No.214727

真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝 第29話

黒山羊さん

へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。
反董卓連合編も終盤になってまいりました。

初めて読まれる方はこちらの第1話から読んだ方が話が分かると思います。

続きを表示

2011-05-03 05:00:39 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2390   閲覧ユーザー数:2077

この物語は真・恋姫†無双という外史に、

CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。

作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。

ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

まあ、CCFF7が分からなくても楽しめるように書いたつもりです。

また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

あらかじめご了承ください。

読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

視点:一刀

 

俺達は雪蓮に背中を預け、反董卓連合本隊と睨み合いをしている。

突然反董卓連合本隊から袁紹が出てきた。

 

「オーッホッホッホッホッホ!

知の御遣い!貴方、この袁本初から食料を巻きあげた挙句、反旗を翻すとはお馬鹿さんですわね。

私に反旗を翻したこと、あの世で後悔しなさい。

そして、私を崇め、奉りなさい。」

 

ああ、相手は袁紹か。時間を稼げば何とかなるな。

よかった。曹操が相手じゃなくて。曹操が来ないということは俺の考えが明後日の方向を向いていたわけではなさそうだ。

ならば、作戦通りに時間を稼ぎ、夜襲をかけて、反董卓連合本隊を突破。平原に帰還し、後日洛陽に間諜を送り、ジェネシスさんに平原に帰還してもらうようにするか。

 

俺達は反董卓連合本隊の突撃に備えて、迎撃の準備に入る。

前の方に居る兵は槍を構える。その後ろの兵は弩や弓を構える。

兵たちが構え終わったところで「危ないので下がってください」と朱里に言われ、前線から下がることになった。

だが、前線が見えるように馬には乗せてもらえた。

 

馬に乗っている袁紹は抜刀する。

 

「華麗に突撃ですわぁ!!」

 

うおおおおお!!

 

袁紹は高く掲げた剣を俺に向けて、突撃の命令を下す。

袁紹の掛け声で袁紹軍は雄たけびを上げ迫って来る。

馬に乗っている俺からは袁紹軍が良く見える。

 

元老院の命令を無視し反旗を翻し、ルビコン川を渡る時のユリウス・カエサルも同じ気持ちだったのだろうな。

 

そう、

 

 

 

 

「賽は投げられた!

真実を知らず、無実の味方である我らに突撃してくる哀れな袁紹軍を迎撃せよ!」

 

 

袁紹軍と俺達がぶつかる。

前線では武器と武器が衝突し、高い金属音が辺りに木霊する。

俺の後ろからは大量の矢が飛び、盾を準備していなかった袁紹軍を襲う。袁紹も矢に襲われそうになったが、大剣を持った文醜さんに護られたようだ。

矢を受け怯むがすぐにまた突撃してくる。

矢や迎撃の対策を立てず、数にモノ言わせた無策の人海戦術だ。

戦い方が正直雑だ。

俺達が袁紹の立場だったなら、槍と弓や弩で様子見をしながら攻めるだろう。

まあ、あり得ないことを今言っても仕方が無いのだが……。

 

一方俺達は迎撃用に突くことに特化した長槍の扱いが上手い星の部隊を正面に配置し、万能な愛紗の部隊を左翼に配置。鈴々の部隊は右翼だ。だが、これだけでは鈴々の部隊は突撃に特化しているし、鈴々自身が突撃したがるので、陣形が崩れる恐れがある為、鈴々の元に桃香を行かせて鈴々の抑え役をしてもらっている。

俺と朱里は星の部隊の後ろで弩や弓で射撃部隊の指揮をしている。

 

「力は拮抗か…。」

 

幾ら無策で錬度が低いと言えども、やはり人海戦術を使っている袁紹軍に俺達は苦戦している。

次々と兵たちが湧いてきてはキツイ。

袁紹も星の長槍迎撃部隊と俺達の弩や弓による部隊の射撃に苦戦しいるようだ。

 

問題は俺達の部隊の矢が切れたらどうなるかだ。

矢が切れたら、袁紹軍の突撃の妨害が弱くなるので袁紹軍は突撃しやすくなる。

それまでに何か策を考えなくては……。

 

考えろ!北郷一刀!

矢が切れたらどうする?

俺達の部隊をどう使う?

星の長槍迎撃部隊に混じって、袁紹の突撃を妨害するか?

そんな付け焼刃でこの場を何とかできるのか?かえって足手まといにならないだろうか?

では、突撃するのか?

それは却下だ。

幾ら錬度が黄巾党以下と言っても向こうには数の利がある。それに、袁紹軍に突撃するのなら、俺達の軍と星の長槍迎撃部隊と前後を入れ替えなければならない。

その瞬間に隙が出来てしまう。

それに、俺達の目的はあくまで時間稼ぎ。

袁紹を倒すことではない。突撃しても時間は稼げるかもしれないが、ほんの一瞬だろう。

その為に数少ない大事な兵を犠牲にする必要は無い。

よって、突撃は却下。

では、どうする?

仕方が無い。長槍は多くあるから、星の長槍迎撃部隊に参加するか…。

 

俺が考えていると俺と朱里の前に1人の兵が駆け込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げます!

虎牢関の城壁に掲げられていた『張』と『呂』の牙門旗が降りました!」

 

「何だと!」

 

「はわわ!こんな時にどうして!?」

 

俺も朱里も兵の報告が信じられなかった。俺達は虎牢関の方を見る。

確かに先ほどまで虎牢関に掲げられていた張と呂の牙門旗は消えていた。

 

なぜ、このタイミングで牙門旗を降ろす?

 

考えろ!北郷一刀!

 

牙門旗には役割がある。

1つ目は兵の管理だ。

兵は所属する軍の牙門旗を見て動けばいいのだから、兵は動きやすい。

2つ目は増援に行く際に味方に発見されやすく敵と見間違えられないようにするためだ。

増援行ったは良いが、敵と間違えられて攻撃されてはたまったもんじゃない。

3つ目は士気を上げる為だ。

兵に志願する者の多くは大抵何かしらの志や希望を持って志願してくる。

そんな者たちの士気向上に役立っているのが牙門旗だ。「俺達は○○部隊所属」なんだと士気を兵たちは高めるのだ。

そんな重要な役割のある牙門旗が降りると言うことは籠城戦を捨てるということだ。

 

なぜ?

考えられる要因は退却、もしくは野戦。

退却はあり得るか?

このタイミングでの退却はどういうメリットがある?

敵の混乱に乗じてどこかに退却するのか?それだったらありえる。しかし、そんなことがあり得るのか?そもそも、今ここで退却して意味があるのか?

華雄さんの反応からして董卓軍の董卓に対する忠誠心は偽物じゃない。

最初から時間を稼いで、反董卓連合の食料が尽きたことによる退却を望んでいるのなら、ここでの退却はあり得ない。

ならば、情勢が変わったのか?

董卓が賈駆に救出され、長安に退却したから、同じく董卓軍も長安に退却することになったのか?

だが、華雄さんの話から判断して恐らくそれは不可能。

ジェネシスさん達が董卓たちを救出したのなら、長安に董卓を連れていくはずが無い。

よって、退却はあり得ない。

ここは、籠城戦を捨てて、野戦を行おうとしていると考えるのが妥当だろう。

 

董卓軍は何処から来る?虎牢関から直接出てくるのか?

虎牢関の前で雪蓮達が陣取っている限り、直接出てくるのは愚策だ。

そんなことをすれば、雪蓮達に囲まれて討ち死にするだろう。

 

とすれば、この両側の崖を降りてきて横やりを入れるか、崖を渡って汜水関からの奇襲だな。

 

俺は右翼と左翼に呂布と張遼が現れるかもしれないと伝令を飛ばそうとした瞬間、朱里が大声をあげた。

 

「はわわ!ご主人様!あれ!」

 

朱里は左の崖を指さした。

俺は朱里の指した方を見た。そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深紅の「呂」旗が崖を降りているところだった。

 

 

 

 

視点:愛紗

 

私は袁紹軍の数の多さにうんざりしてしまう。

我が軍もこれほどの戦力を持っていたなら、ご主人様は苦労しなかっただろうし、このような窮地に立たされることも無かっただろう。

私は自分の無力さに嫌気がさしてしまう。

 

そんなことを考えながら、私は自軍の先頭に立ち、袁紹軍の兵たちを青龍偃月刀で斬っていく。

 

「何だ、この音は?」

 

ドドドドと聞こえる。馬の走る音だ。

私は音源の方を見る。するとそこには馬にまたがり、左手で手綱を握り、右手で大きな武器を持った朱色の髪をした女が率いる軍が崖を下ってきたのだ。

その軍が掲げる牙門旗は深紅の「呂」旗。

つまり、この女が呂布…。

呂布からは圧倒的な力が感じられた。おそらく、私と星、鈴々の3人で相対しても勝てるかどうか…。

私達の強さを水の入る量で表すなら、私が1斗の酒壺だとすれば、呂布はおそらく風呂桶ぐらい。

私は袁紹軍から離れ、私は自軍に呂布軍への迎撃体勢を取るように命令する。

呂布の勢いを利用して迎撃すれば、槍で迎撃すれば、問題ない。

 

「何!?」

 

呂布は私達に突っ込んで来るのではなく、袁紹軍に突っ込んで行った。

完全に無視された。私は自分が無視されたことに腹が立つが、呂布軍はもう去った後、私は立ちつくすことしかできなかった。

だが、袁紹軍はそんな暇も与えてくれない。私はすぐに私を襲ってきた袁紹軍を斬り伏せて行く。

私はふと思った。ご主人様は大丈夫だろうか?と。

あの呂布の様子から呂布は今は袁紹の首しか狙っていないのだろう。

だが、その後は?呂布の刃がご主人様を襲うかもしれない。

私は副官に軍を任せるとご主人様の居る中央へと向かった。

 

私は中央を任されていた星と合流した。

 

「星!無事か?」

 

「愛紗か、私は無事だ。お前も無事なようだな。」

 

星が無事ということはご主人様も無事ということだ。

私は一瞬安心したが、今ここは戦場だ。私はすぐに戦況の把握に努める。

袁紹軍は呂布軍の奇襲で混乱していたが、文醜と顔良が武官として優秀な為か混乱は止まり、呂布軍の迎撃をしている。

だが、兵の錬度の差が激しいため、袁紹軍は数の利があるのにもかかわらず、押されているようだ。

 

「文醜さん、顔良さん、あの小娘をちょちょいのちょいとやっておしまいなさい!」

 

「麗羽様、無理ですよ。呂布さん強すぎですもん。」

 

顔良の言う通りあの2人では無理だろう。

あの2人の強さはそれぞれ3升と言ったところだろう。その程度なら2人で挟み撃ちをしても返り討に合うだろう。

 

しかし、私達はどうしたらいい?

反董卓連合に反旗を翻している状態になっているのだから、袁紹がやられるのを黙って見ている方が良いのか?

それとも、反董卓連合の総大将である袁紹を護った方が良いのか?

私は判断に困ったので、星に相談してみる。

 

「星よ。この場合どうするべきだろうか?」

 

「うむ。袁紹を助けに行っては我らの兵が減る。そうなると夜襲の成功率が低下する。

だが、ここで放っておいたなら、我らは董卓と組んでいると言っているようなモノ誤解を解くのが困難になる。

さらに下手をすれば、今晩夜襲をかけて此処から離脱する際に相手が曹操になるやもしれん。

つまり、いずれにしても此処から離脱作戦の成功率は低下してしまう。

ここは主か朱里から助言を貰おう。」

 

私達はご主人様の元に使いを出した。

使いの者はすぐに戻ってきた。

 

「袁紹の誤解を解くことはできないのだから、誤解を解こうとする必要は無い。

袁紹が死にそうになったなら、曹操が援軍を出さなければ、反董卓連合の総大将を見殺しにしたという汚名を曹操は被ることになる。

そのため、我らはその場で迎撃準備をしながら待機とのことです。

関羽様は左翼の状況を見て、左翼にお戻り下さいとのことです。」

 

「わかった。下がってよい。」

 

「なるほど。さすがは主と朱里。

主と朱里が敵ではなくてよかった。」

 

「全くだ。

だが、星。我らとご主人様が敵になることは無い。」

 

「ほう。何ゆえだ?」

 

「それは……その…」

 

「よく聞こえんぞ。愛紗」

 

星はニヤリと笑いながら槍で私の脇腹を突いてくる。

 

「止めろ!星。」

 

「では、さっさと言え!

言わぬなら 言わせてみせよう ホトトギス」

 

「何だ、それは?」

 

「なんでも、主の国の詩らしい。たしか俳句と言ったか?

そんなことはどうでもいい。

何故、我らと主が敵となりえないのかさっさと吐いてしまえ。」

 

「それは…。」

 

「それは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私がご主人様を、北郷一刀という一人の男性として好きだからだ!」

 

 

私は開き直り、大声で叫ぶ。

周りの兵は必死に笑いをこらえている。星は腹を抱えて笑っている。

 

「笑うな!星!ここは戦場だぞ!」

 

「ハッハッハッハ、そうだな。

では、愛紗。笑うのもここまでにして、呂布軍の強さこの目に焼き付けるぞ。」

 

「ああ。」

 

呂布軍の錬度は高かった。

兵一人一人の武は一般兵とは思えないほど高かった。

深紅の『呂』を掲げた呂布軍は止まることなく、黄金の『袁』の牙門旗の中へと飛び込み、 進んでいく。

袁紹軍は呂布軍を取り囲もうとする。だが、文醜と顔良が前線に居ないせいか、前線の動きが遅く、もたついている。

私達はただそれを見ているだけ。

すると、伝令が来た。

 

「虎牢関の門が開きました。我らも孫策軍に続いて虎牢関に入るため、後退の準備をしておくようにとのことです。」

 

「わかった。」

 

星が返事をすると伝令は下がる。

星も主の言われた通りに兵に迎撃態勢を取りながら後退する準備をするように言った。

 

「星、私は元居た左翼に戻る。副官に任せっぱなしで左翼の指揮を取らねばならない。」

 

「わかった。」

 

星の返事を聞くと私は左翼へと戻った。

 

 

 

 

視点:曹操

 

予想外だったわ。

まさか、呂布が崖を降りて来て、直接反董卓連合の総大将の袁紹を叩こうとするなんて。

董卓軍の騎兵を甘く見ていたわ。

 

「桂花!凪、真桜、沙和を袁紹軍に向かわせて、袁紹を保護しなさい。」

 

「春蘭、秋蘭では無いのですか?」

 

「そうよ。

張遼がまだ現れていないもの。春蘭と秋蘭を行かせたら、ここは季衣と流琉だけになってしまうわ。

もし、張遼が現れた時、あの子たちだけで張遼を止められるかしら?」

 

「分かりました。

凪、真桜、沙和の3人に軍を率いて向かわせます。

しかし、我らと袁紹の間に居る袁術軍と袁紹軍で呂布軍は止まるでしょうか?」

 

「さすがに止まるでしょう。

雑魚といえども14万居るのよ。幾ら呂布が天下の飛将軍と言えども、ここまで辿り吹くのは不可能でしょう。

まあ、万が一に備えて、前線には迎撃態勢を取っておくように頼むわ。」

 

桂花は伝令を呼び、指示している。

その間、私は考えている。

何故、籠城戦を捨てた?

洛陽に行った間諜も帰ってこない。

判断材料が少なすぎる。

考えられることは洛陽か虎牢関で何かが起こったということだけ。

 

「申し上げます。

汜水関の方から砂塵が上がっています!」

 

「何ですって!何処の部隊!」

 

「は!『張』の牙門旗が見えます。恐らく張遼かと。」

 

「嘘!さっき虎牢関から牙門旗が降りたばかりじゃない。」

 

桂花は青ざめている。

確かに1刻前に牙門旗が降りる所を確認したばかり、それなのに、此処から離れた汜水関で張遼軍が確認されたのだ。

 

「なるほど。これが神速の張遼なのね。欲しい。欲しいわ。」

 

「華琳様?」

 

「桂花。春蘭に張遼の相手をさせなさい。春蘭には生け捕りにするように伝えて頂戴。

秋蘭にも頼むわよ。」

 

「張遼を生け捕りですか?」

 

「ええ、そうよ。」

 

桂花がまた伝令を呼ぶ。伝令の内容を把握した兵はすぐに春蘭の居る左翼と秋蘭の居る右翼へと向かって行った。

それから間もなくして左翼と右翼は後方に移動し、張遼の迎撃態勢に入る。

桂花に聞いたところ、張遼を生け捕りにする為に張遼の一騎打ち癖を利用して、春蘭と張遼が一騎打ちをしている時に秋蘭が春蘭と秋蘭の軍を指揮して張遼軍を包囲する策を使うらしい。

春蘭と秋蘭の迎撃態勢が整ったと同時に麗羽だけが来た。

文醜と顔良は居ない。2人は麗羽を護るために残ると言ったらしい。

こんな君主には勿体ないぐらいの忠誠心ね、全く才能の無駄遣いだわ。

 

「圧倒的な数の利がありながら、無様ね。麗羽。」

 

「今日はたまたまですわ。そう、今日は髪のまとまりが悪かったからですわ。」

 

確かに、いつもみたいに綺麗にまとまっておらず、綺麗な左右対称では無い。

 

「貴方は髪の形で運勢が決まるの?」

 

「え?変わりませんか?」

 

本気で行っているの?この娘は?

そう言えば、以前一緒に宦官の屋敷に侵入した時も髪の形が変だったわね。

まさか…。そんなはずないわよね……。

 

「まあ、いいわ。

そこで貴方は我が軍の有能さを指でもしゃぶって見ていなさい。」

 

私は前後を見る。前には『呂』の旗が後ろには『張』の旗がある。

前方の呂布は袁紹軍と袁術軍を突破しようとしている。でも、14万を突破するのは不可能。

よって、呂布は再び崖を登るか、虎牢関を通り洛陽に退却するのでしょうね。

だから、今は呂布は気にしなくて良い。

今は張遼ね。

私は好奇心から後方へと移動し、桂花に麗羽を押し付けた。

 

そういえば、桂花は元々、袁紹の部下だったわね。確か喧嘩別れしたとか言ってたわね。

帰って来た時にはどうなっているかしらね。

ある意味楽しみだわ。

 

 

 

 

視点:張遼

 

ウチは虎牢関の横の崖を走り、汜水関まで行き、そこから反董卓連合を叩くことになった。

誰が相手かは関係ない。

恋が袁紹軍に突撃する。袁紹をそこで討つことが出来れば良し。それが成功できなかったということは袁紹が移動したと考えられる。

移動先は虎牢関の側か汜水関側。だから、ウチは汜水関から攻める。そして、恋は退却する時は虎牢関側に退却する。

そうすれば、どこに袁紹が逃げようと袁紹を討つことが可能や。

まあ、戦力の関係からそれが可能かどうかは不明やけどな。

さすが、ねねの策やな。

 

反董卓連合の最も後方におるのは曹操軍。

で、先頭におるのは黒の長髪を全部後ろに流して、赤い服を着ている大剣を持った女。

あれがウチの相手かいな。

公そ…ん……、何やったけ?ちょっと待てや。今思い出すから……。もうええわ。アイツで良いわ。

アイツ以上か?アイツより強かったら嬉しいな。

 

「ウチは張遼。袁紹の首を刺したら、他の雑魚には興味ない!袁紹何処や!姿を現し!」

 

「張遼!袁紹の首が欲しいのならば、私を倒してみよ!」

 

大剣の女が背負った大剣を抜きながら言う。

大剣は直刀ではなく曲刀だった。

 

「アンタ、名前は?」

 

「性は夏候、名は惇、字は元譲だ。『魏武の大剣』とは私の事だ。」

 

ああ、あの黄巾党の首領張角を護っていた黄巾党本隊を討伐した曹操の有名な武官がコイツか。

惇ちゃんは斬りかかってくる。ウチはそれを飛龍偃月刀で防ぐ。

惇ちゃんの斬撃は重たい。

恋の方天画戟ほど重くは無いが、馬騰のおっちゃんの釘罰斗ぐらい重い。

あまりの重さで手が痺れる。

 

「でやあああああ!」

 

惇ちゃんに向かって偃月刀を振る。

それを惇ちゃんは受け止める。

 

「今の避けれたやろ。」

 

「避けるのは性に会わん!」

 

惇ちゃんは偉そうに大声で答える。

マジかいな。

面白い。面白いで。夏候元譲。

戦い方は馬騰のおっちゃんに近いな。ごり押しで、小細工なし。正々堂々、技と力で物を言わせるやり方やな。

まあ、あのおっちゃんの場合は筋肉で物を言わせる戦い方やねんけどな。

 

何度も惇ちゃんに飛龍偃月刀を打ち込むけど、全部防がれてる。

アカン!はよ倒すか逃げんと、ウチらが逃げる機会を見失ってまう。

 

まあ、ええか。

武人としてコイツに殺されるんやったら、文句はないわ。

ごめんな。月。ウチに従ってついてきたくれた兵の皆。

ウチがこんな我がままで…。

 

「クソ!」

 

こんな時に無いわ。

下駄の鼻緒が切れるなんて、ついてへんわ。今日は厄日やったんかな?

鼻緒が切れた時に足首を捻ったウチは前に倒れる。ウチは死を覚悟し、目を瞑った。

 

でも、何時まで経っても留めが来なかった。

目を開けてみるとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

左目に矢の刺さってた惇ちゃんが居た。

あの矢はウチらの矢。

ウチは後ろを見る。

 

「誰や!ウチらの決闘に水を刺したドアホはあああ!」

 

弓を持ったウチの副官が居った。

 

「張遼様。申し訳ありません。

ですが、私がお慕いしている張遼様がこんな所で討たれるのを黙って見ていることができませんでした。

今からでも構いません。ここは退いて、生き延びて下さい。

貴方の決闘の邪魔をした責任は取らせて頂きます。

しからば、御免。」

 

副官はそう言うと自らの喉を己の剣で斬り裂いた。

コイツは何時もウチの隣に居った。

酒を飲んで仕事をサボるウチにいつも口喧しく「仕事をして下さい。」とため息を吐きながら言ったり、武しか取り柄のないウチに兵法や書簡整理について色々教えてくれたええヤツやったのに……。

なんでこんな最悪な日なんや、今日は……。

 

「姉者! 大丈夫か、姉者!」

 

「ぐああああ!!!」

 

夏候惇は両手で矢を掴むと一気に引き抜く。

夏候惇の左目からは血が噴き出す。

右手で矢を持ち、左手でさっきまで矢が刺さっていた目を押さえている。

 

「……天よ!地よ!そして全ての兵達よ!よく聞けぇい!

我が精は父から、我が血は母からいただいたもの!

そして、この五体と魂、今は全て華琳さまのもの!

断り無く捨てるわけにも、失うわけにもいかぬ!

我が左の眼……永久に我と共にあり!」

 

そう言うと夏候惇は左目を食べよった。

そして、妹に包帯を巻いてもらうと再び大剣を構えた。

 

その光景を目の当たりにしてウチは思った。

コイツには今のウチでは叶わへんと……。

ウチはその場で座る。

 

「好きにしぃ。ウチらの負けや。

囲まれとるし、副官にはウチの我がままで死によったし、主君もウチらが虎牢関に籠っている間に民の反乱で死によったし……。

もう、何でもええわ。」

 

「何だと!董卓は死んだのか!?」

 

夏候惇の妹、夏候淵が聞いてくる。

 

「正確には生死不明や。

護るもん無くなったら、護る戦いしても意味無いやろ。

せやから、虎牢関をウチらは捨ててん。」

 

「そうか。

好きにしていいと言ったな?」

 

夏候惇はウチに言う。

 

「ああ。」

 

「だったら、華琳様に仕えて、その武を思う存分振るうがいい。」

 

「なんやて?」

 

ウチは耳を疑った。

だってそうやん。

ウチの副官は惇ちゃんを殺しかけたのに、惇ちゃんはウチを自分の主君の臣下にしようとしている。

 

「もう一度言う。覇王曹孟徳の臣下になれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しゃあないな。それが勝者の言葉なら従うしかないな。

そん代わり、ウチの兵には手をださんとってや。」

 

「フン。そんな下賤な真似はせん!」

 

惇ちゃんはそう言うとふらついた。

 

「姉者!」

 

「すまん。秋蘭。少し血を流し過ぎた。少しだけ寝かせてもらう。」

 

「ああ、分かったぞ。姉者。」

 

惇ちゃんは夏候淵に支えてもらうと立ちながら寝始めた。

夏候淵は衛兵を呼ぶと惇ちゃんの治療を任せる。

ウチは夏候淵に連れられて、曹操の居る場所へと向かった。

 

曹操は近くでウチらの戦いを見ていた。だから、董卓の死亡も聞いていた。

そもそも、ウチを殺す気は無く、捕縛し臣下にするつもりだったらしい。

そして、ウチは曹操の臣下となった。

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°黒山羊です。

一気に酒の勢いで書き上げ、酔いがさめてきたので文の修正をしたら、更新がこんな時間になってしまいました。

いやあ、酒の力は偉大だ!

 

ただ問題は飲みすぎるとお腹が出てくる。

うむ。ビールは控えよう。

 

さて、話は今回の話になります。

霞VS春蘭でしたが、如何だったでしょうか?

次回は恋がお送りします。

書けるかな?

恋って無口やし、文体がかなり特殊になりそう。

まあ、その為に練習で一度、『恋のご主人様飼育日記』を書いた訳ですが、

 

では皆さん、次回に会いましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぅ( ゚∀゚)o彡°

 

 


 
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