No.327333

真・小姫†無双 #2

一郎太さん

続けて投稿。
ついにあのお姉さんたちが登場です。
どぞ。

2011-10-31 20:34:22 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:10161   閲覧ユーザー数:7341

 

 

【CAUTION!】

 

この作品を読むかどうかは自己責任です。

 

気分を害しようと、それは自己責任です。

 

お金がないのも自己責任です。

 

彼女がいないのも自己責任です。

 

それでもいいという方は、文頭に

 

『(´・ω・`)やぁ』

 

と書き込んでからコメントしてください。

 

ではまた後書きにて。

 

 

 

 

 

 

 

#2

 

 

2人連れ立って邑を出た日の夜、俺と鈴々は山の中にある洞窟にいた。

 

「痛い痛いっ!」

「お前らが俺たちの邑を襲った事は分かってんだよ、コラ。謝罪の言葉はないのか?あ?」

 

賊の1人の腕を捻り上げながら俺は尋問する。決して拷問ではない。捕虜への拷問は国際法で禁じられているからな。

 

「そうです!俺たちがやりました、すいませんっしたぁ!」

「よーしいい子だ。ご褒美に───」

「あがっ!?」

「骨を外すだけにしといてやろう」

 

回りを見渡せば死屍累々。だいたい100人くらいってトコか。

 

「お兄ちゃん!見つけたのだー」

 

可愛らしい声と共に、鈴々が奥から駆けてきた。その手にいくらかの食糧を抱えて。

 

「おー、よくやったな鈴々」

「うん!」

「そ、それは俺たちのぶへっ!?」

 

外野は黙ってろ。

 

「とりあえず腹拵えするのだ」

「そうだな」

 

気絶して倒れる男たちに囲まれながら、俺と鈴々は食事を摂った。

 

 

 

 

 

 

「米と大根に、芋とあと………お、干し肉もある。そういえば邑にも山羊がいたな。貰っていこう」

 

翌朝、俺は残った食材を分別していた。保存性の高いものを選び、ズタ袋に詰めていく。鈴々は大食いだが、これくらいあれば次の街まではもつはずだ。もちろんお宝の類も忘れない。後で換金しておこう。

 

「にゃ……おはよーなのだ」

「起きたか。おはよう、鈴々」

 

筵の上で、鈴々が身体を起こし、寝ぼけ眼をこすっていた。かわいい。

 

「あれ?なんで誰もいないの?」

「さぁ?俺達が強いから逃げたんじゃないのか?」

「だらしがない奴らなのだ」

「そうだな」

 

不正解。昨日の夜に鈴々が眠ったあと、1人1人引き摺り出して崖の下に放り投げただけだ。おかげで筋肉痛だよ。腰の痛みなら情事の翌朝だけで十分だってーのに。

 

「それじゃ、朝飯にするか」

「うん!」

 

飯という単語に反応して、鈴々は跳ね起き、そのまま駆け寄って俺の首に腕を回す。至福の一言に尽きる。

 

 

 

 

 

 

邑を発ってから十数日、俺たちは別の邑に到着していた。だが、様子がおかしい。ところどころ家屋は破損し、腕や足に布を巻いて座り込んでいる人間もいる。

 

「どうしたのかな?」

「さぁ」

 

鈴々も異変を感じ取ったのか、首を傾げる。まぁ、賊だろうな。

しばらく歩くと、少し開けた場所に出た。人垣が出来ている。なんだよ、こんな所で実行できないマニフェストでも発表してんのか?

 

「――――――皆さんが立ち上がらないといけないんです!私達も力を貸しますから、一緒に戦いましょう!」

 

どうやら俺の予想は当たっていたらしい。立候補者と思われる女が、選挙権を持つ邑人に演説をしている。ふむ、賊が出たらしいな。で、再び攻め込まれる前に攻めに行くと。専守防衛の国に生まれた俺だが、そういったアグレッシブな意見は嫌いじゃない。

 

「そこの者、少しよろしいか?」

「あ?」

 

ぼうとその光景を眺めていると、横合いから声をかけられた。

 

「旅の者か?」

「いいえ、違います」

「ならば邑の者か」

「いいえ、違います」

「どっちだ!?」

 

おぉ、怖い怖い。いきなりキレるかね。ったく、最近の若者はキレやすいと言うが、まったくその通りかもしれない。俺はその人物を眺める。黒色のスカートに白いシャツと赤紫のネクタイ。足元はブラウンのオーバーニーを履いている。後頭部でまとめられた黒髪は、なかなか綺麗だった。

 

「ボツ」

 

だが駄目だ。俺が反応するのはツルペタ。あるいはそれに準じた胸だ。こいつのはデカ過ぎる。

 

「なんだと!?」

「すみません、間違えました」

「いったいどういうつもりなんだ………」

 

目の前の女は、顔を手で覆った。頭痛でもするのだろうか。

どちらにしろ、早く解放して欲しい。俺に選挙権はないし、こんな面倒そうな邑は早く去って、鈴々ときゃっきゃうふふしたいのだ。

 

 

 

 

 

 

「話を戻すぞ。腰にあるのは剣か」

「杖に見えんのか?」

「~~~~~っ!!………どうだ、我々と共に賊を討伐しないか?」

「お断りします」

 

いきなり何の勧誘だ。と、それまで黙って成り行きを見ていた鈴々が口を開いた。

 

「賊に襲われたの?」

「え?あ、あぁ、そうだ………お主、なかなかの武を持ってるようだな」

 

女の眼がすっと細まった。

 

「へへー、わかる?」

「あぁ、私も一介の武人だからな。どうだ、その武を我々と共に振るわないか?」

 

んだと?コイツ、まさか俺の妹をナンパするつもりか?んな事はさせねーよ。

 

「断る。俺達は急いでるんだ」

「そうなの?」

 

鈴々は黙ってなさい。

 

「という訳で、頑張って賊退治でも鬼退治でも政権交代でもなんでもやってくれ。むしろ政権交代してくれ。俺はあの整形人形の歌手どもが嫌いなんだ」

「いったい何の話をしているんだ………というか、この惨状を目にして黙って出て行くと言うのか?それでも人か?」

「うるせぇ。そっちこそ勝手に人を死地に送ろうとしてんじゃねぇよ。俺はか弱い一般人なの。箸より重いものを持った事がないの」

「その荷物はなんだ!?」

 

面倒くさい女だ。ん?どうした、裾なんか引っ張って。

 

「お兄ちゃん、この人たち困ってるのだ」

「そうだな」

「助けてあげよう?」

「そうだな」

 

紳士(ロリコン)の俺が、上目遣いの鈴々に勝てるはずもない。横で黒髪女がずっこけていたが、とにかくそういう事となった。

 

 

 

 

 

 

「お兄さんも参加してくれるんですか?ありがとうございます!」

 

ぴくっ

 

「はい、どうやら武に関しても実力者のようですし、ここは一部隊を任せるのがよいかと」

「へー、お嬢ちゃんもおっきな武器持ってるし、お兄さんも剣を持ってるし、もしかして修行の旅とかですか?」

 

ぴくぴくっ

 

「にゃははー、鈴々はすんごく強いんだよ。お姉ちゃんこそ弱そうなのだ」

「うっ…そうなんだよ、私ってば全然弱くて………」

「大丈夫です、桃香様!桃香様は私がお守り致します!」

「ありがとー、愛紗ちゃん……あ!申しおくれました!私、劉備玄徳といいます!お兄さんの名前は―――」

「うらぁっ!!」

「ふみゅっ!?」

 

とうとう我慢ならず、俺はその(脳内)桃色女の顔を掴みあげた。

 

「き、貴様、何をしているっ!?」

 

横では部下の女が武器を構えていた。偃月刀だったか?だが、俺は構わず続けた。

 

「うるせぇ!さっきから聞いてりゃ人のことお兄さんお兄さんと連呼しやがって!俺をお兄さんと呼んでいいのは鈴々のようなちっちゃい娘だけだ!」

「いふぁいいふぁいっ!あやまふから、はらしへぇ……」

「わかればいい」

 

俺はその巨乳女を解放する。女は頬を両手で揉んでいた。

 

「じゃ、じゃぁなんて呼べばいいですか?」

「俺は通りすがりのイケメンだ。イケメン野郎と呼んでくれ」

「わかりました、イケメン野郎さん!」

「………」

 

え、ツッコミなし?

 

「くっ……貴方なりのこだわりがあるようだな………我が名は関羽雲長だ。よろしく頼む、イケメン野郎殿」

「………」

 

真面目な顔で返されると、嘘ですなんて言えないじゃないか。

 

 

 

 

 

 

という訳で、絶賛戦の直前です。鈴々と別の部隊になっちまった俺の士気はだだ下がりだ。なんで野郎しかいないんだよ。もっとこう、幼女を集めた部隊とかないのかよぅ。

 

「おにいぃちゃあぁぁん!頑張るのだぁぁああっ!!」

 

遠くから愛する妹の声が風に乗ってやって来た。やっぱさっきの嘘。士気がめっちゃ上がった俺は、背後で武器―――とは言っても農具の寄せ集めだが―――を持つ邑人達に振り返った。

 

「てめーら!気合入れてけよ!俺が先陣を切るから、雑魚のお前らは2人1組で敵に当たれ!1人が防いで1人が殺せばそれで終わりだ!わかったか!!」

「「「「「応っ!!」」」」」

 

俺の檄に、男たちが応える。駄目だ。全然ダメだな。

 

「気合入ってんのか、てめーら!全然聞こえねーぞ!」

「「「「応っ!!」」」」」

「違うっ!返事は『Yesロリータ、Noタッチ』だ!わかったか!」

「「「「「Yesロリータ、Noタッチ!!」」」」」

「上出来だ!それじゃさっさと終わらせて帰るぞ!生きて還ればそれだけで英雄だ!気になるあの娘もきっとお前らに惚れてくれるだろうさ!」

「「「「「Yesロリータ、Noタッチ!!」」」」」

「ただし13歳以下は俺がもらうからな!―――俺に続けぇえええっ!!」

 

俺は誰よりも速く駆け出し、そして賊の中に突入した。

 

   *

 

「あの馬鹿者が!勝手に先走りおって!!」

「ど、どうしますか?」

 

1部隊で敵に突っ込んだ男を遠目に、関羽は歯ぎしりをする。農民の1人がおずおずと声を掛けてきた。

 

「くっ―――こうなっては仕方ない。今はイケメン野郎殿の部隊に賊が引きつけられている。この隙に我らは横撃をかけるぞ!」

「「「「「応っ!」」」」」

 

だが、このまま傍観する訳にもいかない。彼1人ならばよいが、後ろの部隊の同胞も闘っているのだ。関羽は気持ちを切り替え、部隊に指示を出し、駆けだした。

 

   *

 

「お兄ちゃんが勝手に突撃したから、関羽が怒ってたのだ!」

「鈴々か!よく来たな!このまま敵のボスの首を獲るぞ!」

 

斜め後方からやって来た鈴々と合流する。俺のやる気が30上がった。

 

「応なのだ!………ボスって何?」

「ボスってのは首領の事だ。ほら、1人だけ馬に乗ってる奴が見えるだろ?あれがボスだ。行くぞ、鈴々!」

「今度こそ応なのだ!鈴々隊、続けーーっ!」

「「「「「応!」」」」」

「俺達も負けてらんねーぞ!先頭を走る美少女を守れ、このインポ野郎ども!」

「「「「「Yesロリータ、Noタッチ!!」」」」」

 

なんて返事してやがるんだ、こいつら。

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしようかね」

 

当然の事だが、賊の方が数は多い。部隊の奴らには2人1組と命令したが、あれは俺と鈴々と、あとあの生真面目そうな女の働きを計算に入れてだ。俺が50人くらい倒すんだから、あの女も200人くらい倒してもらわないと困る。

 

「鈴々ちゃーん!可愛いカワイイ鈴々ちゃんやーい!」

 

声を掛けるも、周りの怒号で届くはずもない。

 

「てめぇらうるせぇぞ!」

「がっ!?」

 

とりあえず近くで槍を構えていた男の首を刎ねる。鈴々ったら足が速いんだもん。そのくせ――――――

 

「てめぇが指揮官か?」

「なんだよ」

 

――――――目の前には馬に乗った巨漢がいるし。ついてないなー。俺はもっとこう、甘い生活を送りたいんだよ。鈴々と2人きりでもいいが、出来る事なら妹姫みたいに12人は欲しいな。

 

「何をごちゃごちゃ言ってやがる!さっきのガキといい、お前といい、人を舐めた真似ばっかしやがって!」

「美少女をガキなんて呼び方で貶めるんじゃねぇ!――――――あ」

 

やっちゃった。気がつけば、目の前の巨体には首がない。

 

「おー、飛んでる飛んでる………せいっ!」

宙を舞う男の首を、俺は剣の切っ先で受け止めた。

 

「どうしよう、これ?」

 

ま、いっか。

 

「敵将、討ち取ったりぃっ!!」

 

そうだ、あと馬も貰っておこう。

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、やったの?」

「鈴々か、どうだ?食べる?」

 

俺は剣に突き刺さったままの首領の首を鈴々に見せた。

 

「い、いらないのだ!」

「だよな。俺もいらないし………そいやっ!」

 

剣をひと振りすれば、首はすっぽ抜けてどこかへ飛んで行った。と、そこに別の人物が声をかける。

 

「よくやった、イケメン野郎殿!」

「………………」

 

なんかムカつく。

 

「あとは、雑魚の掃討だけだな」

「そうみたいだな」

「どうだ、お前達。この掃討戦が終わったら、正式に我らの仲間にならないか?」

「は?」

 

いきなり何を言う。

 

「いまはまだ義勇軍すら持たない我々だが、この大陸の現状を憂いて立ち上がったのだ。今は一人でも仲間が欲しい。どうだ、一緒に来ないか?」

「そうだな」

「で、では――――――」

 

俺は微笑んだ。

 

 

「断る」

「――――――は?」

 

呆気にとられる女武将を他所に、俺は敵ボスが乗っていた馬に飛び乗り――――――

 

「ぶべっ!?」

 

――――――勢い余って反対側に落ちた。なんだよ、カッコつけさせてくれたっていいだろう。

俺は再び馬に乗る。今度はゆっくりだ。

 

「とりあえずは賊の殲滅が先だろう。俺と鈴々はコイツで逃げた奴らを追うから、お前も部隊を纏めて追ってくれ」

「にゃ?」

 

言うが早いか、俺は鈴々の襟に剣の柄をひっかけ、馬上まで引き上げた。

 

「じゃ、よろしく」

「なっ、ちょ――――――」

 

返事も聞かずに、俺は馬を走らせた。………意外と、ぶっつけ本番でも乗れるもんなんだな。

 

 

 

 

 

 

「粗方片付いたようだな」

「にゃ?もう終わりなの?」

 

後ろに乗った鈴々が、気の抜けた声を上げる。

 

「さて、それじゃぁ行くか」

「あの邑に帰ってお姉ちゃんたちの仲間になるの?」

「いや、なんかそれはいいらしいぞ」

 

誰が巨乳の仲間になんかなるか。

 

「何でもDSの限定カラーの発売に並ばないといけないらしくて、そんな暇はやっぱりないってさ」

「よく分からないけど、分かったのだ」

「素直な子は好きだぞ」

「にゃはは、鈴々もお兄ちゃんは好きなのだ」

 

そう言って、鈴々が背中に頬擦りをしてくる。ヤバイ、鼻血が出てきた。

 

「さて、それじゃぁお宝を見つけに行きますか!」

「お宝があるの!?」

「あぁ、このまままっすぐ進んだ先の洞窟に隠してあるらしいぞ。山賊王に、俺はなる!」

「なるのだ!」

 

賊も馬鹿だ。邑を襲うのにわざわざ方向転換する事もないだろう。どうせ奴らが来た方角に、隠れ家があるのだろうさ。

鈴々を背に、俺は馬を走らせた。

 

………………ケツが痛い。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

というわけで#2。

 

また次回。

 

 

 

 


 
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