No.183869

真・恋姫†無双~愛雛恋華伝~ 21:はるばる来たぜ遼西へ

makimuraさん

戦の後の、ちょっとひと息。

槇村です。御機嫌如何。


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2010-11-11 17:18:24 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5305   閲覧ユーザー数:4165

◆真・恋姫†無双~愛雛恋華伝~

 

21:はるばる来たぜ遼西へ

 

 

 

 

 

大規模な討伐戦を終え、各軍閥はひとまずそれぞれの拠点に戻ることとなった。

公孫軍もまた遼西へと帰還する。およそ四ヶ月に及んだ黄巾賊討伐の遠征は、ひとまずここで終わりを告げることとなる。

 

公孫瓉と公孫越だけは、幽州刺史と共に洛陽へと向かった。今回の討伐に関する報告を、朝廷に行うためである。

権限を引き継いだ公孫範に引き連れられ、公孫軍の面々は意気揚々と遼西へと凱旋する。

その道中にも、黄巾賊を始めとした匪賊の類に出くわすことはあったが、その規模はいずれもきわめて小さく。

幽州周辺で行われた大討伐に関する風聞も広がっているのだろう。公孫軍の姿を見て一目散に散っていく。

今回の討伐遠征が、力の誇示が、周辺地域の騒乱を抑えるものとなっている。その実感、手応えを、公孫軍の誰もがしっかと感じ取っていた。

 

遼西へ帰還した後も、その無事を喜んでばかりもいられない。

戦死した兵の家族への補償や慰撫、留守を預かっていた烏丸族との申し送りや、軍の再編成などなど、大小硬軟やるべきことは山のようにある。

とはいえ、最終的な決断をするのは公孫瓉の仕事である。公孫範や鳳灯らは、出来る範囲のやるべきことをすべて整えた上で、後は決算待ちという状態で太守の帰還を待つ。

しばし日数を経て、公孫瓉と公孫越の帰還が知らされる。

遼西の主だった将たちが出迎えると、彼女らは客人を伴っていた。その一団に、一部は驚きの表情を表す。

公孫瓉らと共にやってきたのは、曹操とその家臣たちであった。

 

 

「それにしても、そのまま付いてくるとは思わなかった」

「長い間留守にしていたのだもの、少しくらい不在が伸びても問題はないわ」

 

その旨は伝達してあるし、不在が伸びたくらいでどうにかなる治世をしているつもりもいないしね。

と、自信満々にいってのける、陳留の太守である曹操。彼女は黄巾討伐の後、自分の治める地へ戻る前に直接、遼西におもむくことを決めた。

彼女自身、その治安のよさと民の豊かさで噂に上る遼西を、同じ太守として一度は見ておかなければと考えていた。

陳留に戻ってしまえば次はいつ自由に動けるか分からない。という懸念もあって、わずかな共と護衛を従えただけで遼西までやって来たのだった。

公孫瓉も、それを断る理由はない。むしろ自分の治める地を褒められているのだから、かえって気分がいいくらいである。

 

そんな彼女ら一行、曹操、夏侯惇に夏侯淵、それに荀彧ら主な将を迎えてささやかな宴席が開かれる。

迎えるは、公孫瓉ら三姉妹、公孫続、鳳灯らである。ちなみに同行していた曹操軍の兵たちは別所にてもてなしを受けている。

また曹操たっての希望で、関雨、華祐、呂扶も席に呼ばれている。ちなみに呂扶に引きずられる形で、裏方として一刀も厨房に詰めていた。

乾杯の音頭と共に、穏やかに進む宴席。互いに黄巾討伐の労をねぎらい、新たに得た地位を踏まえた意見などを交えたりする。

 

 

 

朝廷への報告に洛陽に入ったのは公孫瓉ら幽州組ばかりではない。

合同戦線を張っていた曹操と劉備もまた同じように洛陽入りし、報告を行っている。

そこで彼女たちは、今回の大規模な討伐に対する恩賞として新たな地位を授かった。

 

劉備は、青州平原の相として取り立てられた。

いかに劉姓を持つとはいえ、彼女は確たる拠点を持たない一義勇軍でしかなかった。それが唐突に一地域を治める長である。実績を立てて見せたとはいえ、いくつもの段階を飛び越した大出世といえよう。

ちなみに、友人による陰からの強い後押しがあって初めて、劉備は地位を手にすることが出来たという側面もあった。

救国の志を強く抱く彼女にとって、今なにが必要なのか。

そう考えた公孫瓉は友として、彼女らがそれだけ勇猛に働いたかを説いて見せたのである。

そんな様を横目にしながら、曹操は内心呆れていた。だが反面、ここまで来ればいっそ清々しいか、と、苦笑も零していたのだが。

さて。

劉備は相を地位を授かった後、足早に平原へと向かった。

出立の前。劉備は彼女らしい無邪気さで公孫瓉に抱きつき、任官の後押しに対して礼を述べる。また彼女に仕える関羽、諸葛亮、鳳統からも頭を下げられられた。と同時に、彼女らは、身を寄せていた際にあった言動のいくつかに対しても謝罪する。心当たりのあった公孫瓉は、苦笑しつつ「気にしないでくれ」と水に流してみせた。

 

曹操は、現行の官職と平行して、袞州の牧を兼任することとなった。

もともと陳留の太守を務めていた彼女は、そのまま更に広い地域を治めることになる。

持てる権限の制約上、これまでは内政の充実にしか力を入れられなかった曹操。だが牧の地位を得たことで、より大規模な兵力軍事力を持つと同時に、陳留以外にも影響力を与え手を伸ばすことが可能となった。愚鈍な宦官外戚どもに目にものを見せてくれる、と覇気を募らせる彼女にとって、動きやすく、力を溜め込むに都合のいい立場を得たといっていいだろう。

 

公孫瓉は、幽州の牧に任ぜられた。

これまで幽州刺史に就いていた人物は、年齢が高かったこともあり、此度の黄巾討伐から戻ると自ら退きたい旨を皇帝に進言した。

では空いた役職に誰を置くか。

当初は、幽州合同軍の総大将を務めていた公孫越に、という意見もあった。だが若輩である以前に、彼女自身はこれまでにな何某かの地位に就いていたという実績がない。いきなり州牧を任せるのも無謀な話だろう。

そんな理由もあり、州牧の空位には公孫瓉に任ぜられた。

朝廷直下の軍勢ではなかったとはいえ、官軍の危機に助けに入った実績もあり、朝廷の中で彼女は好意的に見られていたこともいい判断材料となった。公孫瓉は陽楽を離れ、幽州の治府が置かれる広陽郡・薊へと移ることになり、空席となる遼西の太守には公孫越が任ぜられることになった。

公孫越を始め、公孫範や公孫続も、皇帝に名を披露する機会を得ることが出来た。後々、機があればこれが生きてくることもあるだろう。無名に近かった妹たちの名を売ることができたというだけでも十分であったが、公孫瓉にとって、此度の黄巾討伐は自他共に得るものが多かった。

 

ちなみに。

"牧"という役職は、この黄巾党が起こした反乱を鑑み復刻された役職だ。とはいえ、漢王朝の治世における立ち位置は基本的に刺史と同じである。

これまでの刺史と違う点は、より自治的な統治権が与えられると同時に、大規模な軍事、兵備、徴兵を牧の裁量で行えるというところである。

軍閥として名を馳せていた公孫瓉や曹操であっても、太守という地位である限り、揃えられる軍備や兵力には制限が付いていた。それが牧の座に着任することで、対外に対する防備の充実を公然と行えるようになった。

公孫瓉は長く続いていた烏丸族への対策として、曹操は未来に起こるであろう戦乱に備える思いから、それぞれ軍備の重要性を切に感じ取っていた。用途はともかくとして、今この大陸の中でもっとも必要としているであろう者にその官職が与えられたのは、時代の必然か。それともただの気紛れなのだろうか。

 

 

 

そんな時代の趨勢など、当人たちに分かるはずもなく。ひとまずは、手にした新たな官職に対し喜びを見せるばかりである。

 

「州牧への就任、おめでとう。と、いっておこうかしら」

「あぁ、ありがとう。

だが曹操こそ、出世という意味では同じだろう。洛陽や司州に近い分、私よりも重要視されてるんじゃないか?」

「近い分だけ、面倒ごとが起こりやすいだけだわ。

面倒ごとが起こること自体はいい。でもね、それが他人の仕出かしたことの尻拭いでしかないのは御免よ」

 

もっとも、面倒ごとの大部分は後者なんだけど。そういって渋面を隠そうとしない曹操。

公孫瓉もまた、彼女と同じく漢という王朝に仕える身である。本来であれば諌めるべきことなのだろう、が。曹操のいう言葉に思い当たるところがありすぎて、苦笑いを返すことしか出来なかった。

 

「余計なことに巻き込まれずに力を蓄える、という意味では、幽州や涼州はいいところかもしれないわね」

「いや、案外そうでもないぞ? 幽州は烏丸、涼州は五胡。北側から来る奴らを、気を張って見ていなきゃいけないからな」

 

気持ちの安らぐ暇がない、と、公孫瓉はおどけてみせる。

と同時に、かなりギリギリな曹操の言葉もあえて軽く流してみせた。

 

だが、曹操のいうことも一面では事実ではある。

幽州の各地、ことに遼西は、たかが一太守の身分には過ぎた兵力を有している。それはひとえに北方勢力に対する自衛のために他ならない。

彼女らが食い止めければ、北方勢力は更に南下してくるに違いない。朝廷もまたそれを理解しているからこそ、幽州や涼州が軍事力を充実させていることを黙認しているのだ。他の勢力が同じように軍備拡張を行ったならば、朝廷に対する翻意ありとして圧力をかけてくることだろう。

少なくとも、幽州における勢力としての充実は、地理的な理由によるところが大きいことは否めない。

 

「今この時代に、自分たちを守るために自前の軍備と兵力が必要だってことは分かる。

かといって、増やしに増やしていってその後どうするんだ、っていうのもあるんだよな」

「もちろん、兵ばかりで治世が成り立つはずもないわ。基本的に、兵は一方的に消費ばかりを強いるもの。なにかを作り生み出す層はなくてはならない。どちらに偏っても、どちらをおざなりにしても、泣くのは結局、民なのよ」

「同じなら問題も少ないんだけどな。作る層と、消費する層が」

「農民を兵にしようとでも? そんなことをしても中途半端になるだけよ。いざ戦場に立ったら味方が全員義勇兵並みなんてゾッとするわ」

「いやそうじゃない、逆だ。兵の方に農民も……」

 

と、口に出しかけた公孫瓉が言葉を止め。咄嗟に鳳灯の方を見やる。

苦笑するのを隠さずに、鳳灯はうなずいてみせた。

 

「兵の方に、農民がするようなことをやらせるんだよ」

 

筆頭内政官殿のお許しが出た、ということで。公孫瓉は、遼西が現在採ろうとしている方法を語ってみせる。

 

彼女のいう方法とは屯田制、要するに兵屯の導入である。手の空いた兵を農作業や開墾に回そうというもの。これはもちろん鳳灯の発案によるものだ。以前にいた世界から知識と実績を持ち越しているのだから、有効性は実証済みである。

わざわざ曹操の前で披露することではないかもしれない。だがここで話題にしなかったとしても、曹操はいずれこの考え方に至り実行するだろう。鳳灯はそう考え、あえて情報の秘匿にこだわらなかった。以前にいた世界でも、曹操は黄巾の乱以後に兵屯の考えを取り入れていたはず。だから問題ないだろう、という判断である。

そもそも、遼西においてはすでに手がけ始めている方法である。遅かれ早かれ、先見に富む人物であれば目をつけるに違いない。そしてその筆頭となるであろう人物が、今、目の前にいる曹操なのだ。ならばこちらから情報を出して恩に着させてみよう、というのが、鳳灯の思惑であった。

事実、曹操はこの案に非常に食いついた。強く興味を持ち、彼女は公孫瓉に先を促す。

そんな硬めの話を展開しつつ。治世者側に立つ、公孫瓉、公孫越、曹操と、彼女らを支える鳳灯、荀彧ら文官組は、宴席というには少し趣の異なる盛り上がりを見せていた。

 

 

一方、武官組はというと。

 

「わたしはおまえなんかみとめないんだからなー!」

 

かなり酔っていた。

 

まず騒ぎ出したのは夏侯惇である。

宴席を共にしている関雨に対して、もともと彼女は思うところがあった。といっても一方的なものなのだけれど。

黄巾賊の討伐戦で暴れ回り、自分なりの戦果を上げられたと思っていた彼女。主である曹操の反応も上々で、夏侯惇はご機嫌だった。

それも、関雨本人を目の前にして急降下してしまう。

愛する主が気に留めている武将。武才に誇りを持っているからこそ、知らず自分のそれと比べてしまう。

もっとも、彼女とてそれを口にしてしまうほど自制心がないわけではない。

だが酒が入ったことで、そのわずかな自制心も箍が外れ、感情にまかせるまま喚き散らす。

 

「わたしが、わたしが華琳さまの一番なんだぞ! お前なんかに負けるものかー!」

「いや、そもそも曹操殿について行くとはひと言もいっていないのだが」

「なんだと貴様、華琳さまが目に留めてくださったにも係わらず応えないというのかー!」

「夏侯惇殿、貴女は私を引き入れたいのかそうじゃないのかどっちなのだ」

「そんなこと知るかー!」

 

酔っ払いに理屈は通じない。そんな言葉が人の形になったかのような傍若無人ぶりを発揮していた。

関雨は彼女の性格もよく知っている。以前にいた世界でもなにかと絡んだことがあった。曹操第一なところはまったく変わりがない。

夏侯惇の、直線的なのにどこか変化球な絡みをなんとかかわしつつ、話をなんとかずらそうと試みる。

 

「私などよりも呂扶の方がよほど強いぞ? 未だに負け越しているくらいなのだからな」

「ぬ、そうか? 呂扶は遼西の一騎当千と呼べれているらしいな。

なんのわたしとて、華琳さまのためなら黄巾の千や二千簡単に吹き飛ばしてくれるぞ!」

 

夏侯惇の矛先は、みごとなまでに関雨から外れていった。

話題を振られた呂扶当人は、突然呼ばれた自分の名前に反応するも、すぐにまた手元の料理に意識を戻してしまう。

そんな態度を、お前なんか興味ない、というように捉えたのだろうか。夏侯惇は先ほど以上の勢いでくってかかる。

だが、反応して来たのは呂扶ではなく。

 

「なにいってんだアンタ! 恋姉ぇに比べりゃアンタなんて足元だぞ足元!」

 

突っかかってきたのは、公孫軍一の直情型、公孫範である。

武においては、まだ夏侯惇に及ばないだろう。だが高みを目指す意気込みなら勝るとも劣らない。

そんな彼女は、師でもある呂扶を取り沙汰されて過敏に反応してみせる。勢いのままに。

ふたりとも、既に相当の量を飲んでいる。口にする言葉を吟味することもなく、互いに大声をぶつけ合う。罵り合いといってもいいかもしれない。その中身は極端に程度の低いものではあったが。

 

「ちょっと待って、待ってよ範ちゃん! 落ち着いて、落ち着いてってば!!」

 

声と同時に腕まで出しそうな勢いの公孫範を、身体を張って止めようとするのは公孫続。従姉妹の腕に自分の腕を巻き込み、全身をもって押しとどめる。

そんな彼女を見て、夏侯淵はなにやらうんうんとうなずいていた。

目の前の光景に、なにか共感するところがあったのかもしれない。

 

すわ一触即発か、という空気が流れもしたが。

気がつくと何故か、呂扶、公孫範、夏侯惇の三人による早食い対決が繰り広げられていた。

三人が三人とも、その身体のどこに入るんだというくらいの勢いで、目の前の料理を平らげていく。

そして何故か、三人に次の料理を差し出す係を請け負ってしまった公孫続。

 

「続、おかわり」

「続、次だ!」

「わたしも次だ!!」

 

息を吐く暇もないほどにおかわりを要求する、呂扶、公孫範、夏侯惇。あわわわわわ、と、鳳灯もびっくりな程に取り乱す公孫続。

料理を乗せた皿がなくなり、いわれのない突き上げを食らう。

彼女は半泣きになりながら、追加の料理を求めて厨房と宴席の間を行ったりきたりしていた。

そんな公孫続を、夏侯淵は慈愛の念を込めながら暖かく見守っていた。

なにか非常に満足そうな笑みを浮かべつつ。

でもまったく手伝おうとしないで。

 

そんな按配で。

誰も彼も酔っ払っていた。

 

 

「なんだか、食い物の減りがハンパないんだけど」

 

なにかあったの? と尋ねるのは、呂扶に連れられるまま城の厨房で鍋を振るうことになった一刀。その質問を受けるのは華祐である。

ちなみになぜか趙雲が、厨房の片隅で一刀を冷やかしていた。

 

「経緯は分からんが、恋を筆頭に早食い対決が始まったぞ」

「……なんで?」

「知らん」

「食事で恋に勝てるわけないじゃん」

「結構いい勝負をしてるぞ?」

「……相手は誰?」

「範殿と、夏侯惇だ」

「……なんで華祐はここにいるの?」

「巻き込まれたくなかったからな」

「確かに、訳の分からない盛り上がり方をそこかしこでしていましたな。私も巻き込まれるのは勘弁願いたい」

「というか趙雲さん、なにもしないなら帰んなよ」

 

酒と勢いのせいで場が乱れてきたから逃げてきた、と、華祐はひょうひょうといってみせる。

宴席に呼ばれていなかったとはいえ、場をのぞいて見た感想を口にし、趙雲も同調してみせた。

一刀は一刀で、出す皿出す皿すべてをつまみ食いしていく趙雲にゲンナリしていた。

 

「宴席に置いてある料理が冗談のように減っていってるぞ。すぐに次をくれ、と駆け込んでくると思うが」

 

厨房の熱気と忙しさに汗だくの一刀だったが、華祐の言葉に、なにか違う汗が流れるのを背中に感じていた。

そんな嫌な予感はすぐに形となる。駆け込んでくる公孫続の、正に半泣きな声と共に。

 

「北郷さぁーーーーーん」

「……話は聞きました。ひとまずこれを」

 

仕上がったばかりの、料理を載せた皿。何人かの給仕たちと一緒に、まだ熱い料理をいっせいに運んでいく。

 

「続殿も大変ですなぁ」

「そう思うなら、少しくらい手伝ってもいいんじゃないですか趙雲さん」

「こう見えても私は忙しいのですよ。主につまみ食いなどで」

「そうですか……」

 

諦めたように嘆息しつつ、一刀は厨房という名の戦場へ戻っていく。

彼の背中を見やり、華祐は苦笑しながらその後を追う。

 

「どれ、私も手伝おう。作り手はひとりでも多い方がいいのではないか?」

「ありがとう、師匠」

 

皆聞いて驚け、我々は華祐将軍という心強い援軍を得たぞー。

一刀の芝居がかった言葉に、厨房の中から歓声が溢れる。

彼女は料理の腕も将軍並み、という印象が持たれている。料理番の面々にはまさに頼れる援軍といっていい存在だ。

華祐っ、華祐っ、と、鼓舞する声まで沸きあがる。もちろん乗せているのは一刀であったが。

 

ほどなく、その声も忙しげな雰囲気と喧騒にまぎれていった。華祐もまた、厨房を回す歯車のひとつとして動き出す。

そんな将軍の姿を、宴席との間を行き来する給仕たちや、なぜか料理を運び続ける公孫続が目に留め驚いたりもしていた。

 

 

 

「ひとまずは、平和といっていいんでしょうな」

 

自分用に確保していた料理をつまみつつ、趙雲は微笑みながら呟いた。

 

 

・あとがき

なんだろう、なにか違和感を感じる。

 

槇村です。御機嫌如何。

 

 

 

 

 

違和感があるのは、華琳さんなのか、白蓮さんなのか。はたまた両方か?

……このふたりが親密になるのが想像できないのかもしれないな。うん。

 

 

まぁそれはいいんですよ。狙ってやっていますから。

ただ、原作から外れた進み方をしようとすればするほど、書くのに時間がかかってしまいます。

槇村的に、一週間に一話は遅い。

二話は書きたい。

そうでもしないと終わりそうもない。

 

急いで中身がスカスカにならないよう気を配りながら、早足で書いていこうと思います。

 

ラストに近いシーンばかり思いつくのは、嬉しい反面すごく困ります。

 


 
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