雪蓮達が合流した頃
「う・・・う~~ん」
寝台に横になっていた一刀がゆっくりと目を開ける。
そしてむっくりと上体を起こす。
「・・・ここは・・・」
一刀がキョロキョロと周りを見る。
そんな中部屋の扉が開いて
「・・・一刀?」
水の入った桶と清拭用の布を持って小蓮が現れた。
「・・・シャオ?」
一刀を見て少しの間、驚きで動けなかった小蓮。
そして
「一刀!!」
桶を放り投げ、一刀に抱きついてくる小蓮。
「うお!?」
そのまま寝台に倒れこむ一刀。
「痛え!」
一刀の背中が寝台に押し付けられ、傷に痛みが走る。
「シャオ!背中が痛いって!退いてくれ!!」
「一刀、一刀~~・・・」
小蓮には一刀の声が届かないようで、退こうとしない。
「・・・てりゃ!」
一刀は小蓮にチョップをかました。
「イタッ!」
「いいから離れろ、背中が痛えんだよ・・・」
「あ、ゴ、ゴメン・・・」
ようやく一刀から離れる小蓮。
そして
ぐう~~~~~~ぎゅごるるる~~~・・・・
一刀の腹から凄い音が鳴った。
「・・・腹減った」
一刀は腹に手を当ててそう呟いたのだった・・・
「バクバクバク・・・・・・」
一刀は凄い勢いで持ってこられた料理を平らげていった。
「ガツガツ・・・ンン!」
食事が喉に詰まったらしい。
手をばたばたさせる一刀
「はいお茶」
小蓮が差し出したお茶を一気飲みする一刀。
「ゴクッ・・・ゴクッ・・・ぷは~~~」
一息つく一刀。
「もう少し落ち着いて食べなよ~~」
「そうしたいんだが、腹が減ってしょうがねえ」
小蓮の言葉にそう返して、一刀は再び食べ始めた・・・
そして食べ終わる頃に華佗達がやって来た。
「ご主人様~~~~ん!!」
感激のあまり貂蝉が一刀に抱きつこうとするが
「一刀まだ背中完治してないんだよ!?貂蝉の力で抱きつかれたら死んじゃうよ!!」
小蓮が立ち塞がり、それを阻止した。
そして華佗は診察を始めた。
「・・・背中の傷は、完治まであと少しと言ったところだな。毒の方はもう心配ないだろう」
「よかったね、一刀」
「おう」
華佗の言葉に安堵する小蓮と一刀。
ようやく一刀も何があったか思い出したようだ。
「・・・で?俺が寝てる間にどんな事になってるんだ?」
「え~と・・・」
一刀の質問に、小蓮はいままでの事を話始めた・・・
「マジかよ!?」
魁・呉連合軍が蜀へ向かったと聞いて、一刀は声を荒げた。
「う、うん・・・」
その剣幕に押される小蓮。
「こうしちゃいられねえ!」
一刀は寝台から立ち上がった。
「か、一刀!?まだ寝てないと・・・」
「そうだぞ?まだ完治していないのだから安静に・・・」
「それじゃあ遅いんだよ!」
小蓮と華佗の言葉に耳を貸さず、部屋を出ようとする一刀。
「ったく!人が知らない間にドンパチ始めようとするなんてな・・・ムカつく!!」
怒り心頭と言った感じで扉に手をかけようとする一刀。
そこに貂蝉と卑弥呼が立ち塞がる。
「何処へ行く?」
「決まってんだろ?あいつ等追いかけるんだよ」
卑弥呼の言葉に一刀はそう言った。
「いまから馬や馬車で行っても間に合わないと思うわ。それでも行くのん?」
「たりめーだ!俺がいない間に勝手に事が進むなんざ許せるか!?・・・それに」
一刀は一度言葉を切って、こう言った・・・
「俺はまだ、劉備から答えを聞いてねえ。今死なれたら困る」
「一刀!?劉備は一刀を殺そうとしたんだよ!?」
小蓮が怒りの声をあげる。
「あの甘ちゃんがこんなだいそれた事やるとは思えん。ついでにそっちも自分で確かめる」
シャオにそう言って、一刀は再び貂蝉達に向き直る。
「・・・決意は固いようだな」
卑弥呼は一刀の目を見てそう言った。
「・・・分かったわ。でも普通に行ったんじゃあ間に合わないわよん?」
「それでも行く」
貂蝉にそう答えて出て行こうとする一刀。
「それなら、私達に任せてちょうだい」
「・・・何か手があるのか?」
一刀の質問に頷く貂蝉。
「私達にかかれば、朝飯前よん♪」
「・・・頼む」
貂蝉に頭を下げる一刀。
「頭を上げて、ご主人様。ご主人様が困っているのだから、力を貸すのは当然よん」
貂蝉の言葉に一刀は顔を上げる。
「・・・ありがとよ」
「お礼はいらないわ。それじゃあすぐにでも出発しましょう」
そう言って扉を開ける貂蝉。
「シャオも行く!一刀だけ行かせないから!!」
「俺も行こう。治りかけの患者を放ってはおけない」
小蓮と華佗も同行すると言い出した。
「・・・それじゃあ卑弥呼、二人をお願いねん♪」
「ウム!心得た!」
そして
「のわああああああ!!」
「きゃああああああ!!」
猛スピードで駆け抜ける貂蝉に抱きかかえられた一刀と卑弥呼に抱えられた小蓮と華陀(華佗は平然としていたが・・・)
一刀と小蓮
二人の叫びが
荒野にコダマした・・・
どうも、アキナスです
ついに復活した一刀君
はたして彼らは間に合うのか!?
そして猛スピードで駆ける二人に抱えられ、酔わないのだろうか?
さまざまな疑問を抱えてそれでは次回に・・・
「八極聖拳奥義!波動旋風脚!!」
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戦いに赴く両軍
そんな中・・・