side愛紗
これは、関轟こと刃が旅に出るほんのすこし前の話である。
私は今、森で兄上と狩りをしている。
私は東の森で、兄上は北の森にいる。
なぜ分かれているかというと……
~回想~
「よし愛紗、今日の狩りもがんばるか!」
兄上は体をすこし動かした後、私に声をかけてくれた。
「はい!今日は、負けません」
兄上と私は狩りの時に毎回狩った獲物の数を競い合っていた。
今日もまたそのハズだったんだが…………
「愛紗、いつものだとつまらないから……
ここは一つ賭をしないか?」
「賭……ですか?」
「そう、賭」
兄上が賭とは……………
「兄上…………また………
父上にまた何かしたんですか?」
そう、兄上は父上が問題を起こすたびに父上に怒っている。
ただ………
「兄上、今回は何をしたのですか?」
兄上が父上の起こした問題で兄上がイライラし、周りの被害がとんでもないことになる。
その始末を私にお願いしてくることがあるのだ。
今回もそうだと私は思っていたのだが……
「ちがう、今回は何も被害を出していない!!」
「今回は?」
「しまった!!」
「兄~~~上~~~!!」
「待て、待ってくれ!!」
「兄上!!」
「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」
悲鳴が森に響いた。
「まったく、困ったものだ」
だからある程度予想はできていたが………
「負けた方は勝った相手の言う言うことを聞くこと」
えっ……
「え、ちょっと兄上」
「よ~い……ドンッ!!」
「兄上~~~」
兄上の背中がどんどん小さくなっていき……
姿が見えなくなった。
「は~~しかたがない」
私は”しかたなく”賭に同意した。
~回想終了~
そして、今にいたる…
「しかし、かなりの数を捕まえたな」
私の後ろには狩った獲物がたくさんいた。
「これぐらい狩ったなら勝ちも当然だな」
しかし……私が勝ったなら兄上に……
「なっ/////なんて破廉恥なことを考えているんだ私は……」
けど……
「こ、これ以上狩ると帰れなくなってしまうな」
私はその場を後にした。
……………
…………
………
……
…
「えっと、愛紗と俺の獲物の数はと………引き分けか……」
少し残念でした。
「だけど愛紗の方が獲物が大きいからな……愛紗の勝ちでいいや」
「え、そんな」
「俺が決めた賭だからね愛紗の勝ちでいいよ」
「しかし……」
確かに私は勝ちたいとは思っていたが……
「は、恥ずかしいです!」
「どんな内容なの!?」
だが、してもらいたい
「ゆっくり考えればいいよ」
「……………ください」
「えっ」
「頭を撫でてください////」
言ってしまった。
子供の頃からずっと憧れていたこと。
ずっと兄上にしてもらいたかったこと。
私は恥ずかしすぎて顔が赤くなっていたと思う。
「うん、わかった」
兄上が私の頭に手を乗せて優しく撫でてくれた。
「愛紗、おつかれさま」
「お疲れ様です、兄上」
私は、いつの間にか顔が笑顔になっているの気づかないまま、家に兄上と共に帰った。
だが、その笑顔は……
翌日、母上の口から、兄上が旅に出たと言われるまでは……
「母上どういうことですか!!」
「そのままの意味よ」
私は生まれて初めて母上に怒っていた。
「刃は自分の意志で旅に出たのよ」
「ですが!!」
「愛紗、わがままを言うな、私だって寂しいんだぞ」
「父上は黙ってください」
「はい…………す、すみません」
父上が小さくなり部屋の隅へと移動したが、今の私には関係ない。
「母上、私に兄上の行き先を教えてください!」
「けど、刃に口止めされてるから」
「それでも!!」
「愛紗、刃はあなたにこの村を守ってもらいたいのよ」
「ですが…」
「刃は、あなたにこの村を守ってもらいたいから、旅に出たのよ」
「…………」
「あなたは、刃の頼みを断るの?」
「…ぃ……え……、いえ!断りません!兄上の頼みならば私は、絶対に村を守ります」
「あら、愛紗は、刃のことがそんなにも好きなのね」
なっ!
「な、なにを言っているのですかは、母上。
私があ、兄上のことをす、好きなどと/////」
「でも、問題はないわ」
「問題がないわけがありません、血も繋がっているのにs「繋がっていないわよ」……えっ」
今…なんて………
「母上、今なんと」
「だから、血が繋がっている訳じゃないから、恋愛でも、結婚でもなんでもなさい」
「れ、恋愛なんて/////…それに結婚なんてとても/////」
「関家の女ならどーんと行きなさい」
「母上…」
「賊が少なくなったらね」
「はい、私はがんばります」
次に兄上に会うまでに。
あとがき
疲れました。
まさか、sideが違うだけでこんなにも難しいなんて…………
次回は旅の話に戻りたいと思います。
では、また次回
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第6話!7作品目!!
今回は愛紗sideです。
旅に出る前日の話とその後の話を書きました。
本編とは、関係ないですよ。