真・恋姫†無双~赤龍伝~第65話「七縦七禽?(四)」
関羽「はぁ、はぁ、はぁ」
赤斗「はぁはぁ、はぁはぁ」
泉の畔には、息を切らす赤斗と関羽の二人と動かなくなった黒い巨獣の木鹿大王が居た。
関羽「おい。大丈夫か?」
赤斗(身体中が痛いよ)
関羽「ははは……お互いボロボロだな」
赤斗(ははは……)
お互い顔を見て笑う。
張飛「おーーい! 愛紗ーーー!」
月「虎さーーん!」
劉備「二人ともーードコにいるのーーー!」
趙雲「虎殿ーー! 愛紗ーー!」
森の方から劉備たちの声が聞こえてきた。
関羽「みんな来てくれたようだな。おーーい、ここだーー!」
詠「こっちに居たわよーー!」
月「虎さん! 愛紗さん!」
劉備「二人とも良かった。……あっ!!」
張飛「二人とも怪我しているのだ!」
月「大丈夫ですか?」
趙雲「何があったのだ?」
関羽「実は…………」
関羽は今まで起きた事を皆に話し始めた。
趙雲「人間が怪物に……にわかに信じられんな」
趙雲はそう言いながら、動かなくなった木鹿大王を見る。
関羽「だろうな。目の前で見た私だって、いまだに信じられんのだから」
張飛に支えられながら、関羽は立ち上がる。
劉備「とにかく、早く帰って手当をしよう」
月「虎さん動ける?」
赤斗(なんとか動けるよ)
赤斗はヨロヨロと立ち上がる。
木鹿大王「………………ぐぅっ、ぅぅぅ」
詠「えっ!」
張飛「う、動いたのだ!」
今まで関羽の一撃を受けて、動かなくなっていた黒い巨獣が動いた。
関羽「こいつ、まだ!」
関羽、張飛、趙雲はすぐに武器を構える。
劉備、月、詠は後ろに下がった。
木鹿大王「ゆ、ゆる許さ……ん!」
張飛「喋ったのだ!!」
趙雲「なるほど、愛紗の言っていた事は真だったか」
関羽「二人とも油断するな!」
趙雲「愛紗。お主は下がって桃香様を守れ。その傷では満足に戦えんだろ」
関羽「これしきの傷、大丈夫だ!」
木鹿大王「ぜったい、ゆるさーーーん!!」
大きな叫び声とともに、木鹿大王が劉備たちに襲いかかった。
最初に木鹿大王が狙ったのは、最も弱そうに見えた月だった。
関羽「はあぁぁーーー!」
張飛「喰らえなのだーー!」
趙雲「はぁぁぁぁぁぁ!」
三国志を代表する三人の武将の攻撃を受けても、木鹿大王は止まらない。
いつ死んでもおかしくない傷を負いながらも、執念を燃やしながら木鹿大王は月を咬み殺そうと大きな口を開けた。
詠「月、下がって!」
月「詠ちゃん!」
赤斗(させるか!)
赤斗が月たちの前で立ちはだかる。
そして、木鹿大王の牙が赤斗の身体へと喰い込んだ。
月「虎さん!!」
月の悲痛の叫びが響く。
赤斗(ぐうぅぅっ!)
関羽「おのれーーー!!」
関羽の青龍偃月刀が、木鹿大王の首に向かって振り下ろされた。
木鹿大王の首は宙を飛び、身体と切り離された。
首を斬り落とされた事により、息途絶えた木鹿大王は人間の姿へと戻っていた。
月「虎さん! 虎さん! しっかりして! 虎さん!」
赤斗(ぅぅ……月、無…事だ…ね。よかった……)
消えかける意識の中、赤斗は月の無事を確認する。
月「詠ちゃん! どうしよう! 早く手当しないと! 虎さんが!」
劉備「愛紗ちゃん。どうにかならないの?」
詠「…………」
関羽「…………」
趙雲「…………」
張飛「…………」
誰も返事をしない。
木鹿大王の牙によって身体を貫かれた赤斗が、もう助からない事はそこに居る全員が分かっているのだ。
赤斗(ここで、死ねば……また……人…間に……)
月「うぅ、ぐす、虎さん」
赤斗「…………………………月」
一同「!!」
その場にいる全員が虎が話した事に驚きを隠せなかった。
赤斗「……泣かない…でよ。きっと、また……会えるから……」
赤斗も自分が喋れた事に驚く。
月「この声……赤斗さん……」
劉備「え、風見さん!」
赤斗「劉備……さん」
劉備「は、はい!」
赤斗「月と詠の事……よろ…しく」
月「赤斗さん」
詠「あんた……」
劉備「はい。分かりました」
関羽「お主、本当に風見殿なのか?」
赤斗「はは……、じゃあ……ね」
関羽の質問には答えず、そのまま赤斗の目は閉じていった。
赤斗「……………………」
静かに赤斗は目を開ける。
赤斗「…………戻ってきたのかな?」
仰向けに眠っていた赤斗は、手を顔の前まで持ってくる。
赤斗「肉球がないや」
そこにあるのは、肉球ではなく人間の手だった。
赤斗「ははは……帰ってきたんだ」
ゆっくりと身体を起こす。
赤斗「ん? なんだこれ?」
身体を起こした赤斗は、視界に違和感を感じた。
赤斗「そうか、包帯をしているのか」
自分の右目に包帯が巻かれているのに気がつく。
赤斗「怪我した記憶はないけど……?」
赤斗は虎になる前の出来事を思い出す。そして……
赤斗「そうだ! 僕、毒で死にかけたんだ! ……生きてる?」
ガシャーーーン
赤斗「な、なんだ!?」
背後で物を派手に落とす音がして、赤斗は驚いて後ろを振り向く。
赤斗「あっ…………蓮華!」
蓮華「…………」
赤斗が振り返ると蓮華が立っていた。
赤斗「おはよう……かな?」
蓮華「……赤斗っ!」
蓮華は赤斗に飛びついた。
赤斗「ちょっと蓮華! ……ん! もしかして泣いてるの?」
蓮華「う、うるさい」
蓮華は顔を上げずに、赤斗に怒鳴る。
しばらくの間、蓮華は無言のまま、赤斗に抱きついて動かなかった。
赤斗は蓮華が落ち着くまで、じっと待っていた。
蓮華「すまなかった。少し取り乱してしまったようだ」
赤斗「気にしてないから、大丈夫だよ」
蓮華「そ、そうか。それなら良いのだが……その……」
赤斗「どうした?」
蓮華「もう身体は良いの?」
赤斗「うーーん。そうだな。どこも悪い所を感じないんだよね。確か……毒を受けたはずなのに」
蓮華「安心して、医者がもう大丈夫だと言っていたわ。それなのに全然目覚めないから、もうこのまま目覚めないのかと……」
そう言いながら、蓮華は再び泣き出しそうになる。
赤斗「そうか心配かけたね」
赤斗は優しく蓮華の頭を撫でる。
蓮華「また、そうやって赤斗は私を子供扱いする!」
赤斗「ごめんごめん。でも、この包帯は?」
赤斗はそう言いながら、右目に巻かれている包帯に触る。
蓮華「あ、それには触らない方がいいと、母様が……」
赤斗「火蓮さんが?」
蓮華「ええ。詳しい事は知らないのだけど」
赤斗「そうか。なら、あとで火蓮さんに聞こう。それに他のみんなにも挨拶しに行かなきゃね」
蓮華「そうね。みなも赤斗の事を心配していたから喜ぶはずよ」
赤斗「ああ」
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
好きなもの:肉まん
苦手なもの:海(泳げないから)
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
好きなもの:娘たち(特に小蓮♪)と酒
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
苦手なもの:酒(飲めるが、酔うと周りの人間にからむようになる)
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクター④『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
孫尚香(小蓮)や諸葛瑾(藍里)と仲が良く、孫尚香(小蓮)の護衛役をしている事が多い。
子供好きで、よく街の子供たちと遊んでいる。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
好きなもの:子供
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
今は、魏から姿を消している。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクター⑥『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクター⑦『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑧『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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今回で蜀?√への脱線は終わりです。
主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。