抱えていた。緑色の頭に、蝶々を模した髪飾りをつけている。
どうでもいいが、2人とも腹を出して寒くないのだろうか………って、鈴々も出していたな。
「あれ?」
「死んでる?」
2人の少女は、俺達の存在と倒れている熊に気がついた。そして、円盤少女の方が、おずおずと声をかける。
「あの……ひょっとして、お兄さんたちが倒したんですか?」
「そうなのだ!鈴々がどかーん、ってやっつけたのだ!」
鈴々がない胸を張ると、鉄球少女が感心したように言った。
「へー、お前チビのくせに強いんだね」
「なにおー!?お前だってチビなのだ!」
「ボクはチビじゃないやい!ボクの方が、背が高いもん!」
おっと、ロリ対決が始まってしまった。俺から見れば、どっちも大して変わらないんだけど。
「にゃにゃにゃー」
「ぬぬぬー」
微笑ましい。嗚呼、微笑ましい。微笑ましい。
顔を突き合わせて睨み合っているが、まったく怖くないのはなんでだろう。きっと、俺の幼女への愛が強いからなんだろうな。
「こら、季衣!喧嘩しちゃダメでしょ!お、お兄さんも何か言ってください」
「ハァ…ハァ……へ?あ、あぁそうだな」
俺がこの世の楽園に感動していると、残る1人が俺の袖を引っ張った。この娘もカワイイな、おい。
「おーい、お前らー。喧嘩しちゃダメだぞー」
「お兄ちゃんは黙ってるのだ!」
「兄ちゃんは黙ってて!」
2人の呼称が、俺の心を突き刺した。まるで俺を取り合って喧嘩する妹たちのようだ。
今日は熊肉だ。
俺と円盤少女の制止もよそに、ついには武器を使っての喧嘩が始まってしまった。
「うりゃりゃりゃりゃー!」
「えーい!!」
ガッキンガッキンと重たい金属音を聞きながら、俺は残る1人とまったりしていた。
「それにしても、お兄さんの妹さんも強いんですね」
「君の友達もなかなかだね。まぁ、俺には勝てないけどな」
「お兄さんもそんなに強いんですか?」
「そりゃ、兄貴が妹より弱い訳にはいかないからな」
「はぁ…?」
鈴々とはまた違った可愛さがある。この娘も一緒に俺の妹になってくんねーかな。
「あの調子だったら勝負はつかないだろうな。お菓子食べる?」
「いいんですか?ありがとうございます!」
俺は公孫賛からもらった糧食を探り、お菓子を取り出して少女に渡した。
「あー!ずるいのだ!数が少ないから、3日に1回って言ってたのに、あげるの?お兄ちゃん!」
「流琉だけずるいー!ボクもお菓子欲しい!」
バレてしまった。仕方がないなと俺は、2人にもお菓子を出してやるのだった。
おやつを食べて満足した鈴々と許緒(食事中に聞いた)はこれ以上勝負をする事もなく、俺の左右の膝を枕に昼寝をしている。先ほどと同じように、俺は典韋と話に花を咲かせていた。
「そっか、2人で暮らしているのか」
「はい。邑は盗賊に襲われちゃって家も全部燃やされちゃって………それからは季衣と2人でこの近くの洞窟に住んでるんです」
なんと不憫な。聞けば、盗賊退治に出かけている隙に、別の賊が来て村を滅ぼされてしまったらしい。どこかで聞いた話だ。同情の気持ちが湧くと同時に、俺のリビドーも姿を見せずに暴れていた。
「………だったら、俺達と一緒に来るか?」
「え?」
ナンパなどではない。幼気な少女たちを救うのが俺の使命なのだ。彼女たちの家族がいないのならば、俺が家族になってやりたいと思ったのは、決して邪な気持ちからではない。純粋なる愛故だ。
「俺達も似たようなもんでな。帰る場所もなくなってしまったから、こうして旅をしてるんだ」
「その割には、豪勢な荷物があると思うんですが………」
なかなか目ざとい。
「これは以前働いていた城でくれたんだよ。どうも俺達が邪魔らしくてな。こいつらをやるからとっとと出て行け!って追い出されたんだ。将軍より強い兵はいらないらしい」
「そうなんですか………」
スラスラと流れ出る嘘に、典韋ちゃんは悲しそうに見つめてきた。下半身が疼いた。
「で、どうする?2人さえ良ければ、俺が2人の兄貴になってやる。なに、すでに1人妹がいるんだ。2人増えようが100人増えようが、大した問題じゃないさ」
「いや、100人は大きいとおもうんですけど」
そんな事はない。美少女100人ならば、俺は命をかけて養ってやる。
「でも、嬉しいです。そう言ってもらえて………ずっと…ずっと2人だったから………っく、ひっく……ふぇええぇぇええん」
「そっか」
泣きじゃくる少女を、俺はそっと抱き締めた。彼女もまた、俺の背に腕を回してしがみついてくる。無垢な少女がオちた瞬間であった。
「それじゃ、新たな仲間も迎えたし、出発しますか。Yesロリータ!」
「Noタッチ、なのだ!」
季衣と流琉を馬の背に乗せ、俺達は出発する。
「今のって掛け声なんですか、兄様?」
「ん?そうだよ」
俺と鈴々の掛け合いに、流琉が問いかけてきた。先ほどと呼称が変わっているのは――――――。
『これからは俺がお前の兄ちゃんだ。兄様と呼べ』
『はい、兄様』
『ゔっ』
――――――とまぁ、こういう訳だ。
「兄ちゃん兄ちゃん、これからどこに行くの?」
「にゃ!おい、春巻き!お兄ちゃんをお兄ちゃんと呼んでいいのは鈴々だけなのだ!」
「お兄ちゃんじゃなくて兄ちゃんだからいいんだもーん」
「なんだとー!」
「やるかー!」
あぁ、至福の時。少しずつ俺の光源氏計画が進行しているのがわかる。妹姫シリーズまで、あと9人か。早く見つからないかな。
「で、これから何処に行くんですか、兄様?」
「そうだな…とりあえずこの辺りは寒いし、南に行ってみよう」
「そうですね。夜は少し寒いですよね」
少しどころじゃないんですけど。まぁ、子どもは体温が高いと言うしな………って、あれ?だったら相対的に体感温度が下がるんじゃないのか?
「どっちにしても………」
「?」
「流琉はいい子だなー」
「きゃっ!?」
俺は隣の上手から流琉を担ぎ上げ、俺の前に乗せて抱き締めた。
「は、恥ずかしいです、兄様……」
「気にしない気にしない」
「あー!流琉ずるいー!」
「そこは鈴々の席なのだ!」
「はいはい。でも喧嘩するような悪い子を乗せる訳にはいかないなー」
「にゃっ!?」
「えぇ!?」
「兄様、暖かいです……」
計画は順調だ。
あとがき
という訳で、また次回。
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つづけて投稿。
どぞ。