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真・恋姫無双外史 ~昇龍伝、人(ジン)~ 別章 第十一章の二人の再会から、星視点

テスさん

 第十一章の二人が再会から、書簡手渡しまでを趙雲の視点で一つ。と頂いたので考えてみました。遅くなりました;

○話のあらすじ
 北郷と再会を果たす趙雲。彼女は仲間を説得し、敵だった彼を義勇軍の末端に加えることに成功する。

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2010-07-04 01:31:34 投稿 / 全20ページ    総閲覧数:18671   閲覧ユーザー数:14521

真・恋姫無双外史 ~昇龍伝、人(ジン)~

 

別章 第十一章の二人の再会から、星視点

 

(一)

 

 会いたくないのに、会いたい人なのだから困る。

 

 薄雲越しの月を遠くに眺めながら、私は一人そんなことを考えていた。

 

 目を閉じて彼の言葉を思い起こす。できることなら彼の知る趙子龍でありたい。

 

 だが今は、その志を曲げても力が必要なのだ。――だからこそ歯を食いしばり耐えてきた。

 

 仕方の無いことだと割り切れたら、どれほど気が楽だったことか……。

 

 なのに今はその苦々しさは薄れ、このメンマのように深みある味わいへと変化して行く。

 

 ……込み上げてくる、嬉しさのほうが遥かに大きいのだ。

 

 私なら分かっているはず……。彼はそう言ったのだ。

 

 それがもし私の望む答えでなければ……

 

 ふむ、服を脱げと助言してやらねばなるまい。だが私の助言を彼は遠慮するに違いない。それはもう激しく。

 

 くくっ、まぁそう遠慮せずにと力づくで全部脱がしてやる。――絶対に逃がさん。必ず意趣返ししてやる。

 

 ――ん?

 

 ふと気付けば酒瓶は空になっていた。もう一つの封を解き、盃に注いで酒の香りを楽しむ。

 

 順調に事は運んでいる。近いうちに必ず辿り着ける。――大丈夫だ。

 

 こくりと喉を鳴らせばその懐かしい淡泊な味わいに、洛陽で出会ったあの人を思い出す。

 

 ――孟徳殿か。

 

 北郷は私と別れた後、彼女と共にいたと言うではないか。……強い光を放つ彼女だ。彼の輝きすら霞ませ、いつかは飲み込んでしまう。これ以上、彼女と接触させるのはまずい。

 

 ともあれ、まずは我が目的を果さねばな――。

 

「姉上、もう少しお待ち下され」

 

 奮い立たせるように、残りを一気に飲み干した。

 

 

(二)

 

 北郷と再会して間もない頃、義勇軍のこれからを話し合うことになった。劉備殿の第一声は私が待ちに望んでいたものであった。

 

「我々義勇軍は兗州を北上し、冀州へと入ることとする」

 

 仇に一歩近づく。顔に出さぬように瞳を閉じ、耳を傾ける。

 

「兗州よりも治安が悪化していると聞くぞ?」

 

「だからこそじゃないか。我等の活躍を知り、この義勇軍へ集う者が後を絶たないのだ」

 

 劉備殿の言う通り、義勇兵は日に日に増え続けていた。この国の将来を憂う者、一旗揚げようとする者。だがその大半は飯に困る者で、農家の二男、三男がほとんどを占める。

 

 例え小さな光でも強い想いで一つになれば、強大な悪に立ち向かう事ができる。

 

「趙雲殿、新兵の調練をお願いしたい。きっと兗州とは違い、我等を恐れぬ輩が沢山いるだろうからな」

 

「承知。それにしても……」

 

「趙雲殿、突然どうされた?」

 

「いえ、劉備殿が仁君っぽいなっと……」

 

「そ、それではまるで私が仁君ではないと、そう聞こえるではありませんか!?」

 

 その一言に、劉備殿の側近達が笑い転げる。

 

「りゅ、劉備が仁君だとよ! まぁお前にしちゃー珍しく頑張ってるけどな!」

 

「最初に聞いた時は爆笑したもんだ。良い博打の材料ってもんだぜ」

 

「あぁ、無いに全財産賭けたやつも居たな! ――あ、俺だ!」

 

「全く……、後悔するなよ!」

 

「はっはっは! 仲間に慕われているようで、結構。それではこれにて――」

 

「あぁ、趙雲殿。よろしく頼む」

 

 その一言に軽く手を上げ、私は天幕を後にした。

 

 

 

 

「おーい、趙雲!」

 

 呼ばれそちらに視線を向けると、私を見つけた北郷が嬉しそうに手を振ってくれる。

 

 ふふっ、あのような姿を見せられてはな。一兵卒が私を呼び捨てか!と咎めることなど誰ができよう?

 

 ――それより、皆と上手くやっているのだろうか?

 

 義勇軍に辛辣な批判を浴びせたのだ。自ずと北郷を見る視線や態度は厳しいものとなろう。正直彼のことが心配だ。

 

 そして何より生きて再会できたこと、共に祝い合いたい。二人で酒を酌み交わせば、きっと心充ち足りる時間となろう。

 

 ……しかし今は我慢せねば。

 

 今回ばかりは自分の都合を優先させることにした。私も彼に習い、胸元で小さく手を振り返す。

 

 ――もう少しの辛抱。

 

 そう心の中で言い聞かせ、私は新兵の調練へと向かった。

 

 

(三)

 

 新たに加わった義勇兵を調練しながら、義勇軍は冀州へと入る。

 

 途端、目の前に立ち塞がる賊の群れ。賊退治を謳う新参者を見逃すほど、冀州の賊は甘くない。

 

 見渡す賊を前に私は高々と名乗りを上げる。

 

「死地へと旅立つ前に教えてやろう! 我が名は趙子龍――常山の昇り竜よ!」

 

「何だかいかにも凄そうだが……、おめーら、騙されるな! 聞いたこともないぞ!」

 

「そうだ! やっちまぇ!」

 

 冀州に入ってからこのような戦いを何度も繰り返し、我が異名を知らぬ賊が増えたことに愕然とする。旅をしていた間に、そして今も尚、新たな賊が生まれ続けるこの状況に、私は憤りを感じずにはいられなかった。

 

「趙子龍だと!? 俺達にびびって冀州から逃げ出した奴じゃねーか!」

 

 ――誰がびびるか!

 

「この私を愚弄して大層な自信ではないか。……良いだろう! そう思う者は掛って来い! 私自ら引導をくれてやる」

 

 ……誰も掛って来ない。この子龍を知っているのだ。それは未だこの賊共が生き残っていることを意味する。知恵ある者が率いているのだろう。

 

 ――ならばここで潰すべきだ。

 

「……来ないのならば、こちらから行くぞ! 我に続け!」

 

「げっ! 散れ! 散れ!」

 

「――逃がさん!」

 

 こうして、私は楽快へと近付いて行く。……行くしかないのだ。

 

 追撃を部下に任せ、陣へ戻ろうとした矢先――、

 

「趙雲、お疲れ様!」

 

 ……っ。

 

 油断していた。彼がこんな前戦にまで足を運んでくるなんて。

 

 どう切り返せば良いか、私は考えを巡らせる。

 

「北郷、ここは危険だ。すぐに下がること。良いな?――それから私の事は心配無用。この程度で疲れたとは言わん。さて、すまぬが事後処理で忙しいのでな、先に失礼させてもらう」

 

 私は手を上げ、早々に別れを告げる。

 

 ……このような素っ気ない態度を取らねばならんとは。

 

 

 

 

 そんな私の態度に彼が疑いを抱くのは至極当然。すぐに頭を抱える事になる。

 

「参った……」

 

 逃げる私に追い討ちを仕掛けるように、隙あらば私に声を掛けようとしてくる。

 

 だからと言って『しつこい男は』と、心配してくれる彼に面と向かって言えず、冷たく突き放せない。

 

 もし逆の立場なら問答無用で――、力尽くでも問い質すところ。

 

「……北郷、許せ」

 

 今だけは、我儘で、勝手な私の気持ちを汲んでくれ。いらぬ疑いを持たれては――いや、そうなってからでは遅いのだ!

 

 ……だが無情にも、月日は流れていく。私は未だ目的を果たせず、若草映える戦場を愛槍片手に駆け抜けていた。

 

 

(四)

 

 誰もが勝利の余韻に浸っていた中、劉備殿はさも当然の様に言い放った。

 

「助けを求められたのだ。彼等を守り、平穏を脅かす賊共を退治することこそ義勇軍の使命だ」

 

 ほんの少し前のことだ。賊に目をつけられ皆が眠れぬ日々を過ごしていると、助けを求めにやって来た者達がいるのだ。

 

 勝ち戦に沸く義勇兵達は、口々に懇願されては見捨てられないと劉備殿を後押しし、すぐさまその村へと進軍することとなる……

 

「やっと、目的の村に到着か」

 

 長い道のりを歩き、疲れ切った声で誰かが呟いた。義勇兵に天幕を張らせ、我等は村の入口へと向かう。

 

 そこにはすでに数人が出迎えている。少し年配の男が頭を下げ劉備殿に声を掛ける。

 

「遠路遥々儂らのために、本当にありがとうございます。長旅でお疲れでしょう? ささ、どうぞ村の宿へ」

 

 簡単な挨拶を済ませ私達は村の宿へと案内される。そこで彼等の持て成しを受けながら、詳しい話を聞くこととなった。

 

「賊がまたいつ襲ってくるか……。夜も眠れぬ日々を過ごしております。どうかお助け下され……」

 

「ご安心ください。我等義勇軍が来たからには賊の思い通りにはさせません。皆さんを苦しみから救ってみせようではありませんか!」

 

 劉備殿の自信に溢れた声に、村人達から頼もしいという声が聞こえてくる。

 

「して、その賊は? ここに来る途中、賊と遭遇することは一度も無かったのだが……」

 

「それが――」

 

 その話を聞き終わり、皆が頻りに首を傾げる。

 

 無理もない。突然やって来てはこの村を攻め立て、もう駄目だと思った頃に賊は引き揚げていくと言うのだから……

 

 賊の目的が計り知れん。不気味なことこの上ない。

 

「――劉備殿、何かあるやもしれませんな。用心されたほうが良いでしょう」

 

「分かった。まずは賊の居場所を探らねばな。明日にでも斥侯を放ち様子を見よう」

 

 

(五)

 

 一夜明け我々は斥候を放った。彼等が戻ってくるまでの間、久しぶりに余暇が楽しめると、誰もが思い思いに過ごしていた。

 

 そんな中、次々と戻って来る斥侯達。賊は見当たらないと繰り返し報告を受ける。

 

「……お前もか?」

 

 最後に戻って来た兵士も、ここから伸びる一本道を進むと隣町があっただけだと言う。

 

「はい! その証拠に、義姉さんにお土産を買ってきました!」

 

 兵士が袋から取り出し、手渡されたものは……。

 

「――馬鹿者! 大切な任務中に何をやっている! お前は私が手塩に掛けて育てた義勇兵。証拠にと買ってこずとも信じると言うに!」

 

「へ、へぃ! すいやせん!」

 

 こちらに自然と注目が集まる。

 

「……趙雲殿は厳しいですな」

 

「うむ。だが我等に軍律を説いたのは趙雲殿だ。厳しく当たらねば話になりますまい」

 

 何事も立前は大切だ。しかし――

 

「――まぁ良い。失敗は次に活かせよ? 見なかったことにしてやるから、後で私に手渡しにこい。良いな?」

 

 その一言に誰もが疑問符を浮かべた後、将の一人が待ったをかける。

 

「趙雲殿!」

 

「――何か?」

 

「今のは何かおかしくは、ありませんでしたかな!?」

 

「……おや? おかしかっただろうか?」

 

 目の前の兵士に問うも茫然としていた。首でも振ってくれれば良いものを……

 

「……んっ、ん! 部下を褒めて育ててやるのが、私のやり方でしてな。口出ししないで頂きたい」

 

「話が掏り替っておられるぞ! 趙雲殿が褒められぬ行動をしてどうする!」

 

 隣にいた副将に話を振る。

 

「そうなのか?」

 

「ど、どうでしょう?」

 

 その一瞬の判断の遅れが命取りだと、何度言わせれば気が済むのだ、こ奴は。

 

「部下の好意すら蔑ろにするようでは、将の器は知れておりましょう。なぁ?」

 

 私は叱った男に話を振る。

 

「は、はい!」

 

「くっ! もう良い! 次は許さんからなっ! 気をつけろ!」

 

 男は顔を赤くして去って行く。さて、どうしたものかとその背中を眺めていると、隣にいた副将が小声で話しかけてくる。

 

「へそを曲げてしまわれたようだ。趙雲殿、ここは私にお任せください」

 

 頼りになるのか、ならないのか。今回も怒らせてしまった将のご機嫌取りを申し出てくれる部下。

 

「いつもすまんな。頼んだぞ」

 

「……それにしても趙雲殿、素直に褒められたらどうです?」

 

「褒められるようなことなど、これっぽっちもしておらんさ」

 

 部下は苦笑いを浮かべ、怒らせた男の背中を追いかけて行った。

 

 

(六)

 

 結局賊は見つからず、しばらくこの村で様子を見る事になった。義勇軍も連戦続きだったので、ここらで一休みという意味合いも含まれているのだろう。

 

 宿では羽目を外した宴が催されていた。私も下手に動けば北郷とバッタリ出会ってしまうため、その宴の中に身を投じることにした。

 

「まぁまぁ趙雲殿、一献」

 

 そんな毎日が続く中、唐突に北郷の話題が私に振られる。

 

「そう言えば、趙雲殿が助けた北郷と言ったか? 一体、どのような人物なのだろうか?」

 

「あぁ、そこらにいる真面目な義勇兵としか思えんのだが?」

 

「ふむ……、疑問はご尤も」

 

 少々問題視されていた北郷も、今では義勇軍の一員として立派に務めを果たしていると聞いている。

 

「己に与えられた使命を少しずつこなしていく。そういう男ですかな。武はこれっぽっちも……」

 

 手に零れた酒を吸った後、ふっと息を吹きかけて視線を送る。

 

「この義勇軍では力が無くてはなぁ、将に推薦はできませんぞ?……それほど武は?」

 

「えぇ、清々しいほどに」

 

「はははっ! 清々しいほどですか! いや、残念ですな!」

 

 その一言に、私はほっと胸を撫で下ろす。

 

「だが北郷は老若男女に好かれる。何より子供によく懐かれる」

 

 その一言がおかしかったのか、周りから笑いが起きる。

 

「ガキかよ! どうせなら、劉備みたいに女に好かれりゃ良かったのにな!」

 

「ふっ、――だがあれでも私が育て、認めた男だ」

 

 静かに酒を飲み干すと、その笑いは一瞬に驚きに変わる。

 

「ということは、劉備は北郷ってのに負けたのか!」

 

 今度は劉備殿をからからと笑う男達。茶化すなと劉備殿が声を上げる。

 

「あのような軟弱な男に、この私が負けるはずが無いだろう?」

 

「勝った負けたの話ではありませんよ」

 

 空になった盃を見詰めながら、私は彼の未来を思い浮かべる。それは私の思い描く理想。

 

 ……確かに劉備殿は頑張ってはいる。その努力は認めよう。目的を果たすまでは私も武人として劉備殿に応えるつもりだ。

 

 だが北郷のそれは努力などでは到底埋めることは出来ない。……身体に沁みつき、溢れだすほど。

 

 またあの不埒な考えが頭を過る。それがどれだけ無駄なことか分かっているのに。

 

 ――未練たらたら、嫌な女にしてくれたものだ。北郷がすべて悪い。そうだ、責任を取れと詰め寄ってみるか。

 

 ……くくっ、どんな顔をしてくれるのだろうな。……楽しみだ。

 

 

(七)

 

「部下から聞いたのだが、物の値段が高くなっているらしい」

 

 賊の姿は未だ見えず酒を飲む毎日が続く。皆話題に飢えていたためか難しい話題でも一斉に喰いつく。

 

「義勇軍がいるんだから仕方ないさ。俺達が出て行く訳にもいかんだろ?」

 

「村の長は官軍にも助けを求めたと聞く。こちらに向かっているそうだぞ?」

 

「ちっ、官軍かよ……」

 

 官軍という一言に皆が肩を落とし、うんざりだと言わんばかりの顔をする。私もその一人だが、劉備殿だけは握り締めた拳を胸の前にして喜びを表現する。

 

「だがこれは良い機会だ。ここで官軍に認めて貰えれば……」

 

「なるほど、俺達にも運が向いてきたって訳か」

 

「――また皆の悪い癖が出ておりますぞ?」

 

 私はその雰囲気に釘を刺す。義勇軍の将たる者が欲に流されるなど、部下に示しがつかぬ上、始末に負えん。

 

「おっとっと……いやはや、いやはや」

 

「だが、守るためには力が必要ではありませんか。力を求めることは悪い事ではない」

 

 その話、ぜひとも北郷に聞かせてやってほしいところだが、

 

「まぁ、求めるのは一向に構いませんが、官軍だということをお忘れなく」

 

 所詮官軍。義勇軍など利用するだけの価値にしか思っておらぬのだからな……

 

 

 

 

 次の日、村は官軍を迎え入れる。私達も挨拶に向かったが……、よりにもよってこの私を品定めし、今晩良い声で鳴かせてやろうかなどと……

 

「ほぅ……、官軍の大将ともなれば、相当な腕前なのでしょうな? ――良いでしょう。この趙子龍、ぜひともお相手頂こうではありませんか!」

 

「この儂がたっぷりと、可愛いがぁ――!」

 

 龍牙を勢い良く回転させると、その場にいた全員が浮足立ったこと傑作。

 

「――今宵の一騎打ち、楽しみですな! これは選別。受け取られよ!」

 

 その首筋目掛けて振り下ろし、格の違いを見せ付ける。場は静まり返り、息を飲む音が聴こえてくる。――皆、良い顔をする!

 

 へたり込んだ男が、私を見上げながら言う。

 

「――い、一騎打ち!?」

 

 女性武官のための上官撃退術。黄忠殿、感謝致しますぞ!

 

「おや、何か? この私との真剣勝負に今更怖気付いたなどと? 貴公自ら申し込んだ勝負。官軍の大将が戦わずして、尻尾を撒いて逃げ――」

 

「痛っ! 痛たたた! きゅ、急に胃が――」

 

 どうやら勘づいたようだ。私の言葉を遮るように騒ぎ立てる。

 

 だが、誰もその場から動こうとはしない。官軍の兵士すらこの光景に唖然としていた。

 

 ――さて、流石にこれは予想外。どうしたものか。

 

 この状況にかなりまずいと察したのか、劉備殿にチラチラと視線を送り出した。

 

 それを察した劉備殿。これは大変と大声で駆け寄り、そのままどこかへ連れて行ってしまった。

 

 

 

 

 劉備殿は官軍の宴に席を設けることに成功し、今日も私の目の前で官軍の大将を褒めちぎっている。――何という鬼才よ。

 

 ……だがこのような姿、部下には見せられんな。

 

 驚くほどの贅を凝らした宴を前に、誰もが必死になって男の言葉に耳を傾けていた。

 

「良いだろう。功を立てたらこの私が官軍の将に推薦してやろうではないか」

 

 私は心の中で吐き捨てた。腐っても官軍の将だと――

 

 戦いになれば、彼等は御旗を高々と掲げるだろう。

 

 ……義を謳うも所詮欲のある生き物か。二人の言葉が身に沁みる。

 

 

 

 

「星ちゃん、人間という生き物は、誰しも欲があるのですよー?」

 

「そうよ、星。貴方が探している人物は、詐欺師か、偽善者よ」

 

 風までも私に真剣な眼差しを向けている。

 

「――っ、だが北郷は!」

 

「おうおう、姉ちゃん。あの兄ちゃんにえらくご執心じゃぁねぇかぁ?」

 

「……当り前だ。この私が育てたのだ。――そうでなくては困る」

 

「――やれやれ。これは重症ですね」

 

「ふふっ、お兄さんにご執心な純情星ちゃんは、お兄さん以外目に入らないのですねー。これではいつか、お兄さんの肉奴隷ですねー」

 

「なっ!」

 

 意味ありげな視線を風に向ける稟が、突如ビシッと眼鏡のズレを直しぶつぶつと呟き始めた。

 

「心許した北郷殿に、痺れ薬を盛られ縛られ……、き、気付けば後ろに北郷殿が……」

 

 三人で旅をしてからも稟の暴走は珍しくなかったが、登場人物に稟がいないのは初めてだった。

 

 一笑するも、二人寄り添っていたあの日の夜を重ねて、……私は息を飲む。

 

「『――馬鹿なことは止めろ、北郷!』だが、その声は彼の耳には届かず、精一杯の抵抗も己の身体を彼に擦りつけるだけで、逆に彼の劣情を煽り……」

 

 稟が『いっ、いけない。このままでは!』と、震えた声で語尾を強める。

 

「おやおや? 星ちゃん、さり気無くお胸を隠して……、あっ、稟ちゃんの仲間入りですかー」

 

 口元を隠し、ふふふっと私を覗き見る風。

 

 ――この私をからかっているつもりか?

 

「ふ、ふむ。そんな北郷――」

 

「――ぐぅ」

 

 ――おのれっ、風!

 

 っと、いかん。風よりもまずは稟の妄想を止めねば!

 

「稟、戻って来い!」

 

 彼女の肩を強く揺するも、稟の中の北郷は獅子奮闘の活躍で私を追い詰めていた――。

 

 ……稟が熱を帯びた吐息を洩らす。

 

 ――待て待て待てーぃ!

 

「稟ちゃんが登場した時点で、この展開は仕方がなかったのだと風は思うのですよ」

 

「風!? どこを向いている! 誰に向かって――!?」

 

「でないと稟ちゃんの出番がー、少なくて、少なくてー」

 

 ――くっ、風も壊れた! っ、いかん。風に気を取られているうちに……

 

「――稟、いい加減にしないか!」

 

「――ちっちっち。これ以上は有害指定ってやつだぜ」

 

「稟ちゃんの成長が、風は眩しいのです――!」

 

「『……俺のものになれ』と。……例え否定しても、彼を求めて――!」

 

「おぉ! 星ちゃんがお兄さんに、とうとう言ってはいけない台詞を~!」

 

「――この、淫……」

 

 稟と宝譿の言葉は最後まで紡がれる事は無かった。

 

「……冗談です」

 

 してやったりと濡れた口元に笑みを浮かべ、ズレた眼鏡を持ち上げる稟。

 

「わぷ、星ちゃん、何故風に……、風は悪く無いのですよー!」

 

「悪いの、俺、俺!」

 

 非難しつつも、まだ私をからかう風。

 

 だが、これは――!

 

 私の熱い視線に気付かず、二人は不思議そうに顔を見合せていた。

 

 

(八)

 

 ふむ、ついつい思い出しすぎてしまった。まぁ良い。さっさと目的を果たし、北郷を雨に濡らして姉上の見舞いに――

 

 ――殺気!

 

 振り向きざまに槍を掴むと、釣られるように皆が扉へと視線を向ける。

 

「どうされた……趙――」

 

 その姿を見た途端、私は動けなくなってしまった。

 

 怒り……、憎悪……、軽蔑……。薄汚れた表情をみるみると変化させながら見渡した後、突き刺すような視線を私達に落とした。

 

 動けるはずがなかった。深く息を吸い込み、震えながら吐きだす彼を見ては――

 

 

(九)

 

 北郷の登場で場は騒然する。彼を遠ざけようと部下が立ち上がった途端、劉備殿が北郷を怒鳴りつける。

 

「場を弁えろ! ここはお前のような者の来る場所では無い!」

 

 ――帰れ!

 

 誰もが無言で成り行きを見守る中、部下に付き添われてこの場から出て行く北郷。……私もこの場から離れ彼の元へと向かう。

 

 外に出た途端、私に冷たい視線が向けられる。

 

 何という迂闊。北郷と言う人物を語るべきではなかった。この一件で北郷という人物の評価は……。そして何という失態。義勇軍での私の立場も危うく……、そうなってしまっては、計画に支障が出てしまう。

 

 そんな小さな焦りに、私は勢いに任せて彼を非難してしまう。

 

「この馬鹿者! 何をしている!」

 

 それがどれほど浅はかなことだったか。瞬時に気付いても、零れた水はもう元には戻らない。

 

「――それはこちらの台詞だ」

 

 失望を滲ませて、この私を睨みつけるのだ。

 

「豪勢に昼間から酒を飲んで宴会かよ。飯を食えない人達だっているのに……」

 

 ――なっ!

 

 私は一瞬で理解した。彼がまた私から遠退いたことを。……このままでは北郷との関係が終わってしまうかもしれない。

 

 あの一言が、彷彿とよみがえる。

 

 ……嫌だ。

 

 部下が私と北郷の間に割って入り込み、苦し紛れの言い訳を始める。

 

「村人を守る為に――」

 

「何が――!」

 

 案の定北郷は声を荒げる。冷静さを取り戻した私は、彼がここに足を運んだ理由を考えていた。そんなことを言いに来たのではないはずだ。

 

 私はその会話を途中で止め、話を戻すことにする。

 

「落ち着け、北郷!……何故ここに来た? 目的は何だ!?」

 

 私の一言で、若干冷静さを取り戻した北郷が静かに告げる。

 

「……官軍が来てから、物価の上昇が起こっている」

 

「だろうな」

 

「もう村人達が手を出せる金額じゃない」

 

 そのことは私も、義勇軍の皆も危惧している……

 

「相分かった。だがこの村から我等が離れれば、それこそ賊に襲われて――」

 

「そんな事は分かっている! だから兵糧の一部を村の人達に分けてやれないだろうか?」

 

 ――それができれば苦労はしない!

 

 だが北郷を避ける為にと、宴会に参加し続けた私にその台詞を言う資格はない。

 

 糧を提供できない理由など一切通用しない。義勇軍の正義は今、彼にあるのだから……。

 

「毎日贅沢に酒飲んで宴会してる癖に、余裕が無いって言うのかよ!」

 

 正論で問い詰めてくる北郷に勝てるはずも無く、逃げ道を失い、頭に血を上らせた部下は腰元にある剣柄に手を伸ばしてしまう。

 

「き、貴様! 誰に向かって口を利いている! 趙雲殿の知り合いだからと言って、調子に乗るなよ!?――無礼者奴が!」

 

「許してやってくれ。後で私からしっかりと言い聞かせておく。……北郷。此処には義勇軍、官軍もいるのだ。時期に商人達が物を売りに、この村までやって来る。安心しろ」

 

 安心させようとしたその一言に、彼は慌てて反論する。

 

「趙雲、そんな保証なんて――」

 

 ……確かにない。

 

 だが噂をすれば何とやら。考えるのを止めにして北郷に向き直る。

 

 商隊の到着を耳にした部下は、笑いを堪えながら北郷の肩を数回叩く。

 

「来たそうだぞ? これで一安心じゃないかぁ、北郷君?」

 

 部下は茫然と立ち尽くす北郷を挑発し、宴席へと戻ってしまう。彼が去ってしまったことで私も席へと戻らねばならない。

 

 ……これはネタにされる。考えるだけでも憂鬱だ。

 

「北郷、余り恥をかかせないでくれ……」

 

 このままでは義勇軍で動き辛くなってしまう。せめて仇を討つまでは大人しくしていてほしい……

 

「っ!……でも趙雲、急に物の値段が下がる訳じゃない。村の貧しい人達は――」

 

 その苦し紛れの言い分がどれほど陳腐に聞こえることか。だが私は違う。ここにいる誰よりも――

 

「趙雲殿、何をしている! 早よー来られよ!」

 

 劉備殿に思考を遮られ、無情にも私達二人の時間は終わりを告げてしまう。その声は明らかに北郷を見下している。……不愉快だ。上に立つ者としてそれでは困る。戒めねばなるまい。

 

「北郷、すまんな。もう行かねばならん。何、心配する事は無い。後は我々に任せておけ。……今、余り持ち合わせは無いのだが、……好きに使え」

 

 この義勇軍で得た給金を袖から取り出し、そのすべてを北郷に手渡す。今私にできることはこれくらいしかない。少しでも村人の飢えを凌ぐ事ができるはずだ。

 

「――違う! 俺の言いたい事は!」

 

 

(十)

 

 例え話の途中だとしても、私は彼に背を向けて宴席へと戻る。

 

 案の定、下座に座っている者達は北郷をネタにして一杯やっていた。

 

「あれが趙雲殿の認める北郷殿ですか。それにしても大変でしたなー」

 

 それを無視して、私は飲みかけの酒を一気に煽る。私が何も言わないでいると、調子に乗って彼を笑い始めた。

 

 我慢など出来るはずがなかった。盃を置く手にも力が入る。

 

「村人達が苦しんでいると、心配し、相談に来た部下を笑いのネタにするようでは……、これでは先が思いやられますな!」

 

 静寂に包まれるも一瞬。官軍は再び己の出世話に花を咲かせ始め、すぐに賑わいを取り戻す。

 

「趙雲殿は、北郷殿をやけに庇いまするな」

 

「何が言いたいのですかな?」

 

 私の怒りを含ませた声色に口籠るも、負けじと言い返して来る。

 

「み、見ていれば分かる!」

 

 劉備殿も私に疑いの目を向ける。

 

「確かに。私は彼を信じておりますからな。だからと言って贔屓には致しませぬ。我が目的を果すまではこの義勇軍の一将。もし彼が邪魔をするようであれば……」

 

 ――私自ら、この義勇軍から追い出しましょう。

 

 

 

 

 宿にある自室へと戻ると、すぐさま床に頭から倒れ込んだ。

 

 ――義勇軍の皆は、分かってくれたようだ。

 

「確かに。部下の失敗を笑うなど、上に立つ者として相応しいとは言えない。すまなかったな、趙雲殿」

 

 それが劉備殿の答えだった。皆も間違いに気付いたのか次々と改心していく。

 

「うむ、少々早計だったようだ」

 

「趙雲殿のお陰で、間違いに気付けて良かった。感謝致しますぞ」

 

「――分かって頂ければ結構。北郷もまだ慣れない環境からか、少々焦りすぎているようだ。皆に迷惑を掛けてしまった。許してやってくれ」

 

「表を上げてくだされ、趙雲殿。貴女が悪い訳ではありますまい!」

 

 それから北郷の話題は出なくなった。

 

 私は思う。どんなことでも失敗から学ぶ姿勢が大切なのだと。それが自らの成長へと繋がって行く。

 

 ――皆が成長している証拠。この義勇軍の将来もまた、私の楽しみの一つになった。

 

 

(十一)

 

 目が覚めて、ふと北郷の荷物が目に入る。そういえば彼の荷物を預かっていたままだった。持ち主がそこにいるのに、いつまでも私が預かっておくのもどうだろうか……。

 

 直接手渡すのは論外。誰かに頼むも、途中で中を見られては厄介だ。……下手をすれば北郷が殺されかねん。そう考えれば私が預かっておいたほうが……。

 

 いや、さすがにそれは過保護すぎる。自分の荷物くらい管理できぬようでは、これから先が困るというもの。

 

 そうと決まれば早いほうが良い。鈍った体にも丁度良い運動となろう。

 

 誰にも知られること無く彼の天幕に忍び込み、この荷物を置いてくる。ちょっとした悪戯気分だ。……皆が寝静まった夜にでも決行するとしよう。

 

 しかし、その機会は突如訪れることとなった。商隊がやって来たのだ。美味くて安い酒が買えるとあって、人が集まり長蛇の列ができて行く。

 

 商隊の周辺を除き辺りから人の気配が消え失せ、機を見て敏なりと、私は容易く北郷の天幕へと忍び込む事に成功した。

 

 天幕の中を見渡した途端私は目を疑った。北郷の刀袋を見つけたからだ。手にすれば硬い感触が伝わる。

 

 ……不用心にもほどがあるぞ!

 

 北郷の性格に呆れつつも、長居は無用だと預かっていた荷を放り投げ、その上にそっと彼の刀を置き天幕を後にした。

 

 

(十二)

 

 三度目の商隊が物を売りに来て、しばらく……

 

 久しぶりに義勇軍の様子でも見に行ってみるかと、劉備殿が立ち上がった。

 

 一足先に宿の外に出て、辺りの気配を探る。

 

 ――ふむ、驚いた。

 

 物陰からこそこそとこちらを窺う者がいたのだ。それで隠れているつもりなのだから、驚くなと言うほうが無理な話……。

 

 だが私の頭に予感めいた何かが閃く。――いや、分かってしまった。

 

 ……な、何をしているのだ!

 

 劉備殿が歩きだす。私は彼の護衛として付き従うしかない。

 

 ……出て来るな。そのまま隠れていろ。――北郷!

 

 だがそんな願いが彼に届くはずもなく、彼は物陰から劉備殿の前に現れた。

 

 それは一兵卒の有り得ない行動。劉備殿の命を狙う刺客以外にありえない。

 

 ――このままでは北郷が危ない!

 

「劉備さん! いろいろと忙しいようだから書簡にしてきた。時間出来たら読んでくれ!」

 

 言葉通りに、手元には書簡らしき物が握られてはいる。が、それを見す見す許す私では無い。

 

 早足で近付いて来る北郷を問答無用で地面へと叩きつけ、腕を取って彼の動きを封じる。

 

「北郷、何を考えている!?」

 

 北郷は手元にある書簡を握り締め、苦しそうに言う。

 

「許してくれ。君の顔に泥を塗るかもしれないこの書簡。だがこの状況を黙っている訳にもいかない!」

 

 ――この私を信じられずに、このような愚かな行動を取ったと言うのかっ。

 

 目の前の北郷に嫌悪を抱く。

 

「……泥を塗ること前提で、直訴だと?」

 

 ――もうハッキリと伝えよう。

 

「――邪魔だ」

 

 背後では幾つもの嘲笑が北郷に向けられていた。劉備殿は私を宥め北郷の意志を汲む。

 

「まぁまぁ、良いではないか趙雲殿。北郷とやら、後でしかと読んでおくとする」

 

 その言葉で北郷の腕を離し、彼の書簡を奪い取って劉備殿に手渡す。

 

 劉備殿は気にも留めずに歩きだす。誰もがこの件に関しては沈黙を守っていた。

 

 私は劉備殿の懐に入れられた書簡のことばかり考えていた。

 

 私の邪魔をしてまで伝えたいこととは?

 

 そうだ、宴の席でそれとなく話を振ってみるか。一体何が書かれていたのかと。

 

 

 ――そして私は、驚愕の事実を知ることとなる。

 

 

あとがき

 仕事から帰るとぐったりで、睡魔に襲われて頭働かず……。眠い頭で推敲を繰り返して、この文章じゃまずいよなーっと、再度推敲。なんとか形にできたかと。――もう七月ですよ。遅くなってすいません。

 

 十一章では、趙雲は志を曲げて、仇を討つために義勇軍で奮闘しているわけですが、事情を知らない北郷が結果的にそれを邪魔してしまうという、二人のすれ違いの話でもありました。深く考える必要はありません。そのあと喧嘩して、十二章で仲直り。思い出して頂ければ幸いです;

 

 ――趙雲視点、こんなもんで許して下さい。

 

 昇龍伝、十二章にも沢山のコメント、応援メッセージ、ありがとうございます!

 返事が遅くなったお詫びと言いますか、コメント返しの後に、華琳ネタと孫堅、孫策ネタを考えてみました。試作みたいなものですが;

 

 それでは、またの機会に!

 

 

○コメント返しのページ

 第十二章のコメント返しになります!

相駿様

――最初、趙雲に真名を教えてもらい、呼ぼうとしたら槍を持たれたのがショックだったとか?(違 本命は、趙雲も言っていたように、いまさらなんでしょう。さて、どこで彼が趙雲の真名を呼ぶか、注目していただければ。あ、華琳は一刀の探索はしていません。逃げられたと舌打ちしつつ、忙しいので放置ってところでしょうか?それとも、自信?

 

tyomeko様

――恋する乙女趙雲、ここに極まれり、ですよ!

 

双神様

――本編でもボールペンは活躍ですからね。使えそうなものはどんどん使おうかと。

 

山県阿波守景勝様

――ご心配おかけしました! 仲直りしたらしたで……次回をお楽しみにw

 

超腹様

――北郷の性格、裏側ではポイントでしたね。許してくれるだろうと思っていたら、このざまですよ。

 

鳳蝶様

――さぁ、趙雲。この戦いの後どう動く? そんな感じですね。次回もお楽しみに!

 

ジョージ様

――この落ち着きよう、何かある!? と見せかけて、緊張感にかけているだけだったりしてw 次回をお楽しみにw

 

リョウ流様

――星だけに。っと、後につければ、きっとぶん殴られいたことでしょうね。NTRと言うわけではありませんが、逆の可能性は大いに秘めていたり……。がんばれ趙雲! 華琳様ですと? 噂をすれば登場するかもしれません。嘘です。今のところ予定はありません。そんなリョウ流様には、おまけのネタで楽しんで頂ければ幸いです。

 

ロンギヌス様

――まさに夢を与える……、良いお仕事されてますよね。将来、彼の耳元でその台詞を言うのは、誰でしょうね!?

 

KG様

――ありがとうございます! 頑張ります!

 

trust様

――真名ってやっぱり魂に近いですよね。真名に関しては理解しきれていなくとも、趙雲という人物を理解していたからこそのあの一言。趙雲には、苦くも嬉しい思い出になったと思います。

 

toki様

――二人が同じ志を持っていれば、揺るぐことはないでしょう。

 

ルーデル様

――確かに。書いてる側も面白くないです; でも、障害があってこそですよ。

 

サイト様

――そうですね。前とは若干違うかもしれませんが、戻ったと言って良いかと。あと軍師一刀?の挑戦、お楽しみにw

 

夜の荒鷲様

――劉備の、趙雲騙し。小悪党ではなく、もはや大悪党ですよ!

 

とらいえっじ様

――安心していただけて、作者として何よりです。ご心配おかけしましたー

 

Do m.aoi様

――ふふっ、どうでしょうw 夢とは不思議なものですから。二人仲直りです。良かった良かった!

 

K5810様

――そういうのも面白いですね! でも趙雲と一騎打ちはさすがに一刀が可哀想です!

 

MATSU様

――仲直りですよ!ご心配おかけしました! 少々乙女すぎる気も致しますが、気にしない! 光栄至極です!でも昇龍伝が読めるのはTINAMIさんだけですw

 

jack様

――お待たせしました! 誤解も解けて仲直りです。良かった!

 

ジョン五郎様

――おまけネタで許して下さい; 劉備の口説きシーンは、結果わかってますし、可哀想ですし……。男って生きもんはー、こんちくしょぃ! と皆さんにお任せです(投

 

jackry様

――戻りましたよ! もはやフルスロットル全開ですね!

 

gmail様

――二人の絆は本物なのです! 思えば二人の日常はいつごろ書けるのかと。ちなみにバネが見つかった場所は~、わかりますかね?w いろんな意味で、幸せだったと思います。

 

AI様

――け、結構な量なのに! お疲れ様です。そしてありがとうございます! 華琳様は要注意ですね。

 

clock111様

――無事だったこと、心に沁みてると思いますが、取り敢えず今は何も考えず、メンマ喰う。でしょうねw

 

poyy様

――うむ。テスも同意!これからどんどん恰好イクなるヨ!

 

ポポ様

――艶文の件。笑い話で後々語ってもらう予定ですので、気長にお待ちください。星が嫌な女に見えれば、テスとしてはやりたい事ができたかなと。

 

havokku様

――趙雲の視点で補完してみました。こんな感じになります。たじろいた理由は、苦しんでいる人がいるのに、贅沢していたことを追求されたため。話の途中でも戻ったのは、義勇軍の仲間にいらぬ疑いを持たれぬため。金を渡したのは、彼女は上手く立ち回らないといけないので、一刀に任せたほうが良いと判断したため。こんなところでしょうか?

 

紫電様

――貴重なお時間ありがとうございます! 話を考える中、一刀の荷物で二人の共通認識というのがポイントでした。本編でも、ボールペンは大活躍ですし、良いアイテムです。更新が非常に遅いので、のんびりとお待ちいただけると嬉しいです。

 

砂のお城様

――大切なお時間を昇龍伝に! ありがとうございます! 話の都合上、どうしても唐突になってしまいました。その辺りの話は、また後にでも簡単に補完できればなと。今のところは、仇を探すような出来事があったという前提で、お楽しみくださいませ。

 

第十一章のコメント返し

moki68k様

――長い人生、喧嘩の一つや二つですね。か、華琳様のデレで萌えをご消耗ですと!?

ではコメントの最後のページに……未熟者ですいません!

 

第四章のコメント返し

AI様

――そう言っていただけて、なによりです!

 

 

おまけ(作品、本編とはたぶん関係ありません)

 

『陳留の有名人』

 

 軍議の間にて――

「華琳様」

「秋蘭! 一刀は帰って来たのかしら!?」

「い、いえ! まだのようです」

「――そう」

「ぐぬぬ、北郷のやつ、どこをほっつき歩いている! 華琳様に心配をおかけするなど!」

「落ち着け姉者。華琳様も北郷殿が心配なのは分かりますが、そうあからさまに――」

 ――ガタッ!

「べ、別に一刀の帰りが遅いからって、心配なんか――!」

「そ、そうだぞ、秋蘭! 華琳様はお仕置きが楽しみで、そわそわしているだけだ!」

「(……ざわざわ)」

「(……姉者、気を回し過ぎだ)」

 

 ――それから一刻後。

「以上、解散!」

 だが席を立たない華琳に、誰もが速やかにその場を後にして行く。

 最後の一人が頭を下げて出て行った後、彼女は静かに動き出した。

「か、華琳様! なぜ無言で物を投げてっ、い、痛いです!」

 

 ……曹孟徳、陳留で早くもその人と成りが知られている有名人である。

 

 

『無垢な娘』

 

 南陽からの帰り道――

「雪蓮」

「……何よ」

「母が思うに、あの北郷という太守、……男では無いぞ」

「……じゃぁ、何なのよ」

「――!?」

「馬鹿なこと言ってないで、さっさと帰るわよ!」

 

 

『可愛い娘』

 

「雪蓮」

「……こんどは何よ」

「年下の父親、ほしくないか?」

「……いらないわよ、獣(ケダモノ)!」

「――!?」

 

 

『恋する娘』

 

「雪蓮」

「……」

「あ、北郷君!」

「えっ!?」

「――ププッ」

 

 

『孫文台』

 

「おや、どうされた堅殿? ちびちびと酒を飲まれて」

「祭~! 雪蓮がとうとう口を聞いてくれなくなった……」

「策殿から伺いましたぞ? 堅殿が悪い」

「だってさー、接し方わかんないしさー、何気に反抗期だしさー……」

「反抗期でなくとも……、まぁ堅殿では仕方ないかのぉ」

「あー、あの子が好きな男迎えてさ? 子供産む頃までにはさ? このきな臭い世の中を何とかしてやりたかったんだけどって……、祭、何笑ってるさ?」

「ささ、堅殿。この公覆の盃、受けて下され!」

「お? お、おー……。祭も飲め飲め!」

「おぉ、さすが堅殿!」

「仕事をサボって真昼間から酒盛りとは、さぞ美味なのでしょうな、二人とも?」

「「――げっ、程普!!」」


 
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