「とある桂花のデレ日記~七の記~」
北郷一刀。
天の御遣いにして、三国同盟の象徴。
でもって、
どスケベ。種馬。女たらし。孕ませ王。精力魔人。歩くち○こ。全身○液。その他もろもろ。
そんな表現ばかりが目立つ、天然無自覚の朴念仁。
けど。
そんなあいつに、魏・呉・蜀の主だった将たちが、全員骨抜きにされている。
その守備範囲はかなり広く、お子ちゃまとしかいえないような容姿の者から、子持ちの未亡人までお構いなし。
何でこんなにもてるのか。
顔だって割りと普通だし、特に武に秀でているわけでもなく、知に優れているわけでもない。
おそらく、はっきりとした理由をいえる者は、誰も居ないと思う。ただ、ああ、こういう人なんだと。
そう思わせてしまう何かが、彼にはあるのであろう。
かくいう私、荀文若も、彼には一目惚れだった。とはいえ、その生来の性分から、そして、元々の男嫌いも手伝って、あいつにはいつもつらく当たっている。
馬鹿だの変態だのは当たり前。寄るな触るな話しかけるな、自分の視界に入るんじゃない、とっととどっかへ消えてしまえ。
・・・などなど。
そんな悪口に隠されたこの私の、あいつに対するこの想いを、けっして人前では口にできない一刀への愛を、夜な夜な秘密の日記に書き連ねていく私。
「・・・さて。今日も日記をつけるとしようかな。・・・えっと、今日は・・・」
筆を取り、その日のことを脳裏に再生しながら、私はさらさらと筆を走らせる。
・・・北郷一刀に対する、この想いの丈を。
×月○日
世にさまざまな格差あれど。
この格差だけは、絶対に許せない。
何のことかって?
・・・この日の昼間。あいつがぽつりと言ったのよ。ある人種どもの、ある部分を見ながら。
『・・・・・・・・神様って、不公平だよな』
なんてことを、私や朱里、雛里たちの、その部分を見ながら。
とりあえず、その場でぶん殴っといたけど。
でも。
・・・・・・・やっぱり、一刀も大きいほうが好きなのかな?
自分の胸に手を当てつつ、はあ~、と。思い切りため息をつく私。
胸が大きければ、いろんなことが出来るわよね?
たとえば、その。
天然の枕にしたりとか。
あ、”あれ”をはさんでごにょごにょ・・・・・・・・とか///
こほん!・・・・・・ほんと、なんとか大きくする方法、無いものかしら?
牛の乳?とっくに試しました。
豊胸体操?それもやりました。
よく揉んでもらう?・・・・・・華琳さまに、しょっちゅうしてもらってます。
え?好きな男にしてもらえ?・・・・・・・出来るもんですか、んなこと///
そんな、とある日のこと。
朱里と雛里が、あいつから言われているのを聞きました。
『大きさなんて関係ないさ。小さいには小さいの魅力がる。だから気にしないで。な?』
・・・・・・いい言葉だった。
うん。
大事なのは感度よね!無駄にでかい分、脳に栄養行ってない連中よりはましよね!
あー、なんかすっかり気分が晴れちゃった♪
よし!気分がいいからあいつをからかってこよ♪でもって、たっぷりあいつの声を聞いて、一刀分補充しておこうっと♪
「こらー!そこの幼女趣味のど変態!成敗してやるからそこを動くなー!」
▲月▽日
詠こと、賈駆文和は、月こと董卓仲頴とともに、北郷一刀の侍女を務めている。その傍ら、あいつの政務の補佐もしている。
その仕事量は並みの量ではない。
だから、その疲れがたまったのだろう。この日、体調を崩して寝込んでしまった。そして、そんな彼女を看病するためと、彼女自身にも休みを与えるため、月もこの日は侍女の仕事から離れることになった。
で。
現在その代理を務めているのが、なぜか私だったりするわけで。
「・・・・・・なんで私があんたの部屋を掃除しなきゃいけないのよ」
「いや、俺に言われても」
ぶつぶつとそう言いながらも、内心私は嬉々として、めいど服とやらを着て仕事に励んでいた。彼の部屋を掃除できるなんて、まるで奥さんみたいだな~、なんて考えながら。
まあ、この役を命じられたのは、私がやらかしたヘマの罰として、華琳さまから言われたからなんだけど。そのヘマっていうのが、その、華琳さまに”また”、墨をぶちまけたという。・・・われながら、なんとも学習能力のない失敗なわけで。
・・・いっとくけど、わざとじゃないからね?
それはともかく、彼の部屋を掃除しつつ、私の興味はあるものの探索に向けられていた。
一刀だって健全(?)な男なんだし、そういう類の本があるんじゃないかなーとか、思っていたわけで。
・・・・・・・・・・・・ありました。しっかりと、寝台の裏に。
「け、桂花?いや、あのな、それはだな、その」
「・・・いやらしい。ふん!こんなもの見ていったい何をしてるんだか」
ぺらぺらと。
一枚づつ頁をめくり、何気なく目を通しながら、蔑んだ目と台詞を一刀に向ける。・・・わ。こんなことしてる。わ、わ!あ、あんなところを・・・!!
その内容に大興奮しつつも、表情には決して出さないように、そして、体が熱くなってきていることを悟られないように、彼を罵倒し続ける。
「これは没収ね。私が捨てといてやるわ。さて、後は洗濯ね。あんたの汚い下着なんか、ホンとは触りたくもないけど、仕事である以上、仕方なく!きちんとしといてやるわよ」
「・・・・・・よろしくお願いします。・・・しくしく」
・・・艶本没収されたぐらいで、そんな泣かなくてもいいと思うけど。
でもって、その日の夜。
「・・・・・・わ、これすご。わわわ!こ、こんなのもあるんだ・・・!!」
昼間彼の部屋から没収した、例の艶本を、一人こっそり、後学のために見てる私が居たりして。
「・・・やば。変な気分になってきちゃった。・・・・・・んふっ!」
それから、一人で何をしたのかは書かないでおく。てか、日記に書く訳がないっての。
・・・何期待してたのよ?この変態どもは(ジロ)・・・ふんっ!!///
他月◇日。
この日は朝から調子が悪かった。
気持ち悪くてすぐに吐きそうになるし、月の物も全然来ない。
・・・出来た?
出来ちゃった、かな?
彼の、子供。
・・・・・・・・だったら、嬉しいな♪
でも、そんなこと誰にも相談できないわけで。
仕方なく、それを隠したまま、仕事に励んでいたんだけど。・・・やっぱ、意地は張るものじゃない、と。つくづくそう思ったわけで。
仕事の最中で、思いっきりぶっ倒れました。
・・・・・・・流れてないといいな・・・・・・・わたしと、一刀の、赤ちゃん・・・・。
そんなことを願いつつ、私は意識を失いました。
それから少しして、私は自分の部屋で、目を覚ましました。
あの後、すぐに華佗が呼ばれたらしく、私自身は単なる疲労だと言われたそうです。
・・・・・・赤ちゃんは、居なかったそうです。
・・・・・・そういう、運命だったのかな・・・?
わたしが、変に意地を張らなきゃ、赤ちゃん、助かってたんだろうな。
「・・・ひくっ。・・・ひぐっ。ごめんな、さい。ごめ・・・な、さ・・・う、う、うあぁぁぁぁぁ・・・・・・!!」
誰にも知られないよう、私は、声を殺して泣きました。
・・・・・・・赤ちゃんに、生まれてこれなかった生命に。そして、一刀に。
「・・・・・・結局、とんだ勘違いだったんだけど」
そう。
吐いたり倒れたりしたのは、ほんとに疲労がたまっていたため、調子を崩していただけだった。で、月のあれに関しても、単なる不順だったわけで。
「昨日からしっかり始まってるんだもの。・・・・・はあ。ほっとしたやら、なんやら」
日記をしまいつつ、ため息を吐いてつぶやく私。
「・・・子供、かぁ・・・。・・・本当に出来てたら、今頃立ち直れてなかったも・・・。・・・これから、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、素直になろうかな・・・・」
そうすれば、最悪なことは避けれるはず。
彼の子を生む。
私の、今一番の夢。
そして、幸せな家庭を築く。
「・・・喧嘩は絶えないだろうなー、あはは。・・・でも、だからこそ、幸せなんだって、そういえる家族に、なれたらいいなあ・・・」
そんな日が、いつか来るように。
そう願いつつ、私は明日も、彼に冷たい視線と声を掛けるだろう。
明後日も。
明々後日も。
その次の日も。
毎日毎日。
ただ、彼の注意を引くためだけに。
子供みたいなその行為で。
貴方が好き。愛してる。
それとはまったく正反対の、こんな言葉を投げかけつつ。
「寄るな触るなこっちを見るな!私の視界から消えなさい!て言うか今すぐどっかいけ!息も吐くな!それだけで妊娠しちゃうでしょうが!あんたなんか、大っ嫌いなんだからー!!」
~えんど~
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しつこいくらいの日記。
なんかこっちがメインになりつつある今日この頃w
あ、もちろん北朝伝もちゃんと進めますよ?
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