No.217123

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第二十一話

獅子丸さん

第二十一話


策の種明かしを書こうと思ったらまだ書かなきゃいけない事がいっぱいありました・・・・・次というか今の状況が収束するまで
先送りします・・・・・ごめんなさいorz

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2011-05-16 21:44:21 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:21137   閲覧ユーザー数:16575

 

 

 

 

 

― 孫策Side ―

 

 

 

 

 

重苦しい静寂が続いている。

私の目の前には両膝を着き首を差し出している一刀。

唇をかみ締める。

目の前の一刀は、罪を犯した自分を罰せよと言っている。

私達の為に犯した罪を。

私が此処の太守となると言う事は一刀の罪を許す事はできないと言う事。

もし一刀を許せば朝廷は黙ってはいないはず。

一刀が罰した者達の中には朝廷に仕える者達の親類や、なにかしらの関係者、そして朝廷から直接派遣された者が数多くいる。

そんな人間達を躊躇なく罰した一刀を許せば殺された者の関係者達は、こぞって私達を朝敵として祭り上げられる。

そうなれば民達を巻き込む事となる。

一刀は、それがわかっているからこそ、ここでこうしているいるのだと思う。

私は意を決し腰に吊るした孫家の王の証『南海覇王』に手をかけた。

そして周囲を見回す。

冥琳の表情は苦痛に歪んでいる。

他の皆の顔は今にも止めたいのだろう。

だけど、冥琳が皆の前に体を入れ先に進ませないようにしてくれている。

そんな冥琳から視線を外し、私は南海覇王を抜いた・・・・・・・。

 

 

「はいは~い、そこまでにしてもらってもいいですかぁ?」

 

 

重い静寂に包まれていた広間に場違いな明るい声が響き渡る。

私は声が聞こえた方へと振り向く。

 

 

「一体どういうつもりなの張勲・・・・・・」

 

「孫策さんこそどう言うつもりなんですかぁ?」

 

「見ての通りよ・・・・・・・」

 

 

張勲は飽きれた様に溜息を吐いて私を睨みつける。

 

 

「孫策さん、あなた馬鹿なんじゃないんですか?っていうか、後ろで黙っている人達も同じみたいですねぇ~♪」

 

「なんだと!!」

 

「怒鳴る暇があるならもうちょっと考えたらどうですか?それとも『孫家に周公瑾あり』と噂されてる人もその程度だったってことですかねぇ~」

 

「っ!?」

 

「一刀さんも一刀さんですよ。ここで一刀さんが死ねばどうなると思ってるんですか?もう少し考えた方がいいですよ」

 

「・・・・・・・何が言いたいの張勲」

 

「んも~せっかちさんですねぇ♪まぁ、いいです。美羽様~!!」

 

「孫策のバカ者めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇなのじゃ!!!・・・・・・・七乃、これでよかったのかの?」

 

「はぁ~い美羽様、完璧です♪」

 

「そうじゃろ?そうじゃろ?もっとほめてたも~♪」

 

 

大きな音と共に広間の扉が開かれ、大声を出しながら入ってきたのは美羽と・・・・・・・。

 

 

「藍!?」

 

 

冥琳の知り合い・・・・・か。

 

 

「冥琳・・・・・・あなた何時からそんなに頭が固くなったの?天下の『美周嬢』が聞いて呆れるわね」

 

 

そう言われた言い返せずに冥琳は俯いてしまう。

 

 

「・・・・・・・どちら様かしら?」

 

「お初にお目にかかります。姓は魯、名は粛、字は子敬と申します」

 

「あなたが冥琳の言ってた・・・・・」

 

「さて、率直に申しましょう。孫伯符様、今そこで北郷一刀様を殺すならば私達『民』はその瞬間から孫家の敵になる所存です」

 

「「「「「「っな!?」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

そういうこと・・・・・・・。

そうよね、民からすれば一刀は自分達を苦しめていた者達から救ってくれた、いわば救世主。

私が一刀を罰すれば民達は黙ってはいないだろう。

 

(張勲、私達をどうしようというの?)

 

そう言葉を込め張勲を睨みつける。

 

 

「そんな怖い目で睨まないでくださいよ~」

 

 

いつもみたくおどけた調子でそう答える。

私達にどうしろって言うの?

私だって民達を救ってくれた一刀を手に掛けたくなんてないわよ!!

でもそうしなければ私達を討ちに朝廷から兵が派遣されるのよ?

そうなれば民達が巻き添えになる・・・・・・。

 

 

「冥琳、少し一刀さんや七乃を見習った方がいいんじゃないかしら?」

 

「どう言う意味だ?」

 

「そのままの意味よ。さて、七乃。もうその辺でいいでしょ?」

 

「え~、こんな機会めったに・・・・「七乃・・・・」・・・・・はいはい、わりましたぁ~」

 

 

そう言いながら不満そうな張勲は私の側まで来て、書簡を私に差し出す。

 

 

「これを見ろと言うの?」

 

 

私は渡された書簡に目を通した。

 

 

「っな!?何よこれ!!」

 

「なにって朝廷への太守交代を知らせる書簡で~す♪」

 

「冥琳!!これ見て!!」

 

 

渡された書簡を冥琳に渡す。

それを見た冥琳の表情は驚きに包まれている。

 

 

「これは・・・・・・・。張勲!!」

 

「死人にく・ち・な・しですからねぇ~♪・・・っと言っても、あの屑さん達がやっていた事は本当ですし、

それにちょ~~~~~っぴり『今、民達が噂している』ことを書き加えただけです♪」

 

「藍・・・・・どうなっているのだ?」

 

「どうもこうも、今民達は、『自分達を苦しめ、袁術様を欺き利用し、尚且つ『漢王朝に対し謀反を企てていた』悪官達を

孫家に光臨した『天の御使い』様が天誅が下された』と言ってお祭り騒ぎをしているの」

 

「「!?」」

 

「わ・た・し・は、その事を『ありのまま』書き記しただけで~す♪」

 

 

私は何もいえなかった。

冥琳は既に頭を切り替えたのかブツブツ言いながら何か考えている。

辺りを見回せば状況を理解してほっとした表情の皆がいた。

これで一刀は救われる・・・・・。

そう思った瞬間に私の体は動いた。

 

 

 

 

 

 

 

― 一刀Side ―

 

 

 

 

 

不意に暖かくやわらかい何かが唇に触れる。

目の前には涙を流している雪蓮の顔。

 

 

「ね、ね、ねねね、姉様!!??」

「雪蓮!?」

「策殿!?」

「そ、孫策!何をやっておるのじゃ!!」

「あら、孫策様って意外と大胆なんですね」

「美羽様、見ちゃ駄目ですよぉ~」

「がっはっは!!良い物が見れたわ!!」

「あ~、いいなぁ~わたしも一刀君と~」

「って、玲も狙ってたのかよ!!」

「っく!雪蓮様に先を越されたか・・・・・」

「あぁ!!は、はなれろ!!いくら雪蓮様でも一刀様と「少し黙れ凌統」・・・なんだと甘寧!!」

「はうぁ!!亞莎見てください!!」

「言われなくても見ています・・・・・す、凄い・・・・・・」

「あ~ん一刀さぁん、次はわたしですよぉ~」

 

 

え?なに?どうなってんだ?

唇に触れる柔らかな感触と体を包み込む感触。

鼻腔に伝わった心地良い香りで自分の置かれた状況を把握した・・・・・・。

 

 

「む"ぅ!!???」

 

 

理解したからといってその状況が変わるわけでもなく・・・・・・・。

雪蓮は俺の背にまわした手により力を込め俺を抱きしめてきた。

そして静かに柔らかな唇の感触が離れていく。

少し名残惜しいと思ってしまったのは男の性なのか・・・・・。

唇が離れた後もその手は解かれることは無く、俺と雪蓮は見つめあう形となった。

 

 

「しぇ、雪蓮?」

 

「・・・・・・・か」

 

「え?何?」

 

「・・・・・・・か」

 

「ごめん、もう一度・・・・・「この大ばか!!!」・・・・・!?」

 

「誰も、ここまでしろなんて言ってないじゃない!!なのに・・・・なのに何勝手にこんな事してるのよ!!

そんなつらそうな顔になってまですること無かったじゃない!!

私がどういう気持ちで此処まで来たかわかってんの!?

私がどういう気持ちで剣に手を掛けたかわかってんの!?

私がどういう気持ちで・・・・・・・・」

 

「雪蓮・・・・・・・」

 

 

目の前には、涙でクシャクシャにした顔を俺の胸に埋める雪蓮。

俺には、そんな雪蓮の姿が年相応の女の子に見えた。

孫家を率いる王ではない、唯の女の子に。

俺は、声を上げ涙を流す女の子の背にそっと腕を回す。

細い。

こんなに細い体で王と言う重責、そして民達への思いを背負っているんだ・・・・・そう思った。

俺は、自分の意思でこの寿春の文官武官を手に掛けた。

今後消えることは無く、そしてそのことは一生消えることは無い。

それが、俺の背負っている物。

でも雪蓮は違う。

賊やそれに類する物達から民を守るために殺めた命、そして民を守るために王を信じて戦い散っていた者達の命。

他にも数多くあると思う。

それらの全てをこの細い体で背負っている。

苦しいだろうと思う。

きついだろうと思う。

比べるわけではないが俺が背負った物より遥かに重いはずだ。

それでも雪蓮はその重責を平気なふりをして背負っている。

そして気づいてしまう。

俺のしようとした事は唯の自己満足なのかもしれないと。

俺は考えもしなかった。

俺が自らの意思でやった事、そして其れに対する報いを受ける事。

俺自身で全て完結させたのならそれでよかったはず。

でも、俺が雪蓮の前でやった事はそれを何も関係の無い雪蓮に丸投げしただけ。

馬鹿か俺は・・・・・・。

そんなの雪蓮の重荷を増やす事になるだけじゃないか!!

 

『これは俺が勝手に実行した事で雪蓮達は何も関係ない』

 

そう遠まわしに言っていたくせに結局最後は雪蓮に委ねていただけ。

 

 

「ごめん雪蓮。俺、結局雪蓮に重荷を増やそうとしただけだったな・・・・・・・・本当にごめん」

 

 

体にまわされた雪蓮の腕にギュッと力がこもる。

答えは返って来ない。

都合がいいと言われるかもしれない。

だけど、背にまわされた手から伝わった感触が

 

『もうこう言う事はしないで』

 

そう言っている気がした・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

あとがきっぽいもの

 

 

 

雪蓮がデレたあああぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・のか?獅子丸です。

 

寿春騒乱編(今勝手に決めました)意外に終わらなかった・・・・・・。

書いてる途中に「あ、これ書かなくちゃ」とか「ここ書かないと後が繋がらない!」

とかもう色々と出てきて・・・・・。

 

まぁ、作中でとある事に不思議に思った方もいたと思います。

それは触れずにおいてくださいw

ちゃんと種明かししますんでb

 

雪蓮さんは・・・・・・・この先どうなるんだろう?

書きながら

 

「雪蓮がとうとう行ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

とか思っってたけどこの先どうなるのやら・・・・・。

 

 

 

まぁ、今日中にもう一本書ける・・・・・・・・かなぁ^^;

書けたら投稿します!

書き終わらなかったら明日に持ち越し(ぁ

 

では、今回はこの辺で。

 

次回も

 

生温い目でお読み頂ければ幸いです。

 

 

 


 
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