一刀を起そうとする二つの影があった。
「…ぱ~お………よぱ…」
「う~ん……」
(花蓮~パパは眠いからまだ起こさないでくれ~)
「…郷お……」
(蓮華~お前も北郷だろ~…いつものように呼んでくれ~)
「花蓮…いつもこうなのか?」
「うん♪」
花蓮は一刀の顔を覗き込んで笑っていた。
隣にいた女性もこの光景を眺めていたかったがこのままでは話が進まないのでいつもどう起こしているか聞いてみた。
「…蓮華様はいつもどうやって起こしているのだ?」
「あのねチュッチュしてるの」
「!!…ほ~ん~ご~お~!起きろ~!(スパン!)」
「(バシン!)…いった~!痛いぞ蓮…って冥琳?」
何かで叩かれた痛みで起きた一刀は驚いた。
目の前にいたのは蓮華ではなく妙に頬の赤い冥琳だったからだ。
そして冥琳の手にはハリセンがあった。
「おはよう、北郷…」
「おはよ~♪ぱぱ~♪」
「…おはよう花蓮……?」
一刀は覚醒して行くにつれ違和感を覚えた。
周りを見ると自分の部屋ではなくどこか見慣れた感じの部屋。
そして冥琳を見るといつもより若く見える。
「どうした北郷?」
「冥琳?…ここって?」
「…ここは南陽の雪蓮…孫策の家だ…」
「は~?…ってまさか…」
一刀は初め冥琳の言葉が理解できなかったが自分が一度外史に飛ばされた事を思い出した。
「その…まさかだ」
「うそ…」
「嘘ではない…私たちも一ヶ月程前に飛ばされたのだ」
一刀の表情を見て冥琳は慌てて説明した。
説明を聞いた一刀は一応納得した。
「とりあえず、蓮華,冥琳,穏,思春,小蓮はこの世界の一ヶ月前に飛ばされて今は黄巾党と戦っている途中というところ?」
「そうだ!」
「ぱぱ~どういうこと~?」
キョトンのした表情で花蓮が聞いてきた。
「うんとね、簡単に言うとママたちのいた世界に来たって言えばわかる?」
「うん♪」
一刀たちは花蓮に三国志時代に生きておりタイムスリップして一刀の世界に来たと説明していた。
花蓮はその事を覚えていたのですんなり理解した。
「ぱぱ~きょうなんかちがう~。ふくしろい~」
「そういえば何か違うな…冥琳も…」
「なんだ」
一刀の続くであろう言葉に冥琳は睨みをきかせた。
睨まれた一刀はその言葉を飲み込んだ。
「いえ……冥琳…鏡あります」
一刀は鏡に映る姿を見て全て理解した。
「俺…若い……しかも、聖フランチェスカの制服だし…なるほど…ということは…」
そして若返った蓮華を想像していた。
しかしその顔を見て気に入らない子がいた。
「ぱぱ~、ぶ~(ぽかぽか)」
花蓮だった。
一刀が構ってくれないので拗ねて脚を叩いた。
「ごめんごめん…(なでなで)って花蓮その服は?」
花蓮の頭を撫でながら姿を見るといつもの服と違っていた。
「めいりんせんせいにもらった~」
「どうだ北郷…私のお古だがよく似合っているだろう」
冥琳は今度花蓮の通う小学校で担任になると言っていた。
なので花蓮にお姉ちゃんから先生に言い換えるよう家でも言わせていた。
同様に穏も同じで保育園の担当だったので先生と言わせている。
「可愛いな~…冥琳ありがとう…」
「なに…入学祝と思ってくれ」
「うん…ところで俺たちはどうして」
「ああ…その事なのだが…」
冥琳が説明しようとしたその時扉が開いた。
「冥琳~、例の彼起きた~」
「雪蓮…ああ」
入ってきた人物は蓮華に似ていた。
雰囲気といい外見といい…。
しかし違う所もあった…。胸とかは大きくお尻は小さい…。
「めい…周瑜さん、こちらは?」
一刀は冥琳を真名で言いそうになったのであわてて名前で呼んだ。
状況がわからない以上迂闊に真名で呼ばない方が得策と考えてのことだ。
「あ…ああ、こちらは「この屋敷の主、孫伯符よ」」
「?めい(ムギュ)□×△●×▽■◇」
「ん?どうしたの」
「いや~なんでも」
花蓮は冥琳の名前を言いそうだったので一刀は花蓮を抱きかかえ口を塞いだ。
苦しそうな花蓮を見て一刀は心が折れそうになったがしかしここで離すわけにはいかないと思い心を鬼にして塞ぎ続けた。
「そう…これから文官としてよろしくね…冥琳、後はよろしくね」
そう言うと孫策は部屋を出た。
それから少しして花蓮の口から手を放した。
「うわ~ん!!ぱぱのばか~!!(ぽかぽか)」
「花蓮~~ごめん~(なでなで)ぱぱが悪かったよ~(なでなで)」
「ククク…娘を泣かせて…クク…」
手を放した瞬間花蓮が泣き始めて抱いている手を叩いたり足でお腹を蹴ったりした。
一刀は愛娘の御機嫌を取る為必至だったがその姿が微笑ましくて冥琳は笑いをこらえるのに必死だった。
「ぱぱもうしない?」
「パパしないから許して~」
「うん♪」
「良かったな北郷…花蓮の機嫌も治ったし話をしていいか?」
「ああ」
花蓮の機嫌が直った所で冥琳は孫策の登場で棚上げになっていた説明を再開した。
「先に謝っとく…スマン………実は…「ぱぱ~かれんてんのみつかいになったんだよ~」」
「ハ…ハハハ……天の御遣いって…愛娘を…ハハハ…」
「ぱぱ~?」「ほ…北郷」
突然笑い出した一刀に花蓮と冥琳は少し怖くなった
花蓮の突然の告白に笑いに止まらなかったが次第に怒りがやってきた
「ふ…ふ…ふざけるな~!!!!!!」
「!!」「ひ…」
一刀の怒りの言葉に冥琳と花蓮はびっくりした。
特に花蓮は泣きだしそうになった。普段花蓮の前では怒った事がなかったのだ。
「花蓮に俺がやった事をしろって言うのか!あの気持ちを味あわせたいのか!」
「ほ…北郷……おち…」
「ふざけるのも大概にしろ!!あの時は愛紗たちが助けてくれたから良かったけど…もしいなかったら俺は……とっくに精神逝ってたんだぞ!!花蓮にそんな事させるつもりなのか!!!!」
「だ……だから…少し」
「それ以前に花蓮はまだ子供だぞ!!冥琳わかってるだろ!!!!これから入学するってことぐらい!!!!」
「だから…」
冥琳の言葉を聞かず一刀は怒りをぶつけ続けた。
冥琳もその気持ちがわかっていた為強く言えなかった。
しかしその怒りを治めた者がいた。
「どうする!!!!…って花蓮…」
「うわ~ん!!ぱ…ぱぱ…ご…ごめんな……さ…さい。ぱぱと…いっしょに……なり…なりたかったの…」
「花蓮…そうか……ごめんな……冥琳も…ごめん」
「いや…私の落ち度でもある…。教師として失格だな……」
花蓮の言葉を聞いて一刀は我に戻り花蓮を見ると泣いていた…。
一刀は謝りながら花蓮を抱き上げ、そして冥琳にも謝った。
冥琳は自分にも思う所があってある事を言った。
「…北郷…管輅の占いは覚えているか?」
「……ああ」
「実はその占い通りに花蓮と北郷が来たんだ…」
一刀は思い出した。
一度目に外史に来た時の事を…。
目の前が白くなり気がつくと幽州啄郡にいた事を…今回はたまたま荊州周辺だったんだと考えた。
「そして孫策と黄蓋殿がここまで連れてきたのだ…」
「だからって…」
「まあ待て…、連れてこられてすぐに天の御遣いの話になった。その時花蓮が目を覚まし…自分がやるって言ったのだ…」
「でも…」
「私も反対したが花蓮が絶対やるって聞かなかったのでな…それで天の御遣いを花蓮にする事にしたんだ……すまん…」
「俺と一緒になりたいって言ってたからきっと自分もしたかったんだと思うよ…ホントに花蓮は…」
「す~す~」
そう言う一刀の目は優しく泣き疲れて眠っている愛娘を見ていた。
そして自然と愛娘の頭を撫でていた。
「…さてと、花蓮の事は分かったけど俺はどうすればいいんだ?…文官とか言ってたけど」
「ああ…私の知り合いと孫策たちには説明してある…私の管轄に置きたかったのだ…悪かったか?」
「いや…安心したよ……ありがとう。それで役職は?」
「とりあえず花蓮付きの軍師見習いという事にしてある…」
冥琳としては極力一刀と花蓮を手元に置いておきたかった。
それは自分がいた外史と微妙に違っており何か起こるか分からなかったからだ。
「そっか…」
「それととりあえず、花蓮には孫の名字で紹介してある…あと北郷、自分の真名も考えとけよ…とりあえずこの世界の人間として紹介しているからな」
「わかった…」
冥琳は後でもいいから書庫に来てほしいといって部屋を出て行った。
(花蓮…パパは最後まで花蓮の味方だからな…絶対守ってやるからな)
そう思いながら眠っている花蓮の頭を撫でた。
孫策は部屋を出た後ある者に声をかけた。
「祭…いる」
「策殿、ここに…」
「部屋にいる3人に数名監視つけといて」
「…御意」
そういう会話があるとは知らない三人…
おまけ
あさおきるとぱぱといっしょにままのせかいにきてました
おきるとめいりんせんせいがふくをくれました
せんせいありがとう
ふくをきがえたあといっしょにぱぱをおこそうとしました
でもぜんぜんおきないの
めいりんせんせいがいつもままがしてるおこしかたをきいててたの
だからチュッチュするっていったらせんせいおかおをまっかにしてた
はずかしいことなのかな・・・
かれんもぱぱにチュッチュしたいな
ぱぱのふくなんかへんだったけどすごくかっこよかったでもおかおがゆるんでた
そのときはたいていままのことをかんがえてるってあいしゃおねえちゃんがおしえてくれた
ぱぱがかわいいといってくれた
うれしかった
おへやにはいってきたひとをめいりんせんせいにきこうとおもったらぱぱにくちをふさがれちゃった
くるしかった
おんなのひとがでていってやっとしゃべれるようになったのでおもいっきりないた
ぱぱがあやまってくれてあたまをなでなでしてくれた
めいりんせんせいはほほえんでいた
でもぱぱいきなりどなった…
とてもこわかった
きっとぱぱといっしょになりたかったことでおこったのかな…
ぱぱごめんなさい
つづく
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花蓮第1章です…
うまく書けたかな…?
不安です…。
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