桔梗√ 全てを射抜く者達 第24射
視点:蒼
「母様、起きろ。」
俺は翠に起こされた。ここは、俺の天幕か。
そういえば、一刀の看病をしていたら、焔耶が寝て、俺が看病していたら、そこに翠と蒲公英が来たから、二人とも一刀のこと気になっているみたいだし、そこまで疲れてなさそうだったし、焔耶と交代しようと思えばできる状態だったので、二人に看病を代わってやったのだったな。
そんで、眠いから、俺は自分の天幕へ行ったんだっけ?そうだ!そうだったな。
「んだよ、こんな朝早くからなんだよ?」
「反董卓連合だ。反董卓連合が虎牢関に攻めてきた。もう、3里先まで来てる。」
ああ、さっそく攻めてきたか。
確か、昨日蒲公英から聞いた話では、俺や翠は張遼や呂布達と一緒に虎牢関を出て、反董卓連合を討って出ることになっているんだったな。華雄と賈駆は虎牢関城壁から射撃で援護。蒲公英はその他雑用だ。
俺は三叉戟を持って立ち上がる。一つ気になる事があったので、それを翠に聞いてみた。
「なあ、そう言えば、焔耶はどうすることになってたっけ?」
「焔耶は看病もあるし、好きなようにさせようと軍議では決定したけど、一緒に出るって言ってた。
『北郷を看病するにしても、安心して一刀が寝れる場所がないとな』だってさ。」
「確かに焔耶の言う通りだ。俺らも反董卓連合を叩きつぶして、一刀の看病に専念するぞ。」
外に出る。外には俺が率いる馬騰軍が整列していた。先頭には蒲公英が居た。
同じように月ちゃんの軍も整列していた。俺の軍も月ちゃんの軍も虎牢関の城壁の上を見ていた。
城壁の上には月ちゃんと詠が居た。月ちゃんと目が合う。どうやら、俺待ちだったみたいだ。
俺は急いで、城壁の上に行く。
「オッス!月ちゃん、賈駆!」
「おはようございます。蒼さん。」
「戦う前に整列って開戦前の言葉でも言うのか?」
「はい。この戦いも終盤で、今日の戦いは特に大事な所です。
ですが、御遣い様が負傷したという噂が軍内部に流れているため、兵達は不安になり、士気が下がっています。だから、いっそのこと本当の事を話したら、不安は無くなり士気が下がらなくなります。」
「逆に天の御遣いが居ないんじゃ。この戦勝てるのか?って不安にならないか?」
「大丈夫よ。昨日の軍議の時にどうしようか、悩んだんだけど、アンタの所の姪が『馬騰軍の士気が下がる事は無い。むしろ、御遣い様に昔西涼を助けてくれた礼を返す為に戦うと言って士気が上がる』と言っていたから、少しアンタの所の軍の兵何人か捕まえて御遣いの事言ってみたわ。
すると、その兵は士気が上がるような言動をしていたから、御使いの事を暴露することにしたわ。
月の軍の士気が下がっても、アンタの軍の士気が上がるんだから、問題無いわよ。
月の軍も籠城戦で燻っているから、皆暴れたがっているわよ。」
賈駆は月ちゃんの補足説明をする。
ま、確かにそうだな。俺ん所の奴は黄巾党と五胡との戦の事で皆一刀に感謝している。
だから、一刀の為に何かしたいって奴は居るのは当然だ。俺の軍は士気が凄く上がった。
勝つ事が全てだと言う一刀に俺の軍の兵は敬意を表しているようだ。
「んじゃ、軽く、反董卓連合を叩きつぶすか!」
俺は韓遂に乗りながら、両拳をぶつける。
俺も兵達同様に気持ちが高ぶっている。この戦いで勝てば、元気な一刀に再会出来ると信じている。
隣に居る焔耶も高ぶっている。俺と同じく一刀の為に戦っている。
張遼は俺達と違う理由で高ぶっている。
彼女も一刀や俺達と同類で、戦いの中で何かを見つけ、それを求める為に戦う者。そんな面をしていた。
呂布は相変わらず、読めない。ボーっとしながらも何か孤高を見ていた。
そして、虎牢関の扉が開いた。
俺達は一気に外へと出る。配置は中央が呂布。右翼が張遼で、左翼が俺達だ。
一方敵である反董卓連合の配置は中央が劉備。右翼が曹操。左翼が袁紹軍だ。左翼が袁紹軍と入ったが、袁紹本人は後ろの方を陣取っているようで、前線で袁紹軍を指揮するのは文醜と顔良だな。
虎牢関に籠っている華雄が一刀の双眼鏡を使って見た情報では、両側の崖に敵軍は無いとの事だ。
つまり、横から矢が飛んでくる事は無いと言う事だ。
要するにこの戦、真っ正面からのガチンコ勝負って訳だな。
そういうの好きやぞ。俺は。戦いってのは喧嘩のようにガチンコじゃねーと華ってのがねー。
反董卓連合の総大将は戦ってのを心得ているな。
「で、敵ってのが、曹操っていう金髪まきまきのお嬢ちゃんだったな。」
「はい。蒼様。その曹操の……。」
「一刀に矢創を負わしたのが曹操の軍の将。油断するとやられるって言いてぇーんだろ?
分かっている。こっから先は戦と言う名の喧嘩だ。油断するはず無いだろう。
焔耶、翠。テメェーらこそ油断するんじゃねぇ―ぞ。
銅鑼を2回鳴らせ!んで、20数えたら、もう2回鳴らせ」
俺の軍は銅鑼の音を聞いて、進み始める。
曹操軍は迫りくる俺達を見て、最前列の兵は槍を構えた。そして、2度目の銅鑼が鳴る。
俺達は急停止し、矢を一斉に曹操軍に向かって放つ。流鏑馬で鍛えていた為、馬上からの射撃は余裕だ。
何故、こんな事をしたかって?簡単だ。
馬での突進は槍による迎撃に弱い。槍による迎撃は遠くからの射撃に弱い。
だから、相手に突進と見せかけて、敵に迎撃の準備をさせる。普通なら、突進してくる敵を見れば、迎撃体勢をとる。そして、敵が迎撃の準備が出来たと同時に急停止し、射撃をする。
射撃は迎撃に強い。だから、相手にかなりの損害を与える事が出来るって寸法だ。
で、だいたい20秒ってのが武器をもちかえるのに要する時間らしい。
更に、20秒近く走っても相手から離れているが、相手から突進だと誤認させることのできる敵に近い場所が俺達の最初の銅鑼を鳴らした所だ。
って賈駆が言ってた。やっぱー軍師ってすげーな。
で、曹操軍もこんなところであっさり敗北とはいかない。
すぐに軍の体勢を立て直し、歩兵による突撃を始めた。厄介な事に槍を最前列に大量に配置している。
これでは、串刺しになってしまうため、馬による突進が出来ない。
だが、槍を構えた前線に穴が開いて、そこに騎馬隊が一気に雪崩れ込んだら、こっちの勝ちだ。
俺は韓遂の上に立ち、そこから跳躍し、敵軍へと飛び込む。
曹操の軍の最前線の兵達は跳んで来る俺に向かって槍を向けるが、俺は三叉戟でその槍をなぎ払う。
そして、槍を持った兵士を倒して行こうとすると、俺の三叉戟が止められた。
「貴様が西涼の馬騰か。」
「お前、名前は?」
「私は夏候惇。曹孟徳様が一の家臣だ!」
なるほど。焔耶が言っていた一刀の狙撃を真っ正面から受けて生還した夏候惇がコイツか。
焔耶が夏候惇の武器は折れたと言っていたが、普通の獲物だ。多分。代わりの剣を使っているのだろう。
俺と夏候惇が一騎打ちすることを見抜いてか。周りの兵達は巻き込まれないようにと俺達から離れて行く。
確か、賈駆の話では短気で、すぐ頭に血が上り、突進する猪武者だったな。
俺は夏候惇を挑発する。
「片目はどうした?落としたか?」
「貴様らの所の天の御遣いに射抜かれたわ。崖の上からコソコソと恥を知れ!」
「俺に言われても困る。俺は天の御使いじゃないんだから。」
「なるほど。それもそうだ。」
「姉者。乗せられているぞ。」
そう言って、現れたのは夏候惇と雰囲気の似ている女だった。
青い服に、白髪、弓。焔耶が言っていた一刀に矢創を負わせた奴だ。名前は確か……
「アンタ、夏候淵か?」
「その通りだが、如何した。馬騰殿?」
「俺の旦那に怪我させたのがアンタだな。」
「いやいや。北郷は母様の旦那じゃないから。」
そう言って、後ろから現れたのは翠。
ったく、ツッコミ入れるなよな。こうやって、敵に一刀が俺の旦那だと言う情報を流せば、気が付いたら、皆が俺の旦那は一刀だって認めてくれて、一刀が引けなくなって俺を娶ってくれたかもしれないのに。
翠め。余計な事を………。
「んで、翠はなんでこんなところに居るんだ?」
「ずっと最初から、あたしは此処に居たぞ。」
「そういえば、そうだったな。
で、翠。俺一人じゃ、夏候惇の嬢ちゃんと夏候淵の嬢ちゃんの二人を同時に相手するのは大変そうだから、夏候淵の譲ちゃんの方頼んでいいか?」
「いいぜ。あたしも一般兵じゃ物足りないと思っていたところだったんだ。」
「そりゃあ、良かった。
と言う訳で、俺の相手をしてくれるか。盲夏候。」
「貴様!その名で呼ぶな!」
「おうおう、やべーな。気を抜いたら、一瞬であの世だな。
さすが、大陸ってのは広いな。俺の知らない所にこんな猛者がいるんだからよ。」
「ふん。ならば、さっさとくたばれ!」
夏候惇の猛攻は続く。俺はその猛攻の衝撃を三叉戟の撓りで上手い事逃がす。
夏候惇は直線的だ。ようするに捻りが無い。ただ、防ぐだけで居れば良い。
そう言ってしまえば、弱い様に聞こえるかもしれない為、一つ言っておこう。
一撃が強すぎて、一撃一撃との間の間隔が短く、無駄が無い。こちらが攻撃に転じる事が難しい。
だが、此処で攻める方法を考える事が出来ない奴は三流だ。
俺はそう簡単に諦めてくたばるつもりは無い。好機を探っている。
そして、夏候惇は右下からの切り上げをしてきた。
俺はその切り上げを防ぐのではなく、半歩下がり、ギリギリのところで避けたが、ギリギリ過ぎた為、スカートの一部が夏候惇の剣によって破かれてしまった。
俺はその瞬間、夏候惇の死角である左目の方から、三叉戟の柄で殴ろうとする。
その攻撃を夏候惇は剣で止めた。夏候惇は俺に向かってニヤリと笑う。
オイオイ、マジかよ。あそこから俺の攻撃を止めますか。
だが、ここまでは想定の範囲内。
夏候惇が俺の三叉戟を止めた瞬間、俺は三叉戟から手を放し、夏候惇の懐へ入り、夏候惇の鳩尾に向かって正拳突きを放った。夏候惇は俺の正拳突きの衝撃で後ろへと押され、砂埃が舞う。
「んしゃー!これでどうじゃ!」
俺は地面に刺さった三叉戟を左手で抜き、右拳に力を入れながら、そう叫んだ。
一般兵なら、ろっ骨が折れて卒倒する。下手をすれば、その折れた肋骨が内臓に刺さって血を吐いて死ぬ。
若しくは、鳩尾に衝撃が加わったことにより、上手く呼吸が出来なくなり、倒れる。
だが、夏候惇は苦痛で少し顔を歪めただけで、すぐに俺に斬りかかってきた。
俺は咄嗟に三叉戟でその攻撃を防ぐ。そして、剣と槍の押し合い…力比べとなった。
「おいおい。あれを耐えるとはアンタやるな。」
「耐えたのではない。
貴様の拳打が私に当たる直前に私は体を捻り、鳩尾の命中をギリギリで回避したのだ!
だが、右胸には当ったぞ。良い拳だ。1,2本折れているかヒビが入っているみたいだ。」
マジかよ。絶対に入ったと思ったあの正拳突きの命中を少しずらして致命傷じゃなかったと。
力比べは夏候惇が負傷しているためか、俺の方にほんの少しばかり部がある。
だが、ほぼ五分五分の状態であるのは夏候惇が痛みを無視して力比べしているからだろう。
力比べで、夏候惇の剣を弾いたとしても、すぐに体勢を立て直してくるだろう。
そしたら、完全に剣の間合いだ。体勢を立て直す前に、俺がバッサリ斬られてしまうだろう。
だから、力比べで勝つのは不味い。
「だったら!」
俺はさきほど、正拳突きを当てた所に蹴りを入れた。俺と夏候惇は一気に離れた。
夏候惇はさすがに激痛を感じたのか。少し、よろめき、咳きこんでいる。
ってか、俺の蹴りを負傷箇所に喰らっても、その程度かよ。
夏候惇は咳が終わると、再び斬りかかってきた。それから、延々と打ち合いが続く。
夏候惇が負傷している為、攻防の入れ替わりが激しい。
視点:翠
苦戦。そう、認めたくないけど、あたしは夏候淵を相手に苦戦している。
だが、相手もそれは同じ。つまり、あたしと夏候淵の実力は五分五分。
走りながら矢を放っている事もあって夏候淵の射撃は紫苑に比べて正確性に欠けている。
だが、紫苑より速く矢を放つ。更に弓が簡素な作りの為か、持って走りやすく、移動や体術に向いている。
つまり、夏候淵の身軽さに軽い弓が合っていて、普通の弓兵にはない、素早い動きを実現している。
一方のあたしは十文字槍の銀閃を使っている。
十文字槍の特徴は前、左右に刃が有り、偃月刀に比べて攻撃の種類が多い。
要するに手数で勝負する。手数を増やすには速さが無ければならない。
つまり、あたしの武の長所は速い事だ。
ここまで、説明すれば、分かるだろう?
あたしと夏候淵は手数と速さが取り柄、手数で相手を崩し、隙をついて倒す。
だから、相手が自分と同じぐらい速いと苦戦するって訳だ。
あぁ、クソ!相手が速いとこんなに苦労するのかよ!
「アンタ、いい加減当たれよ!」
「それはこっちの台詞だ。馬超!」
夏候淵が素早く矢を放ちながら、あたしとの距離を広げようとする。
一方のあたしは夏候淵の放った矢を避け、銀閃で弾きながら、距離を詰めようとする。
夏候淵は後退と左右の移動を繰り返し、あたしは前進する。幾ら速いとはいえ、前身の方が早いのは当たり前。だが、距離を詰める事が出来ないのは、とにかく夏候淵の攻撃は早く、そして正確でないからだ。
攻撃が正確でないため、防ぐ方は相手の視線からではなく、矢の向きと速さ、弾道から当る場所を正確に防御する必要がある。もし、これを意図的に行っているのだとすれば、かなりの使い手だな。
結構な時間こうやって、夏候淵の射撃を防ぎかわし続けている。
もう、防いだ矢の数は二百を超えた気がする。
そのため、地面とあたし達や夏候淵の軍の最前線の盾には大量の矢が刺さっている。
足の踏み場が無く、歩きにくいため、夏候淵との距離が詰め悪く、体力を使ってしまう。
このまま、夏候淵を追い続けていたら、先にあたしの体力が切れて、矢の雨を喰らう事になりそうだ。
あたしは立ち止まる。それと同時に夏候淵の攻撃も止む。
「もう、終わりか?馬超?」
「いや、歩きにくいから、止まって、アンタの矢を全部叩き落とす事にしたのさ。
あたしはアンタの矢が無くなるか、アンタが疲れるまで、矢を叩き落とし続けたら良い。
アンタはあたしが疲れるまで、射撃し続けたら良い。雌雄を決するならこれぐらい簡単な方が良いだろう?」
「要するに持久力のもっている方の勝ちと言う訳だな。私は良いぞ。
しかし、私の矢は後三百あるぞ。馬超殿は大丈夫か?」
「上等!」
あたしはそう叫んで銀閃を再び構え、夏候淵は弓を構えた。
視点:焔耶
蒼様と翠の曹操の軍の将との一騎打ちを見ていた。さすが、二人とも強い。
私では二人のような戦いは出来ない。もっと私も強くならなければな。そんな事を考えている時だった。
「そこの貴方。馬騰軍の将ですか?」
曹操の軍から一人の女が現れた。
白と黒と紫の特徴的な服装をしている。胸には髑髏の刺繍が施されていた。
私は不思議な格好をしたその女の声に答える。
「私は益州の厳顔の将。魏延だ!それがどうかしたか?」
「そうですか。では、曹操様の臣下に成りませんか?」
「はぁ!?」
私は思わず、変な声を出してしまった。
だってそうだろう。戦場でいきなり、敵に『臣下に成りませんか?』っておかしくないか?
その女の言葉は続く。私は混乱し、どうしたらいいのか分からず、その女の言葉を聞いてみた。
「華琳様はいずれ、この大陸を統べる覇王となります。なぜなら、そう!華琳様は神様だからです。
華琳様は前世でこの世の全てを御創りになられました。そして、荒廃しきったこの世を統べ、平和な世にする為に降臨なされた神様なのです!共に、神の覇業を支え、平和な世を目指しましょう!
信じる者は救われる!そう!華琳様を神だと信じる者は救われるのです!あぁ!華琳様!華琳様!!」
…………コイツ、頭おかしいんだよな?そうだよな?
えぇっと、神様がこの大陸に人間として降臨して、世界を治めるって事だよな?要約すると。
よかった。蒲公英に脳筋脳筋って馬鹿にされ続けてきたけど、自分より明らかに頭のおかしい人が居た。
脳筋脳筋って言われるの、結構気にしてたんだ。
勉強しても、杏里にからかわれるし、私って世界で一番頭が悪いのかって思っていたんだ。
だが、それは否定されたみたいだ。良かった良かった。下には下が居るんだな。
「………というわけで、天の御遣いを倒して、華琳様と共に乱世を沈めましょう!」
「一刀を倒すだって!?」
「えぇ、華琳様は神!故に天の御遣いは民を誑かす悪神の化身!管路の占いは全くの虚言!
あの男が華琳様に降らない限り、あの男は悪の権化です。共に、あの悪神の化身を倒しましょう。」
「ふざけるな!一刀が悪神の化身だって!
アイツは自分が戦闘狂である事を悩んでいるんだぞ!そんな奴が悪神なはずないだろう!」
「…………そうですか。貴方は悪神に染められているのですね。
この私、司馬懿が貴方を悪神の洗脳から解放してあげましょう。
華琳様がこの世に降臨した時に天界から持って来た断罪剣、李典作
司馬懿と名乗った女はそう言って、変わった形の剣を取りだした。
そして、その剣は聞いた事も無い音を発している。
って、ちょっと待て!李典作?もしかして、真桜の事か?アイツあんな物まで発明していたのかよ!
「貴方は死ぬわ!私が殺すもの!」
襲いかかって来る司馬懿を迎え撃つ為に、私は鈍砕骨を構えた。
「あぁ、愛しい!………抱きしめてあげるわ!この血閻葬と一緒に!」
司馬懿の血閻葬を私は鈍砕骨で防ぐ。
だが、血閻葬は火花を撒き散らしながら、鈍砕骨に喰い込んで行く。嘘だろう!何だ、あの武器は!?
私は司馬懿から離れる。血閻葬とかいう武器が喰い込んだところを見る。
すると、鈍砕骨は削れていた。その様子を見た司馬懿は得意げに言う。
「この血閻葬は気によって動くからくりの剣。
切る事ではなく、削る事に特化した武器壊しの剣!この血閻葬に削れない物はないわ!
悪神を断罪するに持ってこいでしょ。さあ、貴方の洗脳もこの血閻葬で削り取ってあげるわ!」
なるほど。あの血閻葬とかいう武器は、その鋸のような刃が、螺旋槍のように気に動く事によって、物を削って行く武器か。なんとも厄介な武器だな。
司馬懿は血閻葬を振りまわしながら、私に襲いかかって来る。
ちょ!おま!そんなので洗脳が解けるわけないだろう!洗脳が解ける前に挽き肉になるではないか!
私は司馬懿の血閻葬を必死に避け、隙を見つけては打ちこんでみる。
全て防がれてしまうが、おかげで私は血閻葬が絶対無敵の武器ではないと言う事に気が付いた。
司馬懿は血閻葬のつばの部分を庇い、刃の部分で攻撃を受けとめようとしているように感じられた。
この血閻葬はからくりの剣とさっき司馬懿は言っていた。
なるほど、からくりの部位を破壊すれば、あの剣の動く刃は止まるという訳だな。
そうと分かれば!勝機はある。あの武器を鈍砕骨で殴り壊せば!
「叩きつぶす!」
「無駄よ!無駄だわ!無駄ですわ!」
残念ながら、武に関しては司馬懿の方が私より上だ。血閻葬のからくりの部分に攻撃が入らない。
私の攻撃を司馬懿は見きっているのか、鈍砕骨の攻撃を全て、避けるか、刃の部分で受け止めてくる。
そして、鈍砕骨はどんどん削られていく。私にとって、かなり不利な状況だ。
私が押されているのには、私と司馬懿のそれぞれの武の特徴が関係している。
私の武は素早い細かい動きが出来ないが、大きな一撃で武器もろとも叩きつぶすというものだ。
だが、司馬懿の武は向かってくる武器を削り壊し、そのまま切り刻むというものだ。
武器もろとも倒そうとしても、相手の武器が私の武器を壊そうとするのならば、相性最悪だ。
武は私の方が低く、武器の相性も悪い。どうやったら、形勢を逆転する事が出来る?
「そう、悪い子ね。悪い子は大好きよ。……だから、貴方に御褒美をあげるわ!」
司馬懿は目を大きく開け、血閻葬を振り上げ、一気に間合いを詰めて来る。
これ以上を近づかれたら、不味い。武は相手の方が上で武器の相性が悪いから、せめて間合いだけはこちらにとって、有利な状況にしておかなければ、不味いと言うのに!
私は咄嗟に鈍砕骨を前に出して、血閻葬を防ぐ。だが、どんどん鈍砕骨は削られていく。
体を捻り、司馬懿の攻撃から逃げる。だが、少しばかり遅かった。
鈍砕骨は削り切られ、長さが3分の2になってしまった。
司馬懿はこちらに向かって来た。私は再度鈍砕骨を構える。どうする?どうやれば、この状況で勝てる?
「今日の私に華琳様のご加護が無かったようですね。
不運にも、貴方の武器の破片を血閻葬が噛んでしまい、動かなくなってしまいました。」
言われて初めて気が付いた。司馬懿の血閻葬の刃は動いていない。私は運に救われたらしい。
私は司馬懿を鈍砕骨で殴り飛ばして一騎打ちになんとか勝った。
どうも、黒山羊です。
今日のお話は如何だったでしょうか?
一刀君の話ばかりでは、飽きてしまうと思ったので、今回は恋姫達が戦う描写を入れてみました。
蒼 VS春 蘭
翠 VS秋 蘭
焔 耶VS司馬懿
出て来ました。新キャラ司馬懿。
以前真名が少しと華琳の口から出てきた『陰』という真名を持つキャラです。
このキャラにはモデルが居ます。
GIGAのBALDR SKYってゲーム御存じでしょうか?
そのゲームに出て来る『六条クリス』彼女が基本モデルです。
プラスαで『グレゴリー神父』が入っていますww
簡単に説明すると電波系ヤンデレ女子高生チェーンソーですww
それを今回は『シスターさん』属性を付けて、電波系ヤンデレチェーンソーシスターさんという設定にしましたww
で、ごめんなさい。司馬懿もとい陰のボケを放置しました。
『神が降臨した時に天界から持って来た断罪剣、李典作血閻葬』ってボケに、
天界から持って来たって言ったのに、李典作っておかしくねぇー?とか
洗脳を解いてあげると言っているのに、『貴方は死ぬわ。私が殺すもの』ってボケに、
洗脳解く気無いだろう!って、普通突っ込みますよね。
これには理由があるんです。聞いて下さい。弁解させて下さい。
だって、焔耶ってツッコミキャラじゃないでしょう!弁解以上です。
今回の話結構苦労しました。
蒼や司馬懿が勝ってしまうと、強さのインフレになってしまうので、そこらへん注意するのが難しかったです。オリキャラによる強さのインフレが発生すると、原作キャラが霞んでしまうので、作者としてそういうのを気にする自分としては気を使うところでした。
オリキャラによる強さのインフレも書く人の作品によっては、良い味が出るのですが、私の文章力ではそれは難しいので、強さのインフレを防ぐ方針で頑張りました。
と言う訳で、いつもので閉めましょう。
それでは御唱和下さい。
へぅ( ゚∀゚)o彡°
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麦焼酎1升で1週間なんとか乗り切った黒山羊です。
次は4Lで2千円弱の芋焼酎買おうかな?
最後になりますが、
現在私は2本長編作品を書いています。
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