No.209297

真・恋姫†無双 武と知の2人の御遣い伝 第22話

黒山羊さん

どうも、黒山羊です。

題名を変えてから、2回目の投稿となります。

大学院のゼミが始まり、規則正しい生活が始まりました。これにより、生活習慣が改善されつつあります。

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2011-04-01 16:21:10 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2807   閲覧ユーザー数:2464

この物語は真・恋姫†無双という外史に、

CRISIS CORE FINAL FANTASYⅦのジェネシス・ラプソードスが来たいう設定です。

作者である私、黒山羊が原作を何度もやりなおし、登場人物を原作通りにしたつもりです。

ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

あらかじめご了承ください。

読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

視点:張遼

 

ウチの目の前に出てきたのは白い鎧を着た赤髪の将だった。

なんや。武の御遣いっちゅう奴やないんかいな。拍子抜けやわ。

ま、ええわ。籠城戦でこっちもうずうずしとんねん。

ちょっとは骨のある奴であってや!頼むでえ!

ウチは馬から降りて高らかに叫ぶ。

 

「我は董卓軍が将、張文遠や!そこの赤髪!いざ尋常に勝負や!」

 

ウチはソイツを間合いに入るように走って近づきながら飛龍偃月刀を振り上げる。そして、最高の間合いでそいつに向かって力いっぱい地面と垂直に…

 

振り下ろす!

 

 

手応えは無し。

赤髪は横に避けていた。そして、ウチの隙を突こうと斬りかかってくる。

ウチは咄嗟に地面に刺さった飛龍偃月刀を引き、柄でその攻撃を防ぐ。

剣と飛龍偃月刀で押し合いになる。

赤髪と目があったウチは声をかける。

 

「久しぶりやで、ウチの攻撃を避けた奴は!恋に華雄に馬騰のおっちゃんに続いて4人目や!やっぱり、大陸は広いなあ!

アンタ名前は!」

 

「公孫瓚だ。お前を倒す将の名前だ。覚えておけ。」

 

「公孫瓚か。オモロいな。でもな悪いけど、今回はウチらが負けるわけにはいかんのや!」

 

「そうはいくかな。」

 

「ぬかせ!」

 

まずい。

近すぎると飛龍偃月刀の長さが生かされへん。それどころか無用の長物になってまう。つまり、間合いの短い剣の方が有利で、ウチは今不利。

 

ウチは距離を取るために後ろに跳ぶ。だが、公孫瓚はそうはさせまいと間合いを詰めて、斬りかかってくる。それをウチは柄で防ぐ。これでは先ほどと同じ繰り返しや。

 

ウチは手を変えてみる。

また、斬りかかってきた公孫瓚を一度は柄で防ぐ。そして、押し合いになった時に突然フッと力を抜き、右に体重移動をしてみる。

すると、公孫瓚は自分を押してくる力を失ったために、ウチの左をすり抜ける形で前にこけそうになる。

好機は今やとばかりに右に跳び距離を開けて、最高の間合いで後ろから公孫瓚に斬りかかる。

 

「もろーーたーーー!」

 

「クッ!」

 

公孫瓚はこけそうになりながらも体を反転させ、剣を前に出して防御の体勢を取り、ウチの飛龍偃月刀を受け止める。ウチは何度も打ち込む。

よう、あの体勢から防ぎよったな。

せやけど、今の体勢も良いとは言われへんな。公孫瓚は左膝を地面に付き、ウチの飛龍偃月刀の攻撃が上から降ってきたので剣を上にかざして防いでいる状態。

形勢逆転やな。

 

ウチは公孫瓚の右足を自分の右足で払うと、公孫瓚は更に体勢を崩す。

追い打ちをかけるように公孫瓚が右手で持っている剣を飛龍偃月刀で弾く。

公孫瓚の剣は遠く飛んで行った。

 

「しまった!」

 

足払いをされて剣を手放してしまった公孫瓚は後ろに倒れる。

ウチは公孫瓚の喉元に飛龍偃月刀を突きつける。

 

「参った。煮るなり焼くなり好きにしろ。

だが、その前にこのままでいいから、私の副官に話をさせてくれ」

 

「ええで。」

 

そう言うと公孫瓚は誰かを呼び話をしている。

どうやら、副官の判断に任せるから馬超軍か劉備軍に下ることになったらしい。

馬超は確か、馬騰のおっさんのゲジゲジ眉毛の娘か。

劉備ってあの、武の御遣いの居るところか。

話は終わった。

 

「じゃあ、好きにさせてもらうわ。」

 

公孫瓚は目をつぶる。

ウチは飛龍偃月刀を振り上げ、

 

そして、

 

振り下ろした。

 

 

 

 

視点:馬超

 

あたしは連合の陣に向かって全速力で逃げている。

早く逃げないと張遼に殿の公孫瓚軍が撃破されてしまう。

確証は無いがそんな気がした。

完全に油断していた。

最初っから獲物が釣れるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは陣付近に着くと、軍を反転させる。そして、各諸侯に伝令を送ろうとする。伝令の内容は当然、『張遼が虎牢関から出てきた。』である。

あたしは自軍を率いて迎撃の準備をしようとした時、蒲公英と公孫瓚軍と合流できた。

思っていたより早い。

あたしは蒲公英に問い詰める。

 

「おい、公孫瓚はどうした?」

 

「蒲公英にそんなこと聞かれてもわかんないよ。だって公孫瓚さんは軍の最後尾に居るもの。」

 

「そうだったな。おい、公孫瓚軍の副官は居るか!」

 

あたしは公孫瓚軍の副官を呼ぶ。

 

「公孫瓚はどうした。」

 

「殿は董卓軍の将の張遼と一騎打ちして……。」

 

 

 

 

視点:白蓮

 

「どういうつもりだ。」

 

張遼の武器は私の顔の真横の地面に刺さっている。

 

「殺そうっと思ったけど、やっぱり捕虜にした方が役に立つと思ったから?」

 

何で疑問形?

張遼は部下を呼ぶと私を縄で縛りあげた。縛り方が変わっている。何か色々な所に食い込んでいる。

こんな姿、北郷に見られたくないな。

 

「なあ、張遼?」

 

「ん?何や?」

 

「これ何て縛り方だ?」

 

「そりゃ……

 

 

 

亀甲縛り?」

 

「やっぱりか!!」

 

私は張遼の馬に乗せられると虎牢関に連れて行こうとする。

 

「追い打ちしなくていいのか?」

 

「あんなん見え見えの策や。ウチらを釣って囲もうとしとるやろ。

せやから、もうええねん。それに公孫瓚っちゅう将を捕虜にできたし♪」

 

クソ。張遼は武と馬術だけではなく、知略も良いのか。

やっかいな。敵に捕まったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、霞殿。コイツは誰なのです?」

 

帽子を被り、緑色の髪のちっこい子が亀甲絞りされている私を指さして張遼に向かって言う。

『しあ』と言うのは張遼の真名か。

って、私このまま?亀甲縛りってちょっと動くと、すぐ食い込むから、変な気分になりそう。

私はハアハアと息が荒くなる。

 

「反董卓連合の将、公孫瓚って言うらしいわ。なんか使えそうやから、捕まえた?」

 

「何で疑問形なのですか?」

 

「具体的な利用方法思い着かないから、ねね任せ。」

 

「はあ……だと思ったのです。

仕方がないのです。恋殿の軍師の陳公台が虎牢関防衛の為にこの変態痴女縛られ赤面女を利用するのです。

とりあえず、虎牢関の何処かの牢に突っ込んでおくのです。」

 

「はいよ。」

 

張遼は私を担ぐと何処かに連れて行く。

 

「安心し、変な使い方はせえへん。変な縛り方はするけど。」

 

「張遼…。」

 

私は嬉しかったが、亀甲縛りのせいで素直に喜べなかった。

そして、私は亀甲縛りされたまま牢屋に入れられた。

せめて、解いてくれよ。

 

 

 

 

視点:桃香

 

袁紹さんから緊急の軍議を行うというので、私はご主人様と朱里ちゃんで袁紹さんの陣に来ています。

軍議を開く天幕にはほとんどの人が揃っていた。

まだ此処に来ていないのは、孫策さんのところと白蓮ちゃんのところ。

私は席に着くと、天幕が開いた。入ってきたのは孫策さんだった。

 

「待たせたわね。」

 

「遅いですわよ。孫策さん。」

 

孫策さんの言葉に反応する袁紹さん。

 

「悪かったわね。」

 

孫策さんは席に着く。

 

「では、始めますわよ。」

 

「え?袁紹さん。まだ、白蓮ちゃんが来てません。」

 

「それについてはあたしが説明する。」

 

馬超さんは立ち上がる。皆馬超さんの方を見る。

 

「張遼が突然虎牢関から突撃してきた。虎牢関から出てこないだろうと油断していた。

公孫瓚は殿になって軍の最後方に残ったんだ。そして、公孫瓚の副官の話によると張遼軍に追いつかれて、張遼と一騎打ちをして、負けて捕虜になったらしい。」

 

「嘘。白蓮ちゃんが…」

 

私は頭が真っ白になった。

何て…。白蓮ちゃんが捕まった?

頭が真っ白になったが、次に最悪な未来を想像してしまった。

 

反董卓連合の情報を得る為に拷問されるかも?

 

反董卓連合が来た時に見せしめとして処刑されるんじゃないだろうか?

 

次々と思い浮かんでしまう。

 

どうしよう?どうしよう?

白蓮ちゃんを助けないと…どうしよう?

 

「―――か!と―か!桃香!」

 

「ハッ!ど、どうしたの?ご主人様。」

 

ご主人様は私の両肩に手を置いて心配そうな目で私を見ている。

 

「大丈夫か、桃香?」

 

「大丈夫だよ。

私は大丈夫だから今から虎牢関を攻めて白蓮ちゃんを助けようよ。」

 

「どうやって?」

 

「どうやってって、今すぐ虎牢関を攻めて。

早くしないと白蓮ちゃんが!」

 

私は席から立ち、自分の陣に戻って虎牢関を攻める準備をしようと天幕から出て行こうとする。

 

「桃香!」

 

ご主人様は大声で叫ぶ。私は驚きビクッとする。

ご主人様は真剣な目で私を見ている。さっきの目とは違う。優く温かい心配している目じゃない。

 

「桃香、君は何の為に立ち上がった?」

 

「そんなことより白蓮ちゃんを―」

 

「今は俺の質問に答えろ。」

 

ご主人様の声には怒気が籠っていた。

でも、私は退かない。私は言い返す。

 

「今は白蓮ちゃんを助けることにご主人様の質問は関係ないでしょ!」

 

「関係ある。」

 

ご主人様は怯ず、相変わらず真剣な目で私を見ている。

私はご主人様の問いに答える。

 

「乱世に苦しむ人を助ける為。」

 

「そうだったな。だいぶ前に同じ問いを俺は桃香にして同じ答えが返ってきたな。

今、ここで何も考えずに俺達だけで虎牢関を攻めて、何千ものの自軍を犠牲にして助かるかどうかも分からない様な白蓮を助けに行くことが平和のためになるのか?」

 

「じゃあ、ご主人様は白蓮ちゃんを平和の為に見捨てるの?」

 

「必要ならば。」

 

「そんなの間違ってる!頑張ったら犠牲も出さずに白蓮ちゃんを助けられるよ!」

 

「現実を見ろ!桃香!

自分が今どうあがいても出来ない事を何故認めない!

白蓮が今捕虜であることには変わらない。

そして、無策で虎牢関に行っても兵が無駄死にするだけという現実は変わらない。

今の世を憂い、平和を望むことは悪い事じゃない!俺もこの世界には平和であってほしいと思っている。でも、どうあがいても出来ないことはある。

だから、俺は今自分にできることを全力でして、自分の理想を現実のものにしようとしている。」

 

「私だってそうしている!」

 

「いや、桃香は現実を見ていない!今の桃香の『自分達の力だけで全滅せずに白蓮を救いだす』っていう理想は実現可能性が全くと言っていいほど無い。

今の桃香は実現不可能な理想に溺れて暴走しているだけだ!」

 

「そんなことない!」

 

「だったら、何故今軍議を抜けようとした!

平和を望むのなら、現実から何時でも目を背けずに、時には感情を殺して国益になる合理的な判断をしなければならないことがこの先に幾らでもある。

桃香はその覚悟があるのか!今の桃香からはその覚悟が全く感じられない。

覚悟がないなら辞めてしまえ!」

 

「!!」

 

私は『辞めてしまえ』という言葉で言い返せなくなり、天幕から出て行った。

 

 

 

 

視点:一刀

 

軍議の最中に俺は桃香と言いあった。

他の諸侯が居るこの場で。

 

だが、桃香には現実を知ってもらわなければならなかった。

現実を見ることが出来なくなり、実現可能性のない理想を語り叶えようとすることは自分だけではなく、大切な者まで無意味に失ってしまうからだ。

 

史実でも劉備はそういう人物だったので、気にはしていた。

史実の劉備は関羽と張飛を失ったことにより、暴走したらしい。

そして、今の桃香は白蓮と言う友人が殺されるかもしれないという状況から暴走していた。

合理的な判断が出来ず、感情で動いている。

 

桃香は優しい。俺が桃香のことが好きな理由はその優しさだろう。

でも、今の桃香は優しさの方向と加減を間違えていた。

 

「見苦しい処を見せてすみませんでした。

劉備には一時軍の指揮権を剥奪させます。

劉備の代理を当分の間は私、北郷一刀が務めさせていただきます。」

 

「もうこんなことはこれっきりにしてもらいたいものですわ。」

 

袁紹が俺の謝罪の言葉に反応する。俺は軍議参加者に頭を下げて謝罪する。

そして、俺は桃香の座っていた席に座る。

右隣りにはいつも白蓮が座っていた。だが、白蓮は今董卓軍の捕虜で、俺の右隣の席は空いていた。

 

そして、軍議は再開された。

今後全体の方針は変えず、虎牢関当て逃げ作戦を継続。

明日から10日間、曹操が虎牢関を攻めることになり、その次の10日間は俺と雪蓮の所が攻めることが決定。

白蓮も剣を取ったからには、自分が殺される覚悟もできているだろうということになった。

そして、公孫瓚軍は一時俺達の指揮下になることが決定した。

そして、軍議は終了する。

 

 

 

 

 

俺と朱里は横に並んで袁紹の陣から自陣に戻ろうと歩いている。

終始無言だ。

あんなことがあったのだ。仕方がない。

 

俺は軍議中に言いあった桃香の顔を思い出す。

桃香も必死だった。それだけ、大事な親友だったのだろう。

それを俺は必要ならば見捨てると言ったのだ。

だが、俺は間違っていないと思っている。何かを望むということは何かを捨てる覚悟しなければならないのだから、

 

「なあ、朱里。俺は間違っているのか?」

 

「私は間違っているとは思いません。

ご主人様や桃香様は民を率いて平和へと導くお方です。

例えどれだけ素晴らしい理想でも実現可能性がなければ、民は無意味に傷つき、人心は離れてしまいます。

ゆえに常に現実を見なくては誰もついてきません。

だから、ご主人様の言葉は間違っていません。」

 

「世話になった白蓮を見捨てるとしてもか?」

 

「ご主人様だって公孫瓚さんを今すぐ助けたいという気持ちを持っているって私分かっています。

でもご主人様は自分についてきてくれる兵や民の為に自分のその感情を今は殺している。

違いますか?」

 

「そうだ。俺だって白蓮を救いたいが、兵や民を無意味に犠牲にするわけにはいかない。」

 

「だったら、ご主人様は間違っていません。」

 

「ありがとう。朱里

非情な俺を認めてくれて。」

 

俺は朱里を抱きしめる。

 

「はわわ!軍師としてとうじぇんのことをしたまででしゅ。」

 

「それでも、ありがとう。」

 

俺はもう一度朱里に礼を言った。

 

 

 

 

視点:桃香

 

私は走っている。

自分に自信が持てなくなり、軍議の天幕から出て自陣に行こうとした。

あそこなら愛紗ちゃんと鈴々ちゃんがいる。愛紗ちゃんや鈴々ちゃんなら私のこと分かってくれる。

だから、わたしはあの場から行こうとした。

涙で視界が悪い。

泣いているのはご主人様に酷い事を言われたからだ。

 

 

 

天幕の中には誰も居なかった。

愛紗ちゃんも鈴々ちゃんも星ちゃんも……。

さらに私は不安になった。

 

間違ってない。

私は間違っていない。

白蓮ちゃんを助けようとして何が悪いの?ご主人様。

私は間違ってい…ない……。

 

 

 

 

 

 

 

気が付いたら私は眠ってしまっていたみたい。

寝台で仰向けになり布団を被っていた。どうやらあの時泣きながら走って疲れてしまったみたい。

 

「気がつかれましたか?桃香様。」

 

「星ちゃん…。」

 

私は安心した。

星ちゃんが私の隣にいた。星ちゃんなら私の味方をしてくれるはず。

私はさっきの軍議起こったことを言う。星ちゃんは静かに私の話を聞いてくれた。

 

「それで、桃香様は伯珪殿を救いたいと訳ですな。」

 

「うん。」

 

「分かりました。しかし、私が桃香様に進言する前に主の言い分も聞かせて下さい。」

 

「わかったよ。」

 

私は素直に星ちゃんの言葉に頷けなかった。

 

「安心して下され。桃香様。主も何か思うことが有って桃香様にきつく言ったのでしょう。

それを私は今から聞いてきます。

主が間違っていたのなら、主の間違いを正してみせます。」

 

「お願い。星ちゃん。」

 

星ちゃんの言葉に私は安心した。

その後、星ちゃんと2人でご主人様の所に行った。星ちゃんはご主人様の話を聞いている。

話している内容はさっき軍議でご主人様と言いあった話。

私は現実を見ていないと言っている。白蓮ちゃんを助ける為に虎牢関を攻めて無意味に兵を犠牲にすることはできないと言っている。

そんなことはない。

虎牢関を落とせば、白蓮ちゃんは助かる。

絶対に。

 

星ちゃんとご主人様の話は終わった。

星ちゃんは私の方を見る。

 

「桃香様。私も伯珪殿を救いたいです。」

 

良かった。

星ちゃんも同じ気持ちなんだ。

 

 

 

「しかし、虎牢関を自軍だけで攻略するのならまず私を剣術だけで無傷で倒してください。

それができないのなら、無理です。」

 

星ちゃんは愛用の槍の龍牙を構える。

 

「どうして?」

 

「要するに、桃香様がやろうとしている事はそう言うことです。

董卓軍の軍勢は我々とは比べ物にならないほど強大です。それを貴方は自軍だけで兵を犠牲にせず、伯珪殿を助けようとしている。

これを個人で表現するなら、董卓軍は武人の私に置き換え、自軍は武を持たない桃香様に置き換えます。

そして、貴方は兵を犠牲にせず、董卓軍の籠る虎牢関を落とすとおっしゃられたこれを無傷で倒すことに置き換えます。

さらに、策も練らずに虎牢関を攻めると仰られた。それを小細工なしの剣術だけに置き換えます。

つまり、虎牢関の董卓軍を兵の犠牲無しの策無しで落とそうとするのは、貴方が無傷で剣術だけで私を倒すことと同じなのですよ。」

 

「そんな……。」

 

「残念ですが、現実です。

主も仰ったでしょうが、桃香様の今の願いはそれほど、実現不可能なのです。

夢を語るのは良いことです。そんな貴方だから我らは桃香様に惹かれて、貴方の元に集った。

だが、理想を語るだけではなく現実を見てくだされ。」

 

私はそんな無理難題を言っていたんだ。でも、

 

「それでも、白蓮ちゃんを助けたい!」

 

「それは主も私も同じ気持ちです。

ですが、無理なのです。」

 

「じゃあ、諦めるの!」

 

「では、どうするのですか?

敵の数は多く強いです。戦っても勝てない。

間諜は返ってこないし、ジェネシス殿は此処に居ないので、裏工作で白蓮殿の情報入手はおろか、助けることは不可能です。

朱里も一生懸命策を考えましたが、どれも実現不可能でした。

だったら、我慢するしかないではないですか。

桃香様も我慢して下され。」

 

そうだったんだ。

星ちゃんも朱里ちゃんも我慢してたんだ。

 

ご主人様も……。

 

それを知らずに私は酷いことを言っていた。

 

「ご主人様。朱里ちゃん。

迷惑かけてごめんなさい。」

 

私はご主人様と朱里ちゃんに向かって頭を下げて謝る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、許す。」

 

ご主人様は腕を組み、踏ん反りかえるような体勢で私を許してくれた。

 

「桃香様。現実を見て夢を語ることは良いことです。

だから、これからは現実を見ながらも、誰もが望むような理想を語ってください。

私達が桃香様の理想実現の為にこれからも尽くします。」

 

朱里ちゃんは私を笑顔で許してくれた。

良かった。

ご主人様は続ける。

 

「そのかわり、桃香。

罰として虎牢関が落ちるまで白蓮の軍の面倒をみること。

白蓮の軍は策を練って虎牢関を攻めたのに上手くいかずに、怪我した人が大勢いる。

俺達はこれからも、平和のためと言って、色々なところと戦争することになるだろう。

だから、桃香は犠牲や現実等について白蓮の軍で体験して勉強してくれ。」

 

「分かった!じゃあ、行ってくるね。」

 

「ああ、」

 

ご主人様は穏やかな目をして私を見送ってくれた。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

第22話どうだったでしょうか?

 

感情的になる桃香。

 

真・恋姫†無双の魏√の桃香も愛紗を通行料として華琳に取られそうになった時に駄々をこね、朱里を困らせた挙句、華琳に叱責されてしまいました。

感情的になった人を納得させるのは至難の業です。だから、今回も苦労しました。

星やカズピーの台詞ではたして桃香は納得できのかと。

そして、推敲を繰り返し、この話が出来たという訳です。

 

次回はジェネシス編でお送りいたします。

 

この話を読んで感じたことをコメントしたり、支援してくれると嬉しいです。

 

ではでは、次回にお会いしましょう。

 

 


 
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