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真・恋姫†無双~赤龍伝~第60話「あさきゆめみし その後……」

さん

この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。

2011-05-23 21:42:31 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4172   閲覧ユーザー数:3659

真・恋姫†無双~赤龍伝~第60話「あさきゆめみし その後……」

 

 

 

天に向かって叫び倒れた赤斗を、火蓮は医者のもとへと連れてきていた。

 

火蓮「どうだ?」

 

医者「どうだ?と言われましても……」

 

火蓮「なんなのだっ!」

 

火蓮が医者を睨みつける。

 

医者「いえ、それが、私にはこの方を治す事は……」

 

火蓮「出来ないと言うのかっ!?」

 

医者「ひぃぃっ!」

 

医者はすっかりと火蓮の迫力に怯えてしまっていた。

 

穏「火蓮様~。そんなに凄んで迫ったら、お医者さんも困ってしまいますよ~」

 

火蓮「そうか? 分かった。……おい、お前!」

 

医者「は、はいっ!」

 

火蓮「もう一度聞く。……赤斗はどうなのだ?」

 

医者「えーと、それがですね。毒を受けたとの事でしたが、この方に治療の必要はありません」

 

火蓮「……赤斗は助からないのか?」

 

医者「いいえ。逆です。この方は健康そのものです。健康な方、けが人ではない方を治す事はできません」

 

火蓮「何だと、どういう事だ?」

 

医者の言葉に火蓮だけでなく、その場に居た穏や小蓮、恋たちも驚いた。

 

 

暫くしていると、部屋の外が賑やかになってきた。

 

雪蓮・蓮華「赤斗っ!」

 

雪蓮と蓮華の二人が、同時に部屋に駆けこんできた。

 

小蓮「ちょっと、お姉ちゃんたち! 赤斗が起きちゃうじゃない!」

 

蓮華「母様っ、シャオっ! 赤斗は?」

 

火蓮「落ち着け蓮華。それより雪蓮。戦はどうなった?」」

 

雪蓮「もちろん勝ったわよ。曹操の軍は退却していったわ」

 

火蓮「そうか。ご苦労だったな」

 

雪蓮による大号令の後、戦意を失った曹操は退却を始め、勢いに乗った孫呉の軍は猛攻を仕掛けた。

 

その結果、戦は孫呉の一方的な勝利となった。

 

雪蓮「それで、赤斗は?」

 

火蓮「赤斗なら、もう大丈夫だ」

 

蓮華「……本当ですか?」

 

火蓮「ああ、安心しろ」

 

蓮華「ほっ」

 

蓮華は安堵の表情を浮かべる。

 

火蓮は毒が勝手に消えていた事や、赤斗の異変については伏せた。

 

雪蓮「それにしても、あの状態から良く助かったわね。助からないかと思ったわ♪」

 

小蓮「ちょっとお姉ちゃん!」

 

雪蓮「あははっ、冗談よ♪」

 

火蓮「よし、部屋の外の連中にも、赤斗の無事を教えてやれ!」

 

蓮華「はいっ」

 

部屋の外では、冥琳、祭、藍里、嶺上、思春、明命、亞莎が中の様子を窺っていた。

 

その後、美羽や七乃、華雄も赤斗の見舞いにやって来たが、赤斗は目を覚ます事はなかった。

 

 

数時間後……。

 

雪蓮「母様」

 

火蓮「なんだ雪蓮か。どうした?」

 

雪蓮が冥琳と思春を引き連れて、火蓮の屋敷を尋ねてきた。

 

雪蓮「どうしたじゃないわよ。赤斗に何があったの?」

 

火蓮「何とは何だ?」

 

雪蓮「とぼけないでよね。赤斗に何かあった事ぐらい分かるわよ」

 

火蓮「そうか」

 

雪蓮「さっきは冗談って言ったけど、赤斗が助かるとは本当に思っていなかったわ。けど、赤斗は生きている」

 

火蓮「…………」

 

雪蓮「もしかして、空が赤くなった事や、国中に響いた叫び声みたいのが関係しているの?」

 

火蓮「私にも赤斗に何が起きたのかは分からないさ。ただ、私が赤斗のもとに着いた時には、赤斗の周囲に膨大な気が集まっていた。そして、その気が次第に赤斗の身体に取り込まれていったんだ。毒が消えたのは、その気のおかげかもしれないな」

 

雪蓮「そう、母様も詳しくは知らないんだ……」

 

火蓮「まあな。もしかすると、赤斗に龍が宿ったのかもな」

 

雪蓮「龍?」

 

火蓮「忘れたのか? 赤斗が言ってただろ。奥義を全て極めた時、身体に龍が宿ると」

 

雪蓮「ああ。そういえば言ってたわね」

 

火蓮「あの時……周囲に集まった膨大な気を取り込んだ赤斗の右目は金色に輝いていた」

 

雪蓮「右目が……?」

 

火蓮「あの目を見たとき私は、正直、恐怖を感じたよ。昔、私と戦った時の赤斗の変化にも驚いたが、あれはそれ以上だったな」

 

雪蓮「あれ以上とは、余程の事ね」

 

かつて赤斗が火蓮と戦った時に、狂神を発動させた時の事を二人は思い出す。

 

冥琳「火蓮様は、本当に風見に龍が宿ったとお思いなのですか?」

 

今まで黙って話を聴いていた冥琳が口を開いた。

 

火蓮「バカな事と思うかもしれないがな。だがな冥琳よ。それほど、あの時の赤斗の気は人知を超えていたのさ。龍が宿ったと言った方が説明がつくほどにな」

 

冥琳「……そうですか。分かりました」

 

火蓮「とにかく、赤斗は助かったんだ。それで良いではないか。今日はそれを祝って飲もうではないか!」

 

雪蓮「そうね。詳しい事は赤斗が起きた時にでも聞いてみましょ♪」

 

冥琳「待ちなさい雪蓮。話はまだ残っているでしょう」

 

火蓮「まだあるのか?」

 

冥琳「はい。今回の襲撃犯の事です」

 

火蓮「曹操が雪蓮の暗殺なんて考えるとは思えんな」

 

雪蓮「そうね。曹操なら小細工なんてしないで、真正面から戦を仕掛けてくるわ」

 

冥琳「やはり、雪蓮たちの前に現れた男が主犯格か。いったい何者だ。どこかの諸侯の密偵か?」

 

雪蓮「玄武とか言ったっけ? あの男、もしかして鴉の奴と関係あるのかもしれないわね」

 

冥琳「何故、そう思う?」

 

雪蓮「私の勘♪ でも、私や母様を殺そうとした奴らよ。黒幕は案外、一緒の奴かもしれないじゃない♪」

 

冥琳「そう決め付けるのは早計ね。もっと情報が欲しいところね」

 

雪蓮「赤斗は玄武の事を知っているみたいだったわよ。確か、官渡で命を狙われたって」

 

火蓮「雪蓮だけでなく、赤斗の命も狙っているのか」

 

冥琳「火蓮様。恋に話を聞いてみてはどうでしょう」

 

火蓮「恋に?」

 

冥琳「確か風見は官渡で恋を仲間にしたとの事。その時の状況を恋に聞く事によって何か分かるかもしれません」

 

火蓮「うむ。なら早速、恋を呼ぼう!」

 

 

暫くして、恋が部屋にやってきた。

 

火蓮「急に呼び出して悪かったな。恋」

 

恋「(ふるふる)」

 

恋は首を横に振る。

 

火蓮「恋よ。さっそくだが、官渡で赤斗と会った時の事を思い出してくれ」

 

恋「……官渡」

 

恋の表情が俄かに暗くなった。

 

火蓮「どうした? 具合でも悪いのか?」

 

恋「ううん。なんでも……ない」

 

火蓮「そうか。なら質問だ。玄武という男を知っているか?」

 

恋「?」

 

雪蓮「今回、私や赤斗を襲った男よ」

 

恋「……知ってる」

 

火蓮「本当か?」

 

恋「官渡でも、赤斗を殺そうとした」

 

冥琳「その男が何者か分かるか?」

 

恋「分からない」

 

冥琳「……そうか」

 

火蓮「恋。官渡で起きた事を話してくれないか」

 

恋「…………(こくん)」

 

無言で頷いた後、恋は官渡での出来事を火蓮に話し始めた。

 

 

冥琳「…………」

 

雪蓮「…………」

 

思春「…………」

 

恋の話を聞き終えた火蓮たちは無言になる

 

恋「…………」

 

火蓮「すまないな。つらい事を思い出させて」

 

恋「(ふるふる)」

 

火蓮「はあ、赤斗め。目が覚めたら、隠している事を全部話して貰うぞ」

 

雪蓮「そう言えば思春。洛陽であなたが戦った女の名前も確か……」

 

思春「はい。氷雨と名乗っていました」

 

雪蓮「恋の部隊を攫って攫っていった氷雨。母様を殺そうとした鴉。私や赤斗を殺そうとした玄武。そして、その黒幕……」

 

冥琳「私たちの知らないところで、色々と起きているみたいですね」

 

火蓮「そのようだな。これからは、より一層、注意が必要だな」

 

数日後、曹操は暗殺を企てた許貢の残党の残り全員の首を打ち、その首の塩漬けを詫びの使者と一緒に送ってきたりと、誠実に謝罪している姿勢を孫呉に見せた。

 

雪蓮や火蓮は、今回の一件が曹操ではなく、他に黒幕がいる事を知っていたが、曹操の謝罪を受け入れて返礼の使者を返したのだった。

 

 

玄武「申し訳ありません。仲達様」

 

どこかは分からない場所。

 

玄武が司馬懿に報告にやってきた。

 

司馬懿「また、風見赤斗か……」

 

玄武「……はい。しかし、奴の命はもう消えているはず。これ以上の邪魔は入らないでしょう」

 

司馬懿「いや、残念だが風見赤斗は生きている」

 

玄武「なっ! そんなはずは、奴は仲達様の術で作った毒を受けたのですよ!」

 

司馬懿「ふふふ……」

 

玄武「仲達様?」

 

司馬懿「何故、風見赤斗に私の術が効かなかったか。ようやく分かったぞ」

 

玄武「えっ!?」

 

司馬懿「ふふふ……、奴は私と同類の力を持っているようだな」

 

玄武「まさか! 奴にも『龍』の力が?」

 

司馬懿「そうだ。まだ制御できていないみたいだがな」

 

玄武「…………」

 

司馬懿「これは、面白くなってきたな。ふふふ……、はーはっはっはっは」

 

 

 

つづく


 
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