No.203375

虚々・恋姫無双 虚拾伍

TAPEtさん

孫呉に向かいました。

2011-02-23 21:43:24 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2672   閲覧ユーザー数:2262

一刀ちゃんが魏の将たちを拒んだこと。

それは思っている以上に深刻な状況を意味しているのかも知れませんでした。

 

風ちゃんの話を聞くに、一刀ちゃんは意識がない状況でありました。

そんな中で一刀ちゃんの身体が皆に触れることを拒んだ。それはつまり、一刀ちゃんの脳内から彼女らを危険な、自分に害を与えられる存在だと認識したというわけです。

 

もしかすると、一刀ちゃんが気付いてしまったのかも知れません。

自分の魏での存在の矛盾さに。

 

一刀ちゃんは魏の皆とって戦争に乱れる心を支えてくれる存在としてあり続けました。

でもそれは魏の皆がそうだっただけなく、一刀ちゃんからでも彼女らを、自分の過去から逃げるための盾として使っていたのです。

一刀ちゃんは聖者ではありません。

どの道魏の皆がしていることを人を殺していること。どれだけそれに高貴な意味を付与するとしてもその事実は変わりません。

一刀ちゃんは昔そのことが嫌だった。そして、皆にそんなことはやめてほしいといつも思っていました。

 

そんな思いは一度一刀ちゃんが二度目この外史に戻った時に華琳さまと二人で会った時に砕いて、一刀ちゃんはその防御行動としてその記憶と僕との記憶を消しました。

でも、一度そんな行動をとったからこそ、もう一度自分の思いが叩かれた時、一刀ちゃんがどんな反応をするかは僕にも分かりません。一度目の時にも驚きこの上なかったのに今回は記憶抹消しました、とかなったらたまりませんから。

 

 

――左慈、見つけたぞ

 

ご苦労でした。

 

――まったく、老人にこんな重労働任しおって……儂はこのような足運んで働く年はもうとっくにすぎとるんじゃよ!

 

仕方ないでしょ?下手して于吉や管路にバレたら元も子もないのでから……

で?どこに居るんですか?

 

――ふむ、城からやや離れた森にある小屋じゃ。どうやら忍者の小娘が使ってるところのようじゃがの

 

周泰が?それはまたどうして……それにしてもどうやって一刀ちゃんを運んだのかしら。

 

――まぁ、その場で首切り落とされててもおかしくない状況じゃったんじゃよ。生きていることだけでも幸いってとこじゃ。

 

まぁ、そうなんだけど……他の子たちは?

 

――分からん。小僧だけ確認して急いで出たからの。儂をお主ほどバレたらまずいんじゃよ。

 

もうまったく使えない爺なんだか……<<スッ>>ははーん、そんな遅い杖にいつも当たっていると思ったら大間違いよ。

 

――うるさいんじゃ!ああ、気分がそれた!儂はもう帰る。後はお主好きにするがよい!

 

 

 

 

 

ねぇ、爺。

 

――…何じゃ?

 

紗江はね、天国に行ったかな。

 

――………

 

良い子だった。一生にて一度も悪意と言うものを知らない子だった。でもその心に、その智を持って、その身体を持ったせいで、紗江の人生は人に穢された。そして最後には、多くの人たちを道連れにしてしまった……

 

――……

 

紗江は、天国に行けたかな。

 

――……のぅ、左慈。

 

何?

 

――あの娘を蘇らせたのはお主じゃが、もしかするとそれはお主の意志ではなかったのかも知れぬ。

 

どういうこと?

 

――他に多くの方法があったのに、お主はあの娘を選んだのじゃ。じゃが、振り向いてみると、それは実はあの娘がお主を選んでいたのかも知れぬ。

 

………

 

――二度目の人生を生きてあの娘は、自分にできなかったことを全て成し遂げたんじゃ。あの娘は、一度目の人生こそ残酷じゃったが、二回目の人生では、一点の悔いもなく散った。

 

…僕がしたことが、紗江にとって救いになったって?

 

――少なくとも儂はそう思っておる。じゃから、お主も後悔するでない。

 

………わかった……ありがとう、みなみ。

 

――まったく、手間をかかせる娘じゃよ。………ほれ。

 

南華老仙が突然懐を探って袋一つを僕に投げた。

 

……これって……!

 

――孟節に使うと良い

 

本気なの?

 

――あの娘には資格がおる。

 

 

……ぁ……あはぁ……ふふっ……あははははっ……ありがとう、爺。

 

コン!

 

いったーい!

 

――爺と呼ぶでない!

 

うぅぅ……容赦ないんだから…………じゃあ、僕は行くわ。ありがとう。

 

 

 

 

――手間かけおって…本当に困った小娘よ…

 

 

 

森の中に隠れている小屋。

 

どうしてこんなものがこんなところにあるかが最初はちょっと疑問だったのですが、直ぐに理由がわかりました。

ここは孫呉の私有地。曰くば、ここは孫家の別荘のようなところだったのです。

 

どうしてそんなところに一刀ちゃんと万安ちゃんが連れてこられたのかは分かりませんけど……

 

取り敢えず、中に探ってみましょうか。

 

バサッ

 

 

!誰か近づいていますね…

 

 

バサッバサッ

 

「ふぁぁ……」

 

周泰でした。どうやら食するものを持って来たようです。

量として一人で食べる量ではありません。やはりここに一刀ちゃんたちが居るのでしょう。

……周泰さんがどんなつもり二人をここに連れてきたのかは分かりませんが、取り敢えず害する気はないと見ました。

こんなところまで連れてきたこと自体、周泰の独断から出てきたことなのでしょう。あの孫家に忠誠する周泰がどうしてこんなことをするかはわかりませんが……

 

がぁー

 

あ、中に入りますね。

僕も付いて入ってみます。

 

 

 

 

「……」

 

ぅぅん……

 

チャリン

 

「!」

 

起きてみたら、手首に鎖が……

 

チャリン

 

「………」

 

スッ

 

スッ

 

ってか意味ないし。

 

「…ぁ……?」

 

声が…出ない。

そうか、結以お姉ちゃんの薬の効果が切れ………

 

……

 

そうだ!

戦争は?!

皆はどこに行ったの?

ここどこ?

華琳お姉ちゃんは?結以お姉ちゃんは?!

 

後ろを見る。

僕が起きた寝台には僕を縛っていた鎖以外には何もない。

周りに結以お姉ちゃんの気配もないし、どこに……

 

がちゃ

 

誰か入ってくる。

 

「あっ!」

「!」

 

あの人は…孫策さんのところに来てたお姉ちゃん……

 

不味い!

僕もしかして今捕まっちゃったの?

じゃあ、結以お姉ちゃんも?

 

「……<<汗>>」

「ど、どうやって鎖を…いえ、その前にそんなに警戒しないでください」

 

鎖で縛られていたのに警戒しないわけないでしょう?

 

「あの、安心してください。ここなら安全ですから」

 

安全って……どういうこと?

 

「戦いの場で、魏の軍が撤退したところで、あなたたちだけ残っていましたので、他の方々に見つかる前に私が連れて保護したのです。

「……?」

 

どういうこと?分からないよ。

僕どうして倒れてたっけ。

 

確かに……

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「じゃあ………じゃあ、ボクも?」

 

「……………え?」

 

「ボクもその何十万人の中に入るの?」

 

「………何を…」

 

「じゃあ…いい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

あ……

 

……

 

どうしよう…

僕、あんな言……

華琳お姉ちゃんになんてこと……言っちゃった?

 

「……ふぅう……」

「へ?」

「ふえええーーー!!!うええ!!」

 

僕がそんなこと言っちゃったから華琳お姉ちゃんが僕のこと見捨てて行っちゃったんだ。

僕のこともう要らないから行っちゃったんだ…!

 

「ええええーーーん!!ふええーー!!」

「あうわー!ちょっ、な、泣かないでください!私何も…あ、あのー!」

「ふえええーー!!」

 

 

お姉ちゃん……おねえちゃーん……ごめんなさい!僕がごめんなさいー!僕のこと捨てないでー!

 

 

 

 

ーーお馬鹿さんですね…

 

 

「!」

 

お迎えに来ました。一刀ちゃん。

 

【さっ、…ちゃん……】

 

はい、さっちゃんですよ。

 

【さっちゃん………】

 

……<<にっこり>>さて、先ずはその涙から拭いてもらいましょうか。

それにしても周泰さんと一緒に入ってきたのにまったく気づかれていなかったことに、さっちゃんは少し凹んでしまうところだったんですけど……

 

【さっちゃん……】

 

はい、はい、それはもういいですよ……

こういう時はほんと、自分の身体がないのが残念ですね…

 

「あ、あの、一刀様?」

 

横で状況が良く分からないような顔をしている周泰さんが居ます。(っていうか何で様?)

まぁ、僕のことが見えない周泰さんとしては、突然泣き出した子が急にまた泣き止んだことにしか見えないですけどね。

一刀ちゃんと話したいことは山ほどありますが、取り敢えずフォローもらえますか、一刀ちゃん?

 

「……<<コクッ>>」

 

僕のことを見て少し落ち着いたように、一刀ちゃんは頷いて周泰さんのことを見ました。

 

「……」【ところで、ボクも状況が良く分からない】

 

まぁ、でしょうね…

どうして周泰さんがこんなところまで一刀ちゃんを連れてきたのか先ず謎ですし…

それに、孟節も見当たりませんし…

 

「!」【そう、結以お姉ちゃん!】

 

パッと思い出した一刀ちゃんは周泰さんを通り抜けて外に出ようとしました。

 

「ああ、行ったら駄目です!」

 

周泰さんが止めようとしましたが、一刀ちゃんは聞かずに万安ちゃんを探すためにドアを開けました。

 

そしたら、

 

「おっと…」

「!」

 

門の前にいたのは紫色の巨乳星人・・・

 

紗江、あなたの胸がもう少しあったらさ…

 

「何じゃ。縛っておったつもりじゃったがの」

「祭さん!」

「……」

 

スッ

 

「何っ!」

 

一刀ちゃん目の前の祭さんを見て気にせず瞬間移動して通り抜けました。

 

「おい、待て!」

 

スッ

 

「何?こいつ妖術使いだったのか?」

 

逃げようとする一刀ちゃんをもう一度黄蓋さんが捕まえようとするものの、一刀ちゃんは黄蓋さんが伸ばした手が狙った場所の一歩先に居ます。

 

「あの時も突然消えていました」

「とにかく、外へ出してはならん。下手して権殿や公瑾にでもバレたらどうなるか知らん」

「はい!」

 

…どうやら二人とも孫権とは別に行動しているようですね。

孫策が死んだのであれば、今頃孫権がその後を継ぎ、周瑜は後片付けに余念がないはずです。

というか、もう戦いがあって何日立ちましたし、そろそろ「礼の事件が起こる頃ですね……

 

ちょっと、一刀ちゃんそこ待ってください!

 

 

 

 

ちょっと待ってくださいよ、一刀ちゃん!

 

「!」【どうして止めるの?】

 

落ち着いてください。今外に出ると危険です。いいですか?ここは呉の領地。それにあなたは孫策さんを毒殺した魏の人です。下手して呉の将たちにバレたら……

 

【違う!】

 

 

一刀ちゃんはそう叫びました。

 

【違う。華琳お姉ちゃんがしたんじゃない……華琳お姉ちゃんのせいじゃないの……】

 

……孫策さんのことですか?

 

「………」

 

残念ながら、誰がなんと庇おうと、それは華琳さまのせいです。

 

「!!」【……どうして………】

 

一軍を統括する者として、華琳さまにはその責任があります。

 

【どうして…さっちゃんまでそんな風に言うの?】

 

そう言っている一刀ちゃんの目はもういつ涙が溢れでてもおかしくない状態でした。

 

【お姉ちゃんのせいじゃないよ……華琳お姉ちゃんはそんなことしようって思ったはずがない。……なのに……どうして…】

 

ここで、僕がこれ以上追い詰めても意味がありません。

 

「一刀様!」

「!」

 

と、思ったらいつの間にか周泰さんが一刀ちゃんの前に立っていますね。

流石忍者。まったく気づきませんでした。

 

一刀ちゃん、ここはもうちょっと落ち着いて、話し合いで解決しまs…

 

スッ

 

「あ!」

 

今回の一刀ちゃんは僕のこと全く聞きません……

ちょっと泣きたいです。

 

それにしても、一刀ちゃんの心中に詳しく一体何があったのでしょうか…やはり万安ちゃんが居ないと詳しい状況がわかりそうにありません。

見るに周泰さんか黄蓋さんのどっちかは戦い以前に一刀ちゃんに会ったことがあるのかも知れませんね。

でも推測だけではどうにもなりませんし。

うぅーーん

 

 

 

「誰じゃ、お主は?」

 

………うわぁ、嫌な予感しかしない。

 

 

 

「もう一度聞く。貴様は誰じゃ<<ギギっ>>」

 

人の頭の後ろに矢を射て聞かないでくださいますか?

黄蓋さん

 

「儂を知っておるとは益々怪しいの。それに、明命のヤツお主にまったく気づかぬままあの童について行きおったしの」

 

この前の風ちゃんのことといい、おかしいですね。どうしてこう、僕のことが見える人が現れるのでしょうか。

これは周りの人の問題というよりも、僕自分の身に何か起こっているのかも知れません。

 

「早う答えんか!」

 

――先ずその矢から下ろそうか

 

「!!な、何じゃ……!」

 

まったく、いきなり人の頭に矢を撃とうとするとはどういうおつもりなのですか?

 

「う、腕が……上がらん!」

 

…何気に言霊の力も上がってるっぽい……。

黄蓋さんの腕は急に腕に何tもする岩でも持たれたように下に落ちました。

 

良く考えたら別に撃とうとしたって身体がない自分があんな物理的が武器にやられるはずありませんね。ちょっと悪いことしてしまいました。

 

――あの、黄蓋さん。僕は別にあなた方を害するために来たわけではありません。僕はただ、一刀ちゃんと、そして一緒に居た女の人の居場所だけ分かれば結構です。

 

「なん……じゃと?」

 

――ああ、腕は元に戻しますね。

 

「っ!」

 

腕の自由を戻した黄蓋さんは直ぐに僕に向けて矢を撃ちました。

もちろん狙い的がない矢は飛んであちらの壁に刺さりました。

 

「何!」

――あの、ですから僕は怪しい物ではなくですね……」

「…貴様、何者じゃ」

――まあ…うん……簡単に言いますと、幽霊に近い何かです、はい。

 

もう色々(どうして矢が刺さらないのかとか)説明するのが後で面倒なので幽霊でいいです。

 

「………儂も年を取ったかのぉ。こういうものが見えるようになるとは……」

 

それは早く状況を受け入れてるのか、それとも現実逃避しているのか少し微妙な言い方ですね。

まぁ、確かに幽霊が目に見えるのは、気が弱い人かそれとも年を取って眼が開いた人ぐらいだと言いますが、黄蓋さんの場合前者は絶対ありえないですしね。

 

「お主、何か失礼なことを考えておったの?」

 

――そんなことはありません。それより、良ければどうやって一刀ちゃんを拾ったのか教えてもらえるでしょうか。

 

「お主は…魏の者なのか?」

 

――僕は一刀ちゃんの側に居る者です。それだけ。別に魏に身を委ねているつもりはありません。

 

「………」

 

黄蓋さんはこっちを睨みます。虚実を見抜こうとしているようです。まぁ、こっちとしては嘘をつく理由などまったくありませんのでどうでもいいですけど。

 

――ああ、ところで答えてくださらなければ、言霊で強制に口走らせますので、今話してくださる方が宜しいです。

 

「ずいぶんと口が荒いの…」

 

――いつもならもっと礼儀正しくしますが、今はそうしてる時間がありません。もっとも外で一刀ちゃんが甘寧や周瑜辺りにバレてしまったら、あなたたちにもイイことはないはずです。あなたたちでは一刀ちゃんを止めることもできませんし。

 

妥協している暇なんてないのですよ。

こっちは早くこの状況を打開しただけですから。

 

「……仕方ないのぉ…」

 

黄蓋さんはため息をつきながら言いました。

 

――ご協力ありがとうございます

 

「半分脅迫しおって良く言うわ」

 

――こっちとしては手間を省けましたので……

 

スッ

 

「……!」【大変だよ、さっちゃん!】

「一刀様!」

「むっ、二人とももどってきたか」

 

ああ、一刀ちゃん、おかえりです。

周泰さんと鬼ごっごは終わりました?

 

【何言ってるの!結以お姉ちゃんが大変なんだってば!】

 

いや、ほら、割と楽しんでたじゃありません。

僕と黄蓋さんが話してる間も、周泰さんに見つかるような距離をギリギリ保ちながら動いていましたし。

ところで、万安ちゃん見つけたのですか?

 

【……隣の部屋にいた】

 

ェ…

呉の二方、それを早く言ってくだしあ。

 

【それよりも、早く!本当に大変だって】

 

はい、はい、分かりましたよ。

 

 

「……<<せーせー>>」

「……」【結以お姉ちゃん……】

 

隣の部屋に居た万安ちゃんの状態は結構酷いもので、

着ていたマントは剣や槍に千切られボロボロになって、顔を隠す部分も完全とられてそんなに人に見せたくなくて隠している顔も隠せずいました。

そして何よりも、一息する度に直ぐにでも死にそうな人のような息をしている様子は、気力が尽きたって感じでした。

 

「……ぅ……」

 

いつもなら僕が来ていることにもう気付いているはずなのに、どれだけ身体の調子が悪いのでしょうか。

 

「特に大きい傷を得たわけではないのじゃが…どうやら気力が尽きたようでの…なんとか生かしてはおるが、正直医者に合わせぬとどうなるか分からん」

「…」【じゃあ、早く医者に…!】

 

それは無理ですよ、一刀ちゃん。忘れたのですか。ここは敵の領地の中です。

今二人がこうして隠れているのだけでも奇跡なのですよ。

 

【そんな……】

 

「はぁ……あぁ……」

 

にしても、ただ気力が尽きたわけでもなさそうですね。

万安ちゃんが住んでいた南蛮とここでは気候も違いますし。食べ物や水も大きく違います。

この様子だと、結構以前から風土病にかかっていたようですね。

薬師である万安ちゃんが気付いてなかったわけがないのに、どれだけ無理をしたのでしょう、この子ったら……

 

【どうすれば…あ、僕は他のところに行って医者を連れて来たら…!】

 

いいえ、それより、もっと容易い方法があります。

 

【ほんと?じゃあ、早くその方法を……】

 

ですが、その前に……

 

――黄蓋さん

 

「何じゃ?」

「へ、私は何も言ってませんよ?」

 

黄蓋さんが僕こ言葉に答えたら、それを自分のことだと思った周泰さんがキョトンとします。

周泰には僕のことが見えないようですね。まぁ、それが普通ですけど。

でも紛らわしいので、声だけでも聞こえるようにしておきましょうか。

 

――周泰さん、黄蓋さんに声をかけたのは僕です。

 

「!だ、誰ですか!」

「幽霊のようじゃの」

「ゆ、幽霊ですか?」

 

――いや、幽霊でも別に構いませんが……一刀ちゃんの守り神的な存在だと言っておきましょう。

 

「守り神………?…それだったら、どうしてあの時一刀様をお助けならなかったのですか?」

 

――僕は皆さんが一刀ちゃんに会った時ここにいませんでしたからね…もし良ければ周泰さんにも一刀ちゃんをどうやって会ったのか話してもらえるでしょうか?

 

「え、あ……その…」

 

周泰さんは少し困ったような顔をして黄蓋さんの方を見ました。

 

「別に構わんじゃろ。もうここまでしてしまったからの。これ以上危なくなることもおらん」

「そ、そうですよね……うん、わかりました。お話します」

 

そう頷いた周泰さんは、あの時、孫策さんのところで初めて一刀ちゃんと万安ちゃんに会った時のことから話を始めるのでありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 


 
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