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真・恋姫†無双~赤龍伝~第63話「七縦七禽?(二)」

さん

ただ今、赤斗が虎になってしまい、劉備のもとに厄介になる事になったので、ただ今は蜀?√に脱線中です。

主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。

2011-06-04 03:09:36 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3778   閲覧ユーザー数:3289

真・恋姫†無双~赤龍伝~第63話「七縦七禽?(二)」

 

 

 

木鹿大王の合図とともに、武装した獣たちが劉備軍の陣内へと攻め込んできた。

 

兵士「うわぁぁぁーー!」

 

兵士「ぎゃああっ!」

 

攻め込んできた獣は虎と豹が合計二十匹。

 

木鹿大王によって鍛えられ、兀突骨の剣の剣が利かない鎧で武装された獣たちに、劉備軍の兵士たちは歯が立たない。

 

兵士「ぐわあぁぁーーー!」

 

関羽「待て! これ以上は許さんぞ!」

 

張飛「鈴々たちが相手なのだ!」

 

趙雲「鎧を着た獣が相手か。おもしろい」

 

関羽たちが獣たちの前に立ちふさがる。

 

獣たちも今まで相手していた兵士たちと関羽たちは違う事を察知する。

 

そして、関羽たちに襲いかかった。

 

関羽「はあぁぁーーっ!」

 

ガキン

 

関羽たちの攻撃は、兀突骨特製の鎧によって弾かれた。

 

関羽「なっ!」

 

張飛「攻撃が利かないのだ!」

 

趙雲「これは困ったな……愛紗、どうする?」

 

各々獣たちの攻撃を避けながら

 

関羽「鎧の隙間を狙えば良いだけの事だ」

 

趙雲「隙間ねぇ。それは、どこにあるのだ?」

 

関羽「なに? ……うっ」

 

趙雲に言われ、関羽は獣たちの鎧を確認する。

 

獣たちの鎧は非常に硬く。そして、とてもしなやかな素材で出来ているようで、鎧の隙間など見当たらなかった。

 

趙雲「これでは、どうしようないな」

 

張飛「そんな事ないのだ! これでどうなのだーーーっ!!」

 

蛇矛を振り回し、力一杯獣たちにぶつけた。

 

蛇矛が命中した虎一匹は、勢いよく吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた虎は動かなくなる。

 

張飛「よっしゃーーなのだ!」

 

趙雲「さすがは鈴々。考えなしの力任せとは、恐れ入る」

 

関羽「どうやら、倒せない相手ではないようだな。いくぞ星!」

 

趙雲「あんな事できるのは、お主や鈴々ぐらいのものだが……ん!」

 

諸葛亮「今です! 発射して下さい!」

 

兵士たち「はっ!」

 

そこに、諸葛亮が率いてきた弓兵たちに火矢を放つように命令した。

 

火矢は獣たちに命中していき、獣の鎧は燃えだした。

 

諸葛亮「どうやら、剣が利かなくても、火には弱いようですね」

 

関羽「朱里!」

 

兀突骨特製の鎧は、藤の蔓に油をしみこませ、それを乾かし、この作業を何昼夜も繰り返して作った素材で出来ていた。

 

それは矢も剣も通さず、しかも水に浮くほど軽いが、油をしみこませている為、火に弱かったのである。

 

張飛「愛紗! まだなのだ!」

 

獣たちは燃えだした鎧を脱いで、再び関羽の前に立ちはだかる。

 

関羽「自分で鎧を脱ぐとは、器用な奴らだ。朱里下がっていろ」

 

諸葛亮「は、はい!」

 

張飛「あれ?なのだ」

 

関羽「どうした鈴々?」

 

張飛「星がいないのだ」

 

 

劉備「みんな大丈夫かな?」

 

櫓の上で劉備が関羽たちを心配する。

 

詠「愛紗や朱里を信じて待つしかないわ」

 

劉備「そうかもしれないけど……」

 

兵士「りゅ、劉備さま! 早くお逃げくだ、ぎゃあああーー!」

 

下から護衛の兵士の悲鳴が聞こえた。

 

詠「え、なに!」

 

劉備「どうしたんですか?……!!」

 

劉備たちは櫓の下を見ると、一匹の虎と二匹の豹が櫓を登って来ようとしていた。

 

劉備「どどっ、どうしよう!?」

 

詠「落ち着きない。とにかく登って来れないように、そこの扉を閉めるわよ」

 

劉備「う、うん」

 

慌てて劉備と詠が櫓の入り口の扉を閉める。

 

月「…………」

 

まだ月は震えながら赤斗に抱きついている。

 

赤斗(どうしよう。豹ならともかく、虎の方は僕と違って大人だからな……)

 

今の赤斗は約一㍍ぐらいの子供の虎だが、襲ってきた虎は二㍍以上はある。まともに戦えば勝つのは難しい。

 

詠「ほら、入れないように鍵しめるわよ」

 

劉備「はい!」

 

赤斗が悩んでいる間も、劉備と詠は虎たちの侵入を防ごうと必死になっている。

 

劉備「きゃあっ!」

 

しかし、虎が一匹扉を破って櫓を登ってきた。

 

 

月「あっ、虎さん」

 

赤斗は櫓を登ってきた虎の前にでる。

 

詠「あんた?」

 

劉備「虎さん、危ないよ!」

 

赤斗(悩んでる場合じゃないか。今、ここで戦えるのは、僕しかいないんだから……みんなは僕が守るんだ)

 

鎧で武装した虎と赤斗は、互いに威嚇しあう。

 

月「詠ちゃん、どうしよう!」

 

詠「今は……あいつに任せるしかないわよ」

 

月「うぅ……」

 

赤斗(……櫓の上は一六畳ほどか。戦うには十分の広さだな。問題は鎧。あの鎧に僕の爪は通じないだろうし……どうする?)

 

そうな風に赤斗が考えているうちに、虎は赤斗に向かって襲いかかってきた。

 

赤斗(おっと! 鎧を着ているくせに速いな!)

 

紙一重で赤斗は躱すが、虎はしつこく赤斗を攻める。

 

赤斗(この虎! せめて奥義が使えれば……!! そうだよな。試してみないと分かんないよな)

 

虎になって、勝手に奥義は使えないものだと思い込んでいた。

 

でも、もしかしたら虎になっても奥義が使えるかもしれないと赤斗は思った。

 

赤斗(もたもたしていると下の豹たちも上がってきちゃうし……やってみるか!“疾風”)

 

奥義“疾風”によって、爆発的な加速と走力が生まれる。

 

赤斗(できた!……これならやれる!)

 

超高速で前後左右と目まぐるしく櫓の中を駆ける。

 

虎は赤斗の動きを捉える事が出来なくなっていた。

 

赤斗(はああぁぁぁーーーーっ!)

 

そして、赤斗は真上から、虎の背中に向かって突進した。

 

背中に赤斗の突進を受けた虎は、その場で動かなくなった。

 

赤斗(はぁはぁ、斬撃は利かなくても、衝撃は鎧の中まで届くだろ)

 

劉備「……虎さん。すごい」

 

月「虎さん!」

 

叫びながら月は赤斗に抱きつく。

 

赤斗(……月)

 

月「怪我がなくてよかったよ」

 

赤斗(大丈夫だよ。それより、まだ敵は残ってるから……)

 

氷雨「へえ~。随分と変わった虎を飼っているんだね」

 

 

赤斗(!!)

 

月「あ……」

 

詠「あんたは!」

 

劉備「あのー、どちら様でしょうか?」

 

氷雨「ひさしぶりだね。董卓、賈駆♪」

 

劉備「えっと、詠ちゃんたちの知り合いですか?」

 

詠「こいつは……」

 

氷雨「はじめまして。私は氷雨。以後、よろしくね。劉備♪」

 

氷雨は陽気に劉備に近づいてくる。

 

劉備「はっ、はい。はじめまして」

 

詠「桃香! そいつから離れて!」

 

劉備「え、でも……」

 

詠「いいから早く!」

 

劉備「う、うん!」

 

詠に促され、劉備は氷雨から離れる。

 

詠「……あんた、いったい何しにきたのよ?」

 

氷雨を睨みつけながら、詠は叫ぶ。

 

氷雨「ひどいな賈駆。知らない仲じゃないだろ。ねえ董卓?」

 

月「…………」

 

氷雨「まあ、いいか。何しにきたかっだっけ? それはね。君たちの事は、もう放っておけって言われたんだけど……」

 

そう言いながら氷雨は槍を構えて、その透き通った刃を月たちに向ける。

 

詠「僕たちを……殺しにきたの?」

 

氷雨「私ね、中途半端なまま終わらせるなんて、嫌なんだよね♪」

 

氷雨の氷のように冷たい殺気が、より一層冷たく濃くなった。

 

詠「月は絶対に僕が守るんだから!」

 

氷雨「ふふっ、やってみなよ」

 

氷雨は笑顔のまま、詠に向かって槍を突きだした。

 

赤斗(詠!)

 

赤斗は詠に体当たりをして、槍が詠に命中するのを防いだ。

 

詠「きゃっ!」

 

月「詠ちゃん!」

 

氷雨「邪魔をする気?」

 

氷雨は赤斗を氷のような目で睨みつける。

 

赤斗(月も詠も殺させない)

 

赤斗は前に出て、氷雨に向かって威嚇をした。

 

氷雨「……ねえ、賈駆」

 

詠「何よ」

 

氷雨「何だかこの虎を見ていると、風見赤斗の事を思い出すのは、私だけかな?」

 

詠「!」

 

氷雨「洛陽で君たちを守ろうとした、あの男にそっくりじゃない」

 

月「……赤斗さん」

 

詠「だったら何だって言うのよ!」

 

氷雨「別に。ただ……あの時、邪魔されたお礼を、代わりにこの虎にするのも良いかなと思って、ね!」

 

赤斗(ちっ!)

 

言い終えると同時に突き出してきた槍を赤斗は躱す。

 

氷雨「えらい、えらい。よく躱したね♪ なら、これならどうかな?」

 

氷雨は攻撃の手を休めない。

 

赤斗は何とか躱しているが、次第に身体には小さな傷が付き始める。

 

赤斗(はぁはぁ……)

 

氷雨「どうしたの、動きが鈍くなってきているよ♪ もう限界なのかな? だったら……もう終わりだよ!」

 

氷雨が赤斗に止めをさそうと、槍を構え直す。

 

氷雨「さあ、覚悟しなよ♪ ……ん?」

 

月「……させません」

 

月と詠が氷雨と赤斗の間に割って入る。

 

氷雨「何だって?」

 

月「これ以上……虎さんを傷つけさせません!」

 

詠「もう、あんたの好き勝手にはさせない!」

 

力強く月と詠が、氷雨に叫んだ。

 

劉備「そうです! これ以上は許しません!」

 

劉備も剣を抜いて、月たちと一緒に氷雨と赤斗の間に割って入る。

 

氷雨「…………」

 

赤斗(はぁはぁ……月、詠、劉備さん)

 

氷雨「……………………うざい」

 

赤斗(いけない!)

 

赤斗は氷雨の殺気が、先程と比べ物にならないぐらい大きくなるのを感じた。

 

氷雨「もういい。……全員、死ね」

 

その瞬間、その場にいる全員が氷雨から閃光が放たれるのを目にした。

 

 

赤斗(やばい。みんな殺される)

 

氷雨から放たれた閃光が自分に迫りくる間、赤斗は冷静だった。

 

今の自分では劉備も月も詠も助ける事が出来ないのだと理解できた。

 

それが悔しかった、口惜しかった。

 

赤斗(劉備さん、月、詠。……ごめんね。結局誰も守れなかった。…………………………あれ?)

 

しかし、いつまで経っても氷雨の槍は、赤斗たちには届かない。

 

氷雨「…………ちっ」

 

気が付くと氷雨の槍は、赤い槍によって防がれていた。

 

劉備「この槍……!」

 

趙雲「どうやら、戻ってきてみて正解だったようですな」

 

劉備「星さん!!」

 

趙雲「桃香様、月、詠。無事だな?」

 

劉備「はい!」

 

月「はい」

 

詠「もう、遅いわよ!」

 

氷雨「君だれ?」

 

趙雲「我が名は趙子龍」

 

氷雨「ふ~ん、君が常山の昇り竜か。櫓の下には、まだ豹が二匹居たはずだけど?」

 

趙雲「ああ、居たぞ。今は少しばかり、眠って貰っているさ」

 

氷雨「動物虐待だよ。それ♪」

 

趙雲「お主に言われたくはないぞ。さんざんそこにいる虎を虐待したのだろ?」

 

氷雨「ふふ……」

 

趙雲「よくぞ、わが主を守ってくれた。この趙子龍、心から礼を言うぞ」

 

趙雲が赤斗に向かって礼を言う。

 

赤斗(……趙雲さん)

 

趙雲「さあ、主よ。我に命令を!」

 

劉備「はいっ! 星さん、その人をやっつけて下さい!」

 

趙雲「承知した! 北方常山の趙子龍、主の求めに答え、いざ参らん! 我が槍の前に倒れ伏し、血を拭き流して屍を晒すが良い!」

 

氷雨「…………」

 

先程まで見せていた余裕が、氷雨から消えた。

 

 

趙雲「はいはいはいはいーーーっ!」

 

氷雨「くっ!」

 

趙雲の槍の連撃を氷雨を追い詰めていく。そして……

 

趙雲「我は無敵、我が槍は無双! 喰らえ趙子龍の一撃を!!」

 

氷雨「しまった!」

 

趙雲の渾身の一撃が氷雨に決まった。

 

否。

 

決まるはずだった。

 

趙雲「なんだと!」

 

氷雨「お前!」

 

氷雨を捉えたと思えた趙雲の一撃を防いだのは、全身鎧を纏った大男だった。

 

氷雨「何のつもりだ、兀突骨!」

 

兀突骨「撤退する」

 

氷雨「なっ!」

 

兀突骨「木鹿大王も撤退の準備を始めている」

 

氷雨「お前ら何を勝手な事を!」

 

兀突骨「我らに課せられた命を忘れるな。貴様の行動こそ独断専行であろう」

 

氷雨「うっ…………分かった。引きあげるよ」

 

趙雲「ここまで勝手な事をされて、みすみす逃がすと思っているのか?」

 

兀突骨「今日は、これで見逃してほしい」

 

そう言うと兀突骨は、趙雲に何やらさし出してきた。

 

趙雲「これは……!」

 

劉備「孟獲さん!」

 

兀突骨がさし出してきたのは、眠っている孟獲だった。

 

劉備「どうして?」

 

兀突骨「不満か? 我らには必要がない。それだけだ」

 

劉備「…………分かりました」

 

趙雲「桃香様!」

 

兀突骨「感謝する」

 

兀突骨は趙雲に孟獲を渡す。

 

氷雨「趙雲。この借りは必ず返すよ」

 

そう言って、氷雨は兀突骨と一緒に櫓の上から消えた。

 

 

一方……

 

関羽「はぁはぁ、あらかた片付いたな」

 

張飛「鈴々、疲れたのだ」

 

木鹿大王が操る獣たちを相手していた関羽たちは、獣たちを何とか撃退した。

 

そんな関羽たちの前に、無精髭を生やし頭から虎の毛皮を纏った大男が現れた。

 

張飛「いつの間に!」

 

木鹿大王「我が獣たちが世話になった」

 

関羽「ふん、今度は貴様が相手という事か!」

 

関羽は青龍偃月刀を木鹿大王に向けた。

 

木鹿大王「いや。そこで眠っている我が獣たちを迎えに来ただけだ」

 

パチン

 

木鹿大王が指を鳴らす。それまで関羽たちの攻撃で動かなくなっていた虎や豹が身体を起こした。

 

関羽「なっ!」

 

木鹿大王「動けるのは、たったのこれだけか。さすがは、武神関雲長と燕人張飛と言うべきか」

 

劉備の陣内に攻め込んだ虎や豹は、合計二十匹。

 

しかし、関羽や張飛たちによって獣たちは撃退され、生き残った獣はたった六匹だけだった。

 

木鹿大王「獣たちが世話になった礼をしたいが、今日はこれまでだ」

 

そう言うと木鹿大王は関羽たちに背中を見せ、生き残った獣たちと一緒に引きあげて行った。

 

関羽「ま、待て、逃がすか!」

 

劉備「待って! 愛紗ちゃん!」

 

関羽「桃香様!?」

 

張飛「お姉ちゃん!」

 

劉備「愛紗ちゃん、鈴々ちゃん。無事でよかった」

 

劉備が現れた事により、関羽は木鹿大王を追う事は出来なくなった。

 

こうして、木鹿大王と兀突骨との戦いを終わったのである。

 

 

 

つづく


 
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