No.169645

真・恋姫呉√アナザー~戦場に響く二つの鈴の音~第十三話・後編

秋華さん

秋は食欲の秋!!秋華です。

今回はとってもいい2828が出来たのではないでしょうか?

やっぱ思春大好きだーーーー!!!

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2010-09-01 08:49:18 投稿 / 全13ページ    総閲覧数:10890   閲覧ユーザー数:8538

冥琳「あっはははは…それでどうなったんだ?もうやったのか?」

 

一刀「やったとかいうな!!…大丈夫だよギリギリで逃げられたから…俺にとっては笑い事じゃなかったんだからな!!」

 

結論から言えば、あの後雪蓮を呼びに来た兵によって助けられた。

ただ…雪蓮を呼びにきた兵は邪魔をされて頭にきた雪蓮のビンタと、暴走中にもかかわらず恥かしくなったのか絢音の見事なまでの急所攻撃によって今生死の狭間にいるらしい…

ちなみに兵の話は前方の黄巾党のおおよその数と状況で、それを聞いた雪蓮は兵を殴ったのにまだ気が治まっていなかったのか、自分の隊を率いて突撃を仕掛けるという暴挙に出てしまい、結果完勝ではあったものの、現在俺達の前で絶賛正座中である。ちなみにその隣に祭さんがいるのは、止められなかったという責任という名のとばっちりだった。

 

冥琳「そうか…ならまだ一刀のハジメテは私にも奪えるということか…」

 

一刀「冥琳?なに呟いているの?」

 

冥琳「////!!!い…いやなんでもないぞ?…こほん。それよりこの二人どうしようか?」

 

そう言って、二人を見る目はなんというか…見たことは無いけど、鬼がいたらこんな感じなんだろうなって目をしてみていた。

(しかも、雪蓮に対してはさらにひどい感じがするのは気のせいだろうか?)

 

一刀「…え~と…」

 

雪蓮「ちょっと一刀!!もう一刀がいないと生きられない体したっていうのに…私を助けてくれないの?」

 

祭「な!?…ちょっと策殿。それはいったいどういうことかあとで説明してもらえるかのう#そして一刀よ!もし助けてくれるならわしが良いことをしてやるぞ?」

 

一刀「雪蓮さん!?いったい何のことですか?…それに祭さん良いことって一体なんです?」

 

祭「それは、ほれ…お主なら分かるじゃろう…////」

 

一刀「???」

 

祭「//////えぇい、鈍感なやつめ。……夢見心地にしてやるといっておるんじゃ!!」

 

一刀「???…それっていったい…」

 

雪蓮・冥琳『!!!///////』

 

冥琳「祭殿それは認められませんし、させませんぞ。」

 

雪蓮「あ~ら祭ったら私のほうが一刀のこと夢見心地にできるにきまっているでしょ?」

 

ここまで言ってまだ分からない一刀はもう、誰かに刺されてしまえばいい…とか思っている周りの兵たちは措いといて…。

いまいち要領を得なかった一刀だったが、ここにいれば必ずといっていいほど良くないことが起こると思いその場から逃走をはかろうとした。

 

しかし…その試みは脆くも崩れ去るのだった…

 

…「あら?どこに行くのかしら一刀?」

 

 

…「そうだな…ひさしぶりにあった私達に挨拶も無しなのか?」

 

!!

 

…「そうそう…さっき聞こえたんだけど、やったとか、やらなかったとか…いったいどういうことかしら?

 

!!!

 

…「それよりも…雪蓮様が言っていた”一刀無しでは生きられない体”について聞いたほうが良いと思いますが?」

 

!!!!

 

一刀「や…やぁ。蓮華、思春。ひ、ヒサシブリデスネ~」

 

蓮華「えぇ…本当に久しぶりね」(ニコッ

 

思春「あぁ…元気だったか?」(ニコッ

 

一刀(あぁ…たとえその笑顔が作り物で、内心は凄く怒っているだろうと思っていても…俺は…わずかな希望にかけて見る!!)

 

一刀「もちろん元気だよ。それよりも二人とも前にもましてさらに綺麗でかわいくなったね?」

 

蓮華「//////!!そ…そう。ありがと」

 

思春「/////!そ…そうか?」

 

一刀「なに…思ったことを言っただけだよ。…あ、俺これから自分の隊に用があるからちょっと席を外すね。じゃまた後で~」

 

二人の顔が赤くなっているところで、すかさずこの場から離れようとする一刀…。

その策は正しかった。普通ならうまくいっていただろうが…今のこの二人には通用しないということを感じ取るべきだっただろう…

 

蓮華「あら…一刀?ドコニイクノカシラ~」(ガシィ!!←右肩を思いっきり掴む

 

思春「そうだぞ一刀。ニゲラレルトオモッテイルノカ?」(チリーン←首元に剣を突きつける

 

一刀「い…いや。そんなこと思っていなかったけど…でも、何もしないよりはいいと思ったんだ!!」

 

蓮華「そう…。でもさらに罪が増えたのわかっているのかしら?」

 

一刀「へ!?」

 

思春「……さっき言っていたことと、今逃げようとした時に私達の心をもてあそんだ罪だ!!」

 

一刀「いや…さっきのは本心で…」

 

蓮華「問答…」

 

思春「無用だ!!」

 

 

一刀「ちょっと…ねぇ…話を聞いて…お願いします…おねg…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タ…タスケテーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑顔の女性より怖いものは無い。…これは一刀にとっていい教訓だったと思う。

それを学んだ一刀はというと…禍々しい気を放っている二人に死地へと連れ込まれたのだった……。

そんなこともあって、日はすっかりと落ち月が見えはじめた後。雪蓮が一度主だった将を集めると、

現状の確認と、斥候、諸侯についての情報を皆で共有することとなった。ちなにみにその時に周泰こと明命は皆に紹介された。

報告を受けていたため、明命のことをそれなりに知っていた雪蓮たちは歓迎するが、とうの本人はというと、最初に見せたのがあの混沌とした状態だったため少し引き気味だった。

特に一刀に関しては距離を置いていたのだが、一刀が挨拶する時に見せた笑顔によって遭えなく撃沈。見事にその笑顔の虜になっていた。

 

明命「あぅあ~//////お猫様に笑いかけられたみたいですぅ~」

 

というのは明命談である。

そして、その言葉に首をかしげていた一刀もまた皆の予想通りで、全員同じようにため息をつくのだった。

そして大方報告が終わったあと、明日からの戦いのために今日は解散ということになり軍儀は終了となった。

 

軍儀が終了した後…。思春が自分の天幕に戻ろうとすると、陣の外へ出て行こうとする人影が見えた。不信に思いその人影についていってみると、その人影は一刀であり、何をするのかと思えば少し大きめの石に座り、月を眺めているだけだった。

その姿に一瞬顔が赤くなったが、すぐさま気を取り直して一刀に声をかけるのだった。

思春√その三 【二人の秘密~一刀の目覚め~】

 

思春「一刀!いったい何をしているんだ?陣を出たら危ないぞ?」

 

一刀「え…?なんだ思春か…大丈夫だよ。そこら辺の賊なら心配ないよ。」

 

急に私が声をかけたからだろうか…。石に座っていた一刀は驚いたようにこちらを向き、手には自分の武器を持っていた。そして声をかけた人物が私だと分かると、声に緊張感が無くなり少し笑ってこちらを見る。

 

思春「そうかもしれんが、わざわざ危険なことをする必要はないだろ?」

 

一刀「そうだね…、ごめん。ありがとう心配してくれて…」

 

やっぱり、自分でも危険なことをしたと少し分かっていたのか。ちょっと困った顔をして私にお礼を言ってくる。普段の笑顔も好きなのだが、こういったちょっと困った感じな表情も胸にキュンとくるものがあって、私は好きだった。なぜならこの表情は一刀が自分に心を開いてくれている証拠で、心を開いていない相手だと、偽物の笑顔を見せるのが一刀である。そうやって他人にうまく甘えることが出来ないのは前の時に良く分かったので、こういった表情を見せてくれるということは、自分を心から信頼してくれているということなんだと思い、さらに嬉しく、顔が赤くなるのだった。

 

思春「////むぅ…まぁ礼を言われるほどのことでもないが…な。」

 

一刀「そっか…。でもありがと」

 

思春「//////////」

 

本当に一刀のこういう所がずるいと常々思う。

いつだってそうなのだ。一刀は自分が望むことを特に意識もせずやってくれる。今だって一刀のお礼に対して素直になれなくても、まるで心を見透かすようにお礼を言ってくる…。多分こういったところが女たらし…いや人たらしとしての一刀の力なんだろうと思ってしまう。そして、それを一回でも味わってしまえば自分だけにそれを向けてほしいと思ってしまうのは多分私の女としての本当の気持ちなのだろう。そしてそれは他の人も多分同じなんだろう…だからこそ、一刀だけは誰にも譲りたくないのだ。

私は顔が赤くなりながらそんなことを考えていた。

 

一刀「???」

 

一刀は私の様子が少しおかしかったのに気がついたのか、首を捻っていたが大丈夫と私が手で制すると、少し微笑んでまた月を見上げた。

その表情は何処か悲しそうで、何かを祈っているように見えた…

 

思春「……一刀。悩みがあるなら私に話してみないか?」

 

一刀「え…」

 

思春「どうして…って表情だな。それは簡単なことだ。いつからの付き合いだと思っている、お前の表情なんて読めるに決まっているだろ?…だが、前にも思っていたが、お前は一人で考えすぎてしまう節がある。私が今一刀を悩ませていることの手助けができるかどうかは分からないが、それでも人に話すだけでも、楽になることもある。だから…な?話してみないか?」

 

一刀「……まいったな。思春には簡単に見破られたか…。ほかの皆には結構気付かれなかったんだけどな。」

 

思春「それは仕方が無いのではないか?前の時は目に見えて表情に出ていたが、本来お前はそういうことを隠すことがうまいからな。…私でももしかしたら…というぐらいだったしな。」

 

一刀「そっか…。分かった。ならちょっと聞いてくれるかな…。正直もう自分でも訳が分からなくなってたところだから…」

 

そう言った一刀の表情は、はかなく…そして透き通っている感じがした。

 

一刀「俺はさ…この黄巾党って賊が大陸全土に広まったころから考えていたことがあるんだ。それは俺は何のために戦って、誰を守っているんだろう…って。今回のことだけじゃないんだけど、今そこら辺にいる賊の多くは食べることも…住む所もない人たちが大半だと思う。もちろん自分の私欲や血の味を覚えてしまって、人の形でありながら人でなくなってしまった人もいるけど…ほかは生きるためだろ?特にこの黄巾党なんてほとんどその人たちじゃないか。そしてそういった人たちは今の腐敗した漢王朝に不満を持った人たちの心からの叫びが行動に現れてしまったんだと思う。それこそが黄巾党の実態さ…。そう思うとなんか悲しくなってね。」

 

思春「………」

 

私は一刀の言葉に声を出すことが出来なかった。

だって一刀の言っていることは事実なのだと、私は分かってしまう。

だってかつて江賊だった私と、今の黄巾党は同じで、やっていることも変わらない。

もし、私が一刀に出会っていなかったらきっと黄巾党になっていたかも知れないとも思ってしまった。

 

一刀「でも…この心の叫びも俺達によってなかったことにされてしまう。もしこれで、朝廷が対策を考えてくれるならいいんだけど、多分それは無いだろう…。都からの話を聞いていてもこんな状況にもかかわらずまだ私欲を肥やそうとしているものが後を絶たないみたいだから…。いったい何のために智や武を身につけたかわからなくなってしまったよ。民の笑顔のために頑張ると決めたのに、その民と戦っている。それが悔しくて仕方が無い…」

 

いつの間にか一刀の瞳から涙がこぼれていた。

そしてそれは私もだった。

 

一刀の思い…

 

やさしすぎる一刀だから考え込んでしまう。

私達が忘れていた…いや考えることをやめてしまった”真実”に…

 

一刀「それにさ、最近噂になっている”天の御遣い”の話、思春もしっているだろ?それを聞いて俺思ったんだ……もし…もしだけどさ、最近噂になっている”天の御遣い”ってやつが現れるならこの不条理な大陸を変えてくれるのかな…って?それがただの妄想、狂言の類でもその力を手に入れることが出来るのなら、俺が天の御使いになって皆を助けてやりたいってね。」

 

思春「それは…私もそう思うよ。この大陸を平和に出来る力があるなら、私もほしい。でもそんなことを思っていてもその力が手に入るわけでもないから、私達は前に進むしかないんだろ?その先に自分たちが目指すものがあることを信じて…ね。」

 

一刀「そう…だよな。…ははっ。やっぱそれしかないんだよね。」

 

思春「なんだ。自分で答えが出ているじゃないか?」

 

一刀「いや…これは答えじゃないよ。これは自分が今できることの確認さ。」

 

思春「そうだな…」

 

一刀の言葉…それは今私達の現状を簡単に表していた。

無い力を願っていても仕方が無い。私達は何でもできる神ではない。ただの人間…そのためにやれることは限られている。

理想は大切だが、その理想ばかり見続けていては現実から目をそむけることとなる。

だからと言って、理想を見ていないと人は前に進めなくなってしまう…

この相反する二つをどちらに偏るわけでもなく、持ち続けることが今自分たちが出来ることなのだ。

そのことを分かっているからこそ一刀は”確認”という言葉を使ったのだろう。

将として人を率いてきた私にはそれが良く分かった。

 

しばらくの沈黙が流れた後、私に一通り喋ったせいだろうか?少しすっきりとした顔をした一刀がこちらに笑いかけてくる。

 

一刀「ありがとう思春。少し楽になったよ…。」

 

思春「別にいいさ。」

 

一刀「…それでさ、もう一つだけ聞いてほしい事があるんだけど…」

 

そう言った一刀の顔は先ほどとは違い暗くは無かった。

しかし、今度は何処か恥かしそうに…顔を赤くしてモジモジしていた。

 

思春(//////な…なんだこのかわいい生き物は!!先ほどとのギャップがありすぎて反応に困るじゃないか!!)

 

思春「あ…あぁ。私と一刀の仲じゃないか。気にせず言ってくれ。」

 

一刀「ほんとか?ありがとう!!」

 

思春「//////は!…とにかく言ってみろ。」

 

先ほどのモジモジした状態から一片すさまじい笑顔でこちらを見てくる一刀に思春はもう立っていられなかったが、気力を振り絞りその場に踏みとどまった。

 

一刀「実はな…。こんなこといきなり言われても驚くと思うけど、最近変な夢を見るんだよ。」

 

思春「夢?」

 

一刀「ああ。その夢では俺はこことはまったく違う世界にいて、そこで学校…私塾みたいなところに通っているんだ。その世界はさ争いなんてものは無縁で、友達達とふざけながらも楽しく暮らしているんだよ。」

 

思春「ほう…。それは幸せな夢じゃないか。それがどうかしたのか?」

 

一刀「たしかにここまでならただの夢で終わるんだけど、そこの私塾で習っていることがこの世界では考えられないことだったり、近くにある建物とかもあきらかに違う。なんていうのかな…はるか未来の世界って言えば通じるのかな…うん。つまりそんな夢の癖に凄く現実味のある世界なんだ。」

 

思春「だがそれはあくまで夢なんだろ?気にすること無いんじゃないか?」

 

一刀「最初はそう思ってたんだけど、知識…とでも言うのかな。その世界の常識や、習ったこと、さらには本で読んだことなんかが、起きても経験として残ってるんだよ。」

 

思春「!!それは本当なのか?」

 

一刀「思春さ…ちょっとおかしいと思わなかった?俺が初めて将軍になって兵を率いたときにこんなに早く成果を出せるなんて普通は考えられないことだろ?」

 

思春「それは一刀が優秀だったからじゃないのか?もしくは絢音たちをうまく使いこなせたとか…」

 

一刀「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、実はそれってその夢の中で学んだことをうまく取り入れてやったら成功したんだよ。特に俺達の隊が使っている新兵器なんか、その夢の中の本で同じような武器があったからそれを真似たんだ。」

 

思春「………つまり夢のおかげでうまくいったと?」

 

一刀「うん。それにもう一つ理由があるんだ。最近になって分かったんだけど、夢の中でも俺は弓を扱っているんだ。それは人にいるためじゃなくて互いに競う感じのやつなんだけど、あとそれだけじゃなくて剣術や体術っていった事もあちらの私塾で教えてもらっていたんだ。」

 

思春「ちょっとまて…まさか一刀が言おうとしていることって…」

 

一刀「そうだよ。その鍛錬も今俺に染み付いている。しかもそれが無意識にでるくらい…なんか体が勝手に覚えていて、賊なんかを取り押さえたりするときにそれが出るんだ。今思えば以前うちの酒を盗もうとしたやつを取り押さえた時だってこれが出ていんだと思うよ…」

 

その話を聞いて私は愕然とした。

普通なら知識にしろ、武にしろそれは長い月日をかけて培っていくものだと言うのに、一刀は夢の中でそれを行っている…。いやもしかしたら思い出しているのかもしれない。そうでなくては知識は別として、体捌きや対処の仕方などうまく出来るわけが無い。

 

でも、私は正直その話を信じたくなかった。

才があるだけならそれはそれで納得できるものだったが、一刀の場合実際には才が無かったかもしれないのに、たかが夢の中でそれを体験しただけでそれを補っている。

そんなこと認めるわけにはいかなかった。

しかし、一刀が嘘を言っているようには見えないし、なによりこんな馬鹿な話をする男ではない。

だからこそ私はどう答えて言いか分からなかった。

 

するとそんな私の気持ちが伝わったのか…悲しそうな顔をしながら一刀がこちらを見てくる。

 

一刀「俺っていやなやつだよな。人が凄く努力しても考えられないことや、出来ないことを夢で経験したからって出来るようになるなんて本当に最低なやつだと思うよ…」

 

思春「一刀……」

 

一刀「正直さ…この話は誰にもするつもりは無かったんだ。でも、どうしてかな…思春には隠し事なんかしたくなかった…いや出来なかったんだ。さっき思春に悩みを喋った時に、思春には言わなくちゃいけないって思ったんだ。ほんと…どうしてだろう…」

 

思春「一刀!!」

 

一刀「俺…今自分が凄く怖いんだ。なんで俺だけこんな風になっているんだろう…なんで皆と違うんだろう…なんで俺だけ…なんで俺なんだよう……」

 

最初私に向けた言葉だったはずなのに、段々それは一刀自身に問いかけるようになっていた。

一刀の瞳にはいつの間にか涙があふれ、それに気付いてないのか…涙をぬぐう事もせずうずくまってしまった。

私はそこで気付く。

 

私は話を聞いて一刀のことを恐れてしまったかもしれないが、私よりも一刀のほうが怖いに決まっているのだ。

急にその夢を見るようになって、まったく知らない知識を得て、やったことも無いはずなのに勝手に体が動いて…

もし私がそんなことになってしまったらどんなに恐ろしいことだろう…多分自分が自分でなくなってしまうような感じになるんじゃないだろうか?

 

その苦しみは今の私には分からない…

 

だってそれは私には起こっておらず…

 

一刀にしか分からないのだから…

 

そして私は先ほど私がしてしまった表情にひどく後悔をした。

 

さきほど一刀はなんていった?

 

私にはそれを隠すことが出来なかった…?

 

それはつまり私のことを信頼して話してくれたに決まっている。

 

なのにそんな一刀に対して私はなんて態度を取ってしまったんだろ…

 

きっと一刀は私に打ち明ける時にすごく怖かったに違いない。

いきなり変なことを言って嫌われてしまったり、怖くなって近寄らなくなってしまうかもしれないと思っていただろう…

なのに一刀はそれを無視してでも私に話してくれたのだ。

その一言一言にどれだけ勇気が必要だったのだろう…

そんな彼の気持ちを私は汲んでやることもできないと言うのか?

 

こんなんで一刀のことが好きといえるのか?

 

もし、今でも一刀のことが好きならやることは決まっているだろ?

 

さぁ…一刀の気持ちに応えろ!思春!!

 

 

そう思っているといつの間にか体が動いていた…

 

そして、近くで涙を流しながらうずくまっている一刀をやさしく…包み込むように抱きしめていた。

 

一刀「………思春?」

 

思春「……すま…いや…ごめん一刀。私は一刀が勇気を振り絞って教えてくれたと言うのに、その気持ちにさっきまで答えることが出来なかった。」

 

一刀「思春……泣いているのか?」

 

いつの間にか私は涙を流していた。でもその涙を私はぬぐう事はしない。

そんなことをする前にすることがあるからだった。

 

思春「私は決めたよ…お前が悲しい時やつらい時は一緒にいて泣いてやる。悩んでいる時は一緒に悩んでやる。そしてお前が楽しい時や嬉しい時は一緒に笑おう…。だから…もう一人で何でもやろうとするな。なんでも抱え込むな。私が…私がお前のずっと隣にいてやるから。」

 

一刀「思春…それは…」

 

思春「反対意見なんかは聞かないからな。たとえお前が嫌だろうとも、私はお前のすぐ隣にい続けてやる。私には蓮華様という守ると決めた人がいるが、それと同時に私はお前も守ろう。でも心では誰よりもお前を思っている。この役目は誰にも譲らない…。だれよりも私がお前の傍にいたいのだから……」

 

その答えを聞いてか…先ほどまで少し震えていた一刀の体から震えがとまり、力が抜けていく感じがした。そして一刀もまた私の方へ体を動かし後ろに手をまわして抱きしめてくる。

 

私と一刀が一つになった感覚を覚え、一緒になって涙を流していた…

 

しかしその涙はけして悲しい涙ではないだろうと私は思う。

 

それはきっと…

 

私と一刀が初めて流す心からの嬉し涙だから…

 

 

思春……………………ありがとう……

 

 

その言葉でさらに私は強く抱きしめる…

 

 

 

満月の月の下

 

 

二人は初めて心のそこから通じ合い

 

 

すべてをゆだねてもいいと思える人に巡り逢えたのかも知れない

 

 

その証としてか…

 

 

子供の時からもっている世界に二つしかない鈴が静かに音を響かせる

 

 

それはこれからの二人を祝福するような…

 

幸せを呼ぶ鈴の音に聞こえた……

 

 

 

しばらくたった後、急に我に返ったのか…ほとんど二人同時に回した手を解き二人して空を見上げた。

私は凄く恥かしくて一刀の顔を見れなかったからだが、もしかしたら一刀も同じなのかもしれない。

その証拠に一刀の耳が真っ赤になっているのを見てしまったから…

それがちょっと嬉しくて、さらに顔が赤くなっていくのを感じた。

 

しばらくそうしていると、夜空に一筋の光が走った。

 

一刀「あ…流星だ…」

 

思春「流星か…そういえば一刀こんな噂を知っているか?」

 

一刀「ん?」

 

思春「”空より降る白き光、その恩恵を受け、これから起こる乱世を鎮めるもの現る。そのものは天の御遣いとなり大陸に平和をもたらす”」

 

一刀「まぁ…それはあんだけ噂になればね…」

 

思春「それはもしかしたら一刀…お前のことなのかも知れないな。」

 

一刀「そうか?」

 

思春「私はそう思うよ。今この時流星が空にあるって事と、お前が今話してくれたこと…まさに噂通りじゃないか。」

 

一刀「なら、俺がこの大陸に平和をもたらすと?」

 

思春「それはまだ分からないが…でも…」

 

一刀「でも?」

 

思春「私はそうなってほしい…いやそうなると信じているぞ?」

 

一刀「そっか…なら頑張らないとな。」

 

思春「ああ…頑張ってくれ。」

 

一刀「思春の期待に応えたいからね」

 

思春「//////////馬鹿者が…」

 

やっぱり私は一刀が少し苦手だ。

なんでもないように気障な言葉を言える一刀は、夢のことが無くてもきっと英雄としての素質はあったのだろう…。

昔から言うからな…”英雄色を好む”って…

 

一刀「さて…そろそろ陣に戻らないとやばいよな?」

 

思春「ああ…そうだな。…明日必ず勝つぞ?」

 

一刀「当たり前だろ?」

 

一刀・思春『くす…あっはははははっ…』

 

私は一刀と顔を見合わせて大きく笑った。

 

そうだ…たとえ一刀が私の知らない未知の力を持っていたとしても何も変わらない。

 

一刀は一刀…

 

少し抜けてて、女の敵かもしれないけど、とてもやさしい一刀なのだから…

 

さっき誓った通り私は一刀の傍にいる。

 

そしてこの笑顔をずっと見ていこう…

 

私は一刀のことが好きなのだから…

 

 

一刀「ところでさ…」

 

思春「なんだ?」

 

一刀「さっきずっと俺の傍にいるって言ってくれたけど…それって…」

 

思春「!!///////////ば…馬鹿ーーーーーーー」

 

ばちこーーーーーーーーん

 

一刀「へぶし!?」

 

思春「////////////か…か…勘違いするなよ。そ…それはだな…あくまで一番の友人としてだな……いいか!?あ・く・ま・で・友人だ!!…それを忘れるな!!」

 

一刀「そ…そうなのか…」

 

思春(ま…まだ私達には早いし…//////それに…心の準備も必要なのだ…だからもう少し待っていてくれ…/////)

 

~雪蓮・天幕~

 

雪蓮etc『や…やられたーーーーー!!』

 

兵士(ビクゥ!!)

 

雪蓮「貴方達も?」

 

蓮華「はい。なんかいいとこもってかれたーーって感じました。」

 

冥琳「私は勘などはあまり信じないのだが…私もそう感じました。」

 

祭「なんじゃろうないったい…」

 

穏「不思議ですぅ~」

 

晴歌「ん~どうしてだろうな…」

 

絢音「!!ま…ましゃか一刀しゃまに何かが!?」

 

全員『そ…それだーーー!!』

 

雪蓮「明命!至急一刀を呼んできて!」

 

明命「はい!!すぐにでもつれてきます!!」

 

雪蓮「初めて祈るわ…私の勘外れて頂戴…」

 

兵士「今日も平和だな…」

 

兵士「そうだな…今日もいつもと変わらないな…」

 

兵士×2『俺達って最近こういうことになれてきたよな~…』

九月に入って忙しくなりそうな秋華です。

 

思春「///////////////」

 

え~とこちらで赤くなっているのがこのお話のヒロインである思春です。

 

思春「/////////…今回はかなり恥かしいのだが?」

 

それはそうでしょう。なんていったって私も書いててこんなに思春かわいくしていいのかと考えてしまったぐらいですから…

 

思春「でも…その考え改めないのだな?」

 

そんな気はまったくありません!!

むしろ書いたことを誇ります!!

 

思春「なら…言っても無駄だな…」(実際はかなり嬉しかったから文句などあるはず無いがな…)

 

そうですか…。ならちょっと裏話を一つ。

 

今回のシーンなんですけど、気付いた人はいるでしょうか?

実は、これは蓮華さんの有名シーンを私が勝手に思春バージョンとしてアレンジしたものです。

本編でも、一刀が自分の弱さや、悩みを蓮華に話すのですが、今回はそれに追加要素を加え書き上げました。

私はあのシーンがとても好きで、何回もそこを見るためにやったことがあるぐらいです。

なので今回。何とかできないかと思い書いたところこうなりました。

 

いかがだったでしょうか?

 

すこしでもいいな…って思っていただければ嬉しいです。

 

思春「それでは通常あるはずの蓮華様のシーンは無しなのか?」

 

ないです。

というか、あくまでヒロインは思春なのになぜあんなでかいフラグを立てないといけないのですか!

もし書いてしまうと、ヒロインが思春から蓮華になってしまいますよ?

 

思春「!!…そうか。蓮華さまには悪いが、それならば仕方が無い…」

 

案外簡単に思春が納得しましたが、そこは気にしないでいきましょう。

 

では次回ですが、

 

城攻め、覇王現る、仁王現る、馬鹿出現?

 

こんな感じでどうでしょうか?

 

思春「最後はひどいな…」

 

でも事実ですし。私としては月も好きなのでそれに攻め込む要因を作った彼女はあまり好きになれないのです。キャラとしては面白いと思いますが…

 

思春「作品にはあまりそれを出すなよ?」

 

努力はします。

 

では今回も今日の思春ちゃん行ってみますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は、ハッピーバースデー思春ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これでいきます。

 

思春「私の誕生日は今日ではないが?」

 

それは、何故か私の周りは九月に誕生日の人が多いからです。

そして私もその一人だったりします。

 

思春「かなり浅い理由だな…」

 

まま…とにかくこれでいきます。

 

次回も楽しみにしてくださいね?それでは…あでゅー♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「誕生日祝ってくれなくてもよかったのだが…でも正直言うとうれしい…ありがとう////実は今回で私も結婚できる歳になったんだが…///////(チラ…チラ…)貴方が悩んで買ってくれたこの誕生日プレゼントもうれしいが…できれば…左薬指にはまるものが欲しい……わ…私にはこれ以上は言えないから…////だから…後はお前が決めてくれ……////まっているからな?」

 

すいません。借金してでも宝石t…

 

思春「暴走するなーーーー!!!」

 

ぐはぁ……

 

思春「そんなことをしなくても私は待っているから心配するな…。それに…約束してくれればそれでいいから/////」

 

ピキーン!!なら今すぐ市役所に!!

 

思春「もう…好きにしてくれ…」

 


 
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