草木も眠る丑三つ時
「え~・・・皆様。準備はよろしいでしょうか?」
「「「「お~~~~~」」」」
一刀の言葉に蜀の将達は揃って返事をする。
「それでは、これより第一回蜀陣営肝試し大会を行いま~~~す」
パチパチパチ・・・
拍手が響く。
ここは町外れにある古びた館。
この館には三十年程前、父親、母親、姉、弟の仲の良い四人の家族が住んでいたのだという。
しかし、父親が家を空けたある日、四名の強盗が押し入り、母と姉は乱暴されて殺され、弟は胴から真っ二つにされて殺された。
金目の物は、彼女達が身につけていた物から家の中の物まで全て持っていかれた。
父親が帰って来たのは全てが終わって二刻程経ってからだった。
その惨状を見た父親は嘆き悲しみ、そして狂い、恨みの言葉を書き残して首を吊ったのだと言う。
・・・話はここからだ。
それから一月程経った頃、強盗の一人が自首してきた。
彼は酷く錯乱しており、
「死刑にでも何でもしてくれ!あんな無残な殺され方する位なら死刑にされた方がマシだ!!」
と警邏兵に言ったのだと言う。
とにかく事情聴取を行った兵士達だったが、正直、まともな話は聞けなかった。
「仲間はみんな殺された!アイツらだ!アイツらが復讐に来たんだ!!」
男はこのように叫ぶばかりである。
とにかく、自首してきたからには放っておく事も出来ず、彼は牢へ入れられた。
しかしその翌朝、兵士達が牢で目にしたのは
恐怖の表情を顔に貼り付け
胴から真っ二つにされた
男の姿であった・・・
「その後、他の三人も同じように胴から真っ二つにされて怪死していた事が分かり、人々はここの家族が祟りを為したのだ・・・と恐れて念入りに供養したのだと言う・・・ほら、そこに墓と祭壇があるだろ?」
一刀の指差した方向には、確かに墓石が四つ並べられ、その奥に小さな祭壇が設けられていた。
「そ、そんな事ある訳がないだろう!全く、くだらん!!」
愛紗が噛み噛みで大声を出す。
「・・・怖いなら無理すんなよ」
「こ、怖い訳がないだろう!私は関雲長だぞ!?例え亡霊が現れたとしても、この青龍偃月刀の錆にしてくれるわ!!」
青龍偃月刀を振り上げ勇ましく言う愛紗。
しかし・・・
「・・・だったらその足の震えは何だ?」
一刀の視線の先にはガクガクと震える愛紗の足があった。
「む、武者震いだ!!」
それでも虚勢を張る愛紗にため息をつく一刀。
「はぁ・・・じゃあ組み分けするぞ。みんなクジ引け~~~」
一刀の言葉に皆集まってきて、それぞれ一刀が持つ竹の棒で出来たクジを引く。
棒の下に番号が振ってあって、番号が一緒の人が組になる。
「あ、二番だ~~」
「鈴々も二番なのだ~~」
「五番ね。誰かしら?」
「あ、アタシだ。よろしく、紫苑」
「こちらこそ、翠ちゃん」
「何でお前が三番なんだ!?」
「蒲公英だってヤダよ!脳筋と一緒じゃあ肝試しにならないし・・・」
「誰が脳筋だ!?」
「怒るって事は認めてるんじゃない」
「貴様~~!!」
皆、クジの結果でワイワイ騒いでいる。
そして最後に桔梗がクジを引き、
「みんな引いたな。さて、俺は・・・」
一刀は最後に残ったクジの番号を見る。
一番だった。
「一番誰だ~~?」
一刀はクジを高々と上げて周りを見回す。
そして
「・・・・・・」
ゆっくりと手を上げたのは
愛紗であった・・・
一番、一刀・愛紗
二番、桃香・鈴々
三番、蒲公英・焔耶
四番、桔梗・月
五番、紫苑・翠
六番、詠・朱里
七番、星・雛里
と言う組み分けになった。
「それじゃあルールを説明する。昼の間にこの館に、組の数だけ木の札を兵士達に隠してもらった。それを探して持ち帰ったら終了だ。」
一刀は皆に向けて説明する。。
「番号順で、先の組が館に入って、帰ってきたら次の組・・・って感じで進めていくから。後、札自体はそんなに難しい所に隠してない筈だから、結構あっさり見つかると思うぜ?分かったか?」
一刀の言葉にみんな頷く。
「そいじゃ、行くとするか?」
愛紗に向けてそう言う一刀。
「わ、分かっている!!」
相変わらず大声を出す愛紗。
怖いのをごまかそうとしているのが見え見えで、見ていて痛々しい・・・
「頑張ってね~~愛紗ちゃ~~ん」
「怖かったら一刀殿にしがみつくがよいぞ~~」
「誰がやるか!!」
桃香の励ましと星のからかいを背に、二人は玄関の扉の前まで来た。
そして扉を開けようとした時、
ギィィィィ・・・・・・
「お・・・」
「・・・!!」
扉がひとりでに開いた。
「・・・こりゃあ気を引き締めて行った方が良さそうだな」
一刀が呟く。
「・・・・・・」(ダラダラ)
愛紗は硬い表情で冷や汗を掻いている。
「おい、行くぞ?」
「あ、ああ・・・」
一刀が先に入り、愛紗が少し遅れて館へ足を踏み入れる。
そして玄関から少し先に行くと・・・
バタン!!
「!!」
扉が大きな音を立てて、ひとりでに閉まった。
「・・・今のは、微妙だな。風かもしんねえし」
ひとりごちる一刀。
「か、風に決まっているだろう!くだらん!さっさと札を見つけて帰るぞ!!」
愛紗の大声が館に響き渡る。
そんな中
ウフフ・・・
「?今、何か言ったか?」
「い、いや・・・」
・・・・・・沈黙。
「もしかして、れ・・・」
「か、風の音だ!くだらん事を言ってないで、さっさと行くぞ!!」
愛紗はそう言って、一人でズンズンと一階の左の廊下へ行ってしまう。
「やれやれ・・・」
一刀は愛紗を追いかけようとするが、ふと玄関正面の二階への階段の先を見る。
「・・・お邪魔しま~~す」
一刀はそう言って、愛紗の後を追いかけた・・・
一刀が見ていた階段の先
そこには
白いワンピースのような服を着た
若い女性の姿があり
その女性の姿はスーッと薄くなっていき
その場から消えていったのだった・・・
どうも、アキナスです。
恋姫とは全く関係ないまるでサウンドノベルのような今回のお話。
こんなの書いた事もないのに果たして最後まで書ききれるのか?と少し後悔してたり・・・
スーパーファミコンソフトで夜光虫、魔女たちの眠り、ザクロの味、学怖、弟切草、かまいたちの夜とプレイしてきた経験を参考にして何とか書いてみようと思います。
これから起こる出来事とは?
そして愛紗の運命は!?
それでは次回に・・・
「助けて百太郎!!」
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またもや唐突なイベント
皆様を別の世界へご招待します・・・