No.242762

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第四十四話

獅子丸さん

第四十四話。

まだまだ続いてるよ反董卓連合編。
今回は董卓さんご一行の行く末+α+β。

続きを表示

2011-07-29 04:03:37 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:17932   閲覧ユーザー数:14389

 

 

 

 

 

 

― 周瑜Side ―

 

 

 

 

 

ふぅーっと一息つく。

宿に戻り椅子に座り力を抜いた。

ずっと気を張らせていた思考を落とし、頭の中を空にする。

新たに浮かんでくる思考。

国となった揚州をどう運営していくのか。

国となった事で将達の待遇をどうするべきか。

隣接国との折衝。

現在の領地の分割。

次々とこなさなければならない仕事を弾き出す。

 

 

「更に忙しくなる・・・・・・か」

 

 

背筋を伸ばせばギシっと音を立てる椅子。

身体をほぐす為に軽く動かしている最中に戸を叩く音が聞こえる。

扉に向かって声をかける。

来るだろうと思っていた。

 

 

「今大丈夫?」

 

「問題ない・・・・・・・・用と言うのは後ろに居る者達のことだな?」

 

「正解・・・・・・・俺の口から説明するわけにはいかないからね。雪蓮も冥琳に聞いてくれってさ」

 

「雪蓮・・・・・・・・」

 

 

はぁ~っとため息を吐く。

『王』に成ったことで少しは態度を改めるかと思ったのだが・・・・・・。

 

 

「突然押しかけてしまい申し訳ありません」

 

 

つい先程までこの『漢王朝』の大司徒をしていた少女。

 

 

「ここに来たと言う事は・・・・・・・・」

 

「はい、詠ちゃんから聞きました」

 

「それならば話は早いな。・・・・・・・一刀、何処まで話している?」

 

「礼は弾んでもらう・・・・・・としか言ってないよ」

 

 

思わず頭を抱える。

私よりも当事者であるお前がそれでどうする・・・・・。

私は準備をしたに過ぎないのだからぞ・・・・・。

これは雪蓮も加え、後で説教決定だな。

 

 

「・・・・・・・では、交渉といこう。とりあえず聞くが董仲穎殿はどう考えている?」

 

「私は・・・・・・私ができる限り、このご恩をお返ししたいと思います」

 

 

その真剣な眼差しからすれば嘘ではないだろうな。

聞いておいてなんだが、実の所選択肢はない。

既に国を挙げて準備をしているのだ。

まぁ、董卓の様子からしてもその心配はないか・・・・・・。

さて、問題は・・・・・・・。

 

 

「後ろの者達はどうなのだ?」

 

「私は月様が行く場所であれば何処にでも着いていく!だが、その前に孫文台にだけは会わせて欲しい!!」

 

 

確か・・・・・・・・ふむ、なるほど。

昔、美蓮様が威勢のいい将に出会ったとか言っていた記憶が・・・・・その名前が華雄だったな。

 

 

「文台様に会ってどうするつもりだ?」

 

「過去の屈辱を晴らす為手合せ願いたい!」

 

「命のやり取りをするというのなら認めるわけにはいかない」

 

「そうですよ華雄さん。呉の方達は私の恩人なんですから・・・・・・・・どうしてもと言うのなら私を倒してからにしてください」

 

「っうぐ!?月様を倒すなど出来るはずがありません!・・・・・しかし、またとない機会を逃す訳には・・・・・・・」

 

 

悩み方を見るに、恨みがある訳ではないようだが・・・・・・・。

 

 

「ん~・・・・・華雄さん、美蓮さ・・・孫文台は右腕が使えないのは知ってる?」

 

「なに!?それは本当なのか!?」

 

「本当だよ。それでも戦ってみたいのなら直接本人に会ってから決めるといい。

手合せするにしても真剣は使わせないけどね」

 

「私は、正直な所反対だ。だが、華雄殿の話は聞いた事がある・・・・・・。

その件に関してのみ言わせてもらえば、私達は部外者。ご本人に直接会って自ら確かめるといい」

 

 

まぁ、美蓮様の事だ・・・・・・嬉々として相手になるだろうがな・・・・・。

さて、一人は問題ないとして・・・・・。

 

 

「うちは、最初っから何でもする言うとったし、その言葉に二言はないで」

 

「・・・・・・・恋も、月を助けてもらった恩返しする」

 

「恋殿が行く所にはねねも行くのです!!」

 

 

さて、残るは・・・・・・・・・。

 

 

「私も二言はないわ・・・・・・だけど一つだけお願いが・・・・」

 

「とりあえず聞こう」

 

 

私はそう答えたが賈駆は俯いてしまう。

よほど言いにくいのか沈黙が続く。

 

 

「詠ちゃん?」

 

「・・・・・・月を、月を利用する事だけはしないで!!」

 

 

目に涙を溜め、肩を震わせながらそう言い放つ賈駆。

普通に考えれば賈駆の気持ちはわかる。

既に利用されているのだからな。

だが・・・・・・。

 

 

「それは聞けない相談だ」

 

「どうして!?月は今回の件で沢山傷ついた!!これ以上月を傷つけてどうしようって言うのよ!!」

 

「詠ちゃん!!私は大丈夫だから!!」

 

「でも!!」

 

「では聞こう、お前達は我ら孫呉を利用してないと言えるか?」

 

「っ!?」

 

 

賈駆の気持ちがわからないでもない。

私も・・・・雪蓮が同じ立場になれば賈駆と変わらないことを言うに違いない。

だが、先に利用したのは私達ではない。

 

 

「はぁ~・・・・・そんなに苛めるなよなぁ、冥琳」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「ククッ・・・・・・すまんな、同じ分野の人間だったのでつい・・・・・な」

 

「なんや、そう言うことやったんかいな・・・・・・・心配して損した気分やわ」

 

「・・・・・・いたずらよくない」

 

「恋殿の言うとおりですぞ!!」

 

「なんだ?どういうことなのだ?」

 

「華雄はちょっとだまっとき!!」

 

 

少々度が過ぎたかもしれないな・・・・・・。

だが、私は間違った事はいってはいない。

 

 

「少々ふざけ過ぎた事は謝ろう・・・・・・だが、先程の言葉は真実だ」

 

「・・・・・・詠ちゃん」

 

「わかってるわ月。・・・・・・その通りよ、私達があなた達を利用したのは確か。そのくらいわかってるわよ」

 

「私は大丈夫だよ詠ちゃん。私は守られてばかりだったから・・・・・・・でも、私も誰かを守れるように強くなりたいんだよ。だから・・・・・」

 

「ゆえぇ~・・・・・・・」

 

 

見目麗しい友情・・・・・といった所か。

さて、そろそろ本題に入るとしよう。

私はわざとらしく一度だけ咳をする。

 

 

「では、そろそろ本題に入らせてもらう」

 

「はい・・・・・」

 

「董卓勢は本日を持って、我らが呉の傘下に入ってもらう」

 

「・・・・・・・はい」

 

「まぁ、普通に考えてそうやろなぁ」

 

「月を戦に出すって言うの?」

 

 

よほど大切なんだろうな・・・・・・。

だが、それは軍師としては少々難があるのではないか?

 

 

「・・・・・・・・賈文和、同じ軍師としての忠告だ・・・・・・・・軍師としての自覚があるのであれば、最後まで話しを聞くようにするべきだ」

 

「っな!」

 

「その通りだよ詠ちゃん」

 

「月まで!?」

 

 

先程から話が進まない気がするのは気の所為ではないな・・・・・・・。

私は、今度は大きく咳をする。

 

 

「傘下に入ってもらうが、別に戦に出ろと言うわけではない。・・・・・・董卓勢には交州を治めてもらう」

 

「は?」

 

「交州・・・・・・ですか?」

 

「あの、誰も治めたがらん所で有名な交州か?」

 

「・・・・・・・・交州ってどこ?」

 

「恋殿、交州と言うのは・・・・・・・・」

 

「ねね、私にも教えてくれ!」

 

 

何かを口にする度、話を中断させられている気が・・・・・・・。

その度にわざと咳をしていては喉を傷めそうだと思った私は構わずに言葉を続ける事にした。

 

 

「確かに交州は中央から遠く、辺鄙(へんぴ)な場所で、治めたがる者は皆無だ。しかし、我らの国『呉』からすれば隣の州。

暖かい土地柄であり、海に面している土地では海産物、内陸では農作物の収穫が多く望める。

だが、ただでさえ広大な揚州に加え、交州をも・・・・・となれば理由はわかるな?」

 

「広大な地を治めているが故に人手が足りない・・・・・そう言うことね?」

 

「その通りだ」

 

「だけど、交州は呉の領地じゃないわよね?」

 

 

いい所を突いてくる。

だが、今一歩足りない。

この話をしているという事がどう言うどう言う意味を持つのか考えなければ一流とはいえないな。

 

 

「ところがどっこい・・・・・既に、孫家の領地だったりしてな」

 

「一刀・・・・・・少し黙っていてもらおうか?」

 

「はい・・・・・・・・すいません」

 

 

まったく、久々に他国の軍師だった人物と直接言葉を交える事ができるいい機会なのだ・・・・・・・私の楽しみを邪魔しないでもらいたい。

 

 

「既に?・・・・・・・・・まさか、洛陽に連れてきた将が少ないのは・・・・・・・・・・」

 

「どう言うことなの?詠ちゃん」

 

「簡単な事よ。孫家は、二面作戦を展開してたのよ・・・・・・・しかも、最初っからこうなる事を見越して。

北郷が月を助ける為に洛陽に来たでしょ?そして、月を倒す為に連合が組まれた。

孫家はその時期を狙って交州を一気に併合していったのよ。

大陸が混乱している状況を逆手に取ったってわけ。

孫伯符が率いる本隊は連合に参加すると見せかけて洛陽に向かう。

もし北郷が失敗していたとしても、連合と一緒に行動していれば何とでも言い逃れできるからね。

そして、連合に参加しなかった孫家の将を使って途中まで切り取っていた交州を一気に手中に収める。

治める者が皆無の交州、しれっと併合してたって文句を言う人間はいないわ。

恐らくだけど、孫家の血筋である孫文台と孫仲謀を連れてこなかったのはどちらかを揚州に残し、もしもの時に孫家の血が絶えるのを防ぐ為じゃないかしら?」

 

 

ふむ、今一つかと思っていたが・・・・・・・・。

これならば交州を任せても問題ないだろう。

 

 

「ほぼ正解だ。・・・・・・・・だが一点だけ修正させてもらおう。

孫家の血が絶えるのを防ぐ為・・・・・・と言っていたがそれは違う・・・・・・・・次代の孫家の『王』を成長させる為が正解だ」

 

「・・・・・・・・・あなた達はいったい何処まで見えてるの?」

 

「さぁな?」

 

 

フっと鼻で笑い問を受け流す。

見えているんじゃないのだ。

私達はただ未来を描いているだけ。

こうなればいい、こうすればいい、こうしなければ、こうしては駄目だ。

描いた未来の中から最善最良の物を抜き取って、現実にする為の策を考える。

そして、実現した先で不備があれば即座に修正する。

私は・・・・・私達孫家はそうやって着実に進んでいるのだ。

北郷一刀という男が一つ一つ確実に物事を進める姿勢を見習っているのだ。

可能性を全て洗い出し、その中から正解を見つける。

単純にして最も難しい事。

一刀は今までそうやって策を成功させてきた。

答えが見つからなければ、その答えに近づく為の策を練る。

我ら軍師にとっては最も見習うべき部分。

ただの推測から策を立てるのではなく、そこに何かがあると言う確証を得る為の策を立て、確証を得てからそれに対処する為の策を練る。

手間はかかる。

だが、その手間を惜しめばそれだけ確実性が低くなるのだ。

だからこそ一刀は情報を重視しているのだ・・・・・・。

元々、我ら孫呉は諜報に関しては他の諸侯より頭一つ抜きに出ていた。

思春、明命と言った諜報活動における技術の高い将が居たこともあり数々の情報を多く仕入れることが出来ていた。

そして、それは一刀が私達の元に現れてから、より顕著になる。

一刀が持つ天の知識から、伝達手段や諜報活動における道具などの様々な知識を吸収したためだ。

私達軍師と言う人種は、情報が多ければ多いほど多種多様な策を練る事が出来る。

そして、情報を早く得る事ができると言う事は先の先が取れると言う事。

私達が短期間でこれだけの力を得た理由はそこにあると言っても過言ではない。

ククッ・・・・・・賈駆がこの大陸中に張り巡らされた孫呉の情報網にいつ気付くか楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― 孫策Side ―

 

 

 

 

 

夜風が気持ちいい。

酒で火照った身体を冷やす為に宿の中庭へと向かう。

聊か(いささか)飲みすぎた気がしないでもないけど・・・・・今日くらいいいわよね?

な~んて、自分に言い訳している内に宿の中庭に到着する。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

廊下が途切れ、視界に広がった静かな庭先。

私の視界の隅に人影が写る。

月明かりに薄っすらと照らされている人物。

見知った顔。

じっと自分の手を見つめて微動だにしない。

手を見つめるその顔は、私が好きな表情じゃない。

一刀・・・・・・・・。

私は吸い寄せられるように一刀の側に行く。

 

 

「・・・・・・・・一刀」

 

「ん?・・・あぁ、雪蓮か。こんな時間にどうしたんだ?」

 

 

何事もなかったかのようにいつもの表情に変わる。

胸が締め付けられる。

私の身体は無意識に一刀に触れ、そして・・・・・・・。

 

 

「しぇ、雪蓮!?」

 

 

一刀の後ろから腕を回し、力一杯・・・・・・包み込む。

少しでも一刀が安らげるように。

少しでも一刀が苦しみを忘れられるように。

少しでも一刀に私の想いが伝わるように。

 

 

「・・・・・・・・雪蓮?」

 

「一刀・・・・・・・・どうして手を見てたの?」

 

「っ・・・・・・・・別に・・・・・「嘘つかないで」・・・・・・・・・嘘なんかじゃ」

 

「また、私に黙ってたわよね」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ねぇ、一刀・・・・・・・・私は頼りない?」

 

「そんな事はない」

 

「じゃぁ、どうして?」

 

「・・・・・・・・言えない」

 

「どうして言えないのよ」

 

「・・・・・・・」

 

 

何も答えてくれない一刀。

ズキリズキリと胸が痛む。

一刀を抱きしめる腕に力が篭る。

 

 

「・・・・・・・・ねぇ、一刀」

 

「・・・・・・・ん」

 

「手を貸して」

 

 

不思議そうに手を差し出す一刀。

私は一刀の身体にに回していた腕を解いて、差し出された手を自分の手で包み込む。

男の人の手を触るのはいつ以来だろ・・・・・・。

女の私とはまったく違う一刀の手。

少しゴツゴツしていて、私より一回りも大きな一刀の手。

ねぇ、一刀。

一刀には・・・・この大きな手が血に塗れて(まみれて)見えるんでしょ?

でもね、私にはそうは見えないのよ。

私達の為に、一生懸命に働いてくれる一刀の手。

私達を、一生懸命守ろうとしてくれる一刀の手。

でもね、私だって一刀を守りたい。

私は、一刀が苦しむ姿なんて見たくない。

私だけじゃない・・・・・・母様や蓮華、小蓮や冥琳達も同じ気持ちなんだから。

私は一刀の手を両手でそっと包み、自らの胸に抱え込む。

 

 

「雪蓮!?」

 

「黙ってて」

 

 

あわてる一刀を一喝して、私は目を瞑る(つむる)

聞こえる?一刀。

ズキリズキリと鈍い痛みを放ちながら鼓動する私の心臓。

出来る事ならこの痛みが一刀に伝わればいい。

私の心が悲しんでいるって伝わればいい。

でも、私は唯の人。

言葉にしなければ伝わらない。

 

 

「一刀・・・・・・・私はね、今とっても苦しいのよ」

 

「雪蓮?」

 

「わかるでしょ?私の胸の鼓動の激しさが・・・・・」

 

「・・・・・・・・ああ」

 

「鼓動が激しくなる(たび)に心が痛むのよ」

 

「・・・・・・・」

 

 

何でだろう・・・・・・うまく言葉に出来ない。

ちゃんと伝えなきゃいけないのに・・・・・・。

伝えようとすると言葉が出てこない。

言葉に出来ない自分にイラつく。

 

 

「・・・・・うまく・・・・言葉に出来ないんだけどさ・・・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「一刀が時折見せる表情・・・・・・・私はそれを見るのがとても辛いのよ」

 

「・・・・・・・・」

 

「傷ついてるんでしょ?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「辛いんでしょ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「無理してるんでしょ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「もう止めなさい」

 

「・・・・・・・止めない」

 

「どうして?」

 

「・・・・・・・どうしても」

 

「止めなさいってば」

 

「・・・・・・・止めない」

 

「これは命令よ」

 

「・・・・・・・その命令は聞けない」

 

「止めなさいよ!!!」

 

「駄目なんだよ!!!」

 

 

どうして泣いてるのよ・・・・・・・・。

どうしてそんなに辛そうなのよ・・・・・・・・。

私は見たくないって言ったじゃない・・・・・・・・。

私は一刀のそんな表情見たくないって言ったじゃない!!

何で言えないのよ!!

何で止めないのよ!!

何で!!

どうして!!

 

 

「・・・・・・・ごめんな雪蓮」

 

「どこに行くつもり?」

 

「部屋に帰るよ」

 

「・・・・・・・駄目よ」

 

 

立ち上がる一刀の腕を私は離さない。

 

 

「来なさい一刀」

 

 

私は立ち上がり歩き出す。

絶対に一刀の手を離さないように握り締めて歩き出す。

部屋の戸を開け一刀を無理やり中に引き込む。

 

 

「雪蓮!?」

 

「黙って」

 

 

一刀を寝台に押し倒し、私は自分の服に手を掛ける。

 

 

「何やってんだよ雪蓮!!」

 

「煩い!!」

 

 

全て脱ぎ終えた私は一刀を押し倒し、有無を言わせず口を塞いだ。

 

 

「んむぅ!?」

 

「ぷはっ!・・・・・・・一刀、私の全てを貴方にあげる」

 

「何言ってんだよ!」

 

「言ったでしょ?私は一刀になら抱かれてもいいわ」

 

「っ!?」

 

「私はね・・・・・・・一刀を愛してるのよ。だから一刀が苦しむ姿なんて見たくない!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「返事が聞きたいなんて思ってないわ。ましてや、『王』とか『家臣』とか『天の御使い』なんてどうでもいい。

私が勝手に一刀を愛してるだけだもの・・・・・・・でもね、辛い時ぐらい私を頼りなさいよ!!

言いたくないなら言わなくていいわ!!言えないなら黙ってればいい!!だから・・・・・・だから、辛い時や泣きたい時くらい私を頼ってよ・・・・・」

 

 

感情が高ぶりすぎたのか・・・・・私の目から涙が溢れた涙が頬を伝って落ちていく。

 

 

「ぅぅ・・・・・・・・・・あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

一刀・・・・・・・・。

いいのよ・・・・・・・。

遠慮なんかしなくていい。

私は自らの胸に一刀を抱き寄せる。

全部吐き出しちゃいなさい。

私が全部受け止めてあげるから。

私は自分の胸で涙を流す一刀が愛しくてたまらなかった。

だから・・・・・・・・。

優しく口付けをしてゆっくりと横になった。

 

 

・・・・・・・・・・。

 

 

・・・・・・・・。

 

 

・・・・・・。

 

 

・・・・。

 

 

・・。

 

 

 

 

 

「おはよう雪蓮」

 

「おっはよ~冥琳♪」

 

「なぁ、雪蓮・・・・・・・今朝方、ゲッソリとした一刀がお前の部屋から出てきたと耳にしたのだが・・・・・・・・」

 

「え!?・・・・・・・・・・あ・・・・・・あは・・・・・・・・・・あはははははははははは・・・・・じゃ、じゃあね冥琳!!」

 

「逃げたな・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

― 一刀Side ―

 

 

 

 

 

ひっじょーうに!!!気まずい!!!!!!!!

いろんな意味でやっちまった・・・・・・・・。

 

 

「一刀様?」

 

「っは、はひ!?」

 

 

隣を歩いていた亞莎の呼びかけに驚いて変な返事をしてしまう・・・・・・。

はぁ~・・・・・・・・。

 

 

「北郷将軍!!大至急お部屋にお戻りください!!!!」

 

「何かあったのか?」

 

「『えまーじぇんしー』と言えばわかると・・・・・」

 

「!?わかった・・・・・・・行くぞ!亞莎」

 

「はひ!!」

 

 

『えまーじぇんしー』だって?

いったい何が・・・・・・。

 

 

「すまん、遅れた」

 

「待ってた・・・・・ぜ・・・・一刀様・・・・・・・・」

 

 

部屋に入ると床に寝転んだまま、体全体で息をしている汚れきった影がいた。

いつもスマートにことを進める影。

こんなに疲れきった影は見たことがない・・・・・・。

 

 

「何があった?」

 

「あぁ」

 

 

影は皇帝を助けだした後、連合が虎牢関で足止めを喰らっている時ぐらいか・・・・・洛陽にとある報告があった。

雍州(ようしゅう)司州(ししゅう)の州境の近辺にある村や街を、少数ではあるが匈奴が襲っている・・・・・・と。

放って置くわけにもいかなかったから、賈駆と相談して討伐隊を差し向けた。

董卓軍の将がほぼ洛陽にいなかったこともあって俺の護衛としてついて来ていた玲さんと禁軍の将で、洛陽の禁軍の将である徐晃公明、そして、董卓軍に席を置いていた軍師李儒。

影は李儒の監視として密かに従軍していた。

 

 

「一刀様・・・・・・李儒が討たれた」

 

「は?・・・・・・え?」

 

 

だめだ・・・・・・・良くわからない・・・・・・・・。

李儒が討たれただって?

なぜ軍師である李儒が?

 

 

「玲さんと徐公明は?」

 

「どっちも問題なく生きている・・・・・・既に匈奴は撃退して今頃ここに向かってるはずだ」

 

 

二人とも無事・・・・・・・・だが、軍師である李儒が死亡。

 

 

「状況を説明してくれ」

 

「匈奴の兵数は約四百・・・・・・・それが州境の街を襲っていた。

対する董、禁、合わせて千。此方は部隊を三つに分けて右翼に程徳謀、左翼に徐公明、そして本隊として李儒。

右翼、左翼は匈奴の部隊を左右から挟み劣勢に追い込んだ。

だが、右左翼が本隊から離れた隙に背後に匈奴の騎馬部隊が現れた。

それからはあっと言う間だ。右左翼が気付く頃には既に半分以上やられていた・・・・・・。

あっさりだ・・・・・・あっさり李儒の首が飛んだ。

そして騎馬部隊は李儒の首を取ると瞬く間に撤退していった・・・・・・」

 

 

言葉が出なかった。

おかしすぎる。

どうしてここで李儒が死ぬんだ?

俺が歴史を変えたから?

・・・・・・いや、それはない。

もし、そうだったなら今までも何かおかしなことが起こってるはず。

歴史を変えすぎて俺が気付いてないだけかもしれないが・・・・・・。

だけど、おかしい事はそれだけじゃない。

匈奴の目的が不明確すぎる。

洛陽の混乱に乗じての略奪だけなら、言い方は悪いが問題なかった。

だけど、奇襲部隊を用意している事が腑に落ちない。

そもそも略奪目的なら奇襲部隊を用意するよりも全部隊を使って短時間で略奪した方が危険も少ないし略奪できる物も多くなる。

それなのに、あえて奇襲部隊を用意して狙ったかのように本隊を強襲。

そして李儒の首を取った後にすぐさま撤退・・・・・・。

戦に死は付き物だ・・・・そう言われればそれでお仕舞いなんだけど・・・・・・・。

 

 

「影、洛陽を出る前の李儒の行動に不振な事はなかったのか?」

 

「そう言った報告は上がってきていないな・・・・・・・・街に出て買い物をしていた・・・・・と言う報告ぐらいしか上がってきていない」

 

「その時に不審な行動はなかったのか?」

 

「そう言った報告はないな」

 

「むぅ・・・・・・・・」

 

 

これと言った情報も無しか・・・・・・。

今現状じゃ、いくら考えても答えは出そうにないな・・・・・・。

 

 

「わかった・・・・・・玲さん達が戻ったら気付いた事がないか聞いてみる。疲れただろ?影・・・・・ゆっくり休んでくれ」

 

「あぁ・・・・・・そうさせてもらう。流石に今回は強行軍だったから疲れた・・・・・・・」

 

「はは・・・お疲れ」

 

 

床で寝息を立て始めた影を部屋に残し亞莎と共に部屋を出る。

俺は、拭いきれぬ不安をヒシヒシと感じていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

 

なんとなく 伏せてみたんだ エロシーン 獅子丸です。

 

 

はい、何処までが1、でどこから2なのかわからないので『・・・・・・・・・』ではしょりました。

『服脱いだ』くらいなら描写してないし問題ないよね?w

あと、ルビがふれるようになってたんで無駄にふってみました(ぁ

 

 

さて、まずは周瑜さん。

 

 

周瑜さんもかげながら頑張っていたんです!と言う話。

あ、一応董卓さん達の処遇の話でもあります。

御礼として何をしてもらう?→人手があれば助かるから傘下に加わってもらおう→んじゃいっその事交州を任せるか

→んじゃ交州を全部領地にしちゃおう・・・・・・・・こういった流れです。

実際の所、本文中にも書いてますが交州って太守とか州牧がいなかったことのほうが多いみたいなんです。

まぁ、一番洛陽から離れてるし交通の便も悪かっただろうし・・・・・。

何話だったか忘れましたけど交州の南海を落としていたのは、いずれ交州全土を手中に収める為の足がかりだったと言うオチです。

情報云々に関しては思いっ切り蛇足なのでお気になさらずに(ぁ

 

 

んで、お次が問題の孫策さん。

 

 

一刀○んこもげろ!!

作者もあのチ○に顔うずめてぇよ!!

マジでち○こもげて玉も潰れろ!!

って言うかもう、一刀爆発すればいいよ・・・・・・・。

孫策さんが一刀の辛さを受け止めてくれてよかったねって言ってあげたい。

けどさ、↑↑に書いてる感情が強すぎて祝福できねぇよ!!・・・・・・そんな話。

なんか、むなしくなるので孫策さんの話はこの辺で終わりますorz

 

 

最後は一刀くん。

 

 

とりあえずもげろ。

さて、何気に予想外の展開だったかもしれません。

小悪党・・・・・・・死んじゃった、エヘ♪

そして登場匈奴。

この先どうなるんでしょうね・・・・・・・・。

話が進むたびに、人物やら地図やらのブックマークが増えてってそろそろ整理しないとカオスです・・・・・。

さて、徐晃公明が登場しましたが明確なキャラ設定はありません。

今の所、禁軍所属の将軍で男と言う設定。

禁軍の将なので史実どおりそのまま魏に所属する事になります。

魏の様子も書く事になるので度々出てくるかと思われます。

後は玲さんの行方が発覚したくらいかな・・・・・・。

出番がありそうでなかった玲さん・・・・・心から謝ります、ゴメンナサイorz

 

 

 

さてと、解説になってない解説はこのくらいかな。

実の所、赤壁の場面は書きあがってたりするんです。

ただ、どのタイミングで入れ込むべきかが悩みどころ。

今考えているのは次章に移る最初に入れて赤壁に至るまでの話を回想風に差し込むか、赤壁の話は纏めて出すかで決めかねてます。

と言うのも、赤壁に至るまでの話が長くなりそうなんです。

まだ書くことが沢山ありすぎてw

呉だけじゃなくて魏も書かないといけないしなんだか100話とか平気で突破しそうで怖いです。

反董卓連合編も後1話か2話ぐらい続きそうだし・・・・・・。

まぁ、愚痴っても仕方ないか・・・・。

 

 

ってな訳で今回はこの辺で。

 

次回も

 

生温い目でお読みいただけると幸いです。

 

 

 


 
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