No.227975

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第三十六話

獅子丸さん

第三十六話。


徐々に反董卓連合へと加速していきます。

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2011-07-14 22:11:48 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:17646   閲覧ユーザー数:14034

 

 

 

 

― 一刀Side ―

 

 

 

 

 

黄巾の乱が終結して数ヶ月。

洛陽に残していた細作から情報が届けられた。

 

『霊帝の崩御。そして何進の死』

 

その情報と時を同じくして洛陽から寿春へ使者が送られてきた。

使者の名を聞いて驚く。

そして、ついに来たか・・・・・・そう思ったのは言うまでもない。

今、俺達は使者との謁見のため玉座の間に集まっていた。

しばらくして入り口の扉が開き二人の使者が入って来る。

 

 

「ようこそ寿春へ・・・・・」

 

 

雪蓮の言葉を聞き終えた後、皆は使者に向かって礼をとる。

かく言う俺は朝廷でやらかした手前、皆とは違って無理やりふんぞり返っているけど。

正直なところ、こんな風に自分を偽る事は得意じゃないんだよなぁ・・・・・。

そんな事を考えながら不遜な態度で使者と相対している。

 

 

「ご丁寧にどうも・・・・・ボクは姓は賈、名は駆、字は文和。そしてこいつは・・・・・・」

 

「うちは、姓は張、名は遼、字は文遠や。うちは賈文和の護衛として着いて来ただけやから気にせんといて」

 

 

あれが賈駆・・・・・・そして張来々で有名な張遼かぁ・・・・・。

って言うかなぜに袴!?

明命の刀といい目の前の袴といい・・・・・・うん、いまさら考えても仕方がないな。

と、色々考えているうちに皆、自己紹介が終わったらしく最後に俺の番が回って来た。

 

 

「・・・・・・姓は北郷、名は一刀『天の御使い』だ」

 

「へぇ、あんたがあの・・・・」

 

「もっと胡散臭そうな奴やと思っとったんやけどなぁ」

 

 

胡散臭いって・・・・・・まぁ、的確な言葉だとは思うけど少し傷つく・・・・・。

微妙に凹んだ俺をよそに話が進んでいく。

 

 

「伝える事は二つ。

一つ目は黄巾賊討伐の功績とここ『揚州』の平定の恩賞として孫伯符を『揚州』州牧に任命する。

二つ目は・・・・北郷一刀、劉弁様がお会いになりたいとの事、よって洛陽に来ること。

以上よ」

 

「・・・・・・・は?」

 

「何か文句ある?」

 

 

文句ある?って・・・・・・。

一つ目は良いとして、何で俺が劉弁に呼ばれなきゃいけないんだ?

 

 

「一つ目は喜ばしい事だが、二つ目はどう言うことだ?」

 

「確かに一つ目はありがたいけど何で一刀が名指しで呼ばれるわけ?」

 

 

俺が問いかけた後に雪蓮も続く。

今現状、俺は洛陽に行く必要性はない。

劉宏と何進が死んだ以上、そろそろ連合が組まれる事になるはず。

そんな時期に洛陽に行っていれば孫家が董卓側についていると思われかねない。

目の前にいる賈駆は俺達の問い掛けに答える事無くじっとこちらを見ていた。

そんな空気を引き裂いたのは・・・・・。

 

 

「ちょいと邪魔するぜ・・・・・・一刀様、悪い知らせだ」

 

 

南陽での戦の後、別行動していた影が突然部屋へと入ってきた。

そして第一声。

悪い知らせか・・・・・・。

 

 

「動き出したか?」

 

「あぁ・・・・・・しかも奴が絡んでる」

 

「それは確かか?」

 

「まず間違いない・・・・・・・っと、ここで話して良いのか?」

 

 

影は使者である二人に目をやりそう問いかけてきた。

俺もチラッと二人に視線をやる。

そんな中またもやこの部屋の空気を引き裂く者がいた。

 

 

「失礼します!!」

 

「明命、来客中だ」

 

「っす、すみません・・・・・ですが冥琳様!緊急事態です!!」

 

 

あわてた様子で飛び込んできた明命は、冥琳に注意されたにもかかわらず側へと走り寄りヒソヒソと何かを告げる。

それを聞いていた冥琳の眉間に皺が寄る。

 

 

「ちょっと良いかしら?緊急事態って何よ?」

 

「・・・・・・・いくら朝廷の使者であろうとお教えする事はできかねます」

 

「なんや、ケチやなぁ。荒事やったらいくらでも手を貸したるのに・・・・・」

 

「一刀、少しいいか?」

 

「あぁ」

 

 

冥琳はそう言って俺の側にくる。

ヒソヒソと告げられた事は影の持ってきた情報と重なる事だった。

 

 

 

 

 

 

(明命によると李文優と名乗る男が使者として劉表の元を訪れたらしい。

その後黄祖と蔡瑁に個別で会っていたようだ)

 

(なるほど・・・・・・尻尾をつかんだわけか。

恐らく後1ヶ月ほどで戦が始まるはずだ・・・・・・・李儒が絡んでる事は間違いない)

 

(そうか・・・・・・・使者達はどうする?)

 

(とりあえず・・・・カマかけてみないか?)

 

(ふむ、とりあえずそうしてみよう)

 

 

部屋の片隅でそう会話して二人で皆のところに戻る。

俺は改めて使者と向き合い事を進める。

 

 

「すまん、少し面倒な事が起きたようだ」

 

「・・・・・・なんか納得いかないけど別に良いわ」

 

「質問があるんだが」

 

「何?」

 

「李文優は今どうしている?」

 

「何進が死んだ後、そのままボク達の軍に入ったわ、今は荊州の襄陽に使者として行ってる筈よ。それがどうかした?」

 

 

あっさり答えるあたり、やましい事はなさそうだな。

それにしても予想通り董卓の傘下に入ったか。

影をちらりと見ると小さくうなずくのが見えた。

賈駆の言葉に嘘はないという事だろう。

となると、やはり李儒は裏で何か企んでいると言うことだ。

冥琳に視線を向け小さくうなずくのを確認して行動を起こす。

 

 

「そうか・・・・・・賈文和殿は知っているか?孫家と劉表の因縁を」

 

「・・・・・・・えぇ、知ってるわ。それが何?言いたい事があるならはっきりいいなさい・・・・・」

 

「それじゃ、はっきり言わせてもらおう。李文優はどうして密かに黄祖と接触しているのか説明してくれないか?」

 

「「え(なんやて)!?」」

 

「っちょ!詠どういうことや!?うち何も聞いてへんで?『天の御使い』の力を借りるって話やないんか!?」

 

「ボクだって知らないわ!!ッチ!あのキツネ男め!!胡散臭いとは思ってたけどやっぱり裏で何かしてたのね・・・・・・・」

 

 

俺の問い掛けに弁明するかと思っていた・・・・・・だけどその反応は予想の斜め上。

冥琳と俺は予想外の発言に唖然としていた。

 

 

「私の聞き間違いかもしれないが・・・・・・『天の御使い』の力を借りると聞こえたのだが?」

 

 

蓮華の問いに使者の二人はハっとしてあわてるそぶりを見せた。

 

 

「っちょ!霞のバカ!!」

 

「言ってしまったもんはしゃーないやん・・・・・ええやん?どうせいつかは言わなあかんのやし」

 

「ここじゃ誰に聞かれているかわからないじゃない!!」

 

「そんな怒らんでもええやん・・・・・・・」

 

鬼気迫る勢いで怒る賈駆と怒られて凹む張遼。

目の前で繰り広げられるやり取りをよそに、俺は影から詳しい話を聞く為に影を側を側に呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― 賈駆Side ―

 

 

 

 

 

 

最悪の事態になったと思った。

董卓陣営に所属する李儒の行動の所為で孫家に助けを求める事は難しくなった。

ボク達は知っている。

今、洛陽以外の場所で月がなんて言われているか。

ボク達は洛陽を必死に復興しようとしていた。

何進に呼ばれ洛陽を見た月は現状に嘆き、それを打開しようと寝る間を惜しんで洛陽のために頑張っているのに・・・・・。

どうせ唯の妬みだと最初は思ってた。

だけどそれは日を追うごとにどんどん酷くなっていった。

そんな噂とは逆に洛陽は日に日に活気を取り戻していた矢先に事は起こる。

劉宏様崩御、そして何進の暗殺。

月はその尻馬に乗った形で大司徒になった。

皇帝は劉弁様に代わり、いつの間にか劉弁様と仲良くなっていた月に目をつけた十常侍がそれを利用しようとしていた。

もちろんそんな事はさせなかったけど。

そんな時に李儒は禁軍軍師の任を解かれボク達に所にやってきた。

そして、いつの間にか陣営に加わっていた。

胡散臭い男。

ボクはそう思ってたし、なんと言ってもあの恋が言葉を交わす事すらしなかった。

月は気づいてないかもしれない・・・・・と言うよりも気づかないで居てくれるほうが助かる。

ボクは李儒が何を企んでるのか調べる事にした。

だけど李儒になんら怪しい行動が見られなかった。

だけど別の収穫があった。

十常侍が影で動いていた事がわかった。

何進暗殺をしくんだのも十常侍。

そして十常侍の悪事を暴いて公にしようとしたところで事は起こった。

劉弁様と月が誘拐された。

私達はあわてた。

皆で必死になって探したけど何処に居るのかすらわからなかった。

劉弁様の妹君である劉協様に協力を頼んで後宮内まで探しつくした時に事は起こった。

犯人は十常侍達だった。

自分達より力を持った月を恐れ、悪事が暴かれそうになった事に焦って実力行使にでたと言うのが事の顛末。

恋や霞、華雄は怒り十常侍を殺そうとしたけど出来なかった。

ボク達は月を人質にとられていたから。

それがついこの間の話。

そして十常侍は私達を裏から操り、各地の有力諸侯を味方につけようと動き出した。

その一環として、黄巾賊壊滅の功として各地の諸侯に官位をばら撒き始めた。

孫伯符の州牧任命もその一環。

そして『天の御使い』の洛陽への召還にも裏があるはず。

これは私の予想でしかないけど多分間違っていない。

十常侍は『天の御使い』を洛陽に呼びつけた後、殺す算段を立てているに違いない。

ボク達は噂の現場を見たわけじゃないから真実かはわからない・・・けど十常侍は『天の御使い』を恐れているのは間違いない。

月が噂で聞いたと話していた『天の御使い』は苦しんでいる民を自らの命を顧みずに助け、力を持っているのにそれに驕らない素晴らしい御人・・・・・らしい。

こんな世の中でそんなに出来た人間が居るはずなんてないと思ってみても・・・・縋りたくなるのはボク達にはもう打つ手がないからなのかもしれない。

だからボクが直接揚州に出向いてきた。

洛陽への道中で助けを求めるつもりだった。

だけど・・・・・・・今のこの状況。

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「なぁ、詠・・・・・・どないする?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「悪いが説明してもらえるか?」

 

 

『天の御使い』からの問い掛けにボクは反応できない。

私達には監視がついているはず。

さっきの霞の一言はすでに聞かれているはず。

その事が十常侍に知れれば月の命は・・・・・・。

そんな時、『天の御使い』が隣に居る男に声をかけた。

 

 

「・・・・・・周囲の状況は?」

 

「問題ない。すでに城内に潜んでいたネズミは駆除していると報告を受けている。

『トントントン』・・・・これで俺の部下達もこの部屋一帯を封鎖に行かせた」

 

「でわ、私も周囲の監視に就くとしよう」

 

「私も行きます!!」

 

「頼むよ思春、明命」

 

「お任せを(ハイ!!)」

 

『天の御使い』の隣に居る男が足で床を踏み鳴らしてそう言った。

男の後に入ってきた人物と最初から孫権の横に控えていた甘寧もそう言って部屋から出て行く。

ボク達をよそに孫家の面々はいつの間にか周囲の警戒の態勢を整えていた。

状況が理解できないボク達をよそに、孫家の主である孫策、その妹の孫権、孫策の右腕である周瑜、そして『天の御使い』とその部下であろう男以外は外に面した窓や入り口を警戒するような位置に移動していた。

 

 

「さぁ、これで誰かに聞かれる心配はないだろう」

 

「なんか深い事情があるみたいだし話しちゃいなさい」

 

「うむ、一刀を洛陽に呼ぶとなると何かしら裏があるだろうしな」

 

 

この状況で話さないなんて選択肢ないわよね?

ボク達が変な動きを見せようものならあっという間に命とられる予感がするわ・・・・・・。

そんな状況で、どうするべきかと思考を巡らしていると霞が動いた。

 

 

「詠が話さんのやったらうちが話すわ・・・・・。なぁ『天の御使い』、うち等大事な人がおんねん。

けどな、その大事な人が捕まってしもうてん」

 

「・・・・・・・俺に、その大事な人を助けろと?」

 

「簡単に言うとそういうこっちゃ。うちらだけじゃ・・・・・正直なところ、もう打つ手がない」

 

 

そう言った霞は悔しそうに俯き、力いっぱい握り締めたこぶしが震えている。

・・・・・・そうよね。

ボク達は、始めっから『天の御使い』に助けを求めるつもりでここに居る。

向こうがこれだけお膳立てしてくれてるんだからこの状況をうまく使わない手はないわ。

それに、ボク達にはもう時間がない・・・・・。

 

 

「霞の言うとおりよ。ボク達にはもう打つ手がない・・・・・・・できる限りのことをやったわ。

けど月を・・・・大事な人を人質にとられてボク達はどうする事も出来ない。

だから・・・・・・だから」

 

「影、今の話は・・・・・・・・「な!?何勝手に人の真名呼んどるんや!!!」・・・・え?」

 

「こんな状況だからって・・・・・かってにボクの真名をよぶな!!」

 

「いや、ちょっと待って・・・・・・・・すまん、説明してくれ」

 

 

突然ボクの真名を呼ばれ霞とボクは怒りをあらわにした。

怒って当たり前の事に『天の御使い』は一瞬しまったと言う顔をして隣に居た男の肩に手を置き溜息をついていた。

 

 

「何よその態度は!!」

 

「許さへんで!!その首を叩ききったるわ!!!」

 

「俺の真名だ」

 

「「え??」」

 

「だから、一刀様は俺の真名を呼んだんだ。お前の真名を呼んだわけじゃない。

今の状況で一刀様がそんな事をして何の得がある?少し考えればわかるだろうが」

 

「そう言う事・・・・・・・。気づいてはいたんだがうっかりしていた。

すまなかった」

 

 

 

 

周囲に居た孫家の面々は一刀を見ながら、やれやれと言う顔をしていた。

ボク達はそんな状況の中、二人して呆気にとられるしかなかったわけで・・・・・・。

真剣な話をしていたのにちょっとした勘違いで話の腰を折ってしまった。

よくよく考えれば『天の御使い』隣に居る男に向かって話しかけていたわけだし・・・・・・。

今のボクはそんな事さえ気づかないほどに冷静さに欠けて居るのかも。

 

 

「そ、そうやったんか・・・・・・・ハ、ハハハ・・・・申し訳ない」

 

「いや、俺も悪かったから気にしないでくれ。賈文和殿も悪い事をした・・許してくれ」

 

「べ、別に良いわよ・・・・・ボクの勘違いだった訳だし・・・・・」

 

「それじゃ、この件はこれでお仕舞いにしよう・・・・・・・でだ」

 

「二人の言っている事は真実だ、一刀様。

二人の主である董仲穎と皇帝である劉弁様は十常侍により監禁されていると報告があがってきている」

 

「っな!何でそんな事知っとるんや!?」

 

 

霞と同様、ボクは唖然とした。

私達しか知らないはずの事を目の前の男は知っているのだから驚くのは当たり前よ・・・・・。

 

 

「十常侍は後宮の地下室に二人を監禁しているようだ。おまけに董卓陣営と同様に劉協様にも脅しをかけているらしい」

 

「そんなはずない!うちらだって後宮をくまなく探したんやで?それに後宮に地下室なんてなかったわ」

 

「残念だが存在は知らないだろう・・・・有事の際の脱出通路を兼ねているようだからな。

出入りしている人間を見かけなければ細作達も気づかなかっただろうしな」

 

 

さらに驚く。

地下室があった事にもだけど、細作が宮廷内に入り込んでいた事に。

宮廷に遣えるにあたってその人物の審査は徹底的にやっていたはず。

少しでも怪しい人物はその周囲まで徹底的に調べているから細作が入り込む余地なんてある筈がないと思い込んでいた。

だけど目の前の男の口ぶりからすると事実宮廷内に細作が居る事になる。

その証拠に、私達が知らない情報を持ってる。

 

 

「その情報は確実なんか?」

 

「あぁ、間違いなく真実だ」

 

「自分で言うのもなんだが・・・俺の隊、それに孫家の細作はこの大陸で五指に入るほど優秀だ。情報の正確さは俺が保障する」

 

「さよか・・・・・ならなおさらや。『天の御使い』うち等の大事な人を救うために協力してくれへん?」

 

 

『天の御使い』・・・・・・今までは眉唾物だと思ってた。

全てが真実かどうかはわからない。

けど、今目の前で起こった事は真実。

そして『天の御使い』が率いている部下達の実力も真実。

ボク達が出来なかった事を平然とこの揚州という場所に居ながらやってのける『天の御使い』と呼ばれる男なら・・・・。

この男なら月を助けてくれるかもしれない。

月を助けるためなら・・・・・・・。

 

 

「お願いします!!『天の御使い』・・・・いえ、北郷様。どうか月を・・・・・董仲穎を助けてください。

月は・・・・今噂されているような人間じゃないんです!!

苦しんでいる人が居たら自らの身を削ってまで手を差し伸べるような優しい子なんです!!

洛陽の人達を助けようと根も葉もない悪名を被ってまで必死に・・・・・必死に!!

なのに・・・・・なのに・・・・・・・・・」

 

必死に頭を下げた。

月を助けるためならボクの頭くらい幾らでも下げる。

ボクはいつの間にか泣いてた。

あんなに一生懸命な月が不憫で仕方なくて・・・・・。

嫌な物から目を背けず、傷つきながらも気丈に振舞って誰かを助けようとする月。

ホントは人の上に立つなんてしたくない筈なのに・・・誰かにやらせておけばいいはずなのに・・・・・。

それでも自分がその場に居たから、見てみぬ振りなんて出来ないから・・・そう言って健気に頑張る月。

そんな月を自分達の権力のために利用して挙句の果てに誘拐。

月はただ目の前で苦しんでいる人を必死に助けようとしていただけなのに・・・・・・・。

 

 

「その噂が嘘だという事は知っている。洛陽を復興させようと必死に働いていると報告も受けている・・・・・・・気の毒だと思う、助けてやりたいと思う。

だが俺は孫家の将だ・・・・・・自分勝手に動く事は出来ない。

それに、賈文和殿も気づいているんだろう?近々連合が組まれるはずだ・・・・・・・董卓討伐のために」

 

「それは本当なのか!?一刀」

 

「本当だよ蓮華。檄文を発するのは袁紹・・・・・・その檄文は近いうちに各地の諸侯に向けて送られる。

そして、裏で手を引いているのは十中八九、李文優だ。

どうしてそんな事をするのかは解らない・・・・・・だけど俺の知っている李文優は皇帝を毒殺するような男だからな」

 

「「「「「っな!?」」」」」

 

 

『天の御使い』の言葉には驚かされてばかりだ。

月の噂の事も、李儒の事も、洛陽で起こったことも・・・・・・。

そして、まるで先が見えているかのような物言い。

たぶん『天の御使い』はこう言いたいんだと思う。

『孫家』を巻き込む訳にはいかない、だから助ける事は出来ない・・・・・と。

私は涙を拭って『天の御使い』と向き合う。

ボク達も董家が大事なように『天の御使い』も孫家が大事・・・・ただそれだけの事。

そうよね・・・・ボク達の要請に答えれば、それだけで孫家は董卓と結託していると思われるだろうし・・・・。

うん、貴重な情報を教えてくれただけでも十分だわ。

ボクだって・・・・それに月なら絶対に巻き込みたくないって思うはずだし。

 

 

「わかったわ。ボク達だって孫家を巻き込むのは嫌だし・・・・・」

 

「それでええんか?詠」

 

「今言った通りよ。月だってそんな事望んでないはずよ」

 

「せやな。月っちは誰かに迷惑かけてまで助けて欲しいと思うような子やないしな。

そういう訳や、なんやえろう迷惑かけてもうたな・・・・・」

 

「迷惑掛けたわね。・・・・・・・貴重な情報を教えて貰えたしそれだけでもお釣りが来るわ。

身勝手かもしれないけどこの事は内密にしてくれない?・・・・自分達の事は自分達でケリをつけるから。・・・・・それじゃ、失礼するわ」

 

「ほなな~」

 

 

そう告げるとボク達は部屋の入り口に向かって歩き出す。

 

 

「ふむ、私達は手を貸さなくて良いという事なのだな」

 

「え?」

 

 

周瑜の突然の言葉に慌てて振り返る。

 

 

「一刀は言わなかったか?」

 

「・・・・・・・あ!?」

 

「え?なに?どういうことや?詠」

 

 

やっぱり私は冷静さに欠いていたみたい。

ちゃんと手を差し伸べてくれていたんだ・・・・・・。

それに気づきあふれ出そうな涙を袖で拭う。

そして私は膝を就きあらん限りの思いを乗せて言葉を放つ。

 

 

「孫伯符様、恥を捨て頼みたい事があります!!」

 

「申せ」

 

「我らの主、董仲穎を朝廷に蔓延る権力に取り付かれた者達より救い出すために手を貸していただけないでしょうか?

無償で・・・なんて言いません・・・・・もし手を貸していただけるのであれば私達の出来うる限りの事をする所存です」

 

「・・・・・その頼み受けよう。周公瑾!董仲穎救出の任、誰に任すのか決めよ!!」

 

「御意。董仲穎救出の任、北郷一刀お前に任せる。必ず成功させよ」

 

 

その名前を聞き顔を上げる。

『天の御使い』こと・・北郷一刀は抱拳をしながら言葉を発した。

 

 

「その任確かに受けた。必ず董仲穎救出を成功させてみせる」

 

 

ボクはその一言で月が救われた気がした。

まだ月は十常侍たちに監禁されているのに。

だけど『天の御使い』の言った言葉を聴いて安心してしまった。

この人なら必ず月を助けてくれる。

そう思わせる何かがあったから・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

 

難産だったぜ獅子丸です。

すいません・・・・・最近少しサボってました(ぁ

うまく文章がかけなくてCβからやっていたネトゲに男格闘家が追加されたのでそれに逃避してましたw

いやぁ格闘家いいわ!

おかげでスッキリして一気に書き上げる事が出来ましたb

と言うわけで一刀Side。

 

ん~これと言って特筆すべき点はないかも・・・・。

強いて言えば影ですが、彼は基本重点的に調べるべき場所の派遣されていますw

情報の真偽と重要なものそうでないものの仕分けを現地でしてたり、

自ら情報収集に当たったりしています。

とりあえず細作としてはかなり優秀な人です。

そして影と詠の真名の被りをあえて出しまたw

真名の読みが被って居ると反董卓編を書くにあたってめんどそうなので早い時点で解消しておこうと言う思惑ですb

 

 

んで、お次は詠Side

 

こちらは書き終えた後、重大な間違いを犯していた事に気づいてしまって二度手間になったと言う。

詠の一人称がボクっ子なのをすっかり忘れてましたw

書き終えて読み直していると違和感を感じ本家乙女演義で確認したところその違和感の正体が発覚。

急いで修正かけたと言うオチですw

詠に関してですが、蜀√では最初は一刀に対して不信感バリバリですよね?

ですが獅子丸の√では一刀はまだ敵に回っていない事と洛陽での『天の御使い』の噂、そして月の誘拐事件の事もあり、不信感ではなく胡散臭いと思っているぐらいになっています。

月と劉弁の誘拐の事ですが、董卓と孫家が絡むにあたってどう話を持っていけばいいかと悩んだ末の結果です。

読んで頂けると分かるとおり、董卓軍と孫家は友好的に絡む方向で進む予定です。

まぁ、どう反董卓連合戦を切り抜けるのかは楽しみにしててくださいb

そしてここで尻尾をつかまれた李儒に触れています。

李儒が何を企んでいるのか、黄祖、蔡瑁がどう動くのか・・・・それも徐々に明かしていこうと思います。

 

 

というわけで、今回はこの辺で。

次回も

 

生温い目でお読みいただけると幸いです。

 

 

 

 

 

 


 
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