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真・恋姫†無双~赤龍伝~第62話「七縦七禽?」

さん

赤斗が虎になってしまい、劉備のもとに厄介になる事になったので、ただ今は蜀?√に脱線中です。

主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。

2011-05-30 03:27:01 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3889   閲覧ユーザー数:3331

真・恋姫†無双~赤龍伝~第62話「七縦七禽?」

 

 

 

赤斗(うぅ……朝か)

 

天幕の中に朝日が入り込み、赤斗は目を覚ました。

 

赤斗(はっ、これは!)

 

目を覚ました赤斗は、月が自分のお腹を枕にして眠っている事に気がついた。

 

赤斗(月。いつの間に……」

 

そう思いながら、尻尾で月の頭を撫でてみる。

 

詠「あーー月! こんな所に居たの!」

 

詠が騒がしくやってきた。

 

月「うーーん? 詠ちゃん?」

 

月はまだ寝ぼけた様子だ。

 

詠「何でそんな所で寝てるの?」

 

月「だって、虎さんの毛皮が気持ち良さそうだったから、つい♪」

 

赤斗(確かに虎の毛皮って、何だか気持ち良さそうだけど、無防備すぎるぞ)

 

詠「寝ている隙に襲われたら、どうする気なの!」

 

月「大丈夫だよ。虎さんは襲わないよ」

 

詠「まったく、この子は……」

 

どうやら、詠は諦めたらしい。

 

月「詠ちゃん。そろそろ、ご飯の準備のお手伝いに行かなきゃ」

 

詠「そうね。早く行きましょう」

 

赤斗(あっ、待って)

 

月と詠は天幕を出て行く。その後を赤斗は追っていった。

 

 

陣の中を月と詠と一緒に歩く虎(赤斗)を、兵士たちは珍しそうに、不思議そうに、そして恐れて見ていた。

 

月「あっ、星さん。おはようございます」

 

途中、趙雲を見つけた月が挨拶をする。

 

趙雲「ああ、月、詠。おはよう。ん? 何なのだ、その虎は?」

 

詠「昨日の夜、いきなりやって来たのよ」

 

趙雲「ほぉ~」

 

月「でも、この虎さん。私達を食べようとしないから、大丈夫なんですよ」

 

趙雲に対して、月が補足した。

 

趙雲「ははは……。安心しろ月。私は別に、この虎を殺したりはせんよ」

 

そう言って趙雲は、虎の頭を撫でる。

 

趙雲「随分、人に慣れているな。もしかして、人に飼われていたのかもしれんな」

 

月「そうかもしれませんね」

 

詠「ほら、そんな事より、月。急ぐわよ」

 

月「うん。それじゃあ星さん。また後で」

 

趙雲「ああ、足止めして悪かったな」

 

月は趙雲に一礼して、劉備のいる天幕へと向かっていった。

 

 

月「おはようございます。桃香さん」

 

詠「おはよう」

 

月たちは劉備の天幕へと入って、中にいる劉備に挨拶をした。

 

劉備「おはよう。月ちゃん。詠ちゃん。それと、虎っ!?」

 

いきなり虎が現れて、劉備は驚愕する。

 

月「えっと、驚かしてすみません。この虎さんなら、大丈夫ですから。その……」

 

劉備「えっ、そうなの?」

 

月「はい。それで桃香さんにお願いが……」

 

劉備「お願い?」

 

月「この虎さんを、ここに置いて貰うわけにはいけないでしょうか?」

 

劉備「この虎さんを?」

 

月「はい。この虎さんとても優しい虎さんなんです。だから、お願いします」

 

劉備「うーーん。…………月ちゃんがそこまで言うなら良いよ」

 

月「本当ですか! ありがとうございます」

 

劉備「虎さんもよろしくね。あっ、もしかして! 昨日、泉であった虎さん?」

 

赤斗(そうだよ)

 

そう心で言いながら、赤斗は首を縦にふった。

 

劉備「わっ! この虎さん。今、返事をしたよ!」

 

詠「何言ってんの。偶然よ。偶然」

 

月「そうかなぁ? 私にも返事をしたように見えたけど」

 

詠「そう見えただけよ。虎が言葉を理解できるわけないでしょう」

 

赤斗(ああ、そうか! やろうと思えば、コミュニケーションぐらい取れるかもしれないぞ。よし!)

 

そう思った赤斗は、月に近づく。

 

月「ん? どうしたの? お腹すいちゃったのかな?」

 

月は頭を撫でながら、優しく話しかけてくれた。

 

赤斗(そうじゃなくて、僕は……)

 

諸葛亮「はわわっ! と、虎!?」

 

張飛「あーー! 昨日の虎なのだっ!」

 

関羽「またお前か」

 

赤斗(はあー)

 

新たに天幕内に入ってきた三人のせいで、結局伝えたい事を伝える事はできなかった。

 

その後、劉備たちの話を聞いているうちに、どうやら今は南中に出征中という事がわかった。。

 

赤斗(だいぶ歴史が違うな。確か諸葛亮の南征は、赤壁や劉備が死んでからの話じゃなかったか?)

 

関羽「朱里よ。孟獲をもう五回も見逃しているが、いつまで続けるつもりなのだ?」

 

諸葛亮「南蛮の人たちを味方にする為には、孟獲さんに心の底から私たちに負けたと思わせないと行けません。ですので何度捕まえても、そう思わない限りは何度でも逃がすつもりです」

 

赤斗(なるほど。これが有名な七縦七禽か。七回捕らえて七回逃がして降参させるやつだな)

 

関羽「いつの事になるのやら」

 

諸葛亮「あはは……来たるべき曹操さんの戦いの為に、後顧の憂いを断っておく必要があるのですから」

 

関羽「うぅ、なら仕方ないか」

 

赤斗(すでに五回逃がしているのだから、あと二回だよ。えっと、確かこれから獣を操る木鹿大王や、剣が利かない鎧を着た藤甲軍を率いる兀突骨が出てくるはず。ちょっと楽しみかも)

 

 

―――孟獲の城―――

 

孟獲「ううーー、くやしいのにゃ! くやしいのにゃ!」

 

ミケ「にゃ?」

 

トラ「大王しゃま。どうしたのにゃ?」

 

孟獲「あんな奴らに負けてばかりで、くやしいのにゃーーーっ!」

 

シャム「ボーッ」

 

氷雨「邪魔するわよ」

 

孟獲「誰にゃ!?」

 

騒いでいる孟獲たちの前に現れたのは、青い忍者服のような服を着た女、無精髭を生やし頭から虎の毛皮を纏った大男、全身鎧を纏った大男だった。

 

氷雨「君たちに贈り物を持ってきたんだよ♪」

 

孟獲「贈り物! 食べ物かにゃ?」

 

ミケ「お肉! おにくー!」

 

トラ「わーーーい!」

 

氷雨「い、いや、残念だけど、食べ物じゃなくて」

 

孟獲「にゃんだ。つまらないのにゃ~」

 

氷雨「はは……君たちに助っ人を連れてきたんだよ。君たちをバカにした奴らを倒すためにね♪」

 

孟獲「本当かにゃ!」

 

氷雨「この二人がそうさ。無精髭を生やしている方が木鹿大王で、鎧を纏っている方が兀突骨だよ」

 

木鹿大王・兀突骨「………………」

 

氷雨「この二人が居れば、劉備たちに目に物見せられるよ♪」

 

孟獲「よーし! さっそく、あいつらをやっつけに行くのにゃーー!」

 

ミケ・トラ・シャム「おーー!」

 

 

―――劉備軍の陣営―――

 

月「はい。ご飯だよ」

 

赤斗(うっ)

 

月が赤斗の為、肉を持って来てくれた。

 

しかし、持って来られた肉は、生肉だったので赤斗は食べるのを躊躇ってしまう。

 

月「どうしたの。食べないの?」

 

赤斗(いや~、これを食べるのは勇気が必要だな~)

 

詠「月、どうしたの?」

 

月「詠ちゃん。虎さんがお肉食べないの」

 

詠「そうなの?」

 

赤斗(このままだと、月を心配させてしまうな。でも、血が滴る肉に食いつく勇気は……。そうだ!)

 

赤斗は肉を咥えて、天幕の外へと出た。

 

月「え? 虎さんドコ行くの?」

 

詠「ちょっと待ちなさい」

 

月と詠も赤斗を追って天幕を出て行った。

 

天幕を出た赤斗は、匂いをたどって調理室へと入った。

 

料理人「うわっ!」

 

いきなり虎が入ってきたので、料理人たちが驚きの声を上げる。

 

月「待ってよ。虎さん」

 

遅れて月たちも調理室に入ってきた。

 

月「すみません。虎さんが驚かしてしまって」

 

月が料理人たちに謝る。

 

月「ほら、虎さん行こう。ん?」

 

赤斗は動かず、釜戸に肉を置く。

 

月「どうしたの? もしかして、お肉を焼いてほしいの?」

 

赤斗(そうそう)

 

赤斗は首を縦にふる。

 

月「やっぱり♪ すみません。このお肉を焼いてもいいですか?」

 

料理人「あ、はい、構いません」

 

月が赤斗の為、肉を焼き始める。

 

暫くすると肉を焼く匂いにつられて、張飛がやってきた。

 

張飛「良い匂いなのだ~」

 

月「ごめんね、鈴々ちゃん。これは虎さんの分のお肉なの」

 

張飛「ええーー、鈴々も食べたいのだーー!」

 

詠「肉を焼いて食べる虎なんて、聞いた事ないわよ。 本当に変な虎」

 

月「はい虎さん。できたよ」

 

赤斗(ありがとう)

 

月が焼いてくれた肉を、赤斗は食べ始めた。

 

鈴々「あー、良いななのだ!」

 

詠「あんたはさっき食べたでしょう」

 

張飛「おい、虎! 鈴々にも少し分けて欲しいのだ」

 

赤斗(嫌だ)

 

そう思いながら、赤斗は最後の一口の肉を食べる。

 

張飛「ああああーーーっ!」

 

それを見た張飛が怨めしそうな声をあげるのであった。

 

兵士「敵襲だーーっ!」

 

見張りの兵の叫び声が陣の中に響き渡る。

 

それは食事を終えた赤斗の耳にも届く。

 

月「詠ちゃん。どうしよう?」

 

詠「落ち着きなさい。とりあえず桃香の所に行きましょう」

 

月「うん」

 

張飛「早く行くのだ!」

 

赤斗たちは劉備たちのもとへと急いだ。

 

 

張飛「桃香お姉ちゃーーん! 愛紗!!」

 

張飛を先頭に赤斗たちは、劉備たちがいる見張り櫓に駆けつけた。

 

劉備「あっ、鈴々ちゃん。月ちゃんと詠ちゃんも」

 

関羽「遅いぞ鈴々」

 

張飛「敵はドコなのだ?」

 

関羽「あそこだ」

 

関羽が櫓の上から指さした先には、動物園にいる象の二倍はありそうな大きな象とそれに乗る三つの人影。そして、象の周りには無数の武装した虎や豹などの猛獣がいた。

 

赤斗(なんだあれ! 木鹿大王と兀突骨が同時に攻めてきたのか?)

 

張飛「いったいなんなのだ?」

 

諸葛亮「どうやら孟獲さん。虎や豹に鎧を着せて攻めてきたみたいですね」

 

諸葛亮が冷静に解説する。

 

孟獲「にゃーははは……。どうにゃ! 恐れ入ったかにゃ!」

 

象の上から孟獲が高々と笑っている。

 

赤斗(何だ? ……猫?)

 

趙雲「孟獲の奴。随分と強気になっているようですな」

 

赤斗(あれが孟獲? てっきり隣にいる鎧の男が孟獲かと思ったのに)

 

想像していた孟獲の姿と実際の孟獲の姿のギャップに赤斗は驚く。

 

赤斗(すると……象の上にいる他の二人が木鹿大王と兀突骨かな?)

 

劉備「どうしよう愛紗ちゃん、朱里ちゃん?」

 

関羽「決まっています! 敵は蹴散らすまでです!」

 

諸葛亮「待って下さい。孟獲さんが獣を使ってくる事は想像できていました。私に良い策があります」

 

劉備「さすが朱里ちゃん。で、どんな作戦なの?」

 

諸葛亮「こんな事もあろうかと、秘かに作っておいた物があるんです」

 

諸葛亮は自信満々に、陣の中にある天幕の一つを指さした。

 

そして、諸葛亮の合図ともに天幕から巨大な木製の怪獣が現れた。

 

 

孟獲「そろそろ攻め込むかにゃ!」

 

ミケ「美以しゃま。何かやってくるにゃ!」

 

ミケに言われ、孟獲は劉備の陣を確認する。

 

孟獲「ん? にゃんなのにゃーー!?」

 

劉備の陣の中から、巨大な木製の怪獣が孟獲たちに向かってきていた。

 

トラ「かかか怪獣にゃ!」

 

シャム「……ボー」

 

ミケ「にににに、逃げるのにゃ!」

 

南蛮兵たちの間に動揺が走り、あっと言う間に逃げ始める。

 

孟獲「どどどどうするにゃ!」

 

孟獲は一緒に象の上に乗っている木鹿大王と兀突骨を見た。

 

兀突骨「心配いらない」

 

木鹿大王「我が獣は、あのような紛い物を恐れはしない」

 

木鹿大王と兀突骨は無表情で孟獲に答える。

 

木鹿大王が片手を上げて、武装した獣の合図を送る。

 

その合図とともに武装した獣たちは、劉備の陣へと向かっていった。

 

 

諸葛亮「は、はわわ! 桃香様、敵が来ちゃいました!」

 

趙雲「南蛮兵は逃げていったが、獣たちはヤル気満々のようですな」

 

関羽「何をのんびり言っている! とにかく行くぞ。鈴々、星!」

 

張飛「応なのだ!」

 

趙雲「うむ」

 

関羽、張飛、趙雲は獣たちを迎撃する為、櫓を降りていった。

 

桃香「みんな気をつけてね!」

 

諸葛亮「桃香様、申し訳ありません。まさか、こんな事になるなんて……」

 

桃香「朱里ちゃん。失敗なら誰にだってあるよ。大切なのは今やるべき事を一生懸命する事だよ」

 

諸葛亮「はい! 私も行ってきます!」

 

赤斗(さすが、徳をもって政をなす劉備さんだな。けど……これからどうする? 本当なら諸葛亮の作った怪獣で木鹿大王の部隊は遁走するはずだったのに)

 

月「……虎さん」

 

月が震えながら赤斗に抱きついてきた。

 

赤斗(月……。大丈夫だよ。僕が守ってあげるから)

 

 

 

つづく


 
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