No.178166

恋姫ランド34一姫✝無双・魏~新三国志演義~八話目

さん

長かった……長かった。
この長い刻を越えて、今こそ目覚めの時!!

さあ、目を開けろ。立ち上がれ!!

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2010-10-14 15:51:27 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:6146   閲覧ユーザー数:5203

黄巾党本隊との決戦の時、私は劉備との邂逅をはたした。

 

彼女の理想は素晴らしい、でも理想しか見ていない。

 

だから私は彼女とは歩めない。

 

たとえ辛くとも、苦しくても私は、

 

華琳と共に……

 第八話「乱世に響く歌姫達の歌声に」

 

華琳は黄巾党壊滅の功績を認められ西園八校尉の一人になった。

それに伴い、私と春蘭、秋蘭は将軍位に。

季衣と流琉はそれぞれ華琳の親衛隊隊長として、私は警備隊の隊長も兼任する事になった。

 

「おめでとうございます。一姫将軍」

「おめっとうさんや、将軍様」

「おめでとうなの、将軍様」

「…からかうのは止めてよ三人とも」

「ははー、照れとるわ。可愛いなー隊長」

「ほっぺが真っ赤なのー」

「こらっ!二人ともいい加減にしないか」

 

凪が怒りかけたが私はそれより先に。

 

「二人とも呑気にしてるけど貴女達も副隊長に昇格してるんだからね。今までみたいにのほほんとしてられないわよ」

「げっ!そうやった」

「うう~、お休みの時間が減っちゃうの」

「二人ともっ!華琳様と一姫様の信頼を裏切る様なまねをしたら……」

 

そう言う凪の右手に気がこもって行く。

 

「わーとる、わーとる。やから気を抑えてんか」

「凪ちゃん、どんどん怖くなっていくの」

 

 

 

一姫達がそんな会話を交わしている頃、玉座の間では。

 

「旅芸人?」

「はい、その旅芸人達を使って徴兵をしたいのですが」

「どう言う事?」

 

華琳、白花、桂花の三人で会議をしていた。

 

「その者達、三姉妹は歌と踊りで街を渡り歩いてかなりの人気を持っていました。しかし、黄巾党が動きだした頃から活動を止めてしまったんです」

「それは何故?」

「彼女達の姓と名が偶然にも張三兄弟と同じだったからです。その為彼女達は人前で活動する事が出来なくなったのです」

「なるほど、確かに奴らと同じ名前では活動なんて出来ないわね」

「で、その旅芸人達をどうするの?」

 

桂花の質問に白花は答える。

 

「はい、彼女達の歌は人々の心を引きつけます。ですから彼女達に徴兵を手伝ってもらう代わりに活動の援助と支援をすれば宜しいかと。名前の方は偽名か真名を名乗れば問題は無いでしょうし。そして……」

「そして、何?」

「一姫さんにも…ゴニョゴニョ」

 

華琳と桂花にそっと耳打ちする。

 

「許可します!!白花、さっそくその者達と交渉を進めなさい。絶対に了承を得て来るのよ」

「御意」

「あ、ああ、あああああああ、お、お姉様が……お姉様の……」

ゾクウッ

 

さやちゃんや凪達とご飯を食べているといきなり背筋に悪寒が走った。

 

「ひっ…な、何?」

「おねえちゃん?」

「どうしたんですか一姫様?」

「何だか背筋に冷たい物が……誰か悪巧みでもしてるんじゃないでしょうね?……例えば華琳とか桂花とか華琳とか華琳とか、さらには桂花とか華琳とか……」

「……何と言うか、それはどうしようもないです」

「そうよね、どうしようもないのよね……はぁ…」

「がんばってね、おねえちゃん」

 

さやちゃんは優しく私の背中をポンポンと叩いてくれる。

その優しさが、今は少しだけ痛い。………ぐすん。

 

 

数日後、少し離れた街で

白花は例の旅芸人達と話をしていた。

 

 

「本当っ!?本当にちぃ達の活動を支援してくれるの?」

「本当ですよ。代わりに徴兵の手伝いと名前を偽名にするか真名で名乗ってもらうかする事になりますが」

「それくらいなら全然平気よ。ねえ、天和姉さん」

「うん、思いっきり歌えるんならお姉ちゃんは文句は無いよ」

「そうね、今の私達には破格の条件だわ。司馬芝さんでしたね、その条件でお引き受けします」

「有り難うございます。ではこれから陳留へとご案内します。ぜひ、ご紹介したい人も居ますので」

 

 

こうして彼女達、数え役満☆しすたぁずは華琳の元に集う事になった。

更に数日後……

玉座の間にて、

 

「貴女達が噂の旅芸人ね」

 

「はい、よろしくお願いします。曹操様」

 

三人は跪き、臣下の礼を取る。

そんな彼女達を一姫は華琳の横で見つめている。

 

(この娘達の衣装、どう見てもアイドル衣装よね。何故かしら?物凄く嫌な予感がするのは)

 

「一姫さん、ちょっと此方へ来ていただけますか?」

「ええ、いいけど」

 

白花に呼ばれ、一姫は三姉妹の所に行く。

 

「この方が天の御遣い、北郷一姫さんですよ」

 

「うわ~~、噂どおりに綺麗で可愛い♪」

「……悔しいけど確かにちぃ達より綺麗ね」

 

三人の内メガネをかけた一人、人和は見定める様にブツブツ言いながら私の周りを回っている。

 

「容姿、身長、体形……申し分はないわね。白花さん、彼女なら問題は無いわ」

「あ、あの~……な、何の話?」

「うふふ、それはね」

 

白花がパチンッと指を鳴らすと兵士達が布が掛けられた何かを持って来た。

その布が取り払われると其処には三姉妹と同じような衣装があった。

 

「は、白花さん……もしかして…コレ……」

「はい。一姫さんの衣装です」

 

 

 

 

一姫は逃げ出した。

しかし、華琳に回り込まれてしまった。

 

「知らなかったの?覇王からは逃げられないわよ」

「ちょ、ちょっと待ってよ。そんな恥ずかしい格好嫌よ」

「大丈夫、とってもお似合いですよ。さあ、試しに着替えてみましょう」

 

白花がそう言い、指をパチンッと鳴らすとガシリッと両手を秋蘭と春蘭に掴まれる。

 

「ちょっと、二人共……何をするの?」

「一姫には悪いがこれも華琳様のご命令だ」

「もたもたするな、急ぐぞ」

「嫌ーー!!嫌よ、放して、はーなーしーてー!!」

 

いくら暴れても二人は放してはくれずに、そのまま扉の向こうへと引きずられて行く。

 

\ハーナーシーテー/

(春)(;゚Д゚)(秋)==ズルズル

  \イーヤー/

   =|Д|=ギイィィィィ

    \アー/

    =|=ガッシャァーーンッ

 

 

 

 

……何処の木人形よ私は………

結局私はアイドル衣装に着替えさせられた。

確かに子供の頃に憧れた事はあったけど……何よこのミニスカートは。

髪は赤いリボンでツインテールに纏められてるし。

 

「か、可愛い……可愛いわ、一姫……一姫さん」

 

白花さんは真っ赤な顔で泣きながら私を見つめていた、鼻から何か赤い物が流れている気がするけど気がつかなかった事にした。

華琳と桂花はうつ伏せに倒れ伏し、赤い液体でダイイングメッセージを書き遺していた。

 

はんにんは~………

「おねえちゃん、きれいきれい~~!!♪」

 

何時の間にかやって来ていたさやちゃんは私の姿を見て大はしゃぎで絶賛する。

 

「わあ~、一姫ちゃん綺麗♪」

「うう~、く、悔しぃ~~」

「さあ、さっそく歌の練習を始めましょう」

「……分かったわよ、やります。やればいいんでしょ」

「いいな~、さやもこんなきれいなふくきてみたい」

 

さやちゃんが指を咥えて私の衣装を見ていると天和がさやちゃんを見つめながら言う。

 

「ねえ、人和ちゃん。この娘にも舞台を手伝ってもらおうよ」

「……そうね、こんなに可愛いんだから舞台に花を添えるには十分ね」

「ちぃもさんせーいっ!!」

「ほんと、ほんと?さやもきれいなふくきれるの?」

「うんっ。お姉ちゃん達と一緒に頑張ろう♪」

「わーーい、わーーい!!さや、がんばるーーー♪」

 

さやちゃんは飛び跳ねてはしゃいでいる。

 

「おねえちゃん、いっしょにがんばろうね♪」

 

うう~、そんなにキラキラした期待の目で見ないでよ~~。断れないじゃない。

 

「そ、そうね。頑張ろうね……」

 

もはや逃げ場は無くなり、諦める以外の選択肢は存在しなかった。

気絶していた筈の華琳と桂花の親指が立っていたので一週間ほど口を聞かない事にした。

 

そして、一月ほどたったある日。

遂にその時がやって来た。

『みんなーー、げんきーー!?』

 

『げんきーーーーーっ!!』

 

『今日は私達四人と小さなお友達のふぁーすと・こんさぁとに来てくれてありがとーーっ!!』

 

『わああぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!』

 

『まだまだ戦乱は続き、平和な世の中は遠いけど……それでも私達は闘わなければいけません。それには皆の力が必要なの、平和な国を創る為に、皆が心から笑える世の中にする為に……。皆っ!!力を合わせて頑張ろーーーーっ!!』

 

『応ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーっ!!』

 

 

天和の呼びかけに皆が声を上げて応える。

……解っている。彼等はいずれは戦争に赴き、闘い、そして……死んで行く者達も居るのだろう。

 

民達には最初に言ってある。このコンサートはただ、楽しむ物ではなく徴兵も兼ねてあると。つまり、徴兵に応じ軍に入るという事は死と隣り合わせになるという事。

それでも彼等は応えてくれる、ならば私も彼らに応えよう。

『じゃあ、自己紹介ね。私は天和、真名だけど皆に預けちゃう♪』

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーっ!!』

 

『じゃあ、ちぃの真名を預けてあげる。地和って呼んでね』

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーっ!!』

 

『当然、私の真名もよ。人和、よろしくね』

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!』

 

『私は一姫。コンサートの時だけ特別に預けてあ・げ・る♪』

 

そう言いながら軽くウインク。

 

『うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっ!!』

 

おお、予想を上回る大声援。やばい、ちょっと嬉しい。

其処にリボンを主体にした可愛いステージ衣装を着たさやちゃんがちょこちょこと歩いて来る。

 

『わたしは、さやかーーーっ!!』

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一瞬の静寂の後、

 

『ほあああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーっ!!』

 

一番の大声援だったのは気のせいだろうか?

 

「ハアハア、さやかタン……」

 

何?今の………

 

 

 

『じゃ、じゃあ…。コホン。「天の流星しすたぁず」最初の一曲目、聞いて下さい』

 

 

曲が流れだし観客達のボルテージも上がって来る。

 

闘いは続く、むしろ始まったばかり、終わりなどまだ全然見えない。

そして彼等はその闘いに身を投じて行く。

ならば私は歌おう、彼等の為に、民達の為に、明日への希望の歌を。

 

そして、葬送曲(レクイエム)を………

 

 

続く。

あとがき

 

ようやくです。ようやく続きが書けました。

という訳で一姫のアイドルデビューですね、白花さんが少し壊れかけてますけど。

ついでといっては何ですが鞘花もデビューしてしまいました。

 

「さやのでびゅーーっ!!」

 

………こほん、

さて、これからは遂に反董卓連合編に入って行く事になります。

桃香ともそこで再会する事になりますがどれだけ成長している事でしょう?

一姫は今回の事で更に覚悟を高めました。

最後の「葬送曲(レクイエム)を」と、言う所がそれですね。

闘いの中で彼等を死地に追いやる覚悟をも持っているという事です。

 

では、次はなるべく早く更新したいと思います。

 

一姫「早くって何時?」

 

は?

 

一姫「だから、早くってどれくらいなの?」

 

え、え~と。……半年以内?

 

一姫「烈風刃波・深紅(しんく)!!」

 

ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

 

お死まい

次回予告

 

袁紹より発せられた激文?により遂に反董卓連合は結成された。

彼の地に集う諸侯達。

 

「貴女が噂の天の御遣い?いい眼をしてるわね」

 

「ふ~ん、妾達とあまり変わらぬのじゃな」

 

「あんたの噂は聞いてるぜ」

 

「桃香が世話になったらしいな」

 

「お久しぶりです、北郷様」

 

そして……

 

「姉者ーーーっ!!」

 

闘いというのは綺麗事じゃ無い、でも……許せない事はある。

 

「許さない……よくも……」

 

 

次回・第九話「朱雀・解き放たれる刻(とき)」

 


 
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