「朝・・・・・か」
彼・・・北郷一刀はそう呟いて空を見上げる
「何年たったっけなぁ・・・・6、いや7年くらいか・・・」
そう呟いてジッポに火をともす
「華琳・・・・」
紫煙をくゆらせて呟く表情は微笑んでいた
「ありがとうな・・・君のおかげで今がある」
「かっずピー、はよお来てえなぁ。訓練始まるでー」
「わーった今行く」
北郷一刀、24歳、防衛大卒、現階級三等陸尉、普通科連隊において小隊長を務める
あの河原で華琳と別れ、気がつけば昼休みの屋上で寝ていた
夢だったのかとも思ったが記憶と思いを鮮明に思い出せる
何より着ていた制服ボロボロだった
まるで戦場を駆けずり回ったあとのように・・・・
それからはいつか戻るときのため勉学に励み、剣道ではかつてかなうわけがないと思っていた不動先輩から一本をとれるまでに鍛練をした、そして戻る方法も常に模索し続けてきた
卒業した後、防衛大へ入学した
これはあの世界で国、そして軍というものにかかわって感じたことを生かそうというものだった
何の因果か及川まで来たのは予想外だったが
『親友やろーが』といいながら一緒にいてくれたこいつには感謝している
・・・・言うとつけあがるから言わないけど
ともかく防衛大を卒業し一年の部隊勤務を経て現在はフランチェスカのある町にほど近いとある市の基地に籍を置く部隊の小隊長を務めている
ちなみに及川も同様に小隊長だ
「今日の訓練って内容なんやったっけー?」
「射撃訓練だよ昨日言ってただろ」
「ああそやったなー、んで今回はワイが勝つ!!」
「バーカ、今日も俺の勝ちだって」
「お前らそうゆう話は自室でしろ。てか俺へのあてつけか?始末書書かすぞ」
二人揃って蒼白になり振り返るなり敬礼した
「「失礼しました!!!!」」
声をかけてきたのは久保祐樹三等陸佐
二人の所属する中隊の中隊長である
訓練時はめちゃくちゃ厳しいが普段はフレンドリーで接しやすい人物だ
二人にとっては直属の上官であり話のわかる上司だ
「あの・・・久保三佐・・・このことはその・・・」
「わかってる、さっさと行けって今回は黙っといてやるから」
「「あっ、ありがとうございます!!」」
そそくさと立ち去る二人に
「俺は北郷にしとくぞ」
一刀と及川は苦笑しながら集合場所へ駆けていった
「あー疲れた」
今日の訓練を終え自室に戻った俺は寝台に寝転び今日のことを振り返った
「及川も懲りねーな、毎回俺におごらされんのに」
今日の射撃訓練ではぎりぎりではあったが一刀のほうが高い命中率を出したため及川が飲み物をおごらされたのだ
・・・・ちなみに中隊長もおごらせていた
「はぁ、寝るか。明日は行軍訓練だったか」
そう呟いて電気を消して布団に入った
「オヤスミ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・華琳」
そうつぶやいって寝入った
この後に起こることを知らぬままに・・・・・・・
大きな音に目が覚める
警報が鳴り響いている
「総員!基地周辺にて全周警戒に当たれ!!」
スピーカーから警報とともにこの基地の基地司令兼一刀の所属する連隊の連隊長である斎藤一成一等陸佐の声が響き渡る
彼は叩き上げのエリートだ
常に沈着冷静で穏やかな笑みを浮かべている人物だが、元防衛省秘密部隊出身だとか他国での諜報工作経験があるだとか噂がある
顔に似合わず豪胆かつ明晰な人物である
そんな人物の焦ったような声
・・・基地周辺?ここら辺は民家と裏手に田んぼが広がってるはずだが何を警戒するんだ?
すばやく着替えて部屋を出る
皆動揺を隠せないようだ
とりあえず装備を整えて兵舎を飛び出た一刀は呆然とした
目の前には荒野が広がりその先には
「・・・・・・・・陳留」
一刀には見慣れたそして懐かしい城壁がそびえていた
緊急配備から1時間ほどたったころに陳留から騎馬隊が現れこちらに向かってきた
基地の部隊はすでに布陣を完了し、全周警戒態勢を継続していた
正門の防衛にあたっていた一刀は先頭に乗っている人物を見て確信した
「華琳・・・・」
そのつぶやきは誰にも聞かれることなく大気に消えた
同様に正門の防衛にあたっていた及川が騎馬隊の武装を見て発砲許可を上申していたが、それを止めると一刀は自分の隊の指揮権を及川に代わってもらい騎馬隊の前に進んでいく
「おい!!かずピー!!!何しとんねん!!戻ってこんかい!!」
「大丈夫だ、俺の知ってる彼女なら大丈夫だ」
「なにわけわからんことを・・・・」
基地から距離を置いて停止した騎馬隊から三人の人物が出てきて一刀の前に歩いてきた
そして
「・・・・・・曹操様、夏候惇様、夏候淵様ですね。私は北郷一刀と申します。こちらは現在状況が把握できておりませんので「・・・・・一刀?」っ!まさか!」
先手を打って話し始めた一刀を目にした瞬間呆然としていた華琳から涙がこぼれる
「やっぱり一刀なのね?夢じゃないわよね?」
「・・・・・華琳」
「きっさまーーーー!!!!」
ブゥオン!!!
チッ!!!
「オギャーーーー!!!!!!!危ねぇ!!今かすったぞ!!前髪斬れたわ!!!」
「いきなり華琳様の御真名をお呼びするなど万死に値する!!!そこになおれ!!!」
「いやちょっとタンマ(ブオン!!)ホギャーーー!!!」
問答無用の剣戟から逃げ惑う俺
「春蘭!!!やめなさい!!!!」
「はっ、しかし「もう一度言うわ、やめなさい」・・・御意・・・」
「ごめんなさいね一刀、でもこっちでいきなり真名を言うあなたも悪いわよ」
「はぁ・・・はぁ・・・すまん、軽率だった」
しぶしぶ春蘭は剣を引き、弓を構えていた秋蘭も構えを解く
一刀も息を乱しながらも及川たちに撃たないよう合図を送っている
「まぁいいわ・・・それよりも私の知ってる一刀よね?」
「それを言うならこっちもだよ、二人のほうは・・・・覚えてないみたいだな・・・」
二人とも一刀のことを射抜かんばかりに睨んでくる
「・・・俺が消えた祝勝会から何年たった?」
「分からないわ。私が思い出したのは祝勝会まで、その後の記憶はないわ。ちなみに思い出したのは一週間前よ」
えっ!?
「ちっ、ちなみに・・・今の情勢は?」
「前にあなたを拾った頃と同じ・・・黄巾党の前よ」
「・・・・・・・まじかよ・・・」
一刀は固まる
まさかタイムスリップかとも考えたが華琳は思い出したと言っていた
「思い出したってことは、その前は覚えてなかったんだな?」
「ええ、二週間くらい前から夢でいろいろと前のことを見るようになってね。一週間ほどですべて思い出したわ。もっとも最初はただの夢かと思ってたのだけれど・・・・やはりあれは夢じゃないわよね」
「ああ、おれは実際あの後に向こうに帰っても記憶があったからな。それで今の状況なんだが・・・」
一刀たちが現状の確認をしていると
『おい!!北郷三尉!!何をしている!!戻ってこんか!!』
久保三佐が拡声器越しに困惑したような焦ったような声を飛ばしてきた
一刀は一度振り向くと声に驚いている三人に向き直り
「悪いんだけどついて来てくれないか。現状の確認をしなければならないし、俺の上官にも説明しないといけないからさ」
「そうね、あなたがいるなら向こうも何かしてくるとは思えないし、今ここで議論するよりは現状を掴めるでしょう。秋蘭!「はっ」部隊は現状で待機、指示を待ちなさい「御意!」春蘭「はっ」ついてきなさい「御意!」一刀、案内頼むわね」
「了解。じゃあついて来てくれ」
「武将が女性の三国時代?」
一刀は華琳たちと及川を連れて基地の会議室にて現状の報告を行っていた
「そうです。三国志の時代です」
「なぜ、そう言い切れるのだね」
会議に参加しているのは6人
基地司令の斎藤一佐、一刀の上官である久保三佐、そして一刀、華琳、春蘭、なぜか及川
「まずこちらの二人の名前から」
「陳留刺史、曹孟徳。こちらは筆頭将軍の夏候惇」
これには司令も隊長も言葉を失う
「そして私は一度こちらの世界に来たことがあるんです」
「何、どうゆうことかね」
「それについてですが・・・及川、高二の二学期の終わりごろの制服事件覚えてるか?」
「ん?えっと・・・ああ、あれか?どっかにふらっと居なくなったと思ったら制服ボロボロになって教室戻ってきたやつやろ。よー覚えとるで、なにせあの後人が変ったように急成長しとったからな・・・ってあの不思議事件の真相ってまさかこれ?」
「そうだ。えっと高校二年のときなんですがいきなりこちらに飛ばされたんです。その後ここにいる曹操に保護されまして、天の御使いとか呼ばれてて街の警備隊長を勤めてました。ですが定軍山で夏候淵を助けたり赤壁で火計が来ることを進言したりしたことで本来の歴史から変わってしまいまして、そのためこの世界から消されたんです」
「呉にも蜀にも勝ってこれからって時に光に包まれて消えてしまったんだから」
「いやほんとゴメンナサイ・・・・そうゆうわけで一度経験してるんです」
三人はぽかんとしていたがややあって気を取り直した斎藤一佐が確認をとる
ちなみに春蘭は頭から煙をふいていた
「つまり現状はかつて君が経験したことが基地の規模で起きたとゆうことか?」
「おそらく」
「そのことなのだけれど・・・・」
「こちらの世界で管輅とゆう占い師の予言なんだけど『黒天を切り裂き飛来する一筋の流星、天の御使いを乗せ天軍とともに乱世を鎮静せしむ』って話があるのよ」
「とゆうことは天の御使いは北郷三尉で、我々は天軍とゆうことですか?曹操殿」
久保三佐の言葉にうなずいてみせる華琳
「おそらくはそうでしょうね。一刀は天の御使いであると私は覚えているし。それと流星なのだけれど・・・陳留の真上に降ってきたのよ。住民を避難させようとしたときにいきなりいくつかに分裂して街の周囲に落ちたの。その時の見張りの報告ではそれぞれの流星が地表に落ちたと思ったらひときわ強く輝いて、光が落ち着いたと思ったらいくつもの建物が忽然と現れたらしいわ。」
「待ってくれ、ではこのような基地が他にも出現したと?」
「ええ、確認したのはここと同規模の施設が他に三つ、ここより小規模のものが四つ確認されているわ。他は監視するように命じてここに来たのだけれど」
「なるほど、ではここでの話を他の基地にも伝えなければならんな。今後のことも話し合わなければ」
「ならこちらの城で集まるといいわ。ちょうど陳留を中心に円状に”きち”とやらがあるから」
「かたじけない。では他の基地に連絡をしてくれ、三佐」
「了解しました」
「じゃあ私は指示をしてから行くから北郷三尉、駐車場で待っていてくれ。ああ、彼女たちも案内してくれ」
「了解です」
それぞれ会議室を退室していく
残されたのは一刀、及川、華琳、春蘭
「じゃあついて来てくれ」
「しっかしかずぴー、こないなかわいい子と知り合いやったんか~」
「まあな・・・てか夏候惇とかは覚えてないみたいだけど」
「ん?私はお前とは会った事なぞないぞ?」
「そうか・・・覚えてないか・・・覚えてるのは華琳だけか?」
「今のところそのようね」
「ん?なんや?そのかr「わあああ!!言うな!!その先は言うな!!」おわ!なんやねん」
及川に真名の存在を教える一刀
「なんやねんその初見殺しの設定!!あっぶなー、首飛ぶとこやったやん!!」
「俺もそう思う。最初にこっち気た時槍を突き付けられたしな・・・」
『総員傾注、警戒態勢解除。繰り返す、警戒態勢を解除。通常業務に移行しろ。第一中隊は基地警備を行え。第二、第三中隊は指示があるまで基地内にて待機。第四中隊は・・・・』
とりあえず駐車場に着いた四人
先に来ていた久保三佐が指示を飛ばしている
「お、来たか。とりあえずセダン使ってくれ。賓客だからな、うちの基地で一等いい車だ。護衛にはクーガー(96式装輪装甲車)二台付けるから」
「了解しました」
とりあえず馬もなく走る車に首をかしげている二人を後部座席に乗せ及川と一刀が乗り込んだ
「真桜に見せたら目ぇギラッギラさせそうだな」
「ふふ、そうね。絶対『隊長!!バラしていい!!!?』とか言うわよあの子は」
「だよなー」
なんかいい雰囲気を作る二人
春蘭はこのように笑う華琳をみて困惑し及川は
「はっは~ん・・・・・・・・・・一刀、つきあっとったんか?」
にやりと人の悪い笑みを浮かべて爆弾発言をかましよった
「ぶっ!」
「///」
「なんだと!!!きっさま~叩っ切ってくれる!!!!」
「うわやめろ!!ハンドルが狂う!!!」
そんなこんなをしながら一刀たちは途中で秋蘭に軍を引かせることを伝えて陳留へと入って行った
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
「は~・・・・・ほんまに昔の中国なんやな~」
司令も護衛の自衛官も口をあけて呆然としている
最初に来た頃の一刀もそうだったので気持ちはわかる
及川は相変わらず異常な順応性を発揮していた
そんな一行を苦笑しながら見ていた一刀と華琳は皆を促して城へ向かった
城に帰還した華琳は警戒解除と突如現れた施設群は天軍の施設であることを城下に広めるように指示
そして天軍の代表者が集まる旨を伝え準備を指示した
その後、各基地の代表者が集まり現状の説明とこちらの世界の風習(真名など)の説明が行われた
そして玉座の間にて今後どのように行動するかなどの具体的な話し合いが行われた
参加者は各基地の代表者と一刀、及川、華琳、春蘭、秋蘭である
「とりあえずもとの世界に戻るには魏による大陸統一が必要なんだな?」
「歴史の流れに逆らえばいいのだろうが、前例である北郷三尉と同様にしていくのが最も可能性が高い」
「では魏による統一を援助、そして歴史の転換点で随時介入を行う方針でいいな」
「あとは我々は魏軍ではなく独立した部隊だ。指揮官が必要だな」
「階級が一番高いのは・・・・一佐が四人ですね」
「ふむ・・・訓練ならまだしも実戦でこれだけの大部隊を率いるには我々では経験不足だな」
「なんなら部隊を分けるか?」
「いや一兵科だけでは戦闘は心もとない」
「それにこちらの兵器の運用の仕方を知っている人間でなければまずい」
「それはこちらも同じだろう、刀剣類による戦闘なぞ想定範囲外だ」
「ではどうすれば・・・・・・・」
「う~む・・・・・・・・ん?」
斎藤一佐は玉座のほうに向いたまま固まった
その眼には華琳たちにこちら側の階級や銃同士の戦闘方法を説明している一刀が映っていた
しばらくして彼の口からこぼれた言葉は
「曹操殿、北郷三尉は以前警備隊長だったとお聞きしましたが戦闘経験は?」
「ん?戦場での戦闘経験は数えるほどしかないけれど指揮はしていたわよ。どちらかといえば軍師のような立ち位置ね」
「・・・・率いた人数はどれほどで?」
「北郷隊は最後は・・・・三十万だったかしら」
「違うって。三人が八万づつで俺が実際指揮してたのは二万だけだから二十六万だよ」
二万!!?
「・・・・・階級をお聴きしても?」
「正式な階級は警備隊長だけよ。でも天の御使いってことで配下に三人の将軍を配したわ」
将軍を三人も!!!?
基地の代表者や及川は三度呆然とした
「・・・・・率いた人数は方面隊相当、率いた人物は少なくとも陸将補(少将相当)以上、こちらからしてみれば十分陸将(一般的に中将相当)並みの階級、それに我々の兵器の知識がありこちらでの実戦経験も豊富・・・・・どうでしょう皆さん、彼をこちらの世界にいる間は特務陸将として指揮官になってもらうというのは」
「う~む・・・・・うむ、経験のないものがやるよりはいいだろう」
「ですな、我々には実戦経験がありませんし」
「ちょっ、ちょっと待ってください!私は高々尉官ですよ!」
「だが我々には大軍同士での戦闘経験が無い。訓練でも万を超える規模の敵兵はほとんど想定していない。実戦経験、それも大軍同士の実戦経験がある君が適任だと思う・・・・曹操殿はどう思われるか?」
「そうね。前回のことを鑑みても十分指揮するだけの能力はあると思うわ。」
「そうゆうことだ諦めたまえw」
「う~・・・う~・・・・わ、かりました。北郷一刀、特務陸将の任、承りました」
「うむ頼みました。第45普通科連隊は貴殿の指揮下に入ります」
「第12戦車大隊以下200名。これからよろしくお願いします」
「第15特科連隊。期待してますよ」
「第54普通科連隊及び第16後方支援隊、みんな無事に帰りましょう」
「第14施設大隊。前線は荷が重いが施設作業はまかせてくれ」
「第16飛行隊。戦闘機や攻撃機は無いがヘリはあるからな。活用してくれ」
「第7特科群と第23普通科連隊も指揮下に。生き残りましょうや」
後の世に天軍元帥として祀られることとなる天将北郷一刀誕生の瞬間であった
やっちまった・・・・
外史に自衛隊送りこんじゃいました(;^^)
あっ、もちろん部隊名は実在してませんし陸自オンリーです
野砲は出すつもりでしたがヘリは出す気はなかったのに・・・・
原因はわかってます、久々に戦国自衛隊とワンスアンドフォーエバー見たせいです
あのヘリの登場シーンはかっこよすぎるって
華琳が記憶持ってますがこれは一刀を司令官にするにはこうするしかないかな~とかさすがに現代兵器使うとなるとある程度耐性が必要だよなーとか思ったからです
いま読み返してみると別に無くてもよかったかな?
魏√アフターの部分いらなかったかな?
・・・・・・まあいいや
次回はちょっと現代部隊の欠点的なものを書こうかと思ってます
ではこのような拙い文章をここまで見てくださった方々
誠にありがとうございますm(‐‐)m
編成とかちょっと不安なんでご意見とかあったら遠慮なくお願いします
では次回(^^)ノシ
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