No.149528

真・恋姫呉√アナザー~戦場に響く二つの鈴の音~第七話・後編

秋華さん

秋華「なんかだるいんですよ…風邪ですか?」

医者「……風邪ではないみたいですけど…すいませんが少しこれやってみてくれませんか?」

秋華「なんですかこれ?」

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2010-06-10 20:40:22 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:11711   閲覧ユーザー数:9454

 

~一刀side~

 

目をつぶっていると思い出してしまう。

 

この手で殺した人達の顔を…

 

恐れている顔、絶望している顔、何が起こっているのかわかっていない顔…

 

俺は人を殺してしまったのだ…

 

一刀(そんな者たちなど死んで当然ではないか?お前も見ていただろう?あの惨劇を…)

 

もう一人の俺が声をあげる。

 

そうかもしれない…でも殺す必要はなかったのではないか?

 

一刀(何を甘いことを言っているのだ?やつらは人ではなかった。ただの獣だ…そんなやつらなど死んで当然ではないか!!)

 

そう…なの…か…

 

一刀(当たり前だ…お前は怒りに任せて武を振るったが、それは間違っていない…その手でお前は人を守ったんだぞ?)

 

そうなのかも知れない…でもなら何故こんなにも俺は苦しいんだ?

 

一刀(それは今だけだ…初めて人を殺したから気が滅入っているだけだ。その内、人の死など何も感じなくなる)

 

………そうか

 

一刀(そうだ。だからもう何も考えるな…)

 

そう言って話していた俺は居なくなる…だが、また違う俺が姿を現す。

 

一刀(その血で汚れてしまった手で人を笑顔にできると思うのか?)

 

え……

 

一刀(血で汚れている手で子供達と遊ぶつもりか?人を殺したことに何も感じず笑顔でいられるのか?)

 

そ…それは…

 

一刀(あの時だってあの者たちを殺す必要は無かったのではないか?怒りに身を任せて殺すより、殺さずに罪を償わせるだけでも良かったのではないか?)

 

お…俺は間違ってなんか…

一刀(本当にそう思っているのか?俺よ…人を殺して出来た平和で皆を笑顔に出来ると本当に思っているのか?……答えろ北江清よ!!)

 

やめてくれ…

 

一刀(現実からいつまでも目を背けれるわけが無い…忘れようとしたって無駄だ。お前の手は血で汚れてしまったのだ…)

 

もう…これ以上俺をせめないでくれ…

 

一刀(お前はもう…)

 

やめてくれ!!!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無音

 

もう何も考えたくない…

 

もう何もしたくない…

 

もう…

 

これ以上…

 

俺を苦しめないでくれ………

 

~一刀side・終~

~思春side~

 

思春「さて…方法は思いついたが…まず…なにからすればいいかな…」

 

そう言って私は城に戻ろうとすると、近くに人の気配を感じた。

 

思春「こんなところにいったい誰がいるというのだ…?」

 

疑問に思い気配が感じる場所に行くと、そこには顔を伏せてすすり泣く蓮華様が居た。

 

蓮華「!!……そこにいるのは誰!?」

 

こちらに気がついたのか蓮華様が涙を拭いてこちらを向く。

 

思春「私です…蓮華様」

 

蓮華「思春…どうしたのこんなところで…」

 

思春「…蓮華様と同じだと思います…」

 

蓮華「そう…」

 

そう言うと蓮華様は視線を外した。私は蓮華様の傍に座り視線を合わせた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

 

そうやって何も言葉を交わさないまま少し時間がたつと、蓮華様が喋りだした。

 

蓮華「……私達は今の一刀に何が出来るのかしらね…」

 

思春「は…」

 

蓮華「…私は…普段気付かないだけで、いろんなものを一刀から貰っていたのね…今の状態になってやっとわかったわ…ホント遅いくらい…」

 

そう言って蓮華様は、ただでさえ小さくなっていた体をさらに小さくする。

 

蓮華「…そのありがたみがやっとわかったのに…やっと…やっと…彼の凄さがわかったのに…私達はそれを失ってしまった…もうどうしたらいいか私には思いつかないの…これでも次期王なのよ?笑っちゃうわ…ホント笑っちゃうわね…」

 

蓮華様の声は掠れていて、良く見ると目を真っ赤に腫らし、涙が零れ落ちていた。

思春「…蓮華様…先ほど私は…とおっしゃいましたが、それは多分私達も同じだと思います。一刀の凄さと言うものは普段なら気付かないもの…それどころか嫌悪感を覚えてしまうものでもあると思います。…こうして無くなってからじゃないとそのことに気付きません。それがどれほど大きいものだったとしても…です。」

 

思春「しかし…それはまだ完全に失ったわけではありません。…私達がそれを取り戻してあげればいいのです。…私は一度一刀と同じようになりました。その時私は考えることを止め、自分を偽りながら剣を振るいました。…だけど一刀は違う」

 

蓮華「違う?」

 

思春「はい…きっと一刀は自分を偽ることをせず向き合っていると思うのです。きっと誰よりも人のことを考えている一刀だから…自分の行いを安易に正当化できないと私は思うのです」

 

蓮華「…私も考えることをやめてしまったわ。理解もせず、そうなんだと決め付けて自分の行いは正しいのだと勝手に思い込んで…」

 

思春「私も…いえ…たぶん他の人たちもそうなのです。そうでないと人は殺せない…私はそう思います。」

 

蓮華「そう…ね。でも…そうなると一刀は私達には助けられないわ…だって私達は考えることをあきらめてしまったのだから…」

思春「そうでしょうか?…私はそうは思いません。たしかに一時はそう思いましたが今は違います」

 

それを聞くと蓮華様は顔を上げてこちらを見る

 

蓮華「…違うの?」

 

思春「はい。…実は昔のことを先ほど思い出しまして、そこで気付くことが出来ました。…たしかに一刀が今考えていることの答えはわかりません。しかし…一刀自身答えを見つけるための手助けは出来るのではないでしょうか?一刀は昔言っていました。”もし自分が怪我をしても皆の笑顔を守れたと思えればそれでいい”と…今の状態は同じことじゃないでしょうか?」

 

蓮華「…怪我?今一刀は怪我なんてしてないのでは?」

 

思春「たしかに体はどこも異常はありません。…しかし心には大きな怪我をしています。」

 

蓮華「こころの…怪我…」

 

思春「はい。…今一刀は心に傷を負っています。しかしそれを治すのは私達ではありません。一刀自身です。しかし、その怪我のおかげで守ることが出来たもの…それを教えてあげることは出来るはずです。そして…私達はもう知っているはずです。その怪我の特効薬を…」

 

蓮華「心の怪我の特効薬…私は知っているというの?」

 

思春「はい。…なにせ今怪我をしている本人が知ってか知らずか実践してきましたから…」

 

蓮華「……!!そういうことね。」

思春「お分かりになりましたか?それこそが私達が一刀に出来ることです。きっと一刀は元に…いえ…前以上の存在になります。…そうでなくては私との約束は守れません…一刀は約束はちゃんと守る男ですから。」

 

そういい終わると、先ほどとはうってかわって蓮華様が笑い出した。

 

思春「…どうされたのですか?いきなり笑い出して…」

 

蓮華「うふふふっ…ごめんなさいね。…ずいぶん一刀のことわかっているんだなぁと思ってね。さすが昔から付き合いがある人は違うわ。まるで…長年連れ添っている夫婦みたいよ?」

 

思春「な!///////ち…ちがいます。これくらいのことは一刀を見ていればわかることです!!」

 

蓮華「あら?…私も一刀のこと見ていたけどわからなかったわよ?つまり…思春はよっぽど一刀のことを見ていたのね?」

 

思春「///////そ…それは…」

 

顔がどんどん熱くなるのを感じ、心臓の音がうるさいぐらいに響いている。

 

思春(蓮華様ってこんな人だっただろうか?)

 

そう思ってしまった。

 

蓮華「あら…これならまだ私にも勝ち目があるかしらね?…思春?」

 

思春「/////な…なんでしょうか?」

 

蓮華「あなたには負けないわ。…少しでも勝ち目があるのならそれを掴み取る。それが孫家の女よ。…でも、あなたとはそれをぬきに友達になりたいわ。家臣とか姫と臣下の関係じゃなくて…心を許しあえる友達に…だめかしら?」

 

そう言って蓮華様はそっと手を差し出した。

 

思春「…私でよろしければ…よろしくお願いします。」

 

私はその手を掴み握手をした。

 

蓮華「…あらためて宣戦布告をさせてもらうわ。一刀の一番の傍に居るのは私よ?」

 

思春「////////心を許した友達なら隠し事はしません。…負けませんよ?」

 

蓮華「そうでなくては…ね。…それで方法はわかったけどどうすればいいのかしら…?」

 

そう言われ、自分が考えていた方法を蓮華様に話す。

 

思春「そうですね…まずは皆に呼びかけてはいかがでしょうか?他の皆様も方法はわからないでも何とかしようと考えているはずですから…」

 

蓮華「そうね…でもお姉様は多分答えはわかっているんじゃないかしら?」

 

思春「……そうなのですか?」

 

蓮華「ええ…お姉様は政務を抜け出しては町に行って、民の人の手助けをしている人だから…思春と同じ考えに行き着くのも不思議ではないわ」

 

思春「わかりました。それでは私は雪蓮様を探してきます。」

 

蓮華「ええ…それ以外の人は多分城に居ると思うから私が集めておくわね。…場所は中庭がいいかしら?」

 

思春「はい。…皆で準備してその後に一刀を連れて行きましょう。…それでは私は行きます」

 

蓮華「ええ…お願いね。」

 

その言葉を聞き終わると私は雪蓮様が居るであろう場所へと急ぐ。

 

私の心はとても晴れやかだった。

 

~思春side・終~

 

~居城・中庭~

 

雪蓮「それで?私達を集めて蓮華と思春はどんな話があるのかしら?」

 

皆を中庭に集まると、雪蓮が集められたものを代表して聞いてきた。

 

蓮華「はい。説明は思春がします。これを思いついたのは思春なので…思春お願いするわね?」

 

思春「わかりました。それでは…こほん。今一刀は部屋から出ることをせず、しかも何も喋らない状態だと言うことは皆様も知っていると思います。」

 

思春がそう言うと雪蓮達はそれに頷く。

 

思春「このままではいけないと私は思い、ある妙案を浮かびました。正直言えばこれですべてがうまくいくとは言えないですが、一刀の助けになると私は思います。」

 

穏「それはほんとですか~」

 

思春「はい。一刀が今陥っているものは、私が以前なったものと同じものだと思います。そしてこれは初めて人を殺した者も陥ることだとも言えます。」

 

祭「そうじゃな…初めて人を殺すと自分が怖くなったり、分からなくなったり…殺した人の顔が浮かんでうなされたり…そういう状態になるということじゃな?」

 

思春「そうです。しかしそれだけではないと思います。…一刀は多分、自分の行いが正しいのか?自分は間違っていないのか?そして…血で汚れてしまった手で、自分が掲げた志が叶うのか?そう思っているのではないでしょうか?」

 

思春がそう言うと、他の皆もなるほどと考え込む。

 

冥琳「たしかにな…一刀ならそう考えるのも頷ける。あやつは優しいし、いろいろ考え込んでしまうところがあるからな…」

 

雪蓮「そうね…私も思春が言った通りだと思うわ。一刀は獣にまで落ちてしまったものでも人として考えしまう。そのせいで割り切ることが出来ないのね…」

 

他の人も同じようなことを呟く。

 

思春「はい。私達は賊を人と見ないことで、”人を殺している”ということを深く考えないようにしてきました。しかし一刀はそれをしない…というよりも出来ないといったところでしょうか?…しかしこのままでは一刀の心が持ちません。」

 

祭「そうじゃな…もしこのままの状態が続いてしまえば、最悪廃人…もしくはただ人を殺すだけの獣になってしまうじゃろう…それで思春はどうするつもりなのじゃ?」

 

祭が思春に先を促す

 

思春「それでは妙案をお話します…そして皆様にはやってもらいたいことがいくつかあるのでよろしくお願いします。」

~一刀side~

 

別の自分と話してからいったいどれくらいたったのだろう…

ふと窓から外を見ると、もうあたりは真っ暗になっていた。

 

思春「一刀?入るぞ…」

 

そう言って扉を開けて思春が入ってきた。

 

思春「一刀、これからちょっと外に出ないか?見せたいものがあるんだ。」

 

思春がそう言って俺の手を掴んで外に出そうとする。

 

見せたいもの?

 

少し興味を持つことが出来るが…正直この部屋からでたくない。

 

なんで皆俺にかまうのだろう…

 

俺の事なんかほっといていいのに…

 

だから俺は部屋から出ないように動くことをしなかった。

 

でも結局思春の力には勝てず、部屋の外へつれていかれた。

 

一刀「……それで?どこに連れて行くんだ?」

 

思春「すぐに分かる」

 

思春は答えを言わず、中庭へ俺を連れて行った。

 

そして俺は目を疑うのだった…

 

 

 

 

 

 

そこは月の明かりと蝋燭の明かりに照らされていた

 

 

 

 

 

 

そこに鳴り響く人の笑い声と歌声、それを引き立てる楽器の演奏と手拍子

 

 

 

 

 

 

とても食べきれないんじゃないかというぐらいのご飯と、お酒。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

普段城で見ることが無い民たちと、城に住んでいる武将達の…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑顔があった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「………これはいったいどういうこと?」

 

思春「実はな…これはすべてお前を元気付けたいと思っている人たちだ。」

 

一刀「……え?」

 

意味が分からない。

 

思春「はは…正直ここまで大事になるとは思っていなかったんだが…まぁそれだけ一刀は人に好かれていて、心配されていたということだ。」

 

さすがにここまでの予想はしていなかったらしく、思春は引きつった笑いをした。

 

一刀「そうか…それはありがとう。…でもどうしてこんなことを?」

 

思春「それはだな。一刀が今悩んでいるというか…考えていることの手助けが出来ればと思ってな…」

 

一刀「…思春は俺が考えていたことが分かるの?」

 

思春「予想はしていたよ。そして他の皆もな…今一刀が考えていることは民以外全員が通る道だから…」

 

思春はそう言いながら握っていた手の力を込めた。

 

一刀「なら…思春はこの答えを知っているの?」

 

俺はその答えが知りたかった。

 

でも、返ってきた言葉は俺が望んでいた言葉じゃなかった。

 

思春「そうだな…私なりの答えは出ている。しかしそれを一刀に教えることは出来ない。」

 

一刀「どうして?」

 

思春「それは、人によって答えが違うからだ。それに…私と一刀では少し違う。私はこの問題を割り切って考えてしまっている。多分他の人もそうだろう…。だからもしここで私の答えを言ってしまっても、参考にもならないだろう。だけど、先ほども言ったように手助けは出来る。そして願うなら、一刀が出した答えが、良いものであってほしい。」

 

一刀「そっか…本当にありがとう。」

 

俺は思春の心遣いに涙が出そうだった。

 

こんな俺でも見捨てないでくれた思春や他の武将達、そして民達に自分が出来る精一杯のお礼を”ありがとう”にこめた。

 

やっと俺は前に進めたのかもしれない。

 

まだ答えを出すことはできていないけれど、きっかけは出来たんだと思う。

 

後は自分で答えを探すだけ…

 

そして答えがなかなか見つからなくても悲観する必要はない。

 

だって…俺にはこんなにも俺を大切に思ってくれている人がいるんだから…

 

~一刀side・終~

 

やっと戻ってこれたぞ~!!!

 

ども秋華です。

 

思春「おい…最初に書いてあったことは本当なのか?」

 

事実ですね。いや~今までやっていたことをしばらくやるなといわれた時は、”殺すつもりか!!”と思いましたね。

 

思春「どうしてやるなと言われたんだ?」

 

なんでも。私のストレスの原因が何か分からないから、全部やめてほしいと言われまして…

 

思春「それは……お疲れだな。」

 

ある意味貴重な体験をしたと思い込みます。

 

では。次回ですが、今回一刀を励ますための宴を少し書きましたが、その内容を書きます。

 

思春「今回はさわりみたいだったしな。」

 

そうですね。だって多分拠点みたいになるような気がして…

 

なので次回は宴・拠点編になると思います。

 

思春「私の拠点はあるのか?」

 

たぶん…

 

思春「たぶんってなんだ!!」

 

まぁそれはそれとして、ひさしぶり今日の思春ちゃんのお時間です。

 

思春「無視するなぁ!!!」

 

今回は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病気記念・ナースの思春

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

です。

 

たしか萌将伝でもあったかもしれないけど知りません。

 

思春「コスプレが多くなってきたな…ネタ切れか?」

 

だから病気記念だって…まぁとにかくこれカンペね…

 

思春「そうか(ニヤニヤ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「すう…はぁ……えーと…んん…」

 

思春「じゃぁ熱を測るぞ…ってすまない。体温計忘れてしまったみたいだ…だからちょっとすまんが…おでこで熱測るからな…ってあれ?どうした?…顔を真っ赤にして、しかも熱が上がったみたいだな…どうしたか?(ニヤニヤ)」

 

なんてSな看護婦!!!

 

どうせ一刀にこんなことやってるんだろ!!うらやましいぞ!!!!

 

思春「//////そ、そんなわけあるかーーーーーーー!!!!」

 


 
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