No.170086

真・恋姫無双 刀香譚 ~双天王記~ 拠点・孫堅、愛を語り求めんとするのこと。

狭乃 狼さん

刀香譚拠点、孫家編です。

孫堅お母さんが大暴走。

巻き込まれた一刀の運命やいかに^^。

続きを表示

2010-09-03 17:59:17 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:16510   閲覧ユーザー数:14164

 「ねえ、祭。貴女、恋愛についてどう思う?」

 

 「……なんじゃ堅殿、やぶからぼうに」

 

 盃を口元で止め、親友の言葉にあっけに取られる黄蓋。

 

 「女にはいくつになっても恋をする権利があると、私は思うのよ」

 

 「……もしや、劉翔どののことか?」

 

 孫堅の盃に白酒を注ぎながら、問いかける黄蓋。

 

 「そーよ。かわいいわよね~あの子。男を想って胸が高鳴るなんて、あの人以来だわ」

 

 くぃーと、盃の酒を飲み干す孫堅。

 

 「……堅殿、お主自分の年をわかっておるのか?」

 

 「あら?愛さえあれば年の差なんて関係ないわよ。それに、雪蓮や蓮華と並んだって、親子どころか姉妹でも通用するわよ?」

 

 うふん、と。しなを作ってみせる孫堅。

 

 「そこのところは否定せんがな。ま、それはともかく、おぬしはどうしたいのだ?」

 

 黄蓋に問われ、こと、と。盃を置き、それまでとは一転して、真剣な表情になる孫堅。

 

 「……祭。このことはまだしばらくは他言無用に頼むわ。……わたしね、近々雪蓮にこれを譲ろうと思うの」

 

 机に立てかけてあった南海覇王を、その手に取る孫堅。

 

 「本気か、蓮陽?」

 

 「あ、祭があたしの真名を呼んだ」

 

 「そんなことはどうでもよい!蓮陽よ、本当に本気なのか?」

 

 体を机の上に乗り出し、孫堅に詰め寄る黄蓋。

 

 「ええ。……といっても、まだ先の話よ。その前にやっとかなきゃいけないこともあるし」

 

 「……揚州全土の奪還か」

 

 「それももちろんだけどね。……ねえ、祭?今のあたしたちに足りないものは何だと思う?」

 

 南海覇王を再び傍らに置き、黄蓋に問う孫堅。

 

 「不足しているもの、か。人材はそろっておるし、戦力とて十分回復しつつある。名声……も十分じゃと思うし、はて?」

 

 孫堅の意図がわからず、首をひねる黄蓋。

 

 「分からない?……そこで最初の話に戻るんだけど、一刀をね……」

 

 「……。あきれてあいた口がふさがらんわ。……しかし、面白そうではあるの」

 

 にやりと笑う黄蓋。

 

 「でしょ?使者は、そうね……。樹琳(じゅりん)でどうかしら?」

 

 「子敬か。ふむ。ならばわしのほうから話を伝えておこう」

 

 そういって席を立つ黄蓋。

 

 「あ、祭?他の娘達には、まだ秘密でね?」

 

 「わかっておる。……みなの驚く顔が、今から見ものじゃの」

 

 かっかっか、と。笑いながら去っていく黄蓋。

 

 それを見送りながら、盃を傾ける孫堅であった。

 

 

 ところ変わって襄陽。

 

 「……で、俺一人で柴桑に来て欲しい、と」

 

 「はい。わが主、孫堅よりそう言づかって参りました」

 

 玉座の間で一刀に拱手する、めがねの少女。

 

 「お話は分かりました、魯粛さん。けど、何で護衛もつけちゃいけないんですか?」

 

 「そうですな。以下に同盟相手とはいえ、途上で何があるか分かりませぬ。せめて私だけでも、同行を認めてはもらえまいか?」

 

 一刀がその少女、魯粛に問いかけ、それに続いて関羽がそう提案する。

 

 「お気持ちはお察しいたします。しかし、護衛ならばこちらから周幼平と甘興覇がつきますゆえ、ご心配には及びません」

 

 いまだ幼さの残るあどけない顔で微笑む、魯粛、字は子敬。

 

 「孫堅さんの御生誕祭の特別賓客ということですが、それこそ大勢を招いてというのが、普通だと思いますが?」

 

 「そうだよね?一国の主の生誕日なら、そんなに地味にする必要はないと思うけど?」

 

 諸葛亮と劉備が、さらに疑問を投げかける。

 

 「ご本人としては、今は大変な時期なので、ご家族と他数名のみでひっそりと行いたいとの事。ですが、出来うるものならば、大切な盟友である劉翔さまにも、同席していただきたいそうで。此度のような次第と相成りました」

 

 そう事情を述べる魯粛。

 

 「でも、やっぱり、お兄ちゃん一人だけっていうのは……」

 

 「やはり不安です。ここは私がご一緒に」

 

 「桃香も愛紗も落ち着いて。……大丈夫だよ。別にとって喰われるってわけじゃないんだから」

 

 なお食い下がろうとする、劉備と関羽をなだめる一刀。

 

 (とって喰われるかもしれないから、不安なんじゃない)

 

 「魯粛さん。蓮陽さんには、喜んでお伺いすると、そうお伝えください」

 

 「はい。ありがとうございます。近くお迎えを越させますので、どうぞよろしくお願いいたします」

 

 一刀の言葉に、喜んで礼を言う魯粛。そして、

 

 (…………)

 

 とても不安そうな、劉備たちであった。

 

 

 

 数日後。

 

 いくつかの祝いの品とともに、柴桑を訪れた一刀。

 

 だったが。

 

 「ちょっと母様!一体どうゆうつもり!?」

 

 「そうです!母様のお誕生日は、二月も前に済んだではありませんか!」

 

 すさまじい勢いで、母親に食って掛かる孫策と孫権。

 

 「落ち着きな二人とも。一刀も悪かったね、騙したりなんかして。どうしてもお前さん一人で、来てもらう必要があったんでね。仕方なくこんな手を使わせてもらった。……すまん、このとおりだ」

 

 娘二人を制し、一刀に深々と頭を下げる孫堅。

 

 「……過ぎたことは仕方ないですよ。それで、本当の理由は何なんですか?」

 

 少し吹くれっ面で、孫堅に問う一刀。

 

 「……みんなにも聞いて欲しいんだが、我々孫家にとって、今一番不足し、そして今一番必要なものがある。それが何か分かるかい?」

 

 孫堅の質問が分からず、首をかしげる一同。

 

 「文台さま、我々には人も戦力も、名声とて十分に足りていると思います。この上何が足りないとおっしゃるので?」

 

 周瑜が、主の意を測りかねて問いかける。

 

 「……それはな」

 

 「……それは?」

 

 ごくりと、つばを飲み込む一同。そして、

 

 

 「それは、”愛”だ」

 

 『………は?』

 

 孫堅の言葉に、思わず呆然とする一刀を含む面々。

 

 「ここにいる全員で、男の寵愛を受けたことがあるのは、あたしと祭くらいなものだ。そう、たった一人の男を愛したこともない者が、大勢の民を愛することが出来ようか?いや、出来まい!」

 

 早口で一気にまくし立てる孫堅。

 

 「と、言うわけで一刀。あたしを含めたここにいる全員に、今日からたっぷりと、愛というものを教えてやって欲しい!」

 

 「……あの。愛をおしえる、って。具体的には何を……?」

 

 なぜか顔を真っ赤にしながら、孫堅に問いかける一刀。

 

 「そりゃあ、決まってるさ。口説いて回って、ナニをナニして、最後は子を」

 

 『そーはいきません!』

 

 「な!だ、誰だ!?」

 

 孫堅の言をさえぎり、響き渡る声。そして、一刀の前に立ちはだかる、二人の女官。そして、

 

 バサアッ!!

 

 と、女官服を脱ぎ去る。そこにいたのは、

 

 「と、桃香!それに愛紗も!」

 

 そう、劉備と関羽の二人であった。

 

 「お、おぬしらなんでここに!?」

 

 「こんな事じゃないかと無いかと思って、葛篭の中に隠れてついて来たんです!」

 

 「義兄上を誑かそうとするなど、この私が決して許さん!」

 

 武器こそ持っていないものの、凄まじい嫉妬の炎を燃やし、一刀の前に立つ劉備と関羽。

 

 「……なるほど。ほれた男のために、不法入国までするか。なかなか見上げたもんだ。……なら、ここは一つ、本人に選んでもらおうじゃないか」

 

 「へ?」

 

 ちらり、と。一刀を見やる孫堅。

 

 「ほら、一刀。今なら総勢十二人が、口説き放題、抱き放題だよ?男冥利に尽きる状況だと思うけど?」

 

 『母様!!』

 

 「オニイチャン?」

 

 「アニウエ?」

 

 一刀を取り囲む、孫堅、劉備、関羽の三人。

 

 『さあ、どっちを選ぶ?(の?)(のですか?)』

 

 蛇ににらまれた蛙のごとく、だらだらと汗をかく一刀。そして、言ってはいけない一言を、ポロリと、

 

 「……両方じゃ、駄目?」

 

 言ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  あまりにも残酷すぎるため、割愛させていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 尚、今回の騒動の発端となった孫堅と黄蓋の二人は、孫策と孫権、そして周瑜からたっぷりとお説教された上、無期限の禁酒を言い渡された。

 

 

 

 

 で、今回のオチ。

 

 

 

 

 

 「俺が一体、何をした…………ガク」

 

 

 

 

 口は災いの元という事で(笑)。

 

 

 

 

 

 あとがきというか、次回予告。

 

 

 ようやくハム姉妹のネタが見つかりました。

 

 

 ただいま鋭意、まとめ中です。

 

 

 近日中にはお届けできると思います。

 

 

 それでは、また次回にて。

 

 

 コメント、お待ちしております。

 

 

 ではでは。

 

 『再見~!』

 

 「って、今回出番ここだけ?!」

 

 「やり直しを要求する~!!」

 

 却下。

 

 「……殺」

 

 「……沈める」

 

 あ、よせ、やめ……!!

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
81
7

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択