No.194013

虚々・恋姫無双 虚点2 春蘭・秋蘭黙

TAPEtさん

次回は華琳さまです。

父上の病院の仕事を手伝うために更新が遅れました。ごめんなさい。
最後にでる万安隠者については大した設定はありません。
無印で、左慈のおかげで南蛮が戦乱に巻き込まれなかったという設定です。万安、孟節は多分演義でしかでてませんね。 んっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっbんthn

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2011-01-04 20:29:55 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3850   閲覧ユーザー数:2798

いつものように街を回っていた一刀ちゃん、今日は途中で以前に良く一緒に遊んでいた子供たちに捕まりました。

 

「ねぇ、お兄ちゃん、遊ぼうよ」

「ごめん、ボク今勤務中だから」

「えー、昔はそんなのしなかったでしょう?」

「うぅぅ………」

 

子供たちにとっては一年ぶりに帰ってきた天の御使いのお兄ちゃんでも、本人には六年も過ぎてる話ですからね。もう街を走りまわりながら遊ぶ日も過ぎてる頃ですし、なにより一刀ちゃんは凄く勤勉誠実な子です。

 

「ごめん、後で休みの日に遊びに来るから、ね?」

「ヤダ、今遊ぶのー」

「うぅん……困ったな………うん?」

 

子供たちに囲まれて困っていた一刀ちゃんの目に、ふと秋蘭が見えました。

子供たちから逃げてみようかなと思いつつ、久しぶりに会う秋蘭お姉ちゃんだったので凄く切実な声で秋蘭を呼びました。

 

「あ、秋蘭お姉ちゃん!」

「…………」

 

でも、秋蘭は一刀ちゃんが呼ぶのが聞こえなかったらしく、そのまま城の方に向かって行ってしまいました。

人の声が聞こえないほどの距離でもなかったので一刀ちゃんは凄く慌てました。

 

「え?何で、無視された?え?秋蘭お姉ちゃんに無視された?」

 

せいぜい店一軒離れていたところだったので、一刀ちゃんが自分が秋蘭に無視されたことが凄くショックのようです。

 

「ねー、御使い兄さん、あそぼ?」

「……うぅ……もう知らない。よーし、今日は遊ぶぞー。お前ら覚悟しろー!」

「「「わーい!!!」」」

 

その後、無視されたショックを子供たちと街を走り回りながら解消したのですが、後で凪お姉ちゃんにサボったって怒られました。

 

 

そして、今日は一刀ちゃんが非番の日です。

 

「といっても、ここにまた来てからはお姉ちゃんたちあんまり構ってくれないや。一丁昔みたいに無理矢理に行く?」

 

一刀ちゃんがドンドン大人さ捨てて昔に戻ろうとしている。いい症状である。

このまま年のことは忘れて体躯と見た目のように行動すれば高得点……

 

「そこの解説者さん、後でさっちゃんに言うから」

 

皆さん、どうもありがとうございました。この解説者次回から首になりそうです。

とにかく、アグレッシブに路線を変えてみようと思いつつある一刀ちゃんだったが、その時、もっとアグレッシブな音が聞こえたのであった。

ドカーーーーーン!!

 

「!?」

 

ググググ――!

 

「何この、城壁崩れるような音?奇襲でも受けてるの!?」

 

と、思ったら、あっちから春蘭が息巻きながら来ています。

 

「ちょっと、春蘭お姉ちゃん!」

 

一刀ちゃんは急いで先の音にして話そうとしましたが、

 

「何だ!!」

「<<びくっ>>な、なんでもありません」

 

春蘭が出す剣幕に直ぐに凹んでしまいました。

 

「用もないのに呼ぶな!」

「はい、ごめんなさい。……いや、あの、春蘭お姉ちゃん?」

「何だ!」

「何か…怒ってる?」

「怒ってなどおらん!」

「じゃあ、何か嫌なこととかあるの?」

「貴様とは関係ない!」

「………」

【春蘭お姉ちゃんといい、昨日秋蘭お姉ちゃんといい、最近ボクってすごくおいてきぼりにされてる気がする】

 

 

「………<<ひくっ>>」

「んな?」

 

突然涙を汲む一刀ちゃんに、なにやら怒っていた春蘭も流石に慌てました。

 

「な、何を泣いているのだ!私は何もしておらんだろ!」

「うん……うん、ごめんな……さい」

「だから!泣くなと……!」

 

 

「……姉者」

「しゅ、秋蘭!」

「…いくらご立腹だと言っても、北郷を泣かせたらどうなるとは大人気がないという話では済まさんぞ」

「ち、違うんだ、秋蘭。これはコイツが勝手に泣き出したのであって、私が悪いわけでは……」

「…………」

 

春蘭はそう自分の無罪を訴えましたが、秋蘭としては久しぶりに会った一刀ちゃんの初めての顔が、春蘭に会って泣いている顔だということが凄く気に障っているようです。

だけど、華琳さまと一刀ちゃん次に好きな姉者の顔からも嘘をついているような様子は見当たらず。

 

「……はぁー、まあ、よい」

 

結局、秋蘭は仕方がないとため息をつきました。

そして、泣いてる一刀ちゃんの方に行きました。

 

「大丈夫か、北郷」

「しゅうらん、お姉ちゃん……」

「どうしたのだ?」

 

秋蘭が優しい顔で泣いている一刀ちゃんの顔の涙で汚れた顔を持ち歩いてるハンカチで拭きました。

 

「しゅうらんおねえちゃん……うぅぅ」

「よし、よし、もう大丈夫だぞ」

 

一刀ちゃんもそんな秋蘭を見て抱きつきました。

 

「あのね、秋蘭お姉ちゃん、ボク嫌いになってないよね?」

「……?当たり前さ。何故そう思ったのだ?」

「だって、昨日街で呼んだのに、振り向かなかったから」

「昨日?……ああ、そうか。その時詠んでいたのか。済まぬな。気付いていなかった」

「ほんとに……気づいてなかっただけ?」

「あぁ、だからもう泣かないでくれ。北郷が泣く顔を見たい人なんて、誰もいないからな」

「……うん……うん」

 

しばらくそこには、一刀ちゃんを抱いて久しぶりの一刀分を補充している秋蘭と、そこで蔑ろにされてすごく嫌な気分になっていながらこれ以上何か言ったらまた秋蘭に怒られそうなので黙って(´゚’ω゚`)ショボーンとしている春蘭がいました。

 

 

気分が落ち着いたあと、一刀ちゃんは秋蘭から先日秋蘭が街に出かけた理由と秋蘭が怒っていた理由を聞くことができました。

 

「秋蘭お姉ちゃんの手料理?」

「ああ、姉者のやつ、料理の準備に時間がかかるというのに、私が作ってくれるまで何もたべないといってな」

「……へー」

 

その話を聞いた一刀ちゃんはジド目をして春蘭を見つめました。

 

「な、何だ!」

「いや、別に……だから機嫌が悪かったんだね。お腹が減って」

「だから、私は怒ってなど」

「それはそうと北郷」

 

スルーする秋蘭。たしかにあれはほっとくといつまでも終りませんからね。

 

「これから作りに行くのだが、北郷も一緒にどうだ?」

「秋蘭お姉ちゃんの手料理?いく、いく!」

 

せっかく出会ったこのチャンス、見逃すわけにはいきませんね。

 

「あ、でも、春蘭お姉ちゃんは大丈夫なの?」

「ふん、お前が加えるとて、私の分がそんなに減るものでもないからな。ここは多目に見て許してあげよう」

「ほんと?ありがとう」

「……ふん」

 

皮肉に対して素直に返すというものは、ある意味最強の反撃でありましょうね。

 

・・・

・・

 

「秋蘭お姉ちゃんの料理って、ここにまた来て初めてだよ」

「うむ……最近は忙しかったからな。以前のようにうまく付き合えなくてすまんな」

「ううん、平気だよ。分かってるんだから。以前よりも領土も広くなったんだし、いろいろ忙しくても仕方ないね」

「……」

 

秋蘭がそれを聞いて黙々としていると、

 

「はぁ、貴様何言っているのだ?」

「うん?」

「貴様もダメだな。そんなに場内の都合に鈍かって、華琳さまのお役に建てると思ってるのか?」

「……どういうこと?」

「姉者、少し、手伝ってくれないか?」

「うん?あ、あぁ……」

 

秋蘭は一刀ちゃんと話をしながら待っている春蘭を呼び出しました。春蘭に料理の手伝いを求めるというのもどうもなぁ、とは思いますけどね。

一刀ちゃんはちょっと気にましたけど、まずは秋蘭の料理のことが楽しみでしたし、なにより春蘭の話だからそんなにまともな話じゃないだろうね、と思ったので深く考えないことにしました。

 

「ボクも手伝う?」

「いや、北郷はいい。危ないからそこで待っていろ」

「はーい」

 

(姉者)

(うん?)

 

料理をしながら、秋蘭は一刀ちゃんに聞こえないように春蘭に話をしました。

 

(呉との戦争のことを北郷にあまり話してくれるな。華琳さまは今回の戦に北郷を付いて来ないようにしようと思っているからな)

(はぁ…しかし、いつまでも隠すわけにはいかないだろう?戦の時になったら、どうせ私たち全員行かなければならないのだぞ?)

(それはそうだが……まだ北郷は戻ってきて日が浅い。華琳さまはそんな北郷にまた心配をかけたくないのだ )

(……わかった)

 

「ねー、まだなの?」

「もう少し待っていろ、北郷」

「大人げないぞ。大人しく待たんか」

「<<むっ>>怒って壁壊した人に言われたくない」

「なんだとー!?」

「姉者。斬る時はちゃんと見てしないとネギから鉄の味がすることになるぞ?」

「むぅぅ………」

 

 

そして、秋蘭(助手に春蘭)が作った焼売の他中華料理が完成しました。

 

「美味しそうだね」

「早く食べな。姉者も」

「あれ?秋蘭お姉ちゃんは食べないの?」

「私も食べるさ。ちょっと片付けてから食べる」

「片付けはあとでもいいでしょう?一緒に食べようよ」

「そうだぞ、秋蘭。こういうものはな。皆で一緒に食べた方が美味しいのだ」

 

おお、春蘭がいいことを言いましたね。

 

「…わかった、一緒に食べよう」

「へへー」

「……ふっ」

 

実は秋蘭も一刀ちゃんと一緒に食べたかったと思います。

 

「いっただきまーす!」

「いただきます」

「ふふっ、召し上がってくれ」

 

食卓の上の料理の量は大体春蘭の腹に合わせて作られていました。

 

「何から食べようかな」

「ふふっ、悩むのも良いが、早く始めないと姉者が全部食べてしまうぞ?」

「ハグ……うむ…うっ……うむ……<<ガツガツ>>」

「あの皿に一体なんの料理があったのかはわからないけど、ボクの口に入るものはもう残ってないね」

「だろ?だから、早く選んだ方が良いぞ?」

「うん、じゃあ、ボクはまず焼売から……」

 

といいながら、一刀ちゃんは焼売がある皿に手を出しました。

 

ササッ

 

「………おかしい。ボク確かこの皿に焼売があるのを見たのに……空っぽだ」

「姉者……」

「<<ガツガツ>>」

 

いや、しらんぶりですか?その口についてるのは焼売に入った肉では?

 

「じゃあ、このかに玉」

 

ササッ

 

「………回鍋肉」

 

ササッ

 

「棒々鶏」

 

ササッ

 

「もう春蘭お姉ちゃんが食べるの見てもお腹いっぱいだよ<<にこっ>>」

「姉者……」

 

この嫌がらせをどうすればいいのですか?>>笑えばいいと思います。

 

「食べるのは良いが、私の分まで無くすつもりか?」

「はっ!そ、そんなことはないぞ。秋蘭も早く食え」

「だ、そうだ。私はいいから、北郷が私の分まで食べてくれ」

「え?そんなの嫌だよ。一緒に食べるの」

「そうだ。大体、どうして後で嗅ぎつけてきたこいつに飯をやらねばならないのだ」

 

春蘭、お前は黙ってろ。

 

「そんなことを言うと、もう姉者にも二度と料理を作ってあげないぞ」

「ぐぅぅ……」

 

秋蘭の超強手に春蘭は黙り込みました。

 

「さ、北郷、私がとってあげよう」

 

そう言った秋蘭は、手前においておいた焼売ととって一刀ちゃんの口に送った。

 

「あー」

「あー」

 

パクッ

 

「………おいしい、凄く美味しいよ」

「そうか、良かったな」

「こんな美味しいのは、生まれて初めてかも」

「それは大げさだな」

「何をいうか。秋蘭の手料理よりおいしいものがあるか」

 

華琳さまー、春蘭が何と言ったか知りたくありまぜんかー?

 

「……うん、たしかにちょっと大げさだったかな」

「なんだとー?!」

「二度目。二回目だよ。こういう美味しい料理って」

「一番目は、どんな料理だったのだ?華琳様の料理か?」

「それも美味しかったけど……そういうんじゃなくてね………」

 

一刀ちゃんはそう言いながら遠いところを見るような目をして言いました。

 

「ボクって、昔はちょっと大変だったでしょ?あの時、孤児院から逃げ出してきて何日か何も食べないで街で過ごした時があったんだ」

「……」

「あの時、通る屋台のラーメンの匂いに誘われて、お金もないのにラーメン注文して、あの時食べたラーメンが、多分ボクが今まで食べた料理の中で一番美味しかった」

「………」

 

……こういう話はさっちゃんさんが言ってくれないと盛り上がらないのですけどね。自分は単なる代理なので、詳しい事情は分からないのですが、

 

聞くに一刀ちゃんがご両親に見捨てられていくことになった孤児院は、あまり経営状態が良いところではありませんでした。というか、政府からの支援金を横取り するやつが居ただけですけどね。子たちがにげないよう厳重に監視されていましたが、あの頃の一刀ちゃんにはそれほどの問題でもなかったんでしょうね。でも、帰るところもなければ、一食するお金もない。といって、泥棒になるほどの悪さもない。あっちこっちを歩き回りながら結構苦労をする頃もあったのでしょう。詳細はさっちゃんさんにでも聞いてください。

 

「うん?あれ、ボク変なこと言っちゃったね。それより早く食べよう。ボクたちが食べないから春蘭お姉ちゃんが食べたくて涙目してるし」

「誰がだー!」

「……そうだな。早く食べよう」

「うん」

 

多分、一刀ちゃんが食に厳しくなったのはあの頃以来だろうと思います。

だから、食べられるのに食べない人とかには、目が厳しいのでしょう。先の春蘭にとか、以前に桂花を試した時の華琳とかがそうですね。

 

まぁ、どれもこれも昔の話に過ぎませんけどね。

なにせ一刀ちゃんには、もうそのような苦しい過去を振り向かなくても良い他の記憶がたくさんありますし。そんな記憶はこれからも積もるはずですから。

 

ササッ

 

「わぁ、春蘭お姉ちゃんは凄くいいたべっぷりしちゃうね。ボクもうお腹いっぱーい(レ○プ目)」

「姉者…………」

「おほひはふはあふひおは」

 

何いってんだか分かりません。

別に聞こえても一緒でしょうけど。

 

 

・・・

・・

 

 

 

 

 

 

場所を変えてここは南蛮のある山の中の隠れた屋敷。

 

「……」

 

――万安隠者?万安ちゃんはいらっしゃいますか?

 

「……左慈…さま?」

 

――僕のことを覚えていてくれましたね、ありがとうございます。

 

「あなた様のことを忘れるはずがありません……あなた様のお助けがなければ南蛮は…」

 

――昔の話はいいですわ。以前の外史で南蛮が戦乱に巻き込まれないようにしたのはこっちの都合上でもありましたから。

 

「……お変わりになられたのですね。それでも南蛮をすくってくださったことには感謝します」

 

――…万安、南華老仙と並び外史の境界を越えた存在でありながらも、歴史に刻まれた南蛮王孟獲の姉上として彼女のことを影から守り続け、たった彼女ひとりのために力を使った南蛮の隠れた英雄。

 

「………」

 

――お願いします。以前の借りを見てでも、どうかお助けお願いします」

 

「……わたくしなんて、管理者の方々に比べれば何も出来ない存在」

 

――けど、管理者たちの誰にもできないことができます。……お願いです、万安

 

「………わたくしが左慈さまにもらった恩は、命に代わっても償いきれないもの。わたくしにできることがあるのならば、それを拒むことはできません」

 

――ごめんなさい、万安ちゃん

 

「………」

 

――ほんとに、ほんとに……ごめんなさい

 

「……左慈さまとの縁に、悔いはありません」

 

・・・

・・

 

 

 

 


 
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