No.199585

『舞い踊る季節の中で』 第108話

うたまるさん

『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

 半年ぶりに一刀と向き合う詠。
 彼女は一刀に何を告げるのか。
 それは想い? それとも………。

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2011-02-03 23:36:18 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:15118   閲覧ユーザー数:10374

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -群雄割拠編-

   第百〇八話 〜 月下で舞う刀に秘められた想いを詠む 〜

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋(ただし曹魏との防衛戦で予備の糸を僅かに残して破損)

   習得技術:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)、食医、太鼓、

        神の手のマッサージ(若い女性は危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術、

        

  (今後順次公開)

 

 

【最近の悩み】

 

「………はぁ…、此れで良かったんだよな……」

 

 溜息と共に諦めに似た空気が俺の身体を包む。

 だと言うのに俺は目の前の光景に、彼女の喜ぶ顔に、幸せを感じてしまう。

 

「一刀さん、ありがとうございます」

 

 明命がそう言いながら喜んでいるのは、よく中学生が背負っているような背負えるタイプの学生鞄を似せた物。

 彼女の童顔と、いろいろ足りない体型のおかげもあるが、いつか俺が送った某私立●学校の制服に似せた服が、明命をより一層にその年代の少女に見せる。

 そのあまりにも似合いすぎる姿に俺は罪悪感を覚える半面。 何故か充実感も得ている事により一層落ち込みそうになるのだが、彼女の心底喜ぶ顔に人間失格でもいいやと納得しかけてしまう。

 ……いかん、及川の事を言えなくなってきた。

 

 事の起こりは翡翠と美羽のために作らせたランドセルに在るのだが、………これがどう言う訳か軍部でウケた。 大容量の鞄を背負っていながらも動きやすく、一般兵の弓矢や流れ矢ぐらいならば背中を守るだけの強度もあり、耐候性にも優れていると言う事で、アレの廉価版を正式装備にしてはと言う話が出た。

 確かにランドセルの起源は軍用に開発されたものだと言う話は聞いた事があるから、そう言う意味では決して、冥琳や穏の意見は的外れでは無い。

 無いのだが……、シャオはまだ良い。ある意味美羽と同類だ。微笑ましいと思えるだろう。

 だが冥琳や穏、そして蓮華や思春がランドセルを背負うって……

 

「どんなプレイだよっ!」

 

 思わず俺は会議の場でそう全力で叫んでしまった。

 幸いな事に横文字だったため、意味はその場に居た皆に知られずに済んだが、反対意見と言う事では十分に意味が通じたらしく。俺は反対する理由を求められたわけだが、そんな事を正直に言える訳ない。

 なにがやばいって、穏のランドセル姿が一番やばい。

 そんな訳で、この場に居る翡翠をなるべく傷つけないように言葉を選びながら、体格の違いや平均身長からしたら、もう少し相応しい形があると言ってその場を誤魔化したのは良いが、ならばその相応しい形を示すように命じられてしまった。

 

 そんな訳でランドセルの件で、翡翠達を羨ましそうにしていた明命と、ついでに七乃に試作品として作る事にした訳だが、本職のデザイナーでもない俺がそう次々からアイデアが出るわけが無く。 用途に合った物から俺の知識と記憶に在るものと言うと、ああいう形になった訳で俺に他意はなかった。

 しかも、俺のデザイン画を見た店主や職人が目を輝かせ。 徹夜などお構いなしで、持てる技術と意匠を全て注ぎ込んだそれは、明命のは可愛らしく。そして七乃のは落ち着いた大人びたデザインに仕上がって来た。

 ……翡翠の時にも思ったけど、こんな中●生の姿の似合う娘に俺はあんな事や、ましてやあんな事までさせただなんて………。 でも、可愛いからこの際良いか…………な?

 

 少なくともランドセルをむさい男や、おっさん達に背負わせる事態を防げたと思えば、きっと天も許してくれる。……たぶん。

 

 

 

詠(賈駆)視点:

 

 

 薪にまだ残っていた水分か、それとも固まった脂の中に気泡があったのか、時折音を立てる火の回りに彼奴は居り、舞いを舞っていたためか私達より遅めの食事をしていた所だったが、それももう終わりなのか、ボクと星に気が付いた彼奴は一気に掻き込む。

 そうして食べ終わった器を自分で片付けようとしたので、何時か見た黒髪のあの娘が食器を取り上げるようにして配下の兵に下げさせる。

 その光景にボクは洛陽のでの事を思いだす。あの時も妙に手馴れた感じで食事とか全てやっていたから、元々好きなんだろうと思っていたけど、仮にも将が行軍中にする事じゃないわ。 どうやらそう言う主婦染みた妙な所は相変わらずの様ね。と呆れ半分に安堵する。

 ボクは今でも彼奴は茶館の主として、庶民をしていた方が似合っていると思う。

 でも彼奴は間違いなく彼奴で。

 多くの死をその目で見。

 多くの屍をその手で築き上げた。

 孫呉の武官で軍師。

 

 そして、天の御遣い……か……。

 彼奴がそんな物に祭り上げられているんだと、正直同情を覚える。

 謁見であった時より疲れた顔をしていた。

 良く寝れていない事も想像はつく。

 ………だって、あの時だってそうだった。

 浅い眠りしか出来ていないのだと思う。

 ……でも、少しだけ安心もできた。

 だってあの時より顔色は良いもの。

 それにあの娘を見る彼奴の瞳。

 ……とても温かくて優しいものだった。

 きっとあの娘の存在が彼奴を支えているんだって事が、なんとなく分かる。

 

 そう、なんとなく……ね。

 

 

 

 

 

「明日の打ち合わせを前に、何か話しておきたい事でも?」

 

 彼奴は……北郷はボク達を向かえの場所に座るように促してからそう口を開く。

 ……明日? 星に言うならともかく、今のは確かにボクに言って言った言葉。 北郷の言っている言葉に意味に眉を顰めて見せると、

 

「え〜〜と、詠や月を打ち合わせ参加させるように言ったんだけど、その事で文句を言いに来たんじゃないの?」

「えっ?」

 

 頬を小さく掻きながら苦笑を浮かべながら言う此奴の言葉に、ボクは大体状況を理解して星を睨み付けると。 案の定星はぬけぬけと。

 

「お〜そうだった。 その事を伝えに来て、面白い事になっていたので、ついうっかり忘れてしまいました。

 と言う訳で詠よ。 お主と月、二人が嫌でなければ明日からの軍議に顔を出して欲しいと桃香様からの伝言だ」

 

 と謝罪のつもりなのか、軽く頭を下げるものの。 その目と口元はちっとも謝っておらず、その原因たるボクの反応を楽しんでいる。

 こ、この女っ。

 

「面白い事?」

「こっちの事よっ!」

 

 星に遊ばれて頭にかーと来た時に、よりにもよって彼奴は突っ込んで欲しくない事を聞いてきたため、ボクは思わずあいつに怒鳴り返すように返してしまう。

 ボクのあまりの剣幕に彼奴は驚きながらも、思わず謝ってくる。

 何で謝るのよっ! 悪いのは此方なのよ。先に謝れたら此方が謝れなくなっちゃうじゃないっ!

 ……あぁ、しかも隣に座るあの娘にまで、より警戒の強い目で見られちゃったじゃない。

 

 ……はぁ〜……ボク何やってるんだろ……。

 

 それに、此奴は相変わらずね。

 自然と此奴の前だと気が緩んでしまう。

 そして此奴の雰囲気に、つい甘えてしまう。

 その事を実感しながら、ボクは溜息を吐くように大きく息を吐き。

 空気を吸うようにその雰囲気を、……そして此奴を受け止める。

 

 

 

 

 気持ちが不思議と落ち着くのが分かる。

 だから口に出る。

 口に出せる。

 

「相変わらずね」

「…ははっ…、情けないとは思うけど性分かな」

 

 苦笑を浮かべ、見当違いな返事を返してくる。

 ……本当、そう言う所も相変わらずよね。

 でもその事で安心出来た。

 安心できないけど、少しだけ安心できた。

 まだ人として壊れていないって分かったから。

 

「相変わらず、大馬鹿な道を歩んでるんだと思ってよ」

「……それしかないからね」

「他に幾らでも在るでしょうに」

「……かもしれない。 でも俺の道はこれだけだと思う」

「……そう」

 

 彼奴の言葉に、ボクはそう静かに答える。

 彼奴の静かで綺麗な目。

 ……そして全てを受け入れているような殉教者のような優しい目。

 だけど、その奥に在るのは力強い意志の光り……ううん、闇かも知れない。 

 でも確たる決意。

 

「頑張りなさいなんて言わないわよ」

「ああ、分かってる。 これは俺の選んだ道だからね」

「でも、見ていてはあげるわ」

「あはは、それは心強いな」

「あら、ボクみたいな娘より心強い娘がいるでしょ」

「まあね」

 

 それで終わり。

 ボクは腰を上げて、もう寝るわと言ってその場を後にする。

 

 

 

 

「もう良いのか?」

 

 ボクの後を付けるように追いかけるように付いてきた星がそう尋ねてくるが、ボクは小さく頷き返す。

 だって十分に話せたもの。

 色々文句をぶつけてやろうと思ったけど、そんなのはもうどうでも良い。 ……ごめん嘘。 今でも文句は言いたい。 でも言えるわけが無い。

 彼奴は相変わらず大馬鹿な道をまっすぐと歩いている。

 傷付きながら……。

 涙を流しながら……。

 怨嗟の声に苦しみながら……。

 逃げる事も捨てる事もせずに歩んでいる。

 

 あの娘と二人で。

 

 だから、ボクが心配してやるべき事じゃない。

 それはあの娘の役目。それがよく分かった。

 

チクリッ

 

 何だろう今の……。 まぁいいわ。

 それに星に言った通りもう十分に言葉を交わした。

 口に出した言葉は確かに少なく。

 そして短かったけど。

 実際に語った言葉は、その何百倍もある。

 だから今話せる事としては十分過ぎよ。

 

「それよりも、アンタこそよかったの? ゆっくり話したかったんでしょ」

「まぁ機会はまだあると言うもの。 それよりも、今はあの二人の邪魔をすべき時ではないと思っただけ。

 ……それに、疲れているように見えたのでな」

 

 ……そう、やっぱり気が付いたんだ。

 でも、それくらいかな。 なら……問題ないか。

 さてと彼奴が思った通り大馬鹿なままで道を歩んできた、と言う事は彼奴の思惑は予想通りと言う所かな。

 

「桃香に伝えといて、月もボクも明日からの軍議の件は承諾したってね」

「勝手に決めて良いのか?」

「良いわよ。 月ならきっと了承するもの」

「そうか。 あい分かった」

 

 今までは、彼奴との約束の手前必要最低限の協力しかしなかったけど。

 彼奴がそのつもりなら、ボクも受けて立つわ。

 それがアンタに借りを返す事になるなら、全力で桃香をアンタの…孫呉の敵に成り得るまでにしてあげる。

 

 見せてあげるわ。伏竜、鳳雛と呼ばれるあの二人にだって負けない神算鬼謀と言われた賈文和の実力を。

 

 

 

 

あとがき みたいなもの

 

 

 こんにちは、うたまるです。

 第百〇八話 〜 月下で舞う刀に秘められた想いを詠む 〜 を此処にお送りしました。

 

 ……明命出て来たけど一言も台詞が(汗 一応おまけで一台詞あったから、まあいいかな。

 と言う訳で、今回も引き続き詠がメインのお話となりましたが、これで再会に関してのお話は終わりになります。……詠の気持ちが、上手く読者の皆様に伝わったか不安ではありますが、次回からはこの数日後か、数十日後のお話になります。

 

 そして、この『 舞い踊る季節の中で 』に出てくるメインヒロインの一人である翡翠をsion様が描いてくださいました。 此処にその事を読者の皆様にお知らせすると同時に、sion様に心より深く御礼の言葉を申し上げたいと思います。

 また、翡翠の雰囲気に一番近い絵として、今まで金髪のグゥレイトゥ!様の諸葛瑾を氏の承諾の元紹介させていただきましたが、専用の絵と言う事でsion様の翡翠を正式紹介させていただく事になりましたが、金髪のグゥレイトゥ!様に御詫びと御礼を申しあげます。

 

 sion様、素晴らしい絵を書いていただきありがとうございます。

 金髪のグゥレイトゥ!様、今まで本当にありがとうございます。 そしてこれからもよろしくお願いいたします。

 両氏の御活躍をこれからもぜひとも応援させてください。

 

 

 翡翠が本編に暫く出ていませんが、不思議とずっと出ていないと言う感覚が湧かないのは何故だろう(汗

 それに、一刀がどんどんと翡翠や明命達に染められて行っている気が……この場合は種馬化かな?(w

 

では、頑張って書きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。

おまけ(翡翠の場合):

 

 

作者「ど〜も〜、今回のゲストは皆様お待ちの翡翠で〜す」

翡翠「良いんですか? 他にも御出しする方がいると思うんですけど」

作者「……正直後が怖いですけど、出すと色々問題が出る方達ばかりですので(汗」

翡翠「はぁ…確かにそれはそうかもしれませんが、問題を先送りにしているだけのようにも思えますが」

作者「はっはっはっ、もうこの際そんな話は置いておいて。 ズバリ一刀をどう思いますか?」

翡翠「ぁぅぁぅぁぅ………言わないと駄目ですか?」

作者「はい、それがこのおまけの趣旨ですので」(ドヤ顔)

翡翠「…ぁぅ〜………仕方ありませんね。 ……私は明命ちゃんみたいに純粋で真っ直ぐでは無いし、そう居れるだけの齢でもありませんので、色々な想いを一刀君に持っています」

作者「それは暗い感情もと言う事ですか?」

翡翠「ええ、一刀君に対する怒りもありますし、もっと醜い感情もあります。 それでも私の全ての想いの行き付く先は一つです。 そして一刀君はそんな私の全てを受け止めてくれています」

作者「成程、一刀に対する想いはよく分かりました。 では明命にも聞いたのですが、一刀で困った所や一刀に対する悩みを一つ上げてください」

翡翠「………そ、その、一刀君が思い通りにならないんです」

作者「は? そんのな当たり前の事では? と言うかそんな悩みは翡翠らしくない様な気がしますが」

翡翠「ぁぅぁぅ…そう言う事では無くて、…その私の持っている知識や先生に頂いた本の知識や技を駆使して、一刀君を私に夢中にさせようと色々努力しているのですが、……逆に私の方が夢中にさせられると言うか……ぁぅぁぅ…中に出される度に一刀君に染められている様な気が・」

作者「あーーっはいはい、もういいです。もういいです。 翡翠らしくないと言ったのは私の気のせいと分かりましたと言うか、それ以上の内容はヤバイので、もういいですっ!」

翡翠「えっ? あの、まだこれからなんですけど」

作者「そう言うのは貴女の書く本の中だけにしてくださいっ! では皆様また次回にてお会いいたしましょう」


 
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