愛紗の意見で、一番近い部屋から順番に探していく事にした二人。
部屋の扉を開けると、そこは寝室のようだったが、中は埃だらけでくもの巣が張っていた。
三十年も人が立ち入っていないのだから、無理もないのだが・・・
「さっさと探して帰るぞ!」
愛紗は相変わらずの様子で、せわしなく室内を探し始めた。
やれやれと言ったかんじで肩を竦めて、一刀も札を探し始める。
机の中、ベッドの上、本棚もあったので調べたが、札は見つからなかった。
そして一刀がふとベッドの下を覗き込もうとした時、
ゴトゴトッ
ガシャン!
「ヒッ!」
「おお!?」
二人は音のした方を振り返る。
机の上に置いてあった見るからに安物の花瓶が、床に落ちて割れていた。
「お、脅かしおって・・・」
「・・・とりあえず他の部屋見てみるか?」
「そ、そうだな」
一刀の言葉に愛紗は首を縦に振り、二人は部屋を出て行った・・・
そして
一刀が見ようとしていたベッドの下から
ズル・・・ズル・・・と
何かを引きずるような音がしていたのだった・・・
次の部屋は、どうやら女性の部屋のようだった。
衣装棚が先程の部屋の物よりも大きい。
そして大きな鏡のついた化粧などをする台があり、ベッドの枕元にかなり精巧な人形があった。
二つのお団子状に髪をまとめた、チャイナ服を着た人形。
しかし、何より目を引いたのは、床に大きく残っている赤黒い染み。
先程の話が本当なら、殺された人の血の跡、という事になるだろう。
なにはともあれ、二人は札を探し始める。
「・・・・・・」
一刀は先程見れなかったベッドの下を見てみる。
・・・特に何もなかった。
ふと顔をあげて、ベッドの上を見ると
(・・・?)
一刀は少し違和感を覚えた。
人形があった位置が、少し変わったように思えたのだ。
そして
「ヒィッ!!」
愛紗がズザザッ!と化粧台から後ずさる。
「どうした?」
一刀が愛紗に近づく。
「あ・・・あれ・・・」
愛紗は化粧台の開いた引き出しを指差しながら、搾り出すように言った。
一刀がその中を覗くと
「・・・うわ」
思わず声が漏れた。
引き出しの中には
女性の長い髪の毛が
ぎっしりと詰まっていたのだ・・・
「「・・・・・・」」
二人は無言だった。
愛紗は先程の位置で硬直している。
一刀も無言で化粧台を調べていた。
そして・・・
「ん?」
一刀は何を思ったか、髪の毛が詰まっている引き出しの中に手を突っ込んだ。
「な!」
愛紗は驚きの表情を浮かべた。
一刀は引き出しの中をごそごそ漁ると
「あったぞ、札」
そう言って、髪の毛だらけの木の札を愛紗に向けた。
「ち、近づけるな!!」
愛紗は悲鳴にも近い声を上げる。
「何だよ、せっかく気持ち悪いの我慢して取ってやったっていうのに・・・」
一刀はパッパッと髪の毛を払う。
「と、とにかく!札が見つかったのならもう終わりだな!さっさと帰るぞ!!」
「え~・・・せっかくだから、もう少し館の中を・・・」
「帰るぞ!!」
「・・・はいはい」
一刀も仕方なくそう言って、部屋を出ようとする二人。
だが・・・
「・・・で」
背後から女性の声が聞こえた気がした。
一刀と愛紗は声のした方に顔を向ける。
誰もいなかった・・・が
「・・・おい」
「な・・・何だ?」
一刀の声に、愛紗がビクビクしながら答える。
もう強がる余裕もないようだ。
「お前、あれ動かしたか?」
「・・・ブルンブルン!」
愛紗は凄い勢いで首を横に振る。
「・・・俺もやってない。と、いう事は・・・」
一刀達の視線の先には、先程の人形。
人形の方もこちらに視線を向けているように見える。
ドアへ後ずさる二人。
そして
「モッ・テ・イ・カ・ナ・イ・デ」
人形が喋った
「イヤーーーーーーーーー!!」
愛紗の悲鳴が
館に響き渡った・・・
どうも、アキナスです。
う~ん、やっぱり無謀な試みだったかもしれません。
部屋の間取りとか結構適当で、分かりにくいでしょうから・・・
どうやったら上手く書けるんでしょう?
はぁ・・・・・・
とにかく、館の恐怖はまだ始まったばかりです。
二人の運命やいかに!?
それでは次回に・・・
「ルドラーーー!!」
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館に足を踏み入れた一刀と愛紗。
二人を待ち受けるものは・・・