No.158338

真・恋姫†無双  星と共に 第29章

BLACKさん

この作品は真・恋姫†無双が前作(PS2)の続編だったらという過程で作られた作品です。

2010-07-17 06:35:30 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4784   閲覧ユーザー数:4102

 

真・恋姫†無双  星と共に  第29章

 

 

永きに渡る戦いがようやく終結し、その日は成都で大宴会。

味方もかつての敵も関係なく、皆が大騒ぎ。

しかしその宴会に一刀の姿は無い。

一刀はその城壁で座り込みながら外を眺めていた。

 

「ふう~う」

「こんな所にいたの?」

 

一刀が一息ついている所に華琳が来た。

 

「華琳か。どうした? 大陸連合の立案者が」

「まったく。桃香があんなに酒癖が悪いなんて知らなかったわ。抱き付いてきて……勝手に胸を触ろうとしてくるのよ?」

「お前がいつもやってる事だろ」

「私が桃香を触るのはいいけど、桃香が勝手に触ってくるのは嫌なのよ」

「なんだそりゃ」

「だって、そんな、他人に無理矢理触られた事なんかないんだもの……」

「やっぱり自分主導なんだ」

「当たり前でしょう。私は王よ?」

「俺が言うのは何だが、劉備も王でしょ?」

「……むぅ」

 

華琳は屁理屈を言われたようで少々機嫌を損ねた様子。

 

「まあそんなことより、これからどうするつもりなんだ?」

「そうね。まず、数日はここで休んで…国に戻るわ。後は呉の制圧部隊を引き上げさせて、街道と宿場の整備かしら。

桃香と雪蓮の統治が安定するまでは兵は貸しておいても良いけれど……」

「あの二人なら、すぐにいらないって言うだろ。先に戻しても良いんじゃないか?」

「かもしれないわね。しばらくは屯田と土木作業に人手がいるだろうから、そちらに回ってもらうわ」

 

そんな時、べろんべろんに酔っ払った劉備と孫策が下から声をかけてきた。

 

「あーっ! 華琳さーん! 何でそんな所にいるのよーっ! みんないるから、こっちおいでよー! ほら、お兄さんもーっ!」

「そうそう! 華琳だって嫌いじゃないんでしょ? 凄く美味しいお酒の作り方の研究もしてって、春蘭から聞いたわよー!」

「……まったくぶち壊しだわ」

 

華琳は二人の酔っ払いに対してため息をついた。

 

「とんだ酔っ払いだね。……行かないの?」

「行かないわよ」

「大陸全土を巻き込んだ大宴会だぞ。これが見たかったから、今まで戦ってきたんじゃないのか?」

「見たいところはちゃんと見たわよ。これ以上酔っ払いに絡まれるのはごめん被るわね。

さっさと行くわよ、一刀」

「分かった」

 

 

二人は成都の川のほとりに来た。

するとそこには……。

 

「先客がいたな……」

「どうやらそのようね」

 

一刀と華琳の前には岩に座って、一人で月を眺めてながら酒を飲んでいた星が居た。

 

「星」

「おお。一刀殿に華琳ではないか。二人も外で酒を飲みに?」

「別にそういうわけじゃないけどな……」

「あなたはそこでなにしてるの?」

「あの星は、こういう晴れて月が出ている日は外で酒を飲むのが好きなんだよ」

「そういうことだ」

 

星が岩から降りて二人に近づく。

 

「こんなに綺麗な月があるのですぞ。眺めないわけにはいくまい」

 

そして三人は空に浮かぶ月を眺める。

 

「綺麗な月ね」

「知らなかったのか? この世界の月があんなに大きな月だったってこと」

「そうね…。戦っている間は、こんなに落ち着いて月を見た事なかった気がするわ…」

「華琳でも余裕がなかったんだな」

「私だって人の子よ。そうそう上ばかりは見てられないわ」

「そうか……」

「だがそれがお前達が見る最後の月となる」

 

そこに何と一人の男が突然、姿を現す。

その男とは今まで影でなりを潜めていた普浄であった。

 

「あなた……何者?」

 

華琳が尋ねるが、一刀と星はすぐに気付いた。

 

「その格好……」

「お前……左慈達の仲間だな?」

「え?」

「その通り。我が名は普浄、死ぬ前の土産として覚えておくが良い!!」

 

普浄は名乗ったと同時に一刀に蹴りで襲い掛かる!

 

「!」

 

一刀は念のためと思い、武器一式を装備していたため、すぐに満月抜いて、何とか普浄の蹴りを防いだ。

 

「ほう。私の蹴りを防ぐとは……」

(なんて重い蹴りだ。一番最初に受けた左慈の蹴り以上だ)

「「一刀(殿)!」」

「二人は手を出さないでくれ。こいつの狙いは十中八九俺だ」

「その通りだ」

 

そういうと、普浄はもう片方の足でとび蹴りを一刀にくらわせようとする。

 

「うら!」

 

一刀は何とか自身の足を使って、そのとび蹴りを蹴り返す。

 

「ぬあ!」

「くっ!」

 

二人は後方に飛ばされ、体勢が崩れる。

 

「思ったよりやるな」

「そっちもな……」

 

二人は立ち上がる。

 

「だが、私の怪我はすぐに治る。だがお前はそうではないだろ」

 

普浄は何事もなかったかのような状態に戻る。

 

(流石に左慈達と同じ存在だけはあるな……)

「一気に終わらせてもらおう!」

 

普浄が高速移動のように速さで一刀に迫るが……。

 

「おいたがすぎとるぞ、普浄」

 

そこには一人の老人がいた。

一刀達はその老人を知っていた。

 

「何故貴様も邪魔をする? 許子将!!」

 

そこにいた老人とは華琳や一刀と星を占った許子将であった。

 

「あんた……やっぱり……」

「若い者の芽を摘むのはどうかと思うぞ?」

「摘まねばならない時がある。今が、その時だ!」

 

普浄が蹴りのラッシュを許子将に当てようとするが、許子将はうまく自分の手で受け止める。

 

「まだまだだの」

「くっ……」

『華琳様ーーーーーーー!』

 

そこに城の方から春蘭達の声がこちらに近づいてくるの気付く。

 

「貴様……」

「ほっほっほっ、いくらわしでもお主に勝てるとは思えんからな。悪いが援軍を呼ばせてもらった。

いくらお主でもあれだけの数を相手にするのは骨が折れるじゃろ」

「ふっ……」

「ここは退くべきね」

 

そこに突然、潘臨が普浄の側に姿を現す。

 

「……まあ、いいだろう。次ぎに会うときがお前達の最後だ」

 

普浄と潘臨はその場から姿を消した。

 

「消えた?」

「そういう奴らだ」

「華琳様、ご無事で?」

 

魏の将が皆、華琳や一刀のところに駆け寄る。

 

「私は無事よ。ただ……」

 

華琳が一刀の方に目をやる。

 

「問題は俺……いや、この世界だな」

「そうですね。皆さんに事情を説明したいのですが……」

「皆となると無理ですな」

「ええ。ここにいる者以外は恐らく……」

「べろんべろんだな」

「では明日の朝に皆さんに説明しましょう」

 

 

そして翌朝になり、成都の城の玉座の間に魏・呉・蜀の将が全員集まった。

 

「話ってなんなのよ? 華琳」

 

孫策が華琳に尋ねる。

 

「この老人が教えてくれるわ」

 

華琳が許子将の方を指差す。

 

「このおじいさんが?」

 

劉備が不思議そうに許子将を見る。

 

「そうじゃ。わしは占い師としては遠まわしに言うのじゃが、今は占い師ではなくこの世界を管理する人間として、単刀直入に言おう。この世界は滅びに向かっている」

『え!?』

 

許子将の言葉に皆が驚く。

 

「何故だ?」

「それにはわしの正体とこの世界のことについて話さねばならんな。

まずはわしの正体。わしは許子将と名乗っているが、これは仮の名に過ぎん。

とは言っても本当の名など存在せん。呼ぶのなら好きに呼べばいい」

「それでおじいさんは何者なんですか?」

「わしは外史である……この世界を管理する者の一人じゃ」

『外史?』

 

魏の将達以外の面々が『外史』と言う言葉に疑問を持つ。

魏の将達は一刀と星の説明を受けているため何とか分かっているが、二人の説明がなかったら同じような反応していただろう。

 

「外史とは正史を見た人間が新たに思い描いて出来た世界、つまりは作られた世界なのだ」

「よく分からないのだ」

「無理もない。じゃが話を続けさせてもらうぞ。

そして外史が一つ出来るとその外史を管理する、管理者がその外史を管理するのだが……」

「? どうした?」

「その外史を管理するものが管理を放棄したのじゃ」

「放棄したって、どういうこと?」

「いや、放棄とは少し違うな。正確には管理するのに邪魔な存在を排除しようとしたのじゃ」

「その邪魔な存在って?」

「俺のことだ」

 

そこに一刀が名乗り出る。

 

「あなたが?」

「俺と俺の隣に居る趙雲は元々この世界の人間じゃない」

「天の世界というところから来たんでしょ?」

「皆から見れば俺はそうだろうが、この趙雲は違う。こことは似て異なる外史から俺の居た世界にきた存在だ。

そして俺もこの趙雲の居た外史で共に暮らして、戦っていた」

 

一刀が簡単に説明してもやはり皆、よく分からない顔をしていた。

 

「その外史についてだが……、孫権」

「何?」

「俺が前に話したこと、覚えてるか?」

「ええ。別の世界の私の記憶が私に入ってきた事よね?」

「その世界とは今言った外史のことだ」

「え?」

「記憶の流入が起こったのは恐らく……」

 

一刀が許子将を見る。

 

「お主の思っている通りじゃ。普浄、奴の仕業じゃよ」

「やはりな」

「それと諸葛亮の病とお主が突然倒れた事も奴の呪いの仕業じゃ」

「え?」

 

諸葛亮が少し驚く。

 

「あいつはどうやって俺達に呪いを……」

「太平妖術、聞いた事はないかの?」

「太平妖術!」

 

その言葉に一番最初に反応したのは華琳であった。

 

「あれがどうしたのよ?」

「実は張角達が陣に捨ててあったのを、普浄が回収したのじゃ。北郷、お主が陣に入る数分前にな」

「何てことだ……」

 

一刀はあの時の嫌な予感が的中したとして、手を顔に当てる。

 

「そして普浄は太平妖術で北郷、お主を呪い殺そうとしたのじゃが……」

「簡単にはいかず呪いの余波が、私や諸葛亮に影響が出たのか」

「ですが、何故呪いが上手くいかなかったのですか?」

「それはあの者のせいじゃよ」

 

許子将がある人間を指差す。

その人間とは……。

 

「私か」

 

 

それは星、つまりは一刀と共にこの世界にやって来た趙雲であった。

 

「そう、お主じゃ」

「だが何故?」

「お主は正史の人間ではない。ましてやこの外史の人間でもない。

そしてお主は正史の人間である北郷一刀と強い繋がりを持った。

その強い繋がりが北郷を守ってくれたのじゃ。

……とは言っても流石に太平妖術の呪いを完全には防ぎきれず、北郷が倒れてしまったのじゃよ」

「そうだったのか……」

「しかしあの倒れただけで済んだのは本当にすごいことじゃよ。北郷、お主は諸葛亮の病の呪いも受けたはずなのに死ぬどころか倒れる事もなかった。

お主らは本当に強い繋がりを持っておるのじゃな」

「ああ」

 

一刀は星に近づく。

 

「星」

 

一刀は星に抱きつく。

 

「俺を守ってくれて、ありがとな」

「何を申されます。一刀殿と一緒に居るという事は一刀殿を守る事でもあるのですぞ。

それにもしかしたら私もその呪いの影響があったのかもしれませぬぞ。

それを防げたとしたら一刀殿との繋がりお陰であろう。私も礼を申します」

 

二人はしばらく抱き合う。

 

「少しいいかしら?」

 

華琳が二人に声をかける。

 

「ああ、悪かったな」

 

二人はようやく離れる。

 

「話を進めるぞ。普浄は北郷一刀の消滅にやっきになり、もう一人の仲間、潘臨と協力してこの世界を滅ぼすことにしたのじゃ」

「それって、やはり銅鏡を使ってか?」

「うむ」

「それで二人が居るところは分かるか?」

「それはお主ら二人があの外史と別れる場所となった場所じゃよ」

 

それを言われて二人はその事を思い出した、

 

「泰山」

「その通り」

「タイムリミットは?」

「最長で一ヶ月じゃ」

「ここから泰山までの距離と戦力集めを考えると……ギリギリか?」

「そうじゃの。それでどうするのじゃ? お主ら?」

 

許子将が一刀と星以外の人間に尋ねる。

 

「決まってるわよ」

「折角平和になった世界を壊そうなんて許さない!」

「という事みたいよ。私は最初っから行くつもりよ」

「華琳……すまない」

 

一刀が頭を下げる。

 

「構わないわよ。これはこの世界全体の問題なのだから……」

「それでも……な」

 

こうして三国同盟は泰山に向かう準備を進めるのであった。

 

 

おまけ

 

 

作者「第29章だ」

一刀「こんな朝っぱらからどうした?」

作者「気分的なものだ。言っておくが夕方には次の話だ。そして最終回は明日にする!」

一刀「昔みたいに唐突過ぎるわ!」

作者「まあ書いてる最中少しかったるくなったから一部は手抜きくさいだろうが、私は謝らない!」

一刀「そこは謝れよ」

作者「さてと、今は書くことが思いつかない。

それでは!」


 
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