No.202529

虚々・恋姫無双 虚拾肆

TAPEtさん

とりあえず状況まとめです。
そろそろ話を終盤に向かわせようと思います。
華琳さまと一刀ちゃんがどのような選択をするか期待ください。


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2011-02-19 21:22:53 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2574   閲覧ユーザー数:2146

「こちらの被害は死亡者と重傷合わせて一万弱、軽傷の人は三万ぐらいでしたが、回軍しているうちにほぼ全快しています」

「………」

 

稟さんの報告を聞いている魏の重臣たちの集まった御殿は肅然としていた。

だけど、それは魏が負けたからというよりも、

 

「正直、あの修羅と化した孫呉を相手にこのぐらいの被害で済んだことでも奇跡……」

「稟、少し黙っていて…」

「はい?」

「………」

 

大戦争になるはずだった戦いがたった半日で撤退して被害は最小限にしたものの、それはあくまで量の被害のものに過ぎないものとして、

質、つまりは魏は重要な人たちを無くしてしまいました。

西涼では勝ちをとり西涼を勢力に入れることが出来たものの、司馬懿という重臣を失っていました

そして紗江を失った衝撃で三羽鴉、そのなかでも凪君は未だに衝撃から出られず、この朝議にも代わりに真桜君が出ている始末でした。

そして孫呉では被害こそ少なかったのですが、その被害を最小限に縮めるに一番役に立った天の御使いを、その戦場から救い出せませんでした。

そしておまけに一刀ちゃんを探すために戦場から外れた桂花さんと季衣ちゃんまでも行方不明となっていました。

これは、曹魏にとって最初の負けであり、今までもなかった大負けでありました。

 

「華琳さま」

 

稟を黙らせて口を閉じ、玉座に肘をついている姿で数分、やがて秋蘭さんが口を開けました。

 

「私を北郷を助けられなかったことは辛いです。正直話、私だってここに居るより部屋に戻って泣き出したいのが本音です。ですが、華琳さま、華琳さまは魏の王。このようなことでいつまでも苦しんでいては他の皆もいつまでも立ち直れません」

 

秋蘭さんがあんな華琳さまの逆鱗に触れるような話を……

と思ったらしばらく何も言わないままだった華琳さまが秋蘭さんに向けて口を開けました。

 

「……秋蘭…」

「はっ」

「…もし、私があの時一刀の言うことを素直に引き受けていたら、一刀は私を拒まなかったかしら」

 

一刀ちゃんが華琳さまを拒んだ?

 

「華琳さまはそのような選択をしなかったでしょう」

「………そう…そうね」

 

秋蘭さんの答えを聞いて華琳さまは頷きました。

 

「霞、西涼の方はどうなってる?」

「ほぼ壊滅的な状況やな。力がある豪族らは大体馬騰から兵を引き出されてあったのに、それが全て壊滅したんやから…荒れているとかそういうもんはないんやけど、兵とか軍馬とかはほぼ残ってないや。戦力に使えるには時間がかかるやろうな」

「そう。それじゃあ、しばらくは西涼の復興のために中原の人たちを西涼に移住するように誘導して復興を少しでも急ぎなさい。河北もまだ手をつけなければならないところが多いし、やるべきことはまだ山ほど残っているわ」

「華琳さま、孫呉の方はどうしますか?」

「弔意を現してしばらくは放置よ。あっちから来る可能性もあるからあるだけ警戒して斥候の数を今の三倍まで上げて………一刀や桂花たちを探す作業も重ねて」

 

華琳さまは一つ一つこれからやるべきことを整理して、稟の話も聞いて適切な対案を出しました。

その姿がとてと謹厳で、いつもの華琳さまのような姿でした。まるで違いがありません。

 

「蜀の方は霞の話を聞くと当分は問題ないでしょうね~警戒はしてますけど、しばらくはあっちから警戒が厳しいでしょうし、先に攻めてくることはないと思いますよ」

「そうね。西涼の方だけど、風に思案を頼めるかしら」

「河北と戦後処理のことを全部稟ちゃんのところに回してくださったら、三日内にまとめて提出しますよ?」

「ちょっ、風!」

「頼むわよ。他の言うことがなければ、今日の朝議はこれでお終いにしましょう」

 

皆がまだ開き直りに時間が必要だったのかそれ以上言う人がなかったため朝議はそれでおしまいになりました」

 

 

 

「ちょっと風!」

 

朝議が終わったところ、帰るところで稟さんが風さんを呼びました。

 

「河北の処理だけでも私一人だけだったらどれだけかかるか分からないというのに、戦後処理も全部任せっぱなしにしてあなたは西涼の仕事だけするってひどくありませんか?」

「……稟ちゃんはもう少し場所を弁えた発言をする練習が必要なのです」

「はい?」

「これはその罰ですから、風に文句を言っても無駄ですよー」

「何を…」

「それじゃあ、風は西涼の復興のための計画の草案を作らないといけないのでここで稟ちゃんとはお別れです」

 

話していたらいつの間にか風さんの部屋まで着いていました。

 

「意味が分かりませんよ。私が一体何を間違ったことを言ったって言うのです」

「正しいことだからって何も言っていいわけではないのですよ?……風が華琳さまだったら………」

「………」

 

その一瞬、いつも居眠りしてるような目をしている風さんの目が満開して稟さんの目を刺すように睨みつきました。

 

「風は稟ちゃんのそういうとこが大好きですけど、稟ちゃんはもう少し周りのことも考えてください」

「………」

 

稟さんはまだ分からないと思いますが…どっちにしろ風さんはそのまま部屋に入って門を閉じました。

もう、稟さんには二度と分からないかも知れませんね。

 

 

「………」

 

部屋を閉じた風さんですが……

 

「………」

 

あ。

 

風さんの瞳から一粒、涙が顔にながれてました。

 

「…一人でも、その場で一人だけでも一刀ちゃんのために泣いてあげたら、風も泣いてしまったかも知れません」

 

……

 

「でも、そうすると華琳さまが…私たちに付いて泣くことさえもできない華琳さまが可哀想なんですよ…ですから風も…誰も泣かなかったのですよ……」

 

風さんの身体はそのまま下へ…

床に居座ったまま、風さんは涙が落ちた飴を口にしながら泣いていました。

 

「……飴があましょっぱいです」

 

……少し、放っておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこに行こうとするのですか?」

 

……へ?

 

僕のこと……見えてる?

 

「見ましたね?風の恥ずかしいところ」

 

いえ、これは…あの……その…

風さんのことはいつも変な人だと思ってましたけど…いつから僕のことが見えてたんですか?

 

「割と最初からだったりして……」

 

えーー!

じゃあ、アレですか?以前から紗江さんに取り憑いてスタ○ドみたいに立っていたのみ全部見られてたのですか?

 

「まぁ、嘘ですけどね」

 

嘘!?

 

「でも、そうですね…確かに華琳さまから紗江の中にはもう一人の紗江が居て、その人が紗江を生きるようにしていたっていう話を聞いたことがあります。どういう意味なのかは分かりませんでしたけど、まさかそのまんまの意味だったとは……むむ」

 

………

 

ふ、いえ、程昱さん、僕のことが、どのように見えますか?

 

「そうですね。…最初は紗江さんが幽霊になって出てきたのかと思いましたね…」

 

僕が紗江さんのように見えますか?

 

「いえ、いえ、見えるのは別にどうにも見えませんけど、なんとなく、紗江かなぁと思いました」

 

……僕は紗江じゃありません。程昱さんが言ったとおり、紗江に取りついていた…まぁ、幽霊みたいなものです。

 

「ふむ……ということは、紗江はやっぱり…」

 

はい、あの火の中で……僕には何もできませんでした。

 

「まぁ、風たちも一緒ですよ。一刀君のこと、誰も助けられませんでしたし」

 

何があったのですか?何か一刀ちゃんのことをそこに置いてくるしかなかった理由があったのですか?

先華琳さまの事を聞いたら、一刀ちゃんが華琳さまを拒んだとか……

 

「……名前、何ですか?」

 

左慈……いや、さっちゃんって言います

 

「さっちゃん……じゃあ、風の名前も縮めてふうちゃんって呼んでください」

 

いや、縮んでないし……まぁ、別にいいんですけど…

それじゃあ風さん、話してもらえますか?あそこで、一刀ちゃんに何があったのか。

 

「………<<むっ>>」

 

……お願いします、風ちゃん

 

 

 

 

風がそこに着いた時には、もうそこには他の皆さんが集まってました。

 

急いで撤退するように進言しようと春蘭さんと軍を引かせて来たのに、何か様子がおかしかったのです。

 

「おかしいですね」

「!」

 

と、思ったら秋蘭さんが皆さんが集まっているところに凄く焦った顔で走って行きました。

 

風はあの時まで人たちに囲まれて一刀君が見えなかったのです。

 

「一刀!!一刀!」

「華琳さま!これは一体…」

「一刀!一刀!!」

 

華琳さまはあの頃からもう半分正気を失って居ましたね。

 

「早く医員を…誰か御使い殿を部屋まで運べ!」

「ええい、待っていられるか!私がやるぞ!」

 

稟さんが人を呼びましたが、それを待てなかった春蘭さんが一刀君を抱き上げようとしましたね。

そしたら、

 

スッ

 

「!」

 

春蘭さんが一刀君に触れようとした瞬間、一刀君が消えたのです。

 

そして、春蘭さんが驚いて手をあげたら、そこにはまた一刀君の身体が戻ってきたのです

 

「…まさか…!」

 

秋蘭さんも嫌な予感がしたのか、一刀君を触ろうとしたのですが、

 

スッ

 

また一刀君が消えちゃったのです。

 

「……どうして……」

 

秋蘭さんがそう呟きながら、流琉ちゃんの方を見ました。

 

「何があったのだ…どうして北郷がこんなところで倒れているんだ!」

「そ、それが……」

 

流琉ちゃんが怖くて何も言えないままでした。

秋蘭さんのことが大好きな流琉ちゃんが秋蘭さんの剣幕に何も言えなかったのですから、あの時の秋蘭さんと来たら凄く怖かったのですね。

 

「一刀様は自分の身に矢を打って気を失いました」

「!」

 

そこにいた、途中で一刀君を守るために紗江…あぁ、実はさっちゃんですね。とにかくさっちゃんが呼んできたその孟節という人がそう言いました。

 

「どういうことだ!どうやって自分で矢を刺したというんだ!」

 

秋蘭さんが熱が上がって言ってましたが、孟節ちゃんは落ち着いた声で答えたのです。

 

「一刀様が持っていた弓……聞いたことがあります。それは魂を矢に射て撃つ人が望む相手なら誰でも殺すことが出来る弓……恐らく一刀様が持っていたのがそれかと…」

「どうしてそういうものを北郷が…」

「恐らく……いいえ、今はそんなことをしている場合ではありません」

 

そういって孟節ちゃんも自分で一刀ちゃんを触ろうとしましたけど、その人でも結果は同じでした。

 

「わたくしでも…拒むのですか…」

「一体どうすれば…」

「…息はしています。聞いた話とは少し違いますし、もしかしたら生きるかもしれません」

「だが!ここで倒れたまま、誰も運べなかったら、一体どうして北郷を連れ戻ったらいいのだ!」

「……………」

 

孟節ちゃんはしばらく何も言いませんでした。

そして、

 

「孟徳さま、良ければ一刀様を触ってみてください」

「!」

 

その話を聞いて華琳さまはゾクッとしました。

 

「ここで華琳さまが一刀様に触れることができないのなら、だれでもできないでしょう」

「…わ、私は……」

「華琳さま」

「……」

「華琳さま……」

 

戸惑う華琳さまを周りの皆が注目してみてました。

 

「………」

 

華琳さまはしばらくその目たちを見ていて、倒れている一刀君を見ました。

 

「……」

 

そしてゆっくりと手を伸ばしました。

 

………

 

スッ

 

 

「…!」

 

華琳さまが出した手の先には、もう何もなくて……華琳さまの手だけが震えているだけでした。

 

「……か……ずと……」

 

そして、華琳さまはそこで気を失って前に倒れました。

 

「華琳さま!」

「華琳さま!!」

 

秋蘭さんと春蘭さんが華琳さまを支えました。

 

「…皆さんは撤退なさってください」

 

孟節ちゃんはまた戻ってきた一刀君の身体を見つめながら言いました。

 

「何を言っているんだ?」

「一刀様のことをここに置いて、皆さんは逃げてください」

「「「!!!」」」

 

その言語を聞いて、そこに居る皆さんがびっくりしました。

 

「馬鹿なことを‥ここに北郷を置いていけるわけがないだろ!」

 

一番先にそう怒鳴ったのは春蘭さんでした。

 

「今の皆さんでは一刀様を助けることができません。もうすぐ孫呉の兵がここまでせめて来ます。そしたら一刀様が命を賭けて助けようとした皆さんの命が…魏の人々の命が散ってゆきます」

「しかし!!」

「まだ分からないのですか!!」

 

孟節ちゃんは私たちに叫びました。

 

「ここに一刀様を助けることができるのは誰も居ません!一刀様があなたたちに助けられるのを拒んでいるのですよ?一刀様を先に裏切ったのはあなたたちです。だから早く逃げてください。あなたたちがここに居て無駄に死ぬと、後でわたくしが一刀様を見る顔がありませんから」

「「「「!!」」」」

 

そこに居る魏の全員、風を含めて、誰も一言も言えませんでした。

実際、誰も一刀君のことを触れる人がいなかったし、触れることもできないとここから連れて帰ることもできないのです。

 

「それとも、あなたたちにこの子一人のためにこの修羅場に残る人が居ますか?」

「………」

 

風は、皆の心を全部分かるってことはないのですよ。

でも、そこで秋蘭さんは一瞬口を開けようとしてました。でも、自分腕で気を失っている華琳さまに気付いて口を閉じたのです。

風も、風に力があったなら、そこに残れたかも知れません。でも、風は一人では兵一人も倒すことができない、ただの軍師なのです。

 

「華琳さま……」

「………」

 

皆さんが口を閉じたまま何も言えませんでした。

ここに一刀君を置いていくわけには行かない。そんなことは出来るはずがない。

だけど、何もできることがありませんでした。

 

「行ってください。今でも皆さまの迷いのせいで、一刀様の犠牲に無駄になっていきます」

 

前線では既に戦いが始まって有馬s地あ。

死兵と化した孫呉の兵たちが迫ってきています。

もうすぐ居ると、将級の人たちも来るでしょう。

 

「撤退しましょう」

「稟!貴様!」

 

先に口を開けた稟ちゃんに向かって春蘭さんが殺す勢いで睨みつきました。

 

「孟節さんの言う通りです。今私たちには一刀殿を助けることが出来ません」

「そんなはずはない!何か…何かあるはずだ!ここに北郷を置いていくなんて…それは…」

 

見殺しにするという意味…でした。

ここに置いていって一刀君が無事で居られるはずがないのです。

 

「一刀様はわたくしが守りましょう。ですから皆さんは急いでください」

「孟節さん一人でどうやって……」

「命を賭けます…それだけです」

 

流琉ちゃんの問いに、孟節ちゃんはあまりにも容易く命を賭けると言いました。

風は悔しかったです。

風には分かってるのです。風が命なんか賭けても、一刀君を助けるには何の力にも……ならないのです。

ですから、ここで風が出来ることなら……

 

「…秋蘭さん、もう時間がないのです」

「………」

 

ただ、促すだけ。

 

「ああ……姉者、華琳さまを連れて先に言ってくれ。流琉も行け。私はここで本陣と一緒に引く」

「秋蘭!」

「孟節、頼む。お前に生きてくれとは言わない。死んででも北郷のことを守ってくれ」

「あなたに言われたくとも…わたくしはもっと大事な方にその言葉を言われて居ります」

「……頼む」

 

秋蘭さんが華琳さまを春蘭さんに渡して自分も動き始めました。

 

「稟、風!早く動いてくれ!桂花と季衣は……」

「どこにいるか分かりません。今はとにかく……」

「…分かった。風は前衛を頼む」

「はい~」

 

そして、私たちは逃げました。

 

そこに一刀君と孟節ちゃんと、見失った桂花ちゃんと季衣ちゃんを置いて……

 

 

 

「それが風が見た全部ですよ。後は、華琳さまが起きてしばらく暴れていましたが、直ぐに収まってました」

 

………孫策さんを救うことに失敗しましたか。やはり固定された歴史を変えることはそう簡単ではないということですね。

 

「多分、その日から一度も華琳さまは泣いたことがないと思います」

 

ふん、あの人がどうだったかは興味がありません。

 

「そうですか…?てっきり気にしてるだろうと思ってたのですが……」

 

……何です?どうしてそんな、全てを見抜いているような目を…?

 

「普通に開けてるだけですけど?」

 

嘘です。普段は半開きなのに満開になってるじゃありませんか。

 

「そうですかぁ?」

 

………

しかし、そうなると一刀ちゃんは一体どこに行ったのでしょう。

 

「死んだとは思ってないのですね?」

 

死んだとかそういうもうオワタな状況だったら見てなくても感じて居ります。

きっと一刀ちゃんも万安ちゃんも、桂花さんたちも生きています。

……探しに行かなければ、

しかし、下手に南に向かって于吉に会ったら…?

 

いや、そういうこと考えている場合ではありません。

 

「風ちゃん、ありがとうございます。餞別と言ったらなんですが、これを……」

 

僕は風ちゃんに封筒を三つ渡しました。

 

「これは…?」

 

一つは、紗江からもらった、今後の西涼の復興作業にすべきことを紗江が先に読んで書いたもの。一つは、紗江の遺書、一つは、僕から華琳さまに上げる手紙です。

 

「……紗江は、最初から全部分かっていたんですね。風たちが負けることも、自分が死ぬことも……一体紗江は、どこまで分かっていたんでしょう。風には…わからないのです」

 

……それでは、僕はこれで………

 

僕は静かに、最初から居なかったように風さんの部屋から消え去りました。

 

 

 

「……まぁ、取り敢えず、紗江の安は草案を全部書いてから開けてみようとしましょう。このまま死んだ人に負けていたら悔しいですし、これが紗江に勝てる最後の機会ですしね。稟ちゃんにも手伝ってもらわなきゃです」

 

 

 

 

 

………

 

――行く気かの?

 

南華老仙……こうなるって分かっていたか?

 

――まさかの…外史の外れ道は多すぎる。儂とって全てを完璧に読みきれることはない。じゃからお主らを連れてきたのじゃぞ。

 

だけど、結局孫呉との戦いを止めることはできなかった。そして、そのせいで一刀ちゃんは傷ついた。今までと比べものにならないほど、大きい穴が胸に空いてしまった。

 

――天の御使いが曹操を見捨てたのかの?

 

まだ決め付けるのは早いわ。けど、少なくともあの人がこれから変わろうとしなければ、僕は彼女を捨てる。

 

――……もう、この外史、定められているまま行くには外れすぎてしもうた。

 

いいんじゃない?どうせこういうのがあなたたちの狙いだったでしょうから。定められた外史から外された道を創りだすために僕と一刀ちゃんを犠牲にしたのでしょう?

 

――………。すまぬの。

 

謝らないで。その顔ぶん殴りたいから…

 

 

 

 

一刀ちゃん、どうか無事でいて頂戴。

万安ちゃん、あなたまで僕を置いて行かないで……

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 


 
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