真・恋姫†無双 星と共に 第30章
それから三週間が経ち、三国同盟軍は泰山に向かって進軍を開始していた。
「許子将」
「なんでしょうか?」
一刀が許子将に尋ねる。
「俺と星をこの外史に連れてきたのはお前か?」
「いいえ」
「では誰なのだ?」
「管輅と申すものです」
「管輅? 占い師のか?」
「そうです。分かってるとは思いますが、管輅も管理者の一人」
「それでその管輅はどこに?」
「普浄達に捕まってしまっておる」
「何と……」
「それと今ふと思ったが、何で普浄は直接、俺を殺しに来なかったんだ? 左慈達はたまにだが直接殺しに来ていたが……」
「それはな。それをするとこの外史は簡単に壊れる」
「? それはあいつらの望む事では?」
「普浄にとってはな。しかしそれを良しとしない管理者もいるのじゃよ」
「貂蝉みたいな奴か?」
「それとは少し違うがの。他の外史にいる管理者の数名が黙っておれんのじゃ。
お主らがかつて居た外史での出来事のためにな……」
「……そうか……。ところで今ふと思ったことが一つある」
「それは?」
「俺と星に対して言った占いの言葉、覚えているか?」
「ええ」
許子将はうなずく。
「『大局に逆らえば身の破滅』。あれはどういう意味で言ったんだ?」
「ああ、あれはほとんど適当に言っただけに過ぎませんよ」
「なんだと?」
「では何故あの時我々を呼び止めたのだ?」
「まあ適当に言ったとはいえ、お主らが普浄に狙われていたことは分かっておった。だから……」
「可能な限り普浄に狙われないようにさせようと思って言ったってことか? 大局は歴史。歴史通りにすれば普浄は狙ってこないと……」
「そんなところじゃな」
「思ったよりいい加減だな……」
そしてしばらくしていると……。
「………」
「やはりいるか……」
一刀達の前には白装束を着た気味の悪い兵士達が大量に居た。
「あれがあいつらの兵士ね」
「ああ。言っておくがあれは人じゃないからかなり遠慮しなくて良いぞ」
一刀は銃の準備をする。一刀も今回は遠慮も情けも容赦なしの実弾を入れていた。
「実弾を使うのですか?」
「氣弾で何とかなるとは思うが、今回は速さが大事だ。ならばすぐに決着をつけれるようにするだけだ」
「確かに一理ありますな」
「とにかく行くぞ」
「「「全軍、突撃!!!」」」
『応っ!』
華琳、孫策、劉備が命令を出し、兵や将が皆答える。
「行くぞ!」
そして全員が駆け出す!
「はああああああ!!」
澪が栖冷矢の氣弾を白装束に当てて、それ跳弾で当て、白装束の兵士達を倒していく。
「はあ!」
咲が自身の体を高速回転させて、白装束の兵士達に跳んで行き、兵士達を鉤爪で切り裂いていく。
「でぇい! やあっ!」
光琳がサーベルで敵兵達を華麗に斬って行く。
「ふん! たあっ!」
錫が鉄の棍棒で敵兵達をなぎ払っていく!
「くらえ!」
永琳が盾と剣をブーメランのように投げ、ブーメランのように投げられた盾と剣は兵士達を切り裂いていき、永琳自身も素手で兵士達を倒していく。
「でゃあああああああ!!」
「どりゃあ!」
それに合わせるかのように星と一刀も槍や剣を振るう。
そして……。
「うおおおおおおお!!」
一刀は白と黒、そして破偉派を抜いて、敵兵達を実弾で容赦なく撃ち抜く!
とは言っても相手は実弾で撃たれても血は流れていなかった。
「本当に人形だな。だが、やりやすい」
三国同盟は何とかその場に居た白装束の兵士達を倒していった。
「よし、先に行くぞ」
そして先へと進む。
先にはやはり先ほどと同じような白装束の兵士達がいた。
「まだあれだけの数が居るのか……」
「無尽蔵ってわけじゃないが……あいつらは基本量産可能だからな」
「嫌なものね」
「ああ。そう考えると胸糞悪い」
「でもあれだけの人数を相手にする時間、ないわよ」
「そうなんだが……」
そんな時であった。どこからともかく兵団が現れ、白装束の集団を襲い始めたのだ。
「な、何だ?」
あまりの事で一刀も立ち尽くすのみであった。
「一刀殿! あれを!」
「! あれは!」
星に言われて、一刀はその部隊の先頭を見る。
その部隊の先頭に立ち、指揮をしていたのは華雄であった。
「華雄!」
「華雄、離れてろ!」
どこからともなく声が聞こえてくる。
そしてまた別の方向から矢が飛んできて、白装束達を襲う。
「久しぶりだの、わっぱ」
その矢を放つ指揮をした者達が一刀達の前に現れる。
「あ、あなた達は……」
それは皆、正確には呉の将達は驚きを隠せないでいた。
『祭! 韓当!』
そう、それは赤壁で死んだと思われていた黄蓋と韓当であった。
「あなた達、あの時死んだんじゃ……」
「わしらもあれで死んだと思っておった」
「じゃがわしらは運よく川岸にたどり着いてな。その後、あやつらに拾われて、医者に診てもらい、この通りじゃ」
「そう……よかった……」
孫尚香や一部の呉の将達が泣き始める。
「そうなくでない」
「徐晃はいるか?」
「私が何か?」
「感謝するぞ」
「え?」
「あの時、わざと急所を外したであろう?」
「ばれてたのね」
「撃たれた時は分からなかったさ。医者に言われて初めて知った。手加減されたのは癪だが、こうしてまた懐かしき顔に会えたのだ。礼を言う」
「それほどでも……」
澪は少し照れてしまう。
「やるな、澪」
「ええ」
「ところで誰に拾われたの?」
孫策が黄蓋達に尋ねる。
「驚くべき者達だ」
「?」
「わらわ達じゃ」
そこに現れたのはなんと孫策達が追い出した袁術と張勲であったのだ。
「あ、あなた達……!」
「祭と韓当を助けてくれた事は礼を言うけど、それで罪が消えたと思わないことね」
孫策は怖い顔をする。
「ひぃ~」
「べ、別にそういうつもりで助けたんじゃないんですけど……」
袁術と張勲は怯えてしまう。
「じゃあどういうつもり?」
「この大陸の暴徒を鎮めて、美羽様の天下にしようと傭兵を募っていたところ、このお二人を見つけて助けただけですよ~。そしてあわよくば私達と一緒に……」
「ふぅ~ん」
孫策は笑顔で怖いことをする。
「勝手に人の将を使おうとしないことね」
「まあ待て、策殿」
「一度は死んだ身。そして拾われた身である以上、恩は返さなくてはと思ってな、協力する事にしたんじゃ」
「わしらに免じて、今は許してくれぬか? こうして策殿達の苦戦を助けに来た事であるし……」
「………まあ、今は許してあげるわ」
孫策は緊張を解く。
「とりあえずはあの部隊で何とか足止めしてくれてるが……」
「まだ足止めが必要?」
「ああ」
「だったら……」
「呉蜀の部隊が残ります」
「え?」
一刀は驚いた。まるで前の世界の華琳と蓮華のようであったから……。
「だが……」
「もたもたしてると時間がないんじゃないの?」
「……分かったわ。行くわよ、一刀」
「……ああ、頼むぞ。皆!」
魏の将達は皆、泰山を登って行く!
「ここに来る様ね」
「まあ、いいさ。ここを奴の完全な墓場にしてやるさ」
迎え撃つ普浄と潘臨。
「一刀殿」
「どうした? 星」
「この戦いの先にあるのは、また……」
「そんなこと考えるな。俺はあの時のようにはさせない」
「……」
「何があっても俺達は一緒だ、星」
「一刀殿……そうであったな」
「気を引き締めていくぞ!」
「応っ!」
登って行く一刀と星。
果たしてこの世界はどうなるのだろうか!?
おまけ
作者「第30章だ」
一刀「お前何か言う事があるだろ」
作者「ああ」
一刀「朝早くに夕方に投稿と言いつつも夜に投稿しやがって!」
作者「実は土曜にあるいつもの用事の後に急に出かける用事が出来てしまい、帰ったのが夕方頃だったが、そこから色々あって今になってしまった。ごめんなさい」
一刀「ちゃんと謝ったな」
作者「流石に謝るさ。
一応謝るつもりで言おう。明日最終回を投稿するつもりではあるが、もしも遅れたらごめんなさい」
一刀「先に謝るんかい!」
作者「まあ最終回の微調整とか色々あるかもしれないからな。それに明日は初めっから出かけるつもりだったしな。
それでは!」
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この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。