No.321148

桔梗√ 全てを射抜く者達 第25射

黒山羊さん

最近不味い酒を飲むのが趣味の黒山羊です。
不味いを知っているが故に、美味しい物が分かると言う理屈からです。
不味い麦焼酎って凄いですね。
なんかね。麦の味じゃないんですよね。
麦ののどかな味ではなく、加工された味がするんですよね。

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2011-10-20 09:23:21 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:4937   閲覧ユーザー数:3549

 

 

桔梗√ 全てを射抜く者達   第25射

 

 

 

 

視点:焔耶

 

なんとか、一騎打ちに勝った私は地面に座り込む。血閻葬の独特の衝撃のせいで、手が痺れている。

一方の司馬懿は鈍砕骨に殴られ、吹き飛び、地面に横たわっている。

気を失っているのか、ピクリとも動かない。

私の勝利を見届けた蒼様の軍の士気は上がる。一方、曹操の軍は司馬懿の敗北に動揺が走る。

正直辛い戦いだった。司馬懿の実力は多分翠と同じぐらいだから、私が勝てたのが奇跡なぐらいだ。

もしあそこで、鈍砕骨の破片が血閻葬に巻き込まれなかったらと思うとゾッとする。

巴郡に戻ったら、もっと鍛錬をしないとな。

 

さて、蒼様と翠だが、いずれも互角。

蒼様の型は無数と言えるほどに有り様々な攻撃を出し、夏候惇は瞬発力でその攻撃を防いでいく。

翠と夏候淵は両方ともに速さと手数、そして持久力で勝負している。

 

そんなところに曹操軍の援軍なのか、誰かが来た。司馬懿を倒したばかりで、こちらの将が3、向こうが2でこちらが優勢だったのだが、向こうの将が5になってしまっては劣勢になってしまったではないか。

だが、今来た将の1人は多少の武は持っているが、武官ではない。そして、2人に護られている。

と言う事はあの女はこの軍の大将、曹操か。

曹操自身が戦わないとしても、向こうの将は4、こちらが劣勢であるのには変わりない。

私は再度鈍砕骨を持ち、構えるが、手が痺れているため、構えが定まらない。仕掛けられたら、不味い。

私がさっき倒した司馬懿に曹操の護衛の朱色の女の子が近づいて行く。

 

「華琳様、陰様が倒れていますよ。」

 

「起きるかしら?」

 

「気絶しているだけみたいなので、今起こしますね。」

 

そういうと曹操の護衛の女の子が司馬懿の頬を打つ。すると、司馬懿は目を覚ました。

目を覚ました司馬懿は血閻葬を殴りだした。

数度殴ると、血閻葬から何かが落ちた。すると、再び、司馬懿の血閻葬が音を立てて、動き出した。

司馬懿は空に向かって『あぁ、神は私を見捨てていなかったのですわね』と叫び、再び血閻葬を構える。

これでこっちの将は3なのに、向こうの将は5。能力値的にも蒼様と夏候惇、翠と夏候淵が互角。

私の鈍砕骨はボロボロ再戦する余力も無い。最悪だ。これでこちらが圧倒的に劣勢になってしまった。

 

「春蘭、秋蘭、陰。退くわよ。」

 

曹操は意外な言葉を吐いた。退く?汜水関にか?

夏候惇と夏候淵は相手と距離を開け、手を止める。

蒼様と翠も構えたまま、それぞれの相手を注視しながら、曹操の方を見ている。

 

「劉備と麗羽の軍が呂布と張遼の軍に押され始めたわ。

関羽と張飛、趙雲の三人同時に、呂布一人を相手しているにも関わらず、押されているわ。

文醜と顔良も、張遼に敗れたおかげで、文醜と顔良という将を失った袁紹軍は壊滅的。

今は私達が馬騰軍相手に押しているけど、このままだと、私の軍は突出した呂布と馬騰の軍に囲まれてしまうわ。劉備や麗羽に合わせて退却するわよ。」

 

そう言うと、殿(しんがり)を夏候惇と夏候淵に任せ、曹操は退却を始めた。

蒼様は一定の距離を保ちながら、曹操の軍を追う。曹操の軍を追うのは呂布の軍との間に隙間を作ると、曹操の軍がそこへ突撃してくる可能性があるかもしれないと蒼様が賈駆殿に言われたかららしい。

 

 

 

 

そんなところに一人の伝令が来た。

伝令の内容は虎牢関から私達が離れ過ぎた為に射撃による援護射撃が出来ないことから、虎牢関に籠っている兵の半分を率いて虎牢関から出て、張遼の軍の援軍に行ったそうだ。こっちの援軍に来ず、張遼の手助けをするのは、一気に袁紹を討ち取って、汜水関を落としてしまおうと言う魂胆らしい。

袁紹軍は数が多いだけで、賊と戦っているのと変わらない為、錬度の高い張遼軍や華雄軍が袁紹軍を倒すのに時間はかからないと言う。

 

虎牢関を守り抜き、汜水関を落とせば、反董卓連合は袋の鼠。挟み撃ちは容易にできる。

更に、汜水関は反董卓連合の食料庫。間諜の話では、董卓軍が置いてきてしまった食料も汜水関に置いてある。だから、汜水関を落とす事が出来たら、反董卓連合を兵糧攻めすることも出来る。

 

作戦を変更した理由は思った以上に袁紹軍が弱かった為らしい。

袁紹軍の罠ではないのかと、蒼様が伝令に聞くと、伝令は袁紹軍将の力量からあり得ないと賈駆殿が言っていたと蒼様に言う。その言葉に蒼様は納得する。蒼様は昔洛陽で袁紹とその将に有った事があるらしい。

たぶん、そのことを思い出して、納得したのだろう。

 

つまり、賈駆殿の命令で私や蒼様がしなければならない事は、虎牢関を守り抜く事。

具体的には、私達は現在位置に停止する。

一方の呂布の軍は張遼軍と華雄軍に続く形で右翼に移動しながら、汜水関へと進む。

呂布の軍が前進し続けると、蒼様の軍との間に隙間が生じる。

その隙間が生じたら、軍を横に展開し、反董卓連合が虎牢関へ行く道を封鎖する。

曹操の軍が呂布の軍の背後を突こうとしても、無視で良いらしい。むしろ入った方が挟み撃ちの構図が出来ると言う。万が一、呂布の軍が危険な状態に見えたら、加勢するようにとも言われた。

呂布には一応、軍の側面や背後に防御の姿勢を取るように賈駆は伝令を送ったらしい。

 

蒼様はその伝令を聞くと、馬騰軍全軍に停止命令を出した。

一方の曹操軍の方にも伝令が行ったらしく、張遼軍と華雄軍の猛攻が激しいため、袁紹の軍を加勢するようにと袁紹から言われたのか、それとも、袋のねずみになる前に退却するようにと曹操の軍師が進言したのか、退却の速度を上げて行った。後者だとすれば、曹操軍の軍師もかなりの頭の切れる策士だな。

 

将が豊富な曹操の軍は中央に居る劉備軍に邪魔をされて、袁紹軍の加勢が出来ず、退却。

劉備軍も呂布だけで押されていたのに、そこに張遼、華雄が入りこんできたため、劣勢と判断し、退却。

その他の諸侯は董卓軍に押され始めた頃から、早々と退却。

袁紹軍は総大将としての意地が有ったのか、最後まで抵抗したが、かなりの兵が董卓軍の錬度の高さに恐れを成して、逃走。そのため、袁紹とその将文醜と顔良は容易に捕縛されたらしい。

 

こうして、大量の兵と総大将を失った反董卓連合は汜水関を放棄して退却。

汜水関に呂布と張遼、華雄の牙門旗があげられ、この戦いは終わりを告げた。

 

私達はその様子を見届けると、虎牢関へと退却し出す。

虎牢関に戻ると、董卓様が私達の方へと走ってきた。そして、私達の前に来ると言った。

 

「魏延さん、蒼さん、大変です!御遣い様が目を覚ました!」

 

「本当か!月ちゃん。一刀は今何処に居るんだ?」

 

「昨晩御遣い様が寝ていた部屋に居ます。………でも様子がおかしいんです。」

 

「本当か!?分かった!

おい、焔耶。先に一刀の所へ行け!俺は部隊の後処理が終わったら、行く。」

 

「すみません。蒼様。」

 

 

 

 

私は虎牢関の階段を走って登る。

司馬懿との一騎打ちの後で、疲れているので、休みたいが、それ以上に一刀が心配だ。

階段を登り切り、廊下を走る。人が居ないのか、かなり静かだ。

私はある部屋の扉の間に立つと、勢いよく扉を開ける。

 

「一刀!」

 

寝台の上には一刀が頭を抱え、顔を歪めながら、座っている。

私の声が届いたのか、こちらをソッと一刀が見て来る。そして、頭を抱えながら、小声で呟く。

何とも弱々しい。こんな弱っている一刀を見るのは初めてだ。

 

「焔耶、おはよう。」

 

「一刀、大丈夫なのか?

あれから一日は経ったよな。どうして苦しそうなんだ?薬の効果は切れたんだよな?」

 

「あぁ……。あの時、『この薬には依存症がある』って言ったのを覚えているか?焔耶?

薬の効果が切れると、悶絶するような副作用が有って、今それで凄い気持ち悪いんだ。

一応軍用とはいえ、認証された薬だから、麻薬なんかと比べたら、全然マシなんだろうけど、吐き気に目眩、立ちくらみ、頭痛、息するのが苦しいんだ。それに、薬を服用したいって誘惑もあるんだ。

確かに、あの薬を服用すれば、苦しくなくなるんだけど、そうもいかないだろう。

今は装備一式を月様に預けているよ。

後、もう1日すれば、落ち着くって、薬の説明書に書いてあるから、…心配させて、ごめん。」

 

「要するに、後1日で落ち着くんだよな?治るんだよな?」

 

「あぁ。」

 

「………よかった。」

 

私は一刀に抱きつく。耳元で『痛い!痛い!傷口に響く!』と言っているが、私を心配させた罰だ。

黙って、悲鳴をあげていろ!

 

良かった。一刀が元気になった。一時期は本当にどうなるかと思った。

薬を飲んだときなんか、難しい話だったけど、一刀の心が危ないと言うのは分かっていたつもりだ。

だから、あの時は気が気ではなかった。元気な一刀を見たら、また泣きたくなってきた。

そんな私の頭を一刀は撫でながら、微笑んでいる。

 

「ごめんな。焔耶。心配かけて。」

 

「全くだ。一刀の馬鹿野郎。次心配かけたら、鈍砕骨で殴るからな!」

 

「………分かったよ。」

 

それから少しの間に一刀に頭を撫でてもらった。

落ち着いてから気が付いたのだが、私の後ろに翠と蒼様が居た。どうやら、一刀にも翠と蒼様の視線に気づいたようだ。蒼様が一刀に近づいてくる。そして………

 

 

 

 

「一刀の馬鹿!」

 

涙腺決壊寸前の蒼様が一刀に張り手をした。

 

「俺はお前の事が好きだから、ものすごく心配したんだぞ!馬鹿!」

 

そういうと蒼様は泣きながら、一刀に抱きつき、左肩に顔を押し付ける。

傷口に衝撃を加えられた一刀は声にならない悲鳴をあげている。私は一刀が気の毒とは思わなかった。

やっぱり、これは一刀の自業自得だからだ。だが、さすがに一刀が痙攣を始めた時は危ないと思い、蒼様を止める。そして、しばらくの間、一刀は両手に花の状態で私と蒼様を抱きしめてくれた。

そして、その様子を翠は後ろから見られている事に気が付いたのには少し経ってからだ。

 

「どうしたの?馬超さん?」

 

「何でもないぞ!べべ別に!頭を撫でられている焔耶と母様が羨ましいなんて思っていないからな!」

 

翠は慌てて叫びながら、何かを否定をする。一刀は頭を捻りながら、そんな翠を見ている。

相変わらず、一刀は朴念仁のようだ。だから、私の気持ちにも気付かない。それが一刀の良い所でもあるような気がするのだが、度が過ぎているので、時々殴ってやりたくなる時がある。

 

深呼吸をした翠が一刀に話してきた。その目には何か覚悟を宿している。

 

「なあ、北郷。」

 

「何かな?馬超さん?」

 

「お前が薬を飲んでおかしくなったのは聞いた。

確かに北郷の友人の一人として、怒りたくなるけど、兵士としての志の高い北郷をあたしは尊敬している。

だから、そのこれからはあたしの事………翠って呼んでくれたら、うれしいかも//////」

 

「え?」

 

「あのな!男に真名を預けるのは初めてだが、そんなんじゃないんだからな!勘違いするなよな!」

 

「はぁ……。では、俺の事は一刀って呼んで下さい。翠さん。」

 

「………ふ//////」

 

「ふ??」

 

「ふにゃぁぁぁぁぁぁ//////!!」

 

顔を夕陽の太陽のように赤くした翠はそう叫ぶとどこかに走っていってしまった。

 

「なあ?焔耶?蒼様?馬超さんはいったいどうしたのでしょうか?」

 

馬超さんって呼ばれているぞ、…翠。

一刀も何か高速で瞬きしているし、なんか妙な気の使い方をしているぞ。腫れモノ扱いをするような感じと言えば良いのだろうか。翠もあの照れると『ふにゃぁ!』と叫ぶ癖治した方が良いぞ。

一刀って変に優しいから、翠が痛い子だって思われるぞ。

 

そんな翠と一刀を見て私と蒼様は笑う。一刀は相変わらず、頭をかしげている。

その後、私達は夕食となった。一刀の右足は怪我で満足に動かないので、その部屋で晩飯となった。

 

 

 

 

視点:一刀

 

昨日、真名で呼んだら、馬超さんが走って何処か行ってしまった。

え?何故今、真名で呼ばないかって?たぶん、今馬超さんは変なモノ食べて情緒不安定なんだ。

そんな時に真名で呼んだら、殺されそうだ。馬超さんが落ち着いている時は真名で呼ぶ。

そんな癖を付けておかないと俺の命が百あっても足りるかどうか?

そんなことを考えていると、蒼様の軍の兵士の声が部屋の外から聞こえて来る。

 

「馬騰様!魏延様!御遣い様!華雄隊、呂布隊、張遼隊が虎牢関に帰ってきました!

董卓様が全軍に言う事があるそうなので、虎牢関の城壁に来ていただけませんか?」

 

おそらく、終戦の言葉を月様が言うのだろう。俺達は虎牢関の城壁に向かう事になった。

だが、俺は先日夏候淵の矢を受けた右太ももの所為で、体重が掛かると、激痛が走り、歩行困難だ。

部屋にあった槍を持って行こうとしたら、蒼様に『椅子に座れ』と言われた。

俺は訳も分からず、とりあえず椅子に座る。すると、蒼様が俺の近くに来て、背中と脚に腕を回してきた。

そして、俺は蒼様に持ち上げられた。そう、いわゆるお姫様だっこだ。

 

「蒼様!これは恥ずかしいので、止めて下さい//////」

 

「駄目だ。けが人は黙って抱っこされていろ。」

 

蒼様は頬を染めて、チラチラと俺を見て来る。

これは歩行困難な俺を心配しているのではなく、色仕掛けだ。

しかも、俺の左腕の上に胸乗せて来るし!煩悩退散!煩悩退散!!俺には桔梗さんが居るんだ!

ちょ!焔耶!そんな鯉みたいに口をパクパクしていないで、俺を助けてくれ!頼むから!

 

「一刀のスケベ!」

 

そう言って、焔耶は部屋から出ていってしまった。

あれ?俺何もしていないよな?何で?俺がスケベ呼ばわりされるの?おかしくない?

 

俺は唖然とするが、正気に戻り、蒼様の腕から逃れようと、必死の抵抗を試みるが、右足と左腕が上手く動かないし、下手に動けば、蒼様の胸の感触が伝わって来て、更に意識してしまう。

俺は黙って、目を瞑り、心の中で呟き続ける。

俺には桔梗さんという心に決めた人が居るんだ。桔梗様以外の人にこんなことをされて反応する訳にはいかない。これはお姫様だっこされているのではなく、運搬されているだけ。断じてこれはお姫様だっこではない。客観的に見れば、そうかもしれないが、違う。言葉を言い表す事は困難だが、とりあえず、違う。

論理的に説明しろとかいう学者チックな質問は却下だ。俺は売られる子牛。

 

ドナドナドナードーナーー。北郷乗せてーー。

ドナドナドナードーナーー。城壁―登るーー。

 

こうして、俺は城壁の上の手前まで来た。

蒼様は皆に見られるのは恥ずかしいと言ってきたので、降ろしてもらえた。

そんなに恥ずかしいなら、最初っからしなければいいのに。

桔梗さん、何とか蒼様の色仕掛けを耐えきりましたよ。帰ったら俺を褒めてくれますか?

でも、こんなことを言っても、桔梗様は俺をからかわれるだけなんだろうな。

うーん、桔梗さんとの距離を詰めるにはどうしたら、良いのだろう?まあ、それは後で考えよう。

 

月様が虎牢関の一番高い所に立つ。

これでこの戦いも終わりか。

 

 

 

 

「今日まで生き残った兵士の皆さん聞いて下さい。

私達は反董卓連合との戦いに勝ちました。ですが、戦いは、これで終わりません。

今や漢王朝は国としての機能を失い、民たちが苦しんでいるからです。

それを見た私は漢王朝の都である洛陽を変えて、それを大陸中に広げ、平和にしようと思いました。

そして、私が暴君であるという風評を受け、洛陽を救いたいと言う志を持った人達と戦いました。

私が彼らと戦った理由は、彼らが暴力と言う間違った手法でその理想を達成しようとしたからです。

暴力で自分の理想を叶えては、弱い者が虐げられ、間違っている世の中になってしまいます。

その例として上げられるのが皇帝と言う絶対的支配者が存在する漢王朝です。

権力と言う力を持った一部の人達が誤った力の行使をした為に、民達は重税に苦しんでいます。

私はそんな誤った世の中にしたくない。間違っているのなら、間違っていると言える、時間はかかりますが、力ではなく、話し合いによって、間違いを正したいです。

今回の戦いのように、話し合いではなく、暴力でいきなり私達が虐げられそうになることもあります。

だから、これからも、私は軍を持ち、民の意思を護る為に戦います。

私は力による天下統一ではなく、話し合いによる天下統一を実現したいです。

一人の支配者による壊れやすい国より、複数の様々な人の意思が反映される国を作り、この大陸の全ての人が他者の意思を尊重し、自分を信じることができる世の中にしたいです。

全ての人の意思を護るために、皆さんの力を貸して下さい。お願いします。」

 

月様は虎牢関の上で董卓軍と馬騰軍の兵士に言った。

董卓軍の兵士は『董卓様!万歳!董卓様!万歳!』と叫んでいる。

蒼様が『月ちゃん万歳!』と言い始めたことによって、馬騰軍の兵士達も『董卓様!万歳!董卓様!万歳!』と叫んでいる。こうして、月様の演説は終わった。

 

俺は驚いた。『話し合いによる天下統一』という言葉にだ。

現代人になじみ深い言葉で言うなら、月様はこの時代で帝国主義を否定し、国家連合を肯定した。

そして、見方によっては、自衛権以外の交戦権の放棄を宣言したとも見える。

そりゃ、驚くだろう。だが、月様の性格を考えるなら、当然か。さすがという他にない。

俺の世界の董卓とは雲泥の差だな。見たこと無いけど。

月様は城壁から降りてきて、蒼様の前に立つと頬笑みながら、言う。

 

「蒼さん、次お願いします。」

 

「えぇ?俺!?マジで!?」

 

「援軍の大将としてお願いします。駄目……ですか?」

 

「分かった分かった。じゃあ、代理で一刀お願い。俺はお腹が痛いから無理と言う事にしておいて。」

 

「ちょっと、待って下さい!承諾しながら、何代理立てるんですか?

しかも、お腹が痛いと言う事にしておいてって痛くないんでしょ!?」

 

「じゃあ、一刀が教えてくれたジャンケンをしよう。俺が勝ったら、一刀が演説をする。

で、一刀が勝ったら、一刀が演説をするで良いよな?」

 

「良くないです!何ですか?そのルール設定?どっち道俺が演説するの決定じゃないですか?」

 

「仕方ないな。俺の代わりに演説してくれたら、桔梗の好きな馬乳酒を上げ――。」

 

俺は蒼様の言葉を最後まで聞かずに虎牢関の城壁に登る。

桔梗様の為なら、仕方ない。

 

 

 

 

こんな大勢の前で何か言うのか、少しばかり緊張する。

俺は大きく息を吸って、その緊張を和らげるように努める。

言う事を考える。戦いに勝利し、これからも、平穏の為に戦い続ける。そして団結力を高める事を言わなければならないか………言う事は決まった。

俺は右手を自分の前で強く握り、そして、その右拳を左肩の方に持って行き、大きく右になぎ払うように振る。

 

「感じるか!歓喜を!!

明日を掴み取った歓喜を!友と!家族との再会の歓喜を!!

蒼き空を見られる歓喜を!花の香りを嗅げる歓喜を!食べ物を味わえる歓喜を!人のぬくもりを感じる事が出来る歓喜を!人の声が聞ける歓喜を!勝利の歓喜を!生の歓喜を!今この瞬間に歓喜しろ!

そして、誇って良い!

救国の意思を持ち、暴力による平和を謳う侵略者から洛陽を救い、力ではなく言葉で天下統一を目指す一人一人がこの国の真の………」

 

 

 

 

「愛国者達だ!」

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

如何だったでしょうか?これで反董卓連合編は終了です。

月ちゃんの演説はがMETAL GEAR SOLID3のザ・ボスの遺志を自分なりに解釈し、書きました。

一刀の演説もザ・ボスの元のコードネームであるザ・ジョイの名前から考えました。

MGS3を知らない人は困りますよね。ごめんなさい。

知りたい人はぜひMGSシリーズをプレイして下さい。プレイ動画鑑賞でも構わないですが、プレイすることをお勧めします。マジで面白いので。

MGS4の最後のバトルとかマジ燃えます!オッサン同士の殴り合いですけどねww

 

では、いつものでしめましょうか。

それでは御唱和下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


 
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