警告
WARNING!!WARNING!!
この作品は、当作品虚々・恋姫無双の基本的な感じから大分離れています。
尚、かなりのキャラ崩壊が進んでいますので、皆さんの基本的な恋姫のイメージにも大分ズレる可能性が高いです。ってかズレてます
とにかく、この作品を軽い気持ちで見るのはこの先のことを考えてとても危険です。
だから、その覚悟はないお方は「戻る」を押してください。
そして覚悟あるお方は「戻る」を押してください。
その意気だけは高く買いますが、今回だけは蛮勇です。
どうか、この先を、
この先を見てはなりません!!
僕は警告しました。
「あっちに逃げたー!」
「追え!追えー」
今日も、警備隊の方々は頑張って居ます。
「ひひっ、遅いんだよ!」
「くっそー!なんて早いヤツなんだ」
でも、今回のヤツは凄く早いスピードで賑やかな街のあっちこっちを走り回っていて、多くの警備たちも捕まることに手間をとっていました。
「アカン、沙和!ウチが遠回りするでー後の大通りで挟み撃ちやで」
「わかったのー」
沙和と真桜がそう話して二組に別れ、真桜隊は横道を利用して泥棒が逃げていた大通りの先に行こうとしました。
「なんの!」
「なっ!」
でも、そんな真桜たちの苦労も虚しく、泥棒は突然前に現れた警備たちに驚きもせず奴らの中をまるで森の中にまんまと立っている木を避けるように避けていました。
あまりの速さで警備たちと真桜はまるで山の木みたいにボーンと立っているように見えるほどです。
「へへーん、ばーかたれどもが。捕まえるもんなら掴まえてみろ。ほれ、ほれー」
泥棒はそんな警備隊たちの姿に余裕をぶって、逃げる足も止めて逆に挑発しました。
「あいつ、完全に沙和たちを馬鹿にしてるの」
「くっそー、あいつ捕まえたらただでは済まさん」
といっても、捕まえられなくてはどうしおうもないです。
「へへー、どうした?もう諦めたのかよ!もうちょっとたのしもーぜ」
グルルー
「そこまでだー!」
「あん?」
グルルー
「え、何この音?」
「真桜ちゃん、上」
「え?ってー!
車輪が回るような音をさせながら街の屋根の上に現れたのは、ローラーブレードを乗っている一刀ちゃんでした。
「真桜お姉ちゃん、沙和お姉ちゃん、ごめん、遅くなったよ」
「「一刀ちゃん!」」
「何だ、てめぇは、チビはすっこんでろ」
「<<ぴきっ>>……ほぅ、おじさん、死ニタインダ」
か、一刀ちゃん、気持ちは分かりますけど、読んでる皆さん引いてますので勘弁して下さい。
「ボクの背のことを言ったのは、覚悟は出来てるんだよね」
「ふん!出来てるとしたらどうする?」
「説明してあげようか?先ずは、おじさんを捕まえるんだ。そして次は、あそこにおじさんを半刻近く追っているお姉ちゃんたちに投げる。そしたら、真桜お姉ちゃんが螺旋槍でおじさんの尻を突いて、沙和お姉ちゃんが一刻おじさんを罵倒してあげるよ。そしてその後おじさんが精神的ダメージで精神崩壊直前に至ると、ボクと凪お姉ちゃんのWキックを食らわせてあげる」
説明乙。そして、そのような説明はもう二度と要りませんから。親指を下に向けるのもしなくていいですから!
「ふん、じゃあ、先ず、ボクを捕まえるのが先だろうな」
「そうだね。で、おじさん止まっていて大丈夫なの?」
「は?」
「……後ろ」
「…………へ?」
「はぁああああああああーーーーー!!」
次の瞬間、凪の気を溜めた拳が泥棒の顎をかすりました。
「うぐぅ!」
「そしてこれでトドメー!」
よろよろする泥棒に向けて、一刀ちゃんは屋根の上からジャンプしました。
そして、
「うぐおっ!」
ローラーブレードの車輪が泥棒の顔面を直撃しました。
「凪お姉ちゃん、ナイス」
「ナイス」
凪と一刀ちゃんがハイファイブをしながら、状況終了。
「泥棒は?」
「沙和が説教中やで。あれって、本当に一刻聞かせるん?」
「………ちょっと、短すぎるかな」
「一刀……人が悪いな」
「凪お姉ちゃん、ボクもここまでするつもりはなかったよ。あのおじさんが人の気にしてるところさえ突付かなかったらボクだって……ボクだって……<<ぐすん>>」
「いや、ごめん、私が悪かったから……真桜、沙和に言って一刻ぐらい延長させてくれ」
「二刻にするで」
自分は逆に泥棒がかわいそうになってきましたよ?
これは沙和の耳に入ったら絶対仕事終わるまで説教タイムでしょう。
「あぁ、これ、あいつが店で奪ってた商品や。身体そこそこ偉い隠しとったみたいや」
「これって……全部女の人の装式品や、宝石、皆高価なものばかりじゃない」
「そのまま捕まえなかったらと思ったらひどいもんやろ」
「そいつは早く店の人に返そう」
凪がそう言ったが、真桜はちょっと難しそうな顔をした。
「いや、これって兵士に返すようにさせとくと……さすがにそんなことはせへんやろうけど……な?」
「うん?……あ、なるほどね」
普段はいい人でも、物を見ると目が変わることもあります。
いくら魏の警備員たちと言えど、こんな高価品な品物を預けたら、一つぐらい、という物欲が出ないという確信もないというものですからね。
店の主人も、無くすと思ったものを戻したのに、一つや二つないという理由で心証だけで警備隊を疑うこともできないですし。
「で、ウチもちょっと………」
「真桜……仕方ない。それだったら私が……」
とか言って凪が物を入れた袋をもらおうとしましたが、
「ボクが行くよ。凪お姉ちゃんは他の仕事も忙しいし」
「あ、うん、そうだな。じゃあ、お願いするね」
「うん」
「はいっ、それじゃあ、一刀ちゃん、無くさないように気をつキぃ」
真桜が物を入れた袋を一刀ちゃんにあげながら言いました。
「うん、分かってる。それじゃあ、行ってくるね」
「ああ」
一刀ちゃんは強く頷いて警備隊の事務所を出ていきました。
・・・
・・
・
「え?いや、いや、やめてよ」
「いえ、いえ、いいのよ。全部無くすだろうと思ったもので、しかも全て無事に帰ってきたものだから、これは本の小さなお返しよ」
「いや、こんなのもらったらボク凄く困っちゃうんだけど……」
と、店に物を返したところ、一刀ちゃんは凄く困難していました。
店の主人が失ったもののなかで一つを一刀ちゃんにあげるといって来たです。
「いや、おばさん、毎日ちゃんと城に税とかだしてるじゃない?ボクたちはそれで働いてるんだから、そんなものお返しものなんてもらったら困るよ」
「そんなに遠慮することもないでしょ?それに、実はこれ…ここに見るとヒビができたでしょ?」
「え?……あ、ほんとだ」
おばさんがあげようとしていた物は蝶の模様をしている指輪でした。
その真ん中にいる、一番目立つ蒼色の瑠璃の飾りの中に、そんなに大きくはないけどヒビが入っていました。
「これじゃあ、商品にならないのよ。だから、おばさんがこっそりあげますから、御使い様が気に入った女の子にでもあげなさい」
「いや、そんなあげる人なんて……」
多すぎて逆にあげれないですよね。
「うぅぅ………」
「そう困らずに、はいっ」
おばさんはほぼ無理矢理その蝶の指輪を一刀ちゃんに無理矢理握らせた。
「うん……あの、他の警備隊の皆にはボクがこれもらったって言っちゃ駄目だからね」
「はい、はい、分かってるよ」
「じゃあ……ボク行くね。ありがとう」
一刀ちゃんはご丁寧に挨拶して凪たちのところへ戻った。
「うぅぅ………」
仕事が終わった後、一刀ちゃんは部屋の中で一人で悩み事をしていた。
「これ、どうしようかなぁ」
卓子の上には昼にもらった指輪が置いてあった。
持っていると後が色々紛らわしくなりそうだから早く誰かにあげたい気持ちは山々だけど、誰にあげればいいのか分からなかった。
「あげると言ったら……先ず華琳お姉ちゃんとか、秋蘭お姉ちゃんとか、桂花お姉ちゃんとかさっちゃん……」
――呼ばれましたー?
「うん?」
あ。
「………」
――その指輪何です?買ったの、指輪?」
「うわぁぁああああ!!」
ああああああーー!!」
――な、何なのよ、いきなり悲鳴上げて……ちょっとそこのあんたもう要らないから消えて!
え?自分ですか?自分クビですか?
――いいから「消えろ」
あーれーーー
ふう、やっとまともに解説できるようになりましたね。
「さっちゃんだったの?もう、びっくりさせないでよ」
それはこっちの台詞ですわ。そんなに驚くなんて思いもしませんでした物。心外です。
「だって……ここ最近それ見てなかったし、以外と怖いんだよ。さっちゃんのソレ」
え、ほんとにですか?
「ほんと」
うぅぅ………一刀ちゃんがいつもそんなに驚いていたなんて知りませんでした。しゅん。
「いや、別にそういうわけでは……あぁ、もう、ヘコまないの」
まぁ、冗談ですけどね……ところで、その指輪はほんとに何なのですか?
「今日泥棒から盗まれた装身具屋の宝石や飾りものとかを取り戻して返してあげたら、その中から一つ無理矢理持たされたの」
へー……これは中々綺麗なものですね。
ちょっとヒビが入ってはいますけれども、この時代にこれほどのものを作れる匠ってそうはいないはずです。
「え、そんなに高価品なの?」
いえ、高価品なわけではありません。中の石もただの瑠璃ですし。ちょっと作りに癖がいいというだけで、そんなに高く売られるものではないはずです。大体そんな高価品だったら、中の瑠璃だけ変えて売るし、一刀ちゃんにはあげませんよ。
「そう……なんだ…よかった」
で、自分で使うのですか?
「そんなわけないでしょ?誰かにあげようかと思ってるんだけど……これ、さっちゃんがもらう?」
僕?僕は飾りとか好きじゃな……
そう言えば、紗江(司馬懿)が身に何かを付けるのを見たことがありませんね……もともと倹素な家の生娘でしたし、そんなことをまだ知らないのだろうと思いますけど。
もらったら嬉しいかもしれません。
でも、一刀ちゃんは僕にあげようと思ってるわけですし……
ええぃ、紗江には後僕が何か買ってあげましょう。彼女の金で。
僕はやっぱいいです。秋蘭さんにでもあげたらいかがです?最近世話焼けてるんでしょ?
「そうだけど……うぅん………」
他にあげたい人でもあるんですか?……もしかして僕がいない間好きな子が、
「ち、違うよ。でも、……………」
一刀ちゃんはそうやって少し考えこんでいるかと思ったら
「やっぱり、これは華琳お姉ちゃんにあげようかな」
華琳さまにですか……
しかし、今の華琳さまは多分一刀ちゃんに会おうとしないでしょうけれど…
一刀ちゃんってここに来てまだ華琳さまと二人で会ったことないでしょ?
「うん、まぁ、忙しかったから邪魔したら悪いし……何回か行こうと思ったんだけどね。夜遅くまで部屋に灯りがついてあるみたいだったし。そこでボクまで邪魔したら…ちょっとね」
そうですね……って、ちょっと待ってくださいね。
「うん?何?」
確かこの時期だとそうこうして……うん、なんとか行けそうですね。
一刀ちゃん、ご心配なく。僕がなんとかしますから。明日一刀ちゃん非番ですよね?
「あ、う、うん」
ふふーん、何もかもこのさっちゃんにお任せくださいな。
「……何か、昔のさっちゃんみたいだね」
………まぁ、そういうわけですから、僕は行きますね。紗江にも話しないといけませんし。
「うん、今日はボクももう寝るよ」
はい、それじゃあ、おやすみなさい。
「お休み」
・・・
・・
・
――紗江、帰ってきました。
「あ、左慈さん」
――ねぇ、ねぇ、ちょっと手伝って。
「左慈さん?どうしました?何かいつもより気分が上々のように見受けられますが」
――ちょっとね。とにかく、これからね…
「はい………はい………それは少女に出来ることなのかイマイチ…」
――問題ないわ。僕を誰だと思っているの?
「左慈さん……?」
――そう、僕の名は左慈。歴史の中で唯一完全なりに曹孟徳を戯れたのがこの僕ってわけですよ(ニヤリ)
「あはは……何だか嫌な予感がします」
――まぁ、その辺についてはあなたも中々やりましたけどね。
「…え?」
さて、次の日
昨日は散々悩んだ挙句に、華琳さまの指輪をあげることに決めた一刀ちゃんですけれど、
「え?居ないって、どういうこと?」
「華琳さまは今日お休みになったわ」
華琳さまは今日、桂花さんと他多数の軍師たちのゴリ押しに仕方なく休みを使っていました。
……え?はい、僕が仕組んだのですが、何か?
「お休み……じゃあ、華琳お姉ちゃんは今どこに居るの?」
「………」
「桂花お姉ちゃん?」
「私は知らないわよ」
「え?」
「知らないって言ってるのよ」
「いや、知らないわけないじゃない。桂花お姉ちゃんが華琳お姉ちゃんが居るところが分からない状況なんて有り得ないでしょ?」
「あー、もううるさいわよ!知らないったら知らないの!」
実は華琳さま、行く時に一刀ちゃんに自分が居るところを教えないように言っておきました。
今まで華琳さま、一度も一刀ちゃんと二人になったことがありません。そうなるように華琳さまが仕組んだわけなのですが……
「…………桂花お姉ちゃんの意地悪」
「はぐぅ!!」
おかげで桂花さんだけ嫌な面に会いました。
最近こんなこと多いですね。桂花さんったら。
「良いもん、一人で探すよ。遠くは行かなかったはずだし。今日非番だって分かった以上、絶対に会ってみせるんだから」
一刀ちゃんも今日と言う今日は用事もあるし、凄く張り切っています。
「じゃあ、ボクは行くね」
そう言いながら一刀ちゃんは桂花さんと内側で静かに話を聞いていた稟さんと風さんに挨拶して他のところに行っちゃいました。
「………」
「おや、おや、嫌われちゃいましたね」
「自業自得です。最初から非番だなんて言わずに他のところに行ったって言ったら良いものを……」
「あなたがやってみなさいよ。あの子の前にそんな嘘なんてついていられないわよ」
「………」
稟さんは分からないように見ていますが、
「まぁ、結局こうなってしまわれたことです。後は少女たちの手に追えないでしょう」
「というか、あんたはどうしてここに居るのよ」
そして、中にはもう一人、司馬懿も居ます。
僕はもちろん今外側に居ますよ。今回は外で解説しながらお送りしたいと思います。
「少女は華琳さまがいらっしゃらなければ人が不足かと思ってその補いに」
「そんなの要らないわよ。あんたはあんたの仕事に戻りなさいよ」
「今日の仕事はもうとっくに終わっていますのでご心配には及びません」
「……は?」
半分は僕がやりましたけどね。
まぁ、司馬懿のことですから、別に一人でやってもそんなにかかるはずはなかったのですけれども。
大体、司馬懿は能力に比して仕事が少な過ぎます。身体の問題もありますけど。
「というわけです。早くはじめなければ、二度と華琳さまがこうして休みをとらないハメになるかも知れませんからね」
「わ、分かってるわよ」
桂花さんも大人しく政務に戻ってくれるようですし、僕は一刀ちゃんのことを追いましょう。
華琳さまがどこにいらっしゃるかも教えなければなりませんしね。
華琳さまがいらっしゃる場所は城の外、いつか一刀ちゃんと一緒にピクニックに来るはずだった場所ですね。
あの時は黄巾党との最後の戦いが決まってしまってこられなかったし、その後にも結局二人が穏やかにピクニックに行ける機会なんてありませんでした。
そんな場所に、華琳さまは寝網を仕掛けて昼寝をしていました。
城の外だと行ってもそれほど離れている場所ではないし、陳留辺りは呉との戦いに備えて周囲の賊討伐もちゃんとしているので、物騒なことが起きる可能性はないとみていいでしょう。
とかいっても、さすがに君主とあろうお方が護衛も無しでこんなところに来るなんて少し危険なのではないかと思いますけどね。
「さっちゃんってさ」
え?はい。
「何で華琳お姉ちゃんがここだって分かったの?」
………あの、一刀ちゃん。………
「うん」
………一刀ちゃんがもうちょっと大きくなったら時間の不確実確率論とか話してあげますけど、それ今話しても無理なので取り敢えずここに来るのを見た、って言っておきます。
「……何か凄く馬鹿にされてる気がする」
何も無い虚空に話しかけてるところ、常識人ではないように見えますね。
「……もういい。さっちゃんと話しない」
もう、直ぐすねちゃうんだから…でも、今は僕と話すよりあっちの方が重要なのでほっときましょう。
「…………」
・・・
皆さんは今、華琳さまの寝顔をただ見つめるだけの一刀ちゃんを見ています。
これが一刀ちゃんがじゃなかったら犯罪ですね。
「いつ起きるかな」
寧ろ一緒に寝たらどうですか?
「寝てどうするよ。指輪あげに来たのに」
いや、他にあるでしょ?久々に会ったのに。背景も結構いいですし。側に川も流れていて涼しいですし。
しかも起きていきなり指輪あげるつもりですか、一刀ちゃんは。
「……それもそうだね………でもほら、華琳お姉ちゃんとはほんと久しぶりだから、どんな顔すればいいか良く分からないよ」
一人ちゃんは華琳さまを見るのをやめて川の流れを見つめながら言いました。
「ねぇ、今になって言うんだけど、ひどいと思わない?ボク華琳お姉ちゃんに会いたくてまた来るって言ったんだよ?それは他のお姉ちゃんたちも会いたかったけどさ。華琳お姉ちゃんが誰よりもボクのこと心配してくれてるだろうと思ったのに………時々出会ったら挨拶も受けないで行っちゃうし、何なのよ、もう。ボクが何悪いことしたって言うんだよ………」
あ、これは要らないところで地雷を踏んでしまいましたね。
「華琳お姉ちゃんは…ボクのこともう必要ないのかな。華琳お姉ちゃんにはもうボクなんて要らないのかな」
………もし、華琳さまが一刀ちゃんのこと要らないと言ったら、一刀ちゃんはどうしますか?
「……分からない。もし、本当にそうだったら………どうしちゃおうかな………別に必要なくても、近くに居るのが嫌いとかそういうことじゃなかったら、それでもずっと一緒に居たいな」
………
「でも、ほら、華琳お姉ちゃんって男あまり好きじゃないしね。城に居られないようになるかも知れないね。そうなったら他のところに行こうかな」
そうですね………荊州あたりに行くと結構静かな村が多いですし、もし華琳さまから追い出されるとそんなところに行くのもいいかも知れませんね……
もしそうなったらボクは一刀ちゃんと一緒に行きましょう。
「……嫌」
ガクン。
拒まれました…お姉ちゃんなのに………
「華琳お姉ちゃんに無視されるの、もうヤだ」
あ。
「最初は、忙しいから、それでもしょうがないなって思ってたよ。でも一週間、二週間過ぎてもずっと気まずいまま。何だよ……何なんだよもうわけわかんないよぉ」
…………
………
華琳さま、起きてますよね?
起きていなかったら永遠と起きないようにしてさしあげますので起きていらっしゃってください(笑)
「<<ぎゅぅ>>」
「……ぁ」
「…有り得ないわ」
「……華琳お姉ちゃん」
いつの間にか後ろから一刀ちゃんを抱きついている華琳さまが居ました。
殺さずに済んでよかったです(笑)
「あなたが居ない世界なんてもう見飽きたし、二度と見たくもない。また私の居ない間に居なくなったりしたら、その時は絶対許さないわよ」
「……」
「……一刀、あなたに言ってなかったことがあるわ」
一刀ちゃんを解いて自分と目を合わせるようにして、華琳さまは言いました。
「もう直ぐ、孫策との戦争があるわ。最近皆が忙しかったのもそのせいよ」
「!」
「あなたにそれを気づかせないようにしなさいって、私が皆に言っておいたから、皆もあなたに疎くしていたのよ」
「…呉と戦うの?それっていつ?」
「今月のうちに準備が終わるわ」
「どうしてボクに秘密にしたの?」
「あなたが来ないようにしたかったのよ」
「………」【さっちゃん】
はい。
【六年も過ぎたのに華琳お姉ちゃんはまだボクのことを子供扱いしてる。ボク怒っていい?】
…怒りを抑えることが大人の対処、とだけ言っておきましょう。
「………」
一刀ちゃんは華琳さまから顔を逸らしました。
「一刀……」
「……触んないで」
「!」
「…勝手にすればいいじゃない。戦でもなんでも……どうせボクとは関係ない」
「っ」
華琳さまは面食らったように一刀ちゃんに伸ばしていた手を止めました。
「華琳お姉ちゃんがそんなにボクのことを邪魔にしか思ってないのだったら、ボクももう華琳お姉ちゃんの邪魔しない」
「………」
華琳さまは何か話そうと口を開けましたけど、何も言えませんでした。
自分が今まで一刀ちゃんにしたことがありましたからね。
「……休むのに邪魔してごめんなさい。もう行くから」
「一刀、ちょっと待って」
このまま逃がしたらお仕舞いだ、そう思ったのでしょう。
華琳さまは今度こそ一刀ちゃんを止めようと手を伸ばしました。
でも、華琳さまは勘違いしていました。
まだ戻せると。
いつもみたいに一刀ちゃんが拗ねてそれを自分が慰める、
そんなやりあいだと。
スッ
「なっ!!」
「……」
華琳さまは一刀ちゃんを触れることができませんでした。
その手が一刀ちゃんの肌に触れる寸前、一刀ちゃんはいつの間にか一歩離れていました。
いつか言いましたね?
一刀ちゃんが瞬間移動できないようになったのは、心を頼る相手が自分の記憶の仲のお母さんから華琳さまに少しずつ移っている証拠だって。
「………」
スッ
次の瞬間、一刀ちゃんは最初からそこにはいなかったのように消えていました。
「………何を、したのよ…私は」
ほんとに、あなたは何をしたのですか。
あなたの一年、僕の六年を、一気に無駄にしてくれました。
あの子の暗い過去から出てくるようにするにあんなに長い時間をかけたのに、戻らせるのはほんの短い一時。
これを見ても僕があなたに一刀ちゃんを任せてもいいと言うのですか?
・・・
・・
・
続く
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