No.322389

桔梗√ 全てを射抜く者達 第26射

黒山羊さん

今月だけで10Lは酒を飲んだ黒山羊です。
芋焼酎。梅酒、ワイン、マッコリ、ジントニック、ビールそんなものでしょうか?
安くておいしい酒があったら、教えて下さい。

最後になりますが、

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2011-10-22 22:15:10 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:4834   閲覧ユーザー数:3479

桔梗√ 全てを射抜く者達   第26射

 

 

 

 

視点:一刀

 

俺達は洛陽に帰ってきた。洛陽の民は笑顔と歓声で俺達を迎えた。

それもそうだろう。彼らは月様の洛陽の立て直しという善政の真実を知っている。

帰って来てすぐに戦後処理だ。と言っても早急に行わなければならないモノだけだ。

戦死者の供養と遺族の補償だ。だが、これらの処理はシステムとして確立していて、洛陽から帰ってきた翌日にはもう、戦死者合同慰霊祭と戦勝祭が同時に行われる事となった。

戦争で死んだ人もいるが、彼らの犠牲によってこの洛陽の平穏は保たれた。戦死者を供養し、感謝する。

そして、この戦で勝つことが出来た為、洛陽は平穏であると、死者に見せ、安心して成仏して貰う。

そのために、同時に行われることとなったという訳だ。

 

洛陽に戻って来て一夜明けた今は祭に向けて身だしなみを整えるべく、月様とその将、焔耶に蒼様の陣営は今入浴中だ。蒼様は俺の混浴に賛成したが、俺を含む反対派によって、俺は皆が風呂から上がるのを待つこととなっている。俺は待っている間にBarrettM82A1の整備をすることとなった。

あんな砂地に居たのだ。リコイルの際に、砂利が中に入り、暴発する危険がある。

暴発しないためにも点検する必要がある。

 

修理となると、部品の形大きさを真桜に言って、作ってもらうのだが、真桜の修理はこちらの注文通りにやってくれないし、余計な機能を付けたりするから、真桜を説得し、注文通りのモノを作らせるのが大変だ。この間なんか、キャリーハンドルの交換を頼んだら、持ち手がチ○コの形をしていたのには唖然とした。あの時は3刻程真桜と話し合いをした。

 

ちなみに捕虜となった袁紹達は豚箱に入っている。

一連の戦後処理が終わったら、皇帝陛下の門前で軍議を行い、処罰を与える事となるらしい。

幸い、俺が桔梗さんの臣下であることから、その軍議の出席は免除された。この国の、この時代の礼儀作法を知らない俺からすれば、マジで助かったとしか言いようが無い。

ちなみに蒼様達も同じ理由で軍議に出席しなくて良いそうだ。

 

「よし。修理は必要なさそうだ。」

 

俺はBarrettM82A1の部品に油を刺し、組み立てる。

組立てが終わり、俺は椅子に深々と座ると、深く息を吐く。

 

「入ってもええかいな?御遣いの兄ちゃん。」

 

扉の向こうから張遼さんの関西弁が聞こえてくる。

俺は椅子から立ち上がり、扉を開けに行く。要件を聞くと、どうやら全員風呂から上がったので、入れるとのことだ。俺はリュックからタオルとかその他の風呂一式を取りだし、風呂場に向かう。

 

風呂場の前では華雄さんが武装している状態で立っていた。華雄さんが此処に立っているのには重要な理由があるからだ。蒼様の暴走を止めると言う重要な役割が華雄さんにはあるからだ。

ちなみに、張遼さんも俺の入浴を護ってくれるらしい。頼もしい限りだ。

え?呂布さんの方が強いから、そっちの方が良いのではだって?

食べ物を渡されたら、素直に蒼様を通してしまいそうなので、却下となった。

焔耶は鈍砕骨がボロボロで戦闘不能により、却下。

翠さんは蒼様より弱いので、普通に却下。馬岱ちゃんは裏切りそうなので、却下だ。

俺は服を脱ぎ、籠に入れ、浴室へ向かう。露天風呂だった。

一人で入るには勿体ないぐらいの大きな浴槽が待っていた。俺の世界の温泉宿の露天風呂と全く同じような作りになっている。

 

「っはーーー。やはり、日本人的には戦争の後は風呂だよな。」

 

俺は風呂に入る前に頭と体を洗う。ってか、石鹸があるってこの世界なんでもアリだなww

頭から先に洗い始める。泡が目に入りそうなので、俺は目を瞑った。

首を洗い終わると同時にヘチマを落としてしまった。俺は手探りで自分の近くを探る。

右手で持っていたから、転がって行くとしたら、俺より右側のはずなんだけどな。中々見つからない。

 

「あのぉー。御遣い様、このヘチマでお背中流しましょうか?」

 

 

 

 

「えぇ、お願いします。……ってその声は月様!?何しているんですか?」

 

「へぅ//////それとも、私の胸でした方が//////」

 

「いやいや!違うから、何で居るのかってこと。

 

「この戦でとてもお世話になったから、その……お返しがしたくて……。」

 

「で、それ誰の入れ知恵?」

 

「蒼様が胸で御遣い様の背中を流すって叫んでいたので//////」

 

「あぁ、なるほど。なんとも蒼様らしいや。

背中流して、俺への月様の恩返しが達成できるなら、そのヘチマで俺の背中流して頂けますか?」

 

「はい//////」

 

そう言うと月様は俺の背中を流し始める。

ヘチマのザラザラ感がなんとも言えない。力加減も良いし、左肩負傷で届かなかった所を洗えてとても気持ちが良い。他人に背中を流されるのはこんなにも気持ちが良いもんなんだな。

 

「少しお話しても良いですか?」

 

「俺でよかったら、話相手に成りますよ。」

 

「ありがとうございます。

……実は私これまで、戦場に言った事が無くて、虎牢関で初めて人が傷ついて死ぬ現場を見ました。

…………………………怖かった。でも、私は君主だから、目を背けちゃいけなくて、それでも怖くて。

どうしたら良いのか、私分からなくて。」

 

「怖いのは当たり前の感情です。

優しい君主は怖いと言う感情を嫌わなければならない。貴方は正しい。

俺は怖いと言う感情が好きだ。恐怖は俺の心に響いてくる。それで俺は生きていると実感できる。

貴方は俺のように成ってはならない。恐怖の源を断ちきる強い心を持って下さい。

ですが、今のあなたにあの戦いは酷だったでしょう。今日だけは貴方の吐きだしたいモノを聞いていてあげる事ぐらいは出来ます。誰かに話せば、少しは楽になりますよ。

その代り、明日からは恐怖を全て受け止め、その根源を許さない、そんな優しい人になって下さい。」

 

それから、月様は手を止め、泣きながら、俺にあの戦場で体験した事を言った。

俺は黙って月様の言葉を聞くだけだ。月様が心の中が空になるまで吐きだし終わると、背中流しを再開された。最後に湯を掛けてもらい、これで終わりだ。

 

「ありがとうございます。スッキリしました。

また、機会があれば、背中を流してくれませんか?」

 

「はい//////私もまた御遣い様の大きな背中を触りたいです//////。」

 

そう言うと月様は顔を手で覆い、小走りで浴室から出て行った。

俺何か悪い事言ったかな?俺は月様が出て行くのを見ると、風呂に入り、ゆっくり体を温める。

真昼間から露天風呂に入るなんて久しぶりだな。

 

 

 

 

風呂から上がると、フランチェスカ学園の制服を着て、散歩をすることにした。

夜の慰霊祭まで時間はあるし、護身用にナイフとBarrettM82A1を携帯している。

時間を守れとか、自分の立場が分かっているのかと言って怒られる事は無いだろう。

 

外は何処も戦勝モードで、お祭り気分だ。

浅草の祭りにも劣らない活気に満ちていた。どうやら、洛陽の民は月様が勝った事に賛成のようだ。

そりゃあ、これだけ廃れた世の中だ。あんだけ優しく、有能な将が多く、それでいて、口だけではなく、実行力がある。洛陽はスラム街の面積が少ない。政治力がそれなりに高いようだ。

俺ももう少し勉強しておけば、巴郡の内政の力になれたんだけどな。

俺の力に成れるのは、警備や戦闘訓練ぐらいなモノだ。少しは勉強しないとな。

 

「反董卓連合の大将が捕まったらしいぞ。」

 

通りすがりの民がそんな事を言っていた。そう言えば、そうだったな。

折角だし、俺の狙撃から逃れた3人の1人である袁紹でも見に行くか。

 

俺は捕虜収容所へと向かった。収容所の門番は俺の顔を見ると、すぐに通してくれた。

案内をしてくれた門番が言うにはこの収容所は元々ある商人の豪邸だったらしい。その商人は人身売買を生業としていたらしく、屋敷は脱走不可能な構造になっているため、収容所となっている。

他にも収容所はあるのだが、犯罪に手を染める人が多すぎた為、収容しきれなくなったらしく、このような状態となっているとのことだ。国が廃れると何処でも何時でも起きる現象だな。

だが、国が豊かになる傾向にある為、犯罪者の増加率は減って来るだろう。

 

それと気付いた事がある。この収容所は清潔だ。

商人の屋敷だったと言う事もあるだろうが、掃除が行き届いている。

それに、囚人を見ても、健康体そのものだ。怪我が無いと言う事は、虐待も無いと見える。

収容所の規則もちゃんと機能しているようだな。流石と言う他ない。こんな世の中だ。

囚人に対しての虐待が有ってもおかしくないのだが、それが無いように見えると言う事は法整備が成されていると言う事だろうな。

 

「………あのー、御遣い様は本当に袁紹に会われるのですか?」

 

門番の兵士がある扉の前で唐突に聞いてきた。心なしかゲッソリしているように見える。

ここまで来たんだ。今更引き返すのも面白くない。俺は門番の兵士に肯定の返事をした。

すると、扉が開いたので、俺は中に入った。門番曰く、こっから先は行きたくないので、一人でお願いしますとのことだ。部屋はこの一番奥らしい。

 

幽霊でも出るのか?こんな真昼間に?

だが、会社の近くのガイザーグラウンドホテルには真昼間でも出るって友人が言ってたな。

ってか、そんな所に袁紹を入れて大丈夫なのか?戦犯とはいえ、一応捕虜だぞ。

 

俺は薄暗く、長い廊下を歩く。窓が小さいため薄暗い。

窓が小さいのはおそらく、奴隷が脱走しないようにこういう構造になっているのだろう。

そのせいか、凄く音が反響している。一番奥の部屋に袁紹が居るはずだ。

 

俺は頭の中にある袁紹の情報を整理する。外見は金髪の縦巻きロール、身長も体重も普通で、巨乳。

性格は蒼様曰く、性格は頭の悪い高飛車らしい。

四代にわたって、三公を輩出してきた名門・汝南袁氏の出身。いわゆるお嬢様ってことだな。

身分は冀州の太守で元反董卓連合の総大将、皇帝の前での会議の決定によっては太守の座を追いやられるだろう。とりあえず、現在は捕虜扱いで問題ない。

他にもこの収容所には袁紹の関係者が入っている。

顔良と文醜。二人とも馬賊の出身で、袁紹の武官をやっており、大鎚と大剣を得物としている。

俺は扉を開けた。

 

 

 

 

「あら、やっと持って来たのかしら?そこの貴方、さっさとフカヒレスープを出しなさいな。

四代にわたって三公を輩出してきた私袁紹を殺すつもりですか?」

 

「違いますよ。麗羽様。きっと暇つぶしの遊び道具を持ってきてくれたんですよ。」

 

扉を開いた先の鉄格子の向こうでアホな事を言っている馬鹿が2人居た。

一瞬、こんな牢屋に入れられて気が狂ったのかと思ったが、目が真っ直ぐだ。

つまり、気が狂った訳じゃなさそうだ。要するに冷静に分析しても、この2人は馬鹿のようだ。

襤褸を纏えど心は錦。なんか違うような気がするが、そんな言葉が合うような馬鹿だった。

あまりのショックに俺は膝まづき、両手を床につけ、項垂れる。

 

「もしかして、私達の処罰が決まったのですか?」

 

項垂れている俺に震えた声で女の子が尋ねてきた。

ボブカットの青髪の少し怯えた顔をしている。俺の記憶が正しければ、この娘は顔良。

俺は立ち上がる。『どういう事です?私は処罰を受けるような事はしていません!』という戯言が袁紹の口から聞こえてきたので、一瞬、膝がガクッと来たが、気力で持ち直す。

門番が『袁紹に会いに行くのですか?』と聞いた気持ちが分かった。

袁紹の声を聞いていると、ものすごく疲れるような気がする。いや、もうこの時点で疲れた。

立ち上がると、文醜が俺に敵意を向けてきた。

 

「いや、単なる気分転換に散歩していたら、此処の前に着いただけだ。

………安心しろ。別にあんた等に危害を加えるつもりは無いから、敵意を向ける必要は無い。

俺は捕虜を虐待するような鬼畜野郎じゃないつもりだ。

それに、お前らは戦争犯罪人として裁かれるんだ。審判が下るまで手を出さないのは当たり前だろう?」

 

「では、どうして此処に来たのですか?

気分転換で散歩したとしても、こんな閉鎖空間に来ませんよね?」

 

「そうだな。では、俺の獲物がどんな奴だったのか、見に来ただけだと言えば、納得できるか?」

 

「獲物だった?私達がですか?」

 

「いや。得物は袁紹一人だけだ。虎牢関の戦の時に俺の狙撃からソイツは逃げきったんだ。

興味が湧くのも当然だろう?」

 

「狙撃?………その黒光りする5尺の鉄の塊。貴方、もしかして天の御遣いですか?」

 

「何か、そう言われているな。おい、袁紹!お前、何で、洛陽を攻めてきた?」

 

「むきーーっ!庶民であるあなたが可憐で優雅な私にタメ口ですって!身の程を知りなさい。

私は冀州の太守、袁本初ですわ!貴方何様ですの?」

 

「なるほど。この性格からして嫉妬だな。

こんなくだらない嫉妬で人間が何万人も死んだのかよ。ため息しか出ないな。

もういい。疲れた。俺達はこんなくだらない奴を仕留められなかったのかよ。

まあ、月様の言う通り、こんな奴から洛陽の民を護れたから良しとするか。」

 

俺は扉を閉じて出て行こうとする。

 

 

 

 

「テメェ!アタイ達の姫を馬鹿にするな!」

 

俺に向かって文醜が吠えてきたので、俺は振り向いた。顔良も俺に対して敵意を向けて来る。

こんな状態で、俺に対して敵意を向けて来るという事は、どうやら、単なる仲良しこよしの関係じゃないみたいだな。それなりに、自分の主従の事を尊敬しているようだ。

少しばかり予想からずれているようだな。気が変わった俺は文醜に言い返す。

 

「馬鹿にするのも当然だろう。

自分のくだらない嫉妬心で何万人もの兵士を犠牲にして、挙句の果てには、戦争に負けて、捕虜になっているのに、自分の家の名前を持ち出して、それすら無かった事にしようとしている。

家の名前と言う名の自信はあるが、実力は運だけで、自身に実力が追いついていない。

そんな奴をくだらない勘違い野郎と言わずして何と言う?

ついでに、お前らも馬鹿だ。主君が間違った事をしていると気付いていないのか?

気付いていない時点で馬鹿だが、気付いているのに止めていないなら、お前らはそれ以上に馬鹿だ。

お前らの馬鹿さが、主君である袁紹を更に馬鹿にさせている要因だな。」

 

「アタイ達が馬鹿だから、姫も馬鹿?」

 

「そうだ。真に袁紹に忠を尽くしているなら、こんな事には成らなかったと思うが?」

 

「私達は麗羽様の為に戦っています。

私達は麗羽様に真に忠を尽くしています!そんな訳ないです!」

 

「違うな。

アンタ達は袁紹に忠を尽くしている訳じゃない。袁紹の我がままに忠を尽くしているんだよ。

袁紹の我がままに付き合う事だけを考えて、袁紹自身の危機の事を考えていない。

真に忠を尽くしているのなら、間違った方向に行こうとする主君を殴ってでも、正すものだ。

違うか?」

 

「………。」

 

文醜と顔良は無言で俺から目を背ける。どうやら、図星だったようだ。

俺は更なる追い打ちを掛ける。

 

「だから、お前達は月様に負けたんだよ。

月様は自分の身や臣下に起こりうる事や自分がこれからしようとしている事を受け止め、臣下は主君を案じながらも、主君に強く正しくあって欲しいと熟考し、主君と共に理想を実現しようとする。

そんな堅い結束力を持った月様達に、アマチャンのお前らは負けたんだよ。

次戦う事が有って、負けたくなかったら、『忠を尽くす』が何か。良く考えるんだな。

まあ、そんな機会がまた訪れるかどうかは分からないがな。」

 

「………貴方は何に忠を尽くしているのですか?」

 

「俺か?……俺は自分に忠を尽くしている。

戦いたいと思うから俺は戦い、自分と守りたいと思った事の為に自分の身を捧げる。

それ以上それ以下でもない。正義も思想も世の情勢も関係ない。全て俺の為だ。

なぜなら、俺は自分が無力で無い事を証明し続け、想い人と幸せに過ごせたら、それで良い。」

 

俺はそう言うと扉を閉めて出て行く。

 

俺は廊下を歩きながら、自分の忠について考える。

言い方を変えれば、俺は適度に暴れられて、桔梗様とイチャイチャ出来たら、言う事無しって訳だ。

なんか、そういう言葉にすると、月様の理想と比べて、圧倒的に理想のレベルが低いなぁ。

 

 

 

 

夜になり、棺を並べた訓練場で戦死者合同慰霊祭が行われた。

厳粛な空気に包まれながら、故人を偲ぶ。

仏教がまだ普及していないのか、どうなのか知らないが、お経は上げられないようだ。

代わりに、祈祷師らしき人物が鎮魂の呪文のようなモノを言っている。

最後に月様が戦死者への感謝の言葉を言う。途中で泣きそうになっていたが、最後まで言い切った。

立派な君主がそこに居た。

 

その後、場所を移し、月様の言葉で戦勝祭が始まる。

俺と焔耶は酒を飲む前に、訓練場へと向かう。途中で蒼様達を見つけた。

 

「蒼様、馬超さん、馬岱ちゃん、こんばんは。どうしたんですか?その荷車?」

 

「あぁ、これか?俺の軍の戦死者に酒をやろうと思ってな。

洛陽にアイツらの遺族は居ないだろう?だから、俺達が一人一人棺の前で、手を合わせてやらんとな。」

 

そんな哀しそうに笑いながら、俺達の方を見て来る。どうやら、考えている事は同じなようだ。

その後、同じように、酒を積んだ荷車を引いた張遼さんと華雄さんを見つけた。

目的は同じらしい。月様や賈駆さんも来たかったと言っていたらしいが、一応、今は戦勝祭なので、こっちに来る事は出来なかったと華雄さんは言っていた。

呂布さんと陳宮ちゃんは月様の護衛らしい。

 

それから、7人で話をした。

袁紹がどうとか、夏候惇がどうだとか、夏候淵がどうとか、孫策がどうとか、甘寧がどうとかだ。

それから、さっき、翠の事を真名で呼ばなかった所為か、泣きかけた。でも、真名で呼ぶと茹でダコの如く顔を真っ赤にする。どうしたら、良いのか悩んだ結果、真名で呼ぶ事にした。

泣かれるよりマシだし、蒼様と蒲公英ちゃんがそうした方が良いと言ったからだ。

あ、ちなみに、蒲公英とは馬岱ちゃんの真名だ。蒼様と翠から真名を貰っているのに対抗意識があるのか、俺に真名を預けてきた。そんな乗りで良いのかな?

 

そんなこんなで、この戦いで、それぞれ色んな物を感じたみたいだ。

俺は俺で考える所があった。Distorted Tranquilizerを制御できれば良いのだが……。

 

そうこうしている内に訓練場に着いた。結構な数の遺族が残っている。

 

俺達は全員で、全部の戦死者の棺を回る事にした。といっても祈りを各個人に捧げるていると時間がかかるので、小隊単位で拝んで行く。

この戦いで命を犠牲した者に董卓軍や馬騰軍の差は無い。皆で供養しようという事になったからだ。

俺以外の者は棺の前で手を合わせる。俺はつい傭兵時代の癖で十字をきってしまった。

蒲公英ちゃんが俺の真似をした方が良いんじゃないのと提案してきたが、蒼様は皆が合わせたら、死んだ奴からすれば、何をしているのか分からないだろうから、合わせたい奴だけ、合わせた方が良い、祈り方なんて人それぞれだと言ってきた。だから、皆は手を合わせて、俺は十字をきる。

 

遺族と話をしたかったが、全員回るのに時間がかかりすぎるので、一言二言話す程度にした。

そして、なんとか全戦死者を回ることが出来た。終わったころには日が顔を出そうとしていた。

 

その後、俺達は城へ行き、月様達の宴会場へと顔を出し、ドンチャン騒ぎの渦の中に飛び込む。

 

 

 

 

「うぉい!みづがい!わだじどじょぉーぶじろ!(おい!御遣い!私と勝負しろ!)」

 

酔っ払っている華雄さんが絡んで来た。

完全に酔っぱらっているな。酒臭いし、目が据わっているし、フラフラしている。しかも呂律が回っていない。丈夫城?意味が分からない。

 

 

「大丈夫ですか?華雄さん。水飲みますか?」

 

「いうぃきゃら、じょぉーぶじりょ!じょぉーぶじらいなな、あにょとぎにょこといってやる!

(良いから、勝負しろ!勝負しないなら、あの時の事言ってやる!!)」

 

最後の部分だけなんとか分かったが、俺には『良いキャラ!丈夫城?丈夫地雷7?アニョとギニョ事言ってやる!』としか聞こえない。

良いキャラ?俺がだろうか?丈夫城?って何だろう?丈夫地雷?この世界に地雷なんてあるのか?

しかも、華雄さんは7個も持っているみたいだ。俺にアニョとギニョなんて知り合いは居ない。

訳が分からないので、とりあえず、「はいはい。分かりました。」と言っておく。

すると、華雄さんはフラフラしながら立ち上がり、指をバキバキと鳴らす。

 

「よぉーし、いいきゃきゅごりゃ!

しあ!ちんぱんちろ!ちゅでにょちゃんかいちょーびゅりゃ!

(よーし、良い覚悟だ!

霞!審判しろ!素手の三回勝負だ!)」

 

「えぇーりぇ!まきゃちとき!(えぇーで、任せとき!)」

 

なんか酔っ払い同士で以心伝心している。俺は何をしたらいいのだろう!

困った俺は月様の方にアイコンタクトを送る。その瞬間だった。

 

「ぶりゃ!」

 

俺は華雄さんにいきなり殴られ、吹き飛んだ。何で?

余所見していたら、宴会場でいきなりパンチを食らうとは普通思わないだろう。

 

俺は何のつもりなのか?華雄さんに聞こうと、うつ伏せから起き上がろうとしたら、焔耶と目が会ってしまう。俺は吹き飛んだ際に焔耶の胸に顔をうずめていたらしい。この状況、傍から見れば、俺が焔耶を襲おうと覆いかぶさっているようにしか見えない。焔耶は顔を真っ赤にし、俺の顎に強烈な右アッパーを繰り出してきた。

 

焔耶のアッパーを喰らい、吹き飛んだ俺は呂布さんの方に倒れそうになる。

そんな俺の顔面に何かがぶつかった。『ちんきゅーきっく』と聞こえたのは気のせいではないと思う。

 

更に、『ちんきゅーきっく』を喰らい再度吹き飛び、何かを掴んで倒れ込む。

何だろう、これ?と思った俺は掴んだ物体を見てみると、輪になっている白い布きれだった。

そして、その輪の真ん中には2つの脚が見える。嫌な予感しかない。

俺は恐る恐る上を見てみる。そこには赤面の翠が居た。

 

顔面に翠の蹴りが入る。俺はまたまた吹き飛び、何かに突っ込んだ。

此処まで来たら、もう良いや。またコンボが繋がるんだろう。いったい何処までコンボが繋がるんだよ?一応俺怪我人何だぞ。まあ、月様の所なら、武力で訴えて来ないだろう。

吹っ飛ぶなら月様の所でありますように。俺は最後の力を振り絞って、立ち上がろうとする。

 

「へぅ……御遣い様、くすぐったいです。動かないで//////」

 

俺の頭上から、そんな声が聞こえてきた。どうやら、月様のようだ。

助かったと思ったのも束の間、頭の両端に力が入り、後頭部を押さえつけられる。

そして、複数の足音が聞こえて来る。足音の音源からは殺気を感じる。

えぇ?もしかして、俺助かっていない?ヤバイヤバイ!!

 

 

 

 

「ボクの月に何するのよ!このチ○コ!」

 

「わらしとじょーぶしりょ!(私と勝負しろ!)」

 

「ゆえっちをにゃかしゅにゃ!(月っちを泣かすな!)」

 

「月……虐める奴………倒す。」

 

「恋殿に破廉恥な事をしようとした罰なのです!」

 

「一刀のスケベ!」

 

「俺より桔梗や月ちゃんが良いのか!俺の何が足りないんだ!?」

 

「このエロエロ魔神!」

 

「何で蒲公英との絡みがないの!」

 

 

 

 

すごく生きる実感を戦勝祝いは俺に歓喜をくれた。言っておくが、俺はドM野郎じゃない。

生き残り、こうやって無茶苦茶なことをするのも楽しいもんだ。

 

 

 

 

視点:桔梗

 

「うーむ、一刀が居ないと少し酒が物足らぬ。」

 

そう言いながら、寝つけ酒を飲む。こうでもしないと寝れぬ。

一刀が帰ってきたら、即効でハンモックじゃな。

 

「ふと思ったのじゃが、儂は『北郷』と本人の前では呼んでおるのに、影ではどうして『一刀』と呼んでおるのじゃろうな?」

 

 

 

 

視点:鮮花

 

「焔耶の胸に顔をうずめて、馬超さんのパンツを見て、虐められる一刀さん萌え!!

一刀さん、貴方はどうしてそんなに最高なんですか?」ハアハア

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

これにて反董卓連合編は終了です。

長かった。長かったよ。

 

今回の話は如何だったでしょうか?

最初3分の2ぐらいは真面目に書いていました。

月ちゃんを慰めて、麗羽に説教して、慰霊祭で戦死者を偲んでと真面目な場面でした。

途中から酒を飲んだ所為か、フザケちゃいましたww

だって、スーパードライが美味しそうだったもの!仕方ないですよね?

それに酒が入ると執筆が進むんですよ。仕方が無いですよね?

 

さて、この勢いで頑張って短編の続きを書き切ってしまうか。

ましろ色シンフォニーのアンジェと桂花が出てくるお話です。良かったら、読んで感想を書いて頂けると嬉しいです。

 

それでは、いつものでしめましょう。

御唱和下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


 
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