No.211766

ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義 ~第五話~

狭乃 狼さん

お待たせ(?)しました。

ツン√更新です。

今回は水鏡塾での一幕をお送りします。

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2011-04-15 11:46:54 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:19570   閲覧ユーザー数:14934

 

 

 

 

                       「ツン!恋姫夢想 とある外史のツンツン演義」

 

 

 

 

 

                        「第五話 水鏡、刀を映さんとするのこと」

 

 

 

 

 

 「しかし、占い師の菅輅……だったか?そんな得体の知れないやつにあって、いったいどうするつもりなのだ、北郷?」

 

 水鏡塾へと向かう山の途中、思春が一刀にそう尋ねた。そういえば、二人にはまだ”そのこと”は話していなかったわね。

 

 「……思春と焔耶は聞いたことないの?最近流れている”例”の噂」

 

 「噂?……なんかあったか?」

 

 んん?と、焔耶がその首をかしげる。自分の記憶の中から、それに相当するものを引き出そうとしている様である。……世間の情報ぐらい、その頭に取り込んで置けないものかしら?

 

 「あのね。旅をしていたんなら、いやでも噂話ぐらいは耳に入ってくるでしょう?聞いたことない?『一筋の流星にのりて、白き衣を纏いし、天よりの御遣いが降りくる』っていうやつ」

 

 「ああ。そう言えば、そんなのを聞いたことがある気はするな。……で?それがどうしたって言うんだ?」

 

 「あんたね……」

 

 ……確か、私と一刀が出会った経緯については、ちゃんと説明したはずよね?なのになんで、”そのこと”に気づかないんだか。……ほんっと、これだから脳筋女は……。

 

 「……焔耶、桂花から聞いたこと、覚えていないのか?……北郷と桂花が出会った時、北郷が”この世界”に来た時、北郷は流星に乗って現れたと。そう言っていただろうが」

 

 私と同じく、呆れたような表情でため息を軽く吐き、焔耶にそのことを話して聞かせた。

 

 「……そう言えば、そんなことを聞いた覚えが……あるような」

 

 「……まったくもう。……焔耶の馬鹿はおいといて。その管輅に会えば、一刀が何でこの世界に来たのかとか、どうやったら元の世界に戻れるのかとか、何がしかの”ひんと”とやらが得られるかもって、一刀がそう言ったのよ」

 

 『……ひんと?って、なんだ、それ?』

 

 「……俺のもといた世界での言葉でさ。ん~、そうだな。発想にいたるためのきっかけとか、鍵とか。そんな感じの意味さ」

 

 私が使った天の国の言葉の意味がわからず、思春と焔耶が首をひねり、一刀が二人にその説明をする。……思春はともかく、焔耶はたぶん、きっと、確実に、すぐ忘れるでしょうね。

 

 そんなことを話しながら、私たちは山道を歩き続け、目的の水鏡塾へと到着した。その、占い師の管輅が、現在滞在しているはずのそこに。

 

 水鏡先生こと、司馬徽、字を徳操が開いている、荊州の名門私塾。”水鏡塾”に。

 

 

 「遠路はるばるようこそ。私がこの塾の責任者、司馬徽、字を徳操です」

 

 「突然の訪問者に対し丁寧なご挨拶、いたみいります。北郷一刀、といいます。こちらの三人は右から荀文若、甘興覇、魏文長。俺の……仲間、です」

 

 水鏡塾に着いた私たちを、笑顔とともに歓迎したその人-水鏡塾の創始者である妙齢の女性司馬徳操に、教えたばかりの拱手でもって返す一刀。

 

 「……それにしても司馬徽どの。私が人づてに聞いたところによれば、この水鏡塾にはかなりの数の門下生がいるとのことでしたが、失礼ながら、あまり人の気配がしないように思うのだが」

 

 ……確かにね。水鏡塾って言えば、結構な名門私塾としてその名を知られている処のはず。なのに、甘寧の言うとおり、まったくといっていいほど人の気配が感じられない。

 

 「それは仕方がありませんわ。この塾にいた者たちのほとんどは、この春に卒業していきましたからね。朱里と雛里-諸葛亮と龐統の二人も、つい先日旅立ったばかりですし」

 

 「……え?諸葛亮に龐統って、あの、伏竜鳳雛の二人のことですか?」

 

 「……よくご存知ですね。その二人の道号は、私からまだ与えたばかりなのに。あなたは一体……」

 

 「それは……」

 

 諸葛亮と龐統という名を聞いたとたん、一刀は目を大きく見開いて、思わずといった感じで、司馬徽どのに問いかけていた。……彼が知っているということは、やはり”向こう”では相当の有名人なのだろう。……私のことを知っていたように、その名を後世に残すほどの人物と見て、間違いはないでしょうね。

 

 けど、それが今回は裏目に出たかもしれない。会ったことも無いはずの、ましてやいまだ無名なその二人の名を、一刀がなぜ知っていたのか。……司馬徽どのに、彼のことを警戒させることに結果になったかも。……しょうがない、か。とりあえず、私から助け舟を出しておこう。

 

 ……べ、別に一刀がどうなろうが知ったことじゃあないんだけど、その、後で感謝されて、御礼にいろんなことをしてもらおうとかなんて、別に考えてなんかいないんだからね!?

 と、そう思って司馬徽殿に声をかけようとしたときだった。

 

 

 

 「先生、お客様ですか?」

 

 「あら、詠。もう今日の課題が終わったのですか?」

 

 塾の建物の中から、眼鏡をかけた一人の少女が出てきた。水鏡塾の制服らしい深い青色をした着物を着た、とても理知的な感じのする娘だった。

 

 「はい。論語と孫子、双方に関する解釈、全部書き終えて先生の机に置いておきました」

 

 「そう、ご苦労様。じゃあ、後で目を通しておくから、その内容次第では、あなたの卒業も認めることにしましょうか。……もっとも、多分その必要もないとは思うけど」

 

 「……お願いします」

 

 深々と、司馬徽どのにお辞儀をするその少女。……なんか、私たち完全に置いてけぼりなんですけど?

 

 「あ、ごめんなさいね。貴方たちのことを放ったらかしにしてしまって」

 

 「いや、気にしないでください。俺たちも別に気にしていませんし。な?」

 

 司馬徽殿の言葉にそう答えつつ、私たちにも同意を求めてくる一刀に、私たちもこくりと頷いて返した。

 

 「……あの、それで先生?この人たちは一体……?」

 

 「お客様ですよ、詠。……ああ、そういえば、まだ御訪問の目的を聞いていませんでしたわね。……あなたが何者なのかは、後でお話しを聞くとして、当塾に一体どのようなご用件でしょうか?北郷さん」

 

 「えっと、あの~、こちらにですね、管輅という占い師の人が滞在をしているという噂を聞いたんですが、まだ御逗留中でしょうか?……俺が誰なのかって言うのも、少しだけその人に関わってくる事なんですけど」

 

 「管輅、ですか?あの娘なら、つい昨日ここを発ったばかりですが?」

 

 「そう、ですか……」

 

 がっくりと。肩を落として落ち込む一刀。……そっか、ちょっとだけ入れ違いになっちゃったか。とりあえず、一刀を励ましておくか。落ち込んだ顔っていうのも、母性本能をくすぐられて、なんともいえないものがあるけど、やっぱり笑顔でいるほうが、彼にはよく似合うしね。

 

 と、彼に声をかけようとしたんだけど。

 

 

 

 「とりあえず、元気を出せ北郷。……そいつに会う機会ぐらい、またすぐに巡って来るさ」

 

 「そうそう。お前は笑っているのが一番似合うぞ?な?」

 

 そういって、それぞれに思春と焔耶が一刀を慰める。……いいたいこと先に言われちゃった。

 

 「ありがとう、思春、焔耶(にこっ)」

 

 「///う。いやその、別にお前を心配したというわけではだな……!!そのだから」

 

 「///そ、そうだとも!ただその、なんだ、お、お前には真剣な表情は似合わないというだけでだな、その」

 

 ……あれって、もしかして照れ隠しのつもり?焔耶なんか、何気にひどいこと言ってると思うんだけど。

 

 「……桂花?どうかした?」

 

 「な、なんでもないわよ!別にあんたが落ち込んでいようがどうしていようが、私の知ったことじゃあないわよ!ふんっ!!」

 

 二人のその反応を、顔を引くつかせて見ていた一刀が、その後ろで何か言いたそうにしていた私に気づき、こっちに振り返って声をかけてきたんだけど、声をかけ損ねた私はなんだかとっても気まずくて、ついついそんな悪態をついてしまった。……そんなこと言いたいわけじゃあなかったのにぃ~……あぅ。

 

 「……とりあえず、立ち話もなんですから、皆さん中へどうぞ。お茶でもしながら、ゆっくりお話を聞かせていただきましょう」

 

 「……いいんですか?まだ自分がどこの誰かも教えてもいないのに」

 

 「ええ。……あなたのその目を見れば、少なくとも悪い子ではなさそうですしね。詠、お茶の支度をしてくれるかしら?」

 

 「はい、先生。……(じろ)ふんっ///」

 

 『んなっ!?』

 

 ぷい、と。司馬徽どのにそう答えたあと、詠、と呼ばれたその少女は、一刀に一瞥をくれてから、そそくさと建物の中に入っていった。……感じ悪いわね~、あいつ。……けど気のせいかな?あいつの顔、一刀の顔を見て赤くなっていたような気がしたんだけど。……まさか、ね?

 

 

 「そういえば、まだこの娘を紹介していなかったですわね。詠、お客様に自己紹介を」

 

 「はい」

 

 自分の湯飲みに茶を注ぐ少女に、名を名乗るように促す司馬徽殿。それに答え、私たちへと視線を転じ、拱手して頭を下げるその少女。

 

 「ボクは姓を賈、名を駆、字を文和。水鏡先生のもと、軍略の勉学をさせてもらってるわ。……よろしく」

 

 深々と頭を下げたまま名を名乗った少女-賈駆。……やっぱ見てる。顔を下げたまま、一刀の顔をちらちらと。耳、思いっきり赤くなってるし。……な~んか、すっっっごく、やな予感がするんだけど。

 

 「さて、と。それで北郷くん?あなたがこことは別の世界の人だという、そのお話は一応理解させていただきました。……とはいえ、それを素直に信じたというわけではないですけれどね」

 

 「ええ、それは俺も承知してますし、無理からぬことだとも思います。大体、俺自身も、今こうしてここにいることが、そもそも現実かどうかもよくわかりませんし」

 

 「二千年近い未来の人間だといわれて、はいそうですか、と簡単に信用するような者は、よほどのお人好しぐらいでしょうしね」

 

 にこにこと。その顔からは笑みを絶やさず、司馬徽どのは一刀にそう語りかける。

 

 北郷がこの世界に来たそのときのこと、その後の焔耶と思春との出会い。そして、管輅という占い師の噂を耳にし、当のその本人がここ水鏡塾に逗留しているという話を元に、この地を訪れたことを、一刀は司馬徽殿に語った。

 

 正直いって、司馬徽殿も半信半疑といった感じで、私たちの話を聞いていた。けど、二日前まで実際にここに逗留していた管輅から、『見たこともない白く光る着物を着た少年が、近くこの地を訪れる』と、そう聞いていた司馬徽殿は、私たちの話を一応は理解してくれたようだ。

 

 ……信じているかどうかは別にして。

 

 「……まあ、あの娘の-管輅の占いは、ほぼ確実に当たりますからね。現に、あなた方がここに来ることも予見しましたし、こうしてここにいらっしゃるのですから。……それで、北郷くん?貴方はこれから、どうしたいと思っていますか?」

 

 「……俺がどうしたい、ですか?」

 

 司馬徽殿のその質問に、一刀は少し、その思考の中へと入った。……多分、彼が出す結論は、元の世界に帰りたい。そんなところだと思う。……元の世界に帰る、か。そう、よね。それが、普通の人間の思考というものだわ。……ちょっとだけ、寂しいけれど、ね。

 

 

 けど、彼の反応はちょっと予想外なものだった。

 

 「……正直言えば、元の世界に帰れたらなとは、思いはします。でも、ここに来るまでに、一つだけ思ったことがあります。……この世界、いえ、大陸は今、酷い混乱の時を迎えつつあります。今各地で起こっている黄巾の乱は、おそらく後どれほどもしないうちに、終息を迎えはするはずです」

 

 『何だと?!本当か、北郷(一刀)!?』

 

 思春と焔耶が思わずといった感じで声を出していた。賈駆と司馬徽殿も、声にこそ出さないものの、彼の発言に驚いていた。……まあ、彼ならそれを”知っていて”当然よね。彼が未来の人間なら、乱の終結時期を知っているのは当然のこと。……彼のことを信じている私からすれば、それは不思議でもなんでもないことだ。

 

 ……実際に、彼が天から降ってきたのを見ていて、そして、その未来の知識の断片を聞いて、確信を得ていた私にとっては。

 

 「ああ。多分近いうちに、乱の首謀者が討たれるはずだ。陳留の刺史さんの手で、ね」

 

 「陳留の刺史?……曹孟徳のこと?」

 

 ん、と。賈駆の問いかけにうなずく一刀。……そっか、曹操さまが。

 

 「……曹操さま、か」

 

 ぽつりと。周りに聞こえない程度の声を漏らす私。

 

 曹操孟徳-。

 

 私が心からお仕えしたいと思っている方。その方が、この乱を鎮める決定打を打つ。……本当なら、今頃私は曹操様の下にいて、その場に立ち会うことになっていたはず。けど実際には、私は一刀と出会って、今もその傍にいる。

 

 (……私はこれから、どうしたいんだろう?)

 

 司馬徽殿が一刀に投げかけた問いを、私自身も、己の心の中で自問自答する。一刀の言葉の続きを聞きながら。

 

 「……けど、この乱はまだ始まりに過ぎないはずです。……それは、未来の知識がなくても、多分誰にでもわかることだと思いますけど」

 

 「……そうね。漢王朝の威はすでに衰退し、朝廷はどんどん腐敗していってる。今起きている黄巾の乱だって、天災や飢餓が重なったところに、朝廷が何もしなかったことも、その一因に絡んでいるでしょうしね」

 

 彼の言葉を補助するように、私はその後に続いて、自分の私見を語った。それには司馬徽殿や賈駆、思春と焔耶も同じだったらしく、ただ無言で私の言葉にうなずいていた。

 

 「……大陸はこれから、更なる混乱の世に向かって走っていくと思います。そんな状況のこの世界に俺が来た事には、何かしらの意味があると思ってます。……俺に何が出来るかは分からないし、出来たとしても、大したことは出来ないかもしれない。……それでも」

 

 すう、と。いったん息を吐き、その言葉を切り、じっと司馬徽殿を見据える一刀。その瞳を見た私には、彼の確固たる”意思”が見て取れた。

 

 「それでも、俺に何か出来ることがあるなら、それを見つけたい。そして、少しでも誰かの力になれたらと、今はそう思っています」

 

 

 

 「……なるほど、分かりました。であるならば、一つ、義勇軍を立ち上げてみるというのは、どうかしら?」

 

 「義勇軍、ですか?」

 

 -義勇軍ー。

 

 つまり、どの勢力にも属さず、独自に兵を募り、領地を持たず、見返りを求めず、ただ大義のためだけに、その活動をする集団。

 

 それを、一刀を旗に立ち上げてはどうか、と。司馬徽殿はそう提案してきた。

 

 「そりゃあいいじゃないか!義のため人々のため、ただ悪のみを叩き潰す!く~!なんだか燃えてきたぞー!」 

 

 「……ふむ。義のため人々のため、か。……北郷さえよければ、私も協力するのにやぶさかではないぞ?」

 

 焔耶と思春はかなり乗り気のようだ。……私だって、もちろん一刀の力になってあげたい。……けど、私の意見は二人と少しだけ違っていた。

 

 「……脳筋どもは気楽でいいわね?そんなことするより、どこかの勢力に入ったほうが、先々のことを考えた場合に都合がいいでしょうに。……たとえばその、陳留の曹操様とか」

 

 自分の願望入りの意見。だってそのほうが、一刀とも一緒に居られて、曹操様にもお仕え出来て、私からすれば一石二鳥だし。

 

 「……ちょっといいかしら?」

 

 「え?」

 

 そんな私の意見を聞いた賈駆が、不意にその口を挟んできた。

 

 「荀彧……だったかしら?あんたの意見はわかんないでもないけど、それだとその曹操の領地の人たちしか、助けの手を伸ばすことは出来ないわよね?……曹操が大陸全土を、その掌中にでも治めない限り」

 

 「それは……」

 

 「そりゃね。義勇軍としての活動だって、目と手の届く範囲でしか、助けの手を伸ばすことは出来ないわ。でも、どこかの勢力の状況や思惑に縛られない分、自由は利くとは思うけど?」

 

 ……確かにそれも一理ある。でもでも……!!

 

 「あんたが何でこの、北郷……だっけ?こいつに引っ付いてるのかは知らないけど、こいつと一緒に居たいんなら、北郷の判断に任せればいいだけじゃない。……そうでしょ?」

 

 「な!?べ、別に一刀と一緒に居たいだなんて、そ、そんなこと誰も言ってないでしょうが!///」

 

 「あっそう?じゃあ、ボクの早とちりだったかしら?(にやにや)」

 

 こ、こいつ~。この私の揚げ足を取るなんて……!!……やってくれんじゃないよ。

 

 

 

 「……とりあえず、慌ててここで結論を出すこともないでしょう。今日はここに泊まって、ゆっくり考えるといいでしょう。部屋は十分にありますから、存分にくつろいでいってくださいね?」

 

 そう言って微笑む司馬徽殿の言葉に、私たちは甘えさせてもらうことにした。さすがに今から山を降りたんじゃあ、確実に途中で夜中になっちゃうしね。

 

 「それじゃあ食事の用意をしましょうか。詠、手伝ってちょうだい」

 

 「はい、先生」

 

 司馬徽殿と賈駆が部屋を出る。残された私たちは、食事の用意が整うまで、先の話の続きを話し合うことにした。手伝いますとは一応言ったんだけど、お客にそんなことはさせられませんよ、と。やんわりと断られてしまった。……一刀に私の手料理、食べて欲しかったんだけどな~。

 

 ……裸に前掛けだけ、なんて格好で料理したら、絶対喜んでもらえるだろうな~///……こ~んな感じで♪

 

 ~桂花の妄想~

 

 『どう一刀?私の手料理、おいしい?』

 

 『ああ、すっごくおいしいよ、桂花。……そして、俺はもう我慢出来ない』

 

 『え?』

 

 『そんなおいしそうな格好をしている君がいけないんだ!……というわけで、いただきま~す!』

 

 『あ!そんな!こんなところで?!……でも嬉しい!ああん!』

 

 ~妄想終了~

 

 ……な~んて、な~んて!///……いつか本当にしてみようかしら?やだもう私ったら!

 

 と。……そんな妄想をしているなんて悟られないよう、顔を思いっきり険しくし、ご飯が出てくるまで喧々諤々と話し合いを続けた。……顔、赤くなって無いといいけど。

 

 

 

 その後、食事を終えた私たちは、それぞれ自分にあてがわれた部屋で、その日の夜を過ごした。

 

 結局、話し合いの結論はまだ出ていない。

 

 「……勉強の続き……なんて、いつまでも理由には出来ないし。かといって、それ以外に、彼についていく理由も思いつかないし。ただ傍に居たいだけ。そう言えれば簡単なんだけど、この口がそうはさせてくれないし。……どうしたもんかな~」

 

 彼の前に出ると何故か、思っているのとはまったく正反対のことを、悪態交じりで私の口はしゃべってしまう。

 

 正直、ここまで自分はひねくれていたのかと。自分で自分に呆れてしまう。

 

 「……ほんと、どうしたもんかしら……」

 

 彼が義勇軍を立ち上げるのなら、私はその手伝いをしたいと、頭と心は決定している。もちろん、曹操様にお仕えしたいと思う気持ちにも変わりはない。

 

 二律背反。

 

 とでも言うんだろうか。どちらを取るべきか、なかなか、自分の中で結論が出ず、私はただ悶々としていた。

 

 「……焔耶にしても、思春にしても、およそ参謀には程遠い人間だし、私がその参謀を務めるということにすれば、一応は理由にはなるけれど……」

 

 ただその場合、曹操様にお仕えするという夢は、そこで捨て去ることになる。

 

 はたして、私はそれで、後悔しないのか。

 

 憧れの人を取るか、それとも、惚れた男を取るか。

 

 ……そうして考えている内に、だんだん眠気が差してきて、瞼がどんどん重くなってきた。

 

 「……とりあえず、明日また、みんなで話し合うことになってるし、今日はもう、このまま寝ちゃ……お……」

 

 睡魔への抵抗をやめ、私はまどろみの中へとおちた。

 

 

 

 その日の夢の中で、私と、焔耶と、思春と、そして何故か、あの賈駆までが、裸に前掛けだけの姿で一刀に奉仕する、そんな情景を見た。

 

 

 ……予知夢……じゃないわよ、ね?ハ、ハハハ……(汗。

 

 

                                ~続く~ 

 

 

 てなわけで。

 

 

 久々のツンツン外史の更新ですw

 

 いやもう、ね?最近なんか忙しくて、SS書く暇(ネカフェに来る暇とも言う)がなくて。

 

 ようやく落ち着いて、SS書きの出来る時間が出来ましたわ。

 

 

 ということで、

 

 今回は新たなツン娘、詠の登場です。

 

 一応言っておきますが。

 

 なんで詠が水鏡塾に居るんだという突っ込みは、とりあえず無しの方向でお願いしますね?w

 

 その理由については次回で、公表いたしますので。

 

 

 そういうことで、次回は詠視点でのお話をお送りする予定です。

 

 で、後もう一つ。

 

 基本的に、このお話は桂花視点でお送りすることに決めました。

 

 各ツン娘がメインになるお話では、そのツン娘の視点になりますが。

 

 

 それでは皆さん、次は北朝伝の更新でお会いしましょう。

 

 ・・・・・・二つ同時進行はきついですけど、やり始めた以上、最後まで絶対に書ききってやりますとも!

 

 まあ、ちょっとした小ネタぐらいは入れるかもしれませんがw

 

 

 それではそういうことで。

 

 再見!ですw


 
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