「…う?…ぱぱ?」
「起きちゃったか…おはよう花蓮」
一刀は花蓮を抱きかかえたまま書庫にむかっていた。
部屋で寝かしておこうとも思ったのだが心配で連れていくことにしたのだった。
歩いている途中花蓮は目を覚ましたのでどうするか聞いた。
「どうする?歩くか?」
「うんあるく♪」
それを聞いた一刀は花蓮を降ろし手を繋いだ。
「いまからどこいくの~」
「冥琳先生のところだよ」
「わぁ~い♪」
冥琳に会えるとわかりニコニコ顔に花蓮。
愛娘の顔を見ながら一刀は呟いた。
「ごめんな花蓮…何があっても護ってやるからな…」
これから起こるであろう困難を背負わせなければいけない。
そう思うと一刀は親として替わってやりたいと思ってしまう。
しかし、それが出来ない以上護るしかない…。
そして無意識に花蓮と握っている手を強く握りしめていた。
「いたいよ~ぱぱ~」
「あ…ごめんな…痛かったか……」
あまりに強く握ってしまい花蓮は怒ってしまった。
一刀はあわてて握りなおして書庫に向かった。
「失礼します」
「しま~す♪」
そう言うと北郷親子は書庫に入って行った。
冥琳はその声を聞き扉の方に顔をむいた。
「ああ…やっと来たか……。花蓮も一緒なのか」
「いっしょ~♪」
「一緒じゃまずかったか」
「いや…ちょうど良かった…穏!ちょっと来い」
「はい~」
本棚の間から聞きなれた声が聞こえた。
少しすると花蓮がお世話になっていた人が出てきた。
「何ですか~冥琳…あ~~!!一刀さ~んお久しぶりです~。花蓮ちゃんも久しぶりね~ママの言う事ちゃんと聞いてますか~?」
「は~い!!の(ムギュ)」
花蓮は穏と言いそうだったので前回同様一刀は花蓮を抱き上げながら口を塞いだ。
穏は不思議そうに北郷親子を眺めていた。
冥琳は笑いを堪えながら一刀に言った。
「ククク…北郷よ…そんなことしたらまた泣くぞ…ククク」
「でも真名を…」
「そうだったな…ククク。でも大丈夫だ。放してやれククク」
「あ…ああわかった」
冥琳に説得され一刀は手を花蓮の口から放した。
花蓮はやっぱり前回同様抱いている手を叩いたり足でお腹を蹴ったりした。
そして一刀もやっぱり前回同様御機嫌を取る為頭を撫でたりしながら冥琳に聞いた。
「ぶ~ぱぱまたやった~(ぽかぽか)」
「ごめんよ~カレ~ン(なでなで)…ってどういう事だ?」
「簡単な事だ…ここで真名を交換した事にすればよい」
「ああ!!なるほど…」
冥琳は至極当然の事を言った。
一刀もその事を理解し納得した。
「ところで北郷…真名は考えたか?」
「ああ…正宗にしようと思う」
「正宗か。……なるほど著名な刀工の名を借りるのか…」
「やっぱり無礼かな…」
一刀は書庫に時、真名の事を考えていた。
もし真名が外に広まった場合、仲間が自分と気付く様な名前にしたいと思った。
「いや…。北郷にはピッタリだろう……穏もそう思うだろ」
「そうですね~」
「そっか…よかった。それでここに来いっていうのはどういう事だ?」
一刀は真名の件で呼ばれたとは思えなかったので聞いてみた。
「それについてはだな北…正宗。ここに来てもらったのは教育の件だ」
「ああ~そう言う事ですね~」
「教育?」
「??」
冥琳の言葉に穏はなぜ自分も呼ばれたか理解した。
しかし北郷親子はどういう事かさっぱりわからなかった。
「正宗は一度経験しているからいいとして花蓮はこの世界の文字とか読めないだろ」
「まあ…それなりに」「わかんな~い♪」
「なので私と穏で二人に教育しようと思ったのだ」
「なるほど…」
説明を聞いた一刀は納得した。
確かに自分は以前の外史に関わっていたのである程度は分かるが花蓮はこの世界のシステムなどまったくわからない。
その状態では生きていけないので最低限覚えなくてはいけなかったのだ。
「それでどうするんだ?」
「花蓮には穏を正宗には私が付きっきりで教えてやろうと思ってな」
「わ~い♪」「え~」
花蓮は初めて勉強が出来るので喜んだが対照的に一刀はとても嫌がった。
「のんせんせい♪よろしくおねがいします♪」
「は~花蓮ちゃんはいい子ですね~(むぎゅ~~~)」
花蓮は早速穏にあいさつした。
あまりにも可愛らしかったので穏は抱きしめた。
「正宗なんだその嫌そうな顔は」
「俺…前の外史では紛いなりにも太守してたし…陳情とか処理してきたし……」
一刀はどうにかして勉強しなくてすむように冥琳は言い含めようとした。
しかし冥琳は小学校教師の勘が働いた。
「…もしかして、勉強嫌なのか」
「ハイ!!」
「気持ちよく返事をするな!!(スパン!!)」
あまりにも清々しく返事をした一刀に冥琳はどこから出したがわからないがハリセンで頭を叩いた。
一刀は教師に怒られた生徒みたいにシュンとなってしまった。
「(パコ)……ごめん、冥琳」
「まったく…これが蓮華様と二人っきりならやる気になるんだろうな…」
「蓮華と二人っきり……(ムフフ)」
冥琳の言葉に一刀は聖フランチェスカ時代を思い出した。
あの時はよく二人っきりで勉強をしていた。
数学や科学など……もちろん二人っきりなので保体の実技も教えたり教えられたりした。
様子のおかしい一刀に再びハリセンで頭を叩いた。
「正宗~目を覚ませ~(スパ~ン!)」
「蓮華~照れるな(パコ)…って…へ」
「戻ったか~正宗~」
「ハイ…」
現実に戻った一刀は先程の回想のせいで顔を真っ赤にしてしまった。
とりあえず今日は遅いので北郷親子を帰すことにした。
「今日はもう遅いし明日から勉強開始と言うことで頼むぞ。穏もよろしくな」
「はい~」
「りょ~かい」
「は~い♪」
北郷親子は手を繋いで書庫を出た。
一刀は勉強会について考えていた。
「…ふ~勉強か…」
「べんきょ~♪べんきょ~♪」
「花蓮嬉しいか?」
「うん♪」
「良かったな(なでなで)」
花蓮の嬉しそうな顔を見ているうちに自分も勉強頑張ろうと思った。
そして二人は部屋に戻った後眠りに就いた。
北郷親子が書庫から出て行った後、穏は自分の思っている事をぶつけた。
「冥琳様…勉強会ってこれカモフラージュですよね」
「…わかっていたか」
「はい~。伊達に冥琳様の一番弟子ではありませんから~」
穏にしてみればおかしいと思っていた。
花蓮に教えるのは自分ではなく一刀に任せた方がいいとわかっているはずなのに敢えて自分が教えることになった事。
又、一刀にしてみても勉強などする必要がないはずと思っていたからだ。
「…この外史に来てから雪蓮の様子がおかしかったからな」
「………確かに…一刀さんたちにどうやら監視が付いたようですしね~」
「おそらく…私たちにも付いているだろう…」
「それから護るのも担当の役目ですからね~」
「ああ…担任の役目でもあるからな…ところで穏」
「はい~」
冥琳は教師として教え子は守りたいと考えていた。
そして北郷一家を温かく見守りたいとも思っていた。
穏も同じように考えていたのであの時何も言わずに芝居に乗った。
冥琳は教師として聞いておきたい事があった。
「花蓮は保育園ではどんな子だったんだ」
「あの通り可愛らしく素直な子でしたよ~…でも」
「でも?」
花蓮の普段の様子が知りたかったのだ。
「でも…たま~に一刀さんが恋しくなって泣いちゃったりしてましたね~」
「ふふふ…花蓮らしいな……そんな親子を護る為に、穏」
「はい~」
二人の教師、保育士は一家を見守る為に全てを捧げようとこの時心の中で誓った。
おまけ
おきるとぱぱのうでのなかにいたの
とってもあたたかかったの
でもかれんあるけるもん
だっこもうれしいけど…
おててをつないでめいりんせんせいにあいにいったの
でもおてていたくなったの
ぱぱいたいのいや
ごほんがいっぱいあるへやにいったの
そしたらめいりんせんせいとのんせんせいがいたの
のんせんせいにあいさつしようとしたらぱぱがくちをふさいだの
くるしかったの
だからまたおこったの
でもなでなでしてくれたからうれしかったの
おべんきょ~♪
のんせんせいにおべんきょ~おしえてもらえるの
そしてむぎゅ~されたの
うれし~♪
へやにもどったの
きょうからぱぱといっしょにねむれるの
うれしいけどちょっとさびしいの
はやくままにあいたいな
つづく
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花蓮第2章です… 花蓮ちゃんみたいな子供が欲しいな~
うまく書けたかな…?
不安です…。
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