私達北郷軍と劉備軍、そして孫策軍の三国同盟と、曹操軍との戦い。
その初戦は、私達の勝利で終わりました。
黄蓋さんの降伏。
今思えば、あれは敵を騙すにはまず味方からを地で行ったようなものです。
そして、あまりにも回りすぎた火。
これは曹操軍の船が鎖などで繋がれていたのが原因だったようです。
これは、鳳統さんの策略でした。
さらに今まで向かい風だったのが急に追い風になったのも大きかったです。
それらが全て組み合わさって、あの大軍を追い返すことが出来たわけです。
敗退していく曹操軍に追い打ちをという話もありましたが、それはやめました。
この戦いの目的は曹操軍の壊滅ではなく、弱体化です。
初戦だけで弱体化の目的は果たしていたので、無理に攻撃を仕掛ければ、こちらにも被害が及ぶでしょう。
なにより、退却する曹操軍に対しては諸葛亮さんが何やら策を巡らせていた様子だったので、それにお任せしました。
私達は勝利という最高のお土産をもって、自陣へと引き返してきました。
自陣では、大きな歓喜の言葉を持って受け入れられました。
ですが、一部不満の声もありました。
主に麗羽さんからです。
自分ならもっと華麗に勝利を収めたなど言っていますが、とりあえず無視します。
まずは、今回の戦の休養と今後の事についてです。
早いうちに、桃香さん達や孫策さん達と話し合いを持たなければと思っていたのですが、そこに一つ知らせが舞い込みます。
「曹操軍より、船団がこちらへと近づいてきます」
見張りをしていた兵士さんからの報告です。
「お兄さん、どうしましょう?」
「そうだなぁ。……その船団には何か特徴はないの?」
私の質問に答えることなく、お兄さんはその報告してきた兵士さんに尋ねます。
「特徴でございますか……。何やら白い旗を掲げているようでございます」
「白旗か……。危険はなさそうだね」
「そうですか~」
兵士さんの言葉を聞いて、お兄さんが先ほどの私の質問に答えます。
白旗が意味するもの。
それは、大抵が降伏を示唆しています。
ただ、弱体化したとはいえ今の曹操軍が降伏するほど弱っているとは思えません。
何か裏があるような気がします。
「とにかく、見に行かないと判らないか……。そうしたら、俺と風。それから星いいかな?」
「はい~」
「任せよ」
お兄さんは、私と星ちゃんに同伴を命じました。
他の皆さんには、次の戦いに向けて英気を養ってもらうようにしました。
こうして、少し気にはなりますが、白旗を掲げて来ているという船団に会いに行くことになりました。
船団が近づいているという川辺に行くと、すでに劉備軍と孫策軍が来ていました。
白旗を掲げているという情報は他にも伝わっていたようで、私達と同じように必要最低限に人数を揃えていました。
それぞれが、曹操軍の船団の意図を計ろうと議論しています。
しかし、結論は出ません。
それはそうでしょう。
結局の所、本人達に聞くしかないのです。
しばらくして、船団に乗っている人が誰か判るくらいまで接近してきました。
そこには夏侯惇さんと私達のよく知っている人物が乗っていました。
「稟ちゃん~」
「風、星、それに一刀殿、久し振りです」
船団が到着して、乗っていた人が降りたところで軽く挨拶を交わしました。
その和気藹々とした雰囲気に、他の皆さんは呆れたような感じになっています。
「これはどうしたのですか~?」
「実は……」
早速本題とばかりに、稟ちゃんに事情を聞こうとしたところです。
稟ちゃんが言うより早く、この人が叫びました。
「華琳様を……、華琳様を助けてくれ!!」
それは夏侯惇さんの今まで聞いたこと無いような悲痛とも言える叫び声でした。
華琳さん、おそらく曹操さんの事でしょうけど助けてとはどういう事でしょうか。
どういう事か聞こうにも、夏侯惇さんは助けてくれの一点張りで話になりません。
なので、詳細は稟ちゃんに聞こうと思います。
「稟ちゃん、夏侯惇さんの言う助けてとはどういう事ですか~?」
「実は……」
稟ちゃんの話によると、私達との戦いに敗れた夏侯惇さん達曹操軍は自陣へと引き上げました。
しかし、そこにいるはずの曹操さんの姿が無かったそうです。
探してみると、何やら白装束姿の集団に囲まれて、御輿に担がれていました。
しかも、そこにいる曹操さんの表情はうつろで、何やら操られているような感じでした。
早速救い出そうとするも、次々現れる白装束軍団に対処しきれず、私達に助けを求めることにしたと言うことです。
「お兄さん、どうしましょうか~?」
結果は分かっていますが、あえてお兄さんに聞いてみました。
「助けに行こう!!」
全く疑問を感じさせないお兄さんの回答に、さすがの星ちゃんも呆れ顔です。
「主よ、稟は知り合いとはいえ多少の疑問は持つべきではないのか?」
「確かに、敵だった相手の言葉だ。疑うべきかもしれない。けど、この夏侯惇さんの姿や稟の言葉に疑う余地はないよ」
お人好しという言葉だけでは言い切れないお兄さん。
分かっていましたが、ここまでとは思いませんでした。
ただ、私達は助けに行くとして、他の皆さんはどうするのでしょう。
稟ちゃんの言葉を桃香さん達も、孫策さん達も聞いていました。
そして、お兄さんの言葉もです。
その上で、どうするかはやはりそれぞれの判断となってしまいます。
「ねえ、朱里ちゃん。私達も助けに行こうよ」
「そうですね~。ですが、これが罠という事も……」
「きっと大丈夫だよ」
「う~ん」
桃香さんの根拠のない発言に、諸葛亮さんは悩んでいます。
「冥琳、私達はどうしよう?」
「そうだな。別段助けに行く必要もないな」
「そうだけど、一刀達が行くなら私達も行くべきだと思うのよね」
「どんな理屈だ、それは」
「それに、あの小娘にここで借りを作っておくのも悪く無いじゃない」
孫策さんは、自分で聞いておきながら行く気満々のようです。
周瑜さんは半ば呆れ顔をしています。
私達が行く事が後押しになったのでしょうか。
結局、全ての陣営が曹操さん救出に向かう事になりました。
現場に着いて驚きました。
白装束姿の怪しい連中の多さです。
袁紹さんの時や、洛陽のそれとは比較になりません。
その中を夏侯淵さんや、他の曹操軍の武将さんがなんとか抑えているという状況でした。
とてもじゃないですが、曹操さんを助けるなどという余裕はありません。
この状況なら、一番の戦力になる夏侯惇さんをあえて私達の元に向かわせるのは納得です。
「姉者!!」
夏侯惇さんの姿に気付いた夏侯淵さんが声をかけます。
「皆さんを連れてきました。華琳様を救出しましょう!!」
稟ちゃんが声高らかに宣言します。
「皆さんは、周りの者達を抑えて下さい。その間に私達曹操軍で華琳様を救出します。」
「では北郷軍、行きましょう~!!」
「応!!」
「さっきは暴れ足りんかったからなぁ。ここで大暴れさせてもらうで!!」
「霞よりも、私の方がたくさんしとめてみせるわ!!」
船上戦という事で暴れ足りなかったのでしょう。
霞さんと華雄さんが、相当やる気になっています。
よく見ると、劉備軍や孫策軍の皆さんも同じような気持ちのようです。
曹操さん救出が目的のはずなのに、それぞれの武を見せつけるようなそんな雰囲気になりつつあります。
地獄絵図……といったら大げさかもしれません。
ですが、今ここはまさにそんな様相を呈しています。
皆さんの気合いの入った声が聞こえるのと同時に白装束の皆さんが倒されていきます。
しかし、白装束の皆さんは倒されたかと思うと霞のように消えてしまったり、土になって地面に還ったりしています。
これが傀儡というものなのでしょうか。
そして、彼らは私達の事を傀儡と呼んでいました。
もしかしたら私達もこの白装束の皆さんと一緒……。
そんなイヤな考えが浮かびましたが、すぐに振り払い今の戦場を注視する事にしました。
私達や劉備軍、そして孫策軍の活躍であれだけ大量にいた白装束の皆さんの数が減っていき、曹操さんへの道が出来つつあります。
そこを曹操軍の皆さんが向かい曹操さんを救い出そうというわけです。
ですが、それは一筋縄ではいかないようです。
減っていきつつあった白装束の皆さんですが、再び数を増やしています。
無限……、という事はないのでしょうが、そう感じてしまいます。
そうなってくると、さすがの皆さんも疲れが出てきます。
さらに、士気もどんどん下がってしまい再び曹操さんへの道が閉ざされつつありました。
そんな様子を見ていたお兄さんですが、一度強く頷くと前に出て白装束の大将さんとおぼしき人に向けて言いました。
「お前達の目的は俺だろ!! 俺が今からそっちに行くから曹操を離せ!!」
この発言に私達はもちろん、曹操軍の皆さんも驚きました。
自らの身を犠牲にする。
英雄としてこれほど誇らしいものはありません。
ですがそれは同時に、周りの慕っている人達への悲しみに繋がります。
お兄さんは、今それを行おうとしています。
曹操さんを救い出すのが困難な現状、この方法は悪くはありません。
しかし、今この中で曹操さんを救い出す代わりにお兄さんを失うという選択肢を持っている人はいません。
お兄さんはそんな周りの気持ちなどお構いなく、白装束の皆さんの元へと近づいていきます。
お兄さんが近づくと、なぜか白装束の皆さんは左右にどいて道がつくられていきます。
まるでお兄さんを誘導するかのようです。
「殊勝な心がけだな、北郷一刀。お前が来るのであればこんな傀儡には用はない」
星ちゃんですら敵わなかった、あのお兄さんと同じくらいの男がそう言うと、曹操さんは解放されました。
未だに意識がないのか、曹操さんはぐったりとその場に倒れ込みそうになります。
「華琳様!!」
そんな曹操さんをすかさず夏侯惇さんをはじめとする曹操軍の皆さんが抱えます。
その様子を見る限り命に別状はないようです。
一つの懸念がこれで解消されました。
しかし、お兄さんをこのまま白装束の皆さんに渡すわけにはいきません。
いくらお兄さんが望んだことであっても、それは避けなければなりません。
皆さん考えていることは一緒のようで、お兄さんや白装束の皆さんの動きを注視しています。
お兄さんが白装束の人の元に向かってからどれくらい経ったのでしょう。
大した時間は経っていないはずなのに、それこそ永遠に近い時間を感じます。
それは、お兄さんに行ってほしくないという私の気持ちの表れかもしれません。
残念な事に、お兄さんは刻一刻と白装束の人の元に近づいています。
こんな時、何の力もない自分がもどかしくなります。
そんな事を考えながら、只ひたすらお兄さんが離れていくのを見ていました。
そして、お兄さんが白装束の人のそばまで到着したときです。
突然砂煙が上がりました。
何が起きたのでしょう。
ちょうどお兄さんと白装束の人との間で砂煙が上がりました。
それと同時に、お兄さんの周りにいた白装束の皆さんが吹っ飛びます。
しばらくして砂煙が消え去ると、その正体が分かりました。
赤い髪をなびかせ、槍を片手にお兄さんの前に立ちはだかっているのは恋さんです。
「……ご主人様は渡さない」
そう言って、白装束の人をにらみつけます。
と同時に、恋さんの周囲にいくつかの影が姿を現しました。
「せやせや!! お前らに一刀は渡さへんで!!」
「北郷は渡さん!!」
霞さんと華雄さんが、恋さんの脇を固めます。
そんな三人に感化されたのか、意外な人達も参戦しました。
「この人をお前達のような得体の知れない連中に渡すわけにはいかない!!」
「鈴々も守るのだー!!」
愛紗さんと鈴々ちゃんです。
お兄さんの周りにいる白装束の皆さんをどんどんと倒していきます。
と、また別の人も参戦してきました。
「まだまだ若い者に道を譲るわけにはいかんのぉ」
大量の矢と一緒に登場したのは黄蓋さんです。
曹操軍に降伏した事など無かったかのような動きを見せています。
そして、この人達も参戦しました。
「華琳様にこのような仕打ちをしただけでも万死に値する」
「魏武の大刀の力、その身でとくと味わうがいい!!」
夏侯惇さんと夏侯淵さんです。
お兄さんのため……、というより曹操さんへの仕打ちへの怒りからの参戦でしょう。
ですが、今の状況では非常にありがたいです。
「まさか、我々が共闘する事になろうとはな」
「全くだ。しかし、今は非常に頼もしいぞ」
「まあ、ええわ。ごちゃごちゃ言っとらんと、こいつを片付けるで!!」
霞さんの言葉で、一気に緊張感が高まります。
「ふん。傀儡がどれだけ集まろうとも、俺の敵ではない!!」
「……うるさい」
恋さんはそう言ったかと思うと、得物を思いっきり振りました。
かなり離れているはずなのに、ここにもその怒りを感じさせるような一撃です。
「ちいっ!!」
白装束の人がすんでの所でかわします。
「まだまだ、これだけでは終わらんで!!」
「全くだ!!」
続けて霞さんと華雄さんが二段構えで攻撃を仕掛けます。
「私達も行くぞ!! はぁぁぁぁぁ!!」
「うりゃりゃりゃりゃ!!」
さらに愛紗さんと鈴々ちゃんも攻撃を仕掛けます。
「私も負けておられん!!」
「姉者、ほどほどにな」
夏侯惇さんも合わせて攻撃を仕掛けていきます。
「儂の出番はないかのぉ」
そう言いながら、黄蓋さんは的確に矢を放っていきます。
この波状攻撃に耐えられる人はいないでしょう。
そう思っていたのですが、やはり例外というのはいるようです。
「あたらなければどうと言うことはない」
これだけの攻撃を、白装束の人は全てかわしていきます。
星ちゃんが敵わないのも分かる気がします。
しかし、そんな白装束の人に対し、皆さんの士気は下がっていません。
むしろ上がっているように思えます。
「あんちゃん、なかなかやるやないか。こんなにゾクゾクする戦いは久々やで!!」
「相手にとって不足なし。この大斧の錆にしてくれる!!」
そんな事を言いながら、皆さん次々に攻撃を仕掛けていっています。
まさに夢の組み合わせでしょう。
と、見惚れている場合ではありません。
私は、星ちゃんと一緒にお兄さんの元に行くことにしました。
お兄さんを囲う白装束の皆さんを次々と倒していきます。
あっと言う間に、お兄さんの元に行くことが出来ました。
「お兄さん~」
「主よ」
「風に星……。どうしてここに……」
「どうしてとはお言葉ですね~。風達はお兄さんの何なのですか~?」
「そうだ、主よ。その命易々と誰かに渡していいものではない事くらい分からぬのか」
「ごめん……」
お兄さんはそう言って頭を下げます。
私は別に説教をするつもりではなかったのですが、星ちゃんの言い草が結果的にそういう事になってしまいました。
けれどお兄さんは少し自重してほしいので、このままにしておきます。
「まだ言いたいことはあるが、今はあやつをどうにかする事を考えよう」
「そうですね~。ですが、大丈夫だと思いますよ~。ほら」
星ちゃんが心配そうに言いましたが、私は皆さんの方向を示して言いました。
そこには、かなり追い込まれている白装束の人がいました。
さすがに限界が来ているようです。
「くそっ、油断した。ここは退くしかないか」
「……逃がさない」
そう言って恋さんが、攻撃を仕掛けようとしたときです。
突然突風が巻き起こったかと思うと、白装束の人は居なくなってしまいました。
同時に白装束の皆さんも消滅しました。
今回も何とか追い払えたようです。
白装束の皆さんを追い払ってからしばらくして曹操さんの意識が戻りました。
曹操軍の皆さんから状況の説明を受けて一度頷くと、曹操さんが近づいてきました。
そして、お兄さんの前に立つと言いました。
「今回はあなたに助けられたようね」
「いや、俺だけじゃない。桃香や孫策、他のみんなが居たから助けられたんだよ」
「それでも、あなたは私の身代わりをしたと聞いたわ」
「まあ、身代わりといえばそうだけど……」
なんだか煮え切らない感じの回答ですが、曹操さんはそれでも納得しているようです。
「受けた恩はそれ以上の礼を持って返す。それが私の流儀。今この場であなたから受けた恩を返すわ」
「いや、恩だなんて……。俺は当たり前の事をしただけだから気にしなくていいよ。みんな無事だった。それでいいじゃん」
「そうはいかないわ。魏王が他人から受けた恩を返さないなんて民に顔向けできない。」
「そういうもんかなぁ」
「そうですね~。ここは素直に受けるべきだと思いますよ~」
「そうね。曹操の気の済むようにしてあげるのが今の一刀の役目ね」
「私も受けるのがいいと思いますよ」
私の言葉に合わせて、孫策さんと桃香さんが意見を述べます。
「みんながそう言うなら……。分かった。曹操、君の礼を受け取るよ」
「それじゃ、私達は立会人ね」
「そうですね」
「呉王と蜀王の立ち会いね。これほど正式なものはないわ」
確かに凄いです。
今この場には、この大陸四カ国の王が集結しています。
これは歴史的な場面というべきでしょう。
「私からの礼は三つ。一つ魏の領土よ」
「えっ!!」
「魏の領土って、曹操……」
「魏王の命を救ったという事は、魏の国そのものを救ったも同然。その相手に領土を差し出すのは当然だわ」
曹操さんの言い分は分かりますが、いくら何でも大きすぎます。
領土の拡大は喜ぶべきものですが、今の私達ではとてもじゃないですが魏の領土全てを治めるのは無理です。
これは何か対応策を考える必要がありそうです。
「二つめは、私を含めた魏の人員全てよ」
「全員って……」
これにも驚きです。
要するに、曹操さんは今まで自分が治めてきた全てをお兄さんに託すという事です。
魏の領土と言われたときに何となく予感はありましたが、実際に言われるとやはり驚きます。
「三つ目は……」
「待ってくれ」
曹操さんが三つ目の礼を言う前にお兄さんが遮りました。
「魏の領土、それに人員。確かにありがたいけど俺には宝の持ち腐れだよ」
「さっきも言った通り、魏王の命とその領土は同じものよ」
「そうだけどさ。俺は今の荊州だけで充分なんだよ」
「なんですって!! 王というものが領土の拡大が嬉しくないって言うの?」
「まあ、自由に行き来出来るのは便利だろうけどさ」
「呆れたわ……」
曹操さんはそう言って頭を垂れます。
桃香さんと孫策さんは、そんなお兄さんの様子を見て笑っています。
ある程度触れ合っていると、こういう人だって言うのが判るようです。
「あなたが欲しかろうがそうでなかろうが、これが私魏王曹操の礼よ」
そう言う曹操さんからは、王とはこういうものだという気迫が伝わってきます。
お兄さんはそんな曹操さんを見て、私に耳打ちをしてきました。
「風、これは受けるべきなんだろうけど、魏の領土は大きすぎだよな」
「それなら、受けるだけ受けて統治は今まで通り曹操さんにしてもらえばいいのではないですか~?」
「そうだな」
突然大声を上げるお兄さん。
その姿に、一瞬驚きを見せる曹操さんでしたがすぐにいつものように戻りました。
「それで、どうするの?」
「分かった。曹操の礼受ける事にするよ」
「それなら……」
「ただし、魏の領土、そして人員。それは受けるけど統治は今まで通り曹操が行ってくれ」
「それはどういう……」
「さっきも言った通り俺に魏の領土は大きすぎる。それに魏の民からすれば魏王は曹操、君だ。俺なんかが行っても反乱とか起きそうだしな」
お兄さんの言い分は尤もです。
それをどうにかするのが王の技量のはずなのですが、それは黙っておきましょう。
「その代わり、これからは交流の機会を増やして大陸をより良い方向に持っていきたい。もちろん、呉や蜀とも同じようにね」
さりげなく、桃香さんと孫策さんに配慮を入れました。
お兄さんが身代わりになったとはいえ、劉備軍や孫策軍が居なければ白装束の皆さんは追い返せなかったでしょう。
ならば、それ相応の礼をこの二人にもするべきです。
それが、魏との交流。
国内や三国だけよりもより一層色々活発になるでしょう。
「ははははは!!」
お兄さんの言葉を聞いて曹操さんが笑いました。
「それが、あなたの道なのね。分かったわ。統治は今まで通り私達がする。だけど、魏の領土はあなたのものよ。そのけじめだけはつけてちょうだい」
「わかった」
こうして、史上最大の戦いは意外な形で幕を下ろしました。
結果からすると予想外に良い方向に進みました。
これは大陸にとってかなり良い事でしょう。
戦のない平和な日々が始まる。
そう感じずにはいられませんでした。
あとがき
風ストーリーの25話お届けしました。
本当は先月中にアップしようと頑張っていたのですが、間に合いませんでしたね。
話の展開ですが、当初からこんな感じにする予定でした。
華琳が白装束に操られてというのは無印恋姫のエピソードからです。
これくらいの使用は大丈夫ですよね。
まずかったりするのかなぁ。
などと、書き終わってからちょっと不安です。
話はちょっとツッコミどころありすぎかも。
特に于吉がいればみんな操れるというのは、今回は用事があって無理だったという事でw
華琳の三つ目の礼は原作と同じです。
ですが、風の視点で書くので一刀との×××なシーンはありませんw
次の話ですが、大陸中で交流が持たれるようになってそれでみたいな話を書くつもりです。
ちょっとメインストーリーからは離れるかも。
まだ全然まとまっていないので、次はまた時間かかるかもしれません。
気長にお待ちいただけると嬉しいです。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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真恋姫無双の二次小説です。
風の視点で物語が進行していきます。
今回で赤壁の戦いが終わります。
若干というよりかなり違った終わり方になっているので
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