呉は南制に向かった。
しかし毎日戦いをしている訳ではない。
その日雪蓮と冥琳は城に戻っていた。
「冥琳暇ね~」
「なに言ってるの!戦後処理とかいろいろやることがあるわよ!」
いつも通りやる気のない雪蓮とそれを怒る冥琳…本当にいつも通りの光景だ……。
「それにしても私たちは仕事してるって言うのにあの二人は遊び歩いて…キー!」
「自分がじゃれつけないからってそんな事言うな!それに謹慎処分にさせたのは雪蓮おまえだぞ!」
「そうなんだけ………そっか…ねえねえ…冥琳」
「なんだ…私も遊びに行くとか言うなよ…」
「確かに近いけど…耳かして」
「ん?」
「…ゴニョ……ゴニョ……って言うのはどう?」
「お前がいいならいいが…でも私も…」
「もちろん♪いいわよ」
「わかった…今日はそんなに時間がないから明日にしよう…それじゃあ準備をしてくるから政務よろしく」
「りょ~かい♪」
何か面白い事を考えた雪蓮はその日の政務は考えられない速さで終わらせた。
翌日の朝…
思春は調錬場に向かう準備をしていた。
「思春?謹慎中なのにどうしたの」
「ああ…最近隊の指揮をしていないと冥琳様が指摘してな…急遽隊の調錬をしろと命令されてな…」
「ふ~ん…じゃあ俺も一緒に行っていい?」
「それが…駄目なんだ……私一人と言う命令でな…」
「そっか…じゃあ留守番か…」
「すまんな…行ってくる(チュ)」
「(チュ)いってらっしゃい」
いってらっしゃいの口づけをし思春は調錬場に向かった。
その数分後…
ある人物が訪ねてきた。
「レイいる~?」
「は~い」
扉を開くと雪蓮が立っていた。
「遊びにいこ!!」
「え…でも仕事は?」
その答えは意外の方向から聞こえた。
「それは昨日のうちに済ませてある」
(嘘だけど…)
「だ~か~ら~、遊びにいこ♪」
雪蓮の後ろから冥琳が出てきた。
「冥琳さん…でも…思春が…」
「思春ばっか~!!たまには私たちとも遊びなさい(ぎゅ)」
「そうだぞ!孫呉の王と大都督が遊びたいと言っているのだ!(なでなで)」
「だからといって…」
「(ぎゅ~)」「(なでなで)」
「でも~」
「(ぎゅ~~)」「(なでなで)」
「は~…わかりました…どこに行きますか?」
「街~♪いいよね冥琳♪(ぎゅ~~~)」「そうだな♪(なでなで…なでなで)」
思春が働いているのに自分だけ遊びに行くのは気が引けて渋ったが雪蓮に抱きしめられ冥琳には頭をなで続けられ断るのを諦めて街に出かけた…。
「…………イッテラッシャイ」
街に行っても二人は抱きしめ頭をなで続けた。
「あの~二人ともそろそろやめてほしいんですが…」
「なんで~(ぎゅ~)」
「わけを話してみろ(なでなで)」
「恥ずかしいし…思春に申し訳ない……」
「そんなこと~(ぎゅ~)」
「そんな事気にするな(なでなで)」
「レイ…何か欲し物ある?」
「お姉さんたちが買ってやるぞ」
「そんな悪いですよ」
「い~の!お姉ちゃんが買ってあげたいだけなんだから」
「レイ…言ってみろ」
そう言われレイは思春のお土産を思いついた。
「じゃあ…刀を」
「却下ね」
「却下だ」
しかし二人はあっさりと却下した…。
「なんで私たちが思春の欲しい物を買ってあげないといけないのよ~」
「う…」
「そうだな…レイの欲しい物を言え」
二人は思春のお土産とわかっていた。
確かにレイの獲物は棍なのでバレバレなのだが本人はその事に気付いてなかった。
「……点心が食べたいです…」
「そんなんでいいの?」
「駄目ですか?」
レイは思春と暮らすようになって家で食事をする事が多くなった。
なので外食は今回のような事がない限りしなくなっていたのだ。
「駄目じゃないわよ…冥琳ここらへんでおいしいお店ってどこかある?」
「う~ん…あそこに行こう」
向かったのは最近出来た「5○1の蓬○」というお店だった。
「ここの豚まんは美味しいって有名だ」
「へ~早く行きましょ~」
「はい」
「いらっしゃいませ~」
店に入った三人は豚まんや餃子,春巻きなどの点心を注文した。
「はやくこないかな~」
「そうですね」
「二人とも少しは落ち着きなさい」
レイと雪蓮は早く来ないかとそわそわしていた。
注意はしたものの冥琳のやさしい表情で二人を見ていた。
そうこうしているうちに注文した物がやってきたが…
「御注文の餃っととぁ~~」
ガッシャ~ン
「申し訳ありませんお客様大丈夫ですか」
「ああ…」
「すぐ手当てするので少々お待ち下さい」
店員が躓いて持っていたお皿をひっくり返してしまったのだ。
その拍子に皿が割れ冥琳に手を切ってしまったのだ。
しかしその傷はそれほど深くなかったので冥琳は気にしていなかった。
店員は申し訳なさそうに手当てをし謝罪した。
手当てが終わった後雪蓮は冥琳の手当てされた手を見た。
「冥琳大丈夫?」
「ああ。そんなに深くないから」
「冥琳さんすぐ治しますね」
レイはそう言うと左手を冥琳の手に重ねささやいた。
「水の紋章よ主より命じる…優しきしずく……どうですか?」
ささやき終わると冥琳の手は治癒していた。
「ほ~…凄いな…傷が治ってるな」
(それに体調も良くなって体が軽くなったな…)
「なるほど~あの時思春の傷が癒えてたのはレイの仕業だったのね~どうやったのよ~」
「禁則事項です」
そして改めて注文した物がでそろった。
「じゃあレイ…あ~ん」
「雪蓮ずるいぞ!ほらレイ…」
雪蓮たちはレイに食べさせようとした。
思春に毎日のようにされており若干慣れてはいたが恥ずかしかった。
そして違う人にされるのに心を痛んだ。
「いいですよ。自分で食べれますから」
「駄目よ。思春には悪いけどたまにはさせて貰ってもいいと思うのよね~」
「そうだ!さっきのお礼でもあるからな!」
「……はい…」
雪蓮達に押し切られ点心を食べさせてもらったレイ。
やはり恥ずかしかったのか頬が赤かった。
点心を堪能した三人はレイを送る為部屋の前まで来ていた。
「ただいま…」
「レイ!!!…と雪蓮様に冥琳様も…」
扉をあけると御立腹な思春がいた。
「思春…帰ってたんだ…おかえり」
「おかえりだと……この変態!」
「へ…変態だと…」
「私のサラシや服を盗んで!」
「は?」
「それを…雪蓮様達に着せて楽しんでたんだろ!この変態!!」
「いや…何のこと?」
「思春ちょっと落ち着きなさい」
「そうだぞ。レイがそんな事するはずないだろ今日は私たちと一緒にいたんだから…。それに私たちが思春の服が着れる訳ないだろう」
冥琳はすごく言いづらい事をさらっと言った
雪蓮と冥琳は胸が大きい為胸の形は綺麗だが少し残念な思春の服は着れないのだ。
思春も納得したがある事に気付いた。
「…確かに……ってどういう事です」
「胸の小さい服が着れないという事だが…」
「その事はいいのです…レイと一緒にって……まさかお二人政務をほったらかして」
「「!!」」
「私に仕事を押し付けて…」
「それじゃあレイまたね~」
「レイ…後は頼んだ」
二人は逃げた。
残されたレイは思春に質問攻めにあってしまった。
そして今日の埋め合わせに無くなった物を買うのに付き合うはめになってしまった。
その姿があの人に見られているとも知らずに…
つづく
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この話は7章の少し前の話です。
は~文章を書くのは難しいと改めて思いました。