No.148685

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第二十四話

アボリアさん

董卓IF√二十四話です
今回は孫呉戦集結までとなっております
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると有難いです
追記 前作にも書きましたが自分の説明不足からか前作最後の台詞のあの子が蜀勢力と思われている方が多数居るようです
幕間四話の一頁目、本編十七話一頁目の軍議の場面及び本編二十話四頁目の陣容の部分を見ていただければ分かると思われますが彼女は味方であり董卓軍メンバーで御座います

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2010-06-07 02:18:44 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:18989   閲覧ユーザー数:13355

時を少し遡り、張遼が呂蒙たちと戦っている時 北郷陳宮、黄蓋激突地点

 

 

「来るぞ!!張済隊、盾構え!!」

 

「あんな老骨の弓など…〈ズバシュッ!!〉ギャー!!なのです!!」

 

ねねが言いかけたその時、盾を突き破りつつ一本の矢が飛んでくる

 

「はっはっは。こんな美人をつかまえて、老骨とは少々言葉がすぎるのではないかのう?」

 

もちろんその矢を放ったのは黄蓋さんだった…気のせいであって欲しいがその背には鬼のような形をした闘気が見えた気がした

 

現在俺達は黄蓋さんの足止めをする目的で相手の一万に対し倍の二万の数で周りを取り囲んでいた

それにもかかわらず、猛将である黄蓋さんに対抗する手段がないこともあり両軍は拮抗状態になっていたのだった

 

「ほれほれ!!そのようなものに隠れておらずに儂と勝負せい!!」

 

「お、お前のようなバケモノ相手にのこのこ出て行く馬鹿は居ないのですぞ!!」

 

ねねが強がってそういうがさっきの一撃が堪えたのか、半分涙目になっていた

 

「では、こちらから行くぞ!!」

 

黄蓋さんの部隊が一斉に弓を放つ

俺達はその矢を盾で防ぎつつ、各隊に指示を出した

 

「徐栄隊!!敵の後方に回りこんで攪乱してきてくれ!!」

 

「承知ですぞ!!」

 

「高順もそれに同行するです!!臧覇隊は盾の隙間より敵に矢を射掛け、お返しをしてやるです!!」

 

「「はっ!!」」

 

「皆!!俺達で黄蓋さんを討とうなんて考えるなよ!!陽動だけ済ませたら必ず生きて帰って来るんだぞ!!」

 

黄蓋さんを倒さない事には俺達に勝ち目はないが、俺達の役割は時間稼ぎなのだ

そう思いつつ、ただ負けない戦を続ける俺達だった

「黄蓋様!!敵部隊が我々の後方に周り突撃してまいりました!!」

 

「よし!!そちらの隊を引き込み、殲滅せい!!」

 

黄蓋はそう指示を出すのだが直ぐに別の伝令がやってきて状況を伝える

 

「敵部隊、退いていきます!!先ほどと同様、こちらが引き込もうにも陽動より後は全く戦闘をする様子がありません!!」

 

「ええい!!ちょこまかと面倒くさい!!」

 

陽動や遠巻きからの弓ばかりで全く攻めて来ない敵に苛立つ黄蓋

数で劣っているとはいえ、いざ戦いになれば董卓軍を打ち破る事はできると誘いをかけているのだが北郷と陳宮は全くその誘いに乗ってこなかったのだった

だからといってこちらから攻め入れば前の敵は退いて、後ろの敵が自分達を攻撃

そちらに転進すれば一斉に退くといった具合に手詰まり状態だった

 

(しかし、良く堪えるものよ。凡将ならば数に頼って攻めてきてもいいものだろうに)

 

戦場で敵を囲んでいて、その上兵が倍居るともなれば普通ならば欲が出て攻めてきそうなものだがそんな様子は一切なかった

 

(あの二人…ただの童かと思いきや、なかなかやりおる。いい組み合わせじゃ)

 

実際、陳宮が逸って攻め入ろうとしていた時も北郷がそれを抑えていたようだったし、北郷の用兵に綻びがあった時はしっかりと陳宮が手助けをするといった具合にお互いがお互いを助け合っていたのだった

 

(お互いに無いものを補う…ほんにいい組み合わせじゃな)

 

敵であり、その連携が見事であればあるほど厄介な物には違いなかったが若い者達がひたむきに向かってくる姿は快いものだった

 

「だが…、我等にも我等の守るものがある。まだまだおぬし等に負けてやるわけにはいかんのだ」

 

北郷たちを隔てた向こう側からは呉の将兵の悲鳴が上がっており、ここからは確認できないが大事になっているのは間違いなかった

 

「黄蓋隊!!急ぎ包囲を破り、我らが同胞を救いにいくぞ!!かかれぇー!!」

 

自分がそういって兵を鼓舞し、突撃していくと、敵の北郷達も声を上げる

 

「皆!!ここを守りきることが俺達の勝利だ!!絶対死守するぞ!!」

 

「盾を構えるです!!必ずここで敵を食い止めるです!!」

 

そうして北郷、陳宮隊と黄蓋隊の戦いは続いていくのだった…

同時刻 華雄、孫策激突地点

 

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

 

ガッ!ギィン!!ガギッ!ガキィィィン!!!

 

 

孫策と華雄が火花を散らしつつせめぎ合う

その打ち合いは戦闘が始まった時からもはや八十合を越え、正に名勝負と呼ぶに相応しいものだった

 

「はぁ、はぁ…。華雄、貴女が、ここまでやるとは、ね」

 

激戦のため、息を乱しつつ孫策が言う

最早、体力的にも限界に近い物だったがそれでもなお、構えを解こうとはしなかった

 

「ふん…貴様こそ、流石は、孫文台の血を引くだけの、ことはある」

 

華雄も同様に体力の限界であり、肩で息をしていたがそれでも金剛爆斧を下ろそうとはしなかった

周りは両者の激闘につられる様に混戦となっており、敵味方の区別もつきにくいような有様であった

 

そんな中、この混戦の中にあって戦闘に参加せず、両者の戦いを見つめる者がいたのだった

 

 

 

 

 

 

 

いまぞ好機、と許貢は考えていた

孫策は華雄将軍との戦いで疲弊しきっており周りを見る余裕もなくなっていた

おもむろに許貢は懐より壷を取り出し、持っていた矢に塗りつける

矢に塗ったそれは少量でも人一人を簡単にしに至らしめることができるほどの猛毒だった

 

許貢は心の底では民の事や江南の平定など考えていなかった

それどころか失った自領を取り返すことすら運がよければ程度に考えていた

許貢の本心は自分を追い出し、あまつさえ殺そうとした孫策への恨みを晴らす事しか考えていなかったのだった

 

(華雄が殺っていれば俺が手を汚す事もなかったのに、役立たずめ)

 

そう思いつつも、やはり自分の手で孫策を殺すのもいいかと思い直しつつ弓を引き絞る

 

毒を使った暗殺などは周りからの非難が多いだろうが今は混戦中、それにまぎれれば自分が不義に問われる事はないだろう、と許貢は考えていた

 

(あばよ、小娘!!)

 

ぎりぎりに引き絞られた弓矢は孫策へと向かって飛んでいったのだった…

華雄がそれに気付いたのは偶然だった

 

孫策と向き合い、視線を奴に向けていたのだがその視界の隅に許貢が弓を構えているのが見えた

 

戦いが始まる前に詠から注意するようにと言われてはいたが孫策との戦いに集中するあまり許貢の警戒が薄れていたのだった

 

奴はもう弓を引き絞っており、放たれる寸前だった

 

「孫策!!!どけ!!!」

 

構えを解き、なりふり構わずに孫策に向かい走り出す

 

「え?」

 

孫策は華雄の突然の行動に呆気にとられていたがかまわず華雄は孫策を突き飛ばす…と同時、華雄の肩に矢が掠め、血が噴き出していた

 

「ぐっ…!!」

 

直撃はしなかったが痛みに顔をしかめる華雄

 

「いきなり何を…。華雄!?」

 

その光景を見て孫策が驚愕するが、華雄は構っていられなかった

 

(毒、か…)

 

足がふらつき、とても立っていられなくなった華雄はその場にひざをついてしまう

 

「なっ!!華雄将軍!?」

 

自分の狙いが外れたことに驚愕した許貢が声を上げる

 

その声に対し、華雄は声を上げる

 

「華雄隊の兵よ!!そのものはあろうことか孫策を暗殺せんとしていた!!その恥知らずの首を刎ねよ!!」

 

華雄の声に周りに兵達が許貢に殺到する

 

「う、うわぁぁぁあ!!」

 

その兵達の手によって許貢は首を飛ばされるのだった

「華雄!!貴女大丈夫なの!?」

 

「華雄将軍!!」

 

孫策や兵達が近寄ってくる…だが華雄は兵達に一喝する

 

「散れぇ!!未だ戦は終わっておらんのだぞ!!」

 

そういってふらつく足で立ち上がる華雄

 

華雄は懐から短剣を取り出すとそれを自分の傷口につき立てた

 

「ぐっ、ああぁぁぁ!!」

 

「なっ、貴女…!!なにやってるのよ!!」

 

孫策が制止しようとするが構わず傷口を抉り、血と共に毒を噴き出させる

直撃せず掠っただけだったのが幸いして、毒は血と共に抜け出していった

 

「ハア、ハア、ハア…聞け!!華雄隊の勇士達よ!!我が体はこのような毒に侵されるほどやわな体ではない!!皆安心して奮戦せよ!!」

 

「「「「「…うをおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

そういって武器を掲げる華雄…その体は毒は抜けたものの、激闘の疲労と大量の出血で満身創痍だった

だがそれを悟らせない華雄の態度に兵達は沸きあがる

 

「さあ、孫策。…決着をつけるぞ」

 

そういって武器を構える華雄

 

「なっ!!華雄、あんたなに言って…!!」

 

「これは自分の不手際だ、貴様が気を使う必要はない。…それとも、負けを認めるとでも言うのか!?」

 

華雄の気迫のこもった言葉に圧されつつも、不敵に微笑んで孫策が言う

 

「…今までの無礼を謝らせてもらうわ、華雄。貴女は今まで戦った中でも最高の武人の一人よ!!いくぞ、華雄!!」

 

「来い、孫策!!」

その言葉を合図に両者の激闘が再会される

 

だが先ほどまでとは違い、傷を負っている華雄が防戦一方となる

 

「これで、決まりよ華雄!!」

 

孫策が南海覇王を振りかぶる…だが華雄は不敵に笑って叫ぶ

 

「私は負けん!!守るもののためにもな!!」

 

そういって華雄はなんと金剛爆斧を孫策にむかって放り投げる

 

「なっ!!」

 

その行動に驚きつつも飛来する金剛爆斧を弾く

だが次の瞬間、華雄は孫策の首元に先ほどの短剣を突きつけていた

 

「…武器を放り投げるなんて、武人としての誇りにこだわる貴女らしくないじゃない」

 

「生憎、守るべきもののために生き延びる事、そこに武人としての誇りを見出してな。…まだ、やるか?」

 

ふらふらになりつつも孫策を睨みつける華雄

 

「いーえ、私の負けよ。華雄」

 

そういって孫策は南海覇王を手放すのだった

 

「よし、…孫呉の兵よ!!貴様等の主はこの華雄に降った!!戦をやめよ!!華雄隊、勝鬨をあげろぉーー!!!」

 

 

「「「「「うをおぉぉぉぉぉーーー!!!」」」」」

 

 

華雄の声に雄叫びをあげる華雄隊の兵達だった

 

「では、貴様には、共に月様のところに…」

 

そこまで言ってふらついてしまう華雄

そんな華雄を支えつつ孫策は言う

 

「あーはいはい。私が肩を貸してあげるわよ。…全く、これじゃどっちが勝ったのか分かんないじゃない」

 

「なにを、孫策!勝ったのは私だ!」

 

「わかったわかった」

 

そういって華雄は孫策に連れられて月たちの元へと向かっていった…

 

呉軍本陣

 

「なっ!!貴様は…!!」

 

突然の侵入者に驚く孫権

対してその侵入者の少女は朗らかに笑いながら名乗りをあげる

 

「涼州太守、馬騰が姪の馬岱だよ~。貴女達が孫権さんと周瑜さん?」

 

「貴様!!何故ここに…!!」

 

その態度に激昂しつつ孫権が問う

 

「蒲公英は本陣の守りだったんだけど、詠ちゃんと月様…賈詡と董卓様に頼まれて孫権さんたちが逃げれないように細工してきたんだ。ほら」

 

そういって馬岱が指し示す方向、長江の津のある方向から煙が上がっていた

 

「船を燃やされたか…!!」

 

声色こそ落ち着いているがワナワナと怒りに震える周瑜

 

「うん!そっちは早く終わっちゃったから、ついでにもう一仕事しようと思ってね」

 

馬岱がそういったその時、兵が大慌てで駆け込んでくる

 

 

「大変です!!軍備を纏めてある天幕より火があがっております!!火計用の油に引火し、消火は不可能です!!」

 

 

「なんだと…!!」

 

「お兄様に、孫呉の火計は要注意って聞いてたからついでに火をつけてきちゃった」

 

笑いながら恐ろしいことをいう蒲公英

そんな話をしているうちにまたもや伝令が飛び込んでくる

 

 

「ちょ、張遼がそこまで来ております!!お早く「おらぁ!!退けやぁぁ!!!」ぎゃぁー!!」

 

 

「張遼…!!」

 

「お、やっとおった。お前が孫権やな!?」

 

伝令をなぎ倒しつつ突入してきた霞はその勢いのまま孫権に切りかかる

だが、その間に割ってはいる影があった

 

「蓮華様お下がりください!!甘興覇、参る!!」

 

そういって霞に切りかかっていく甘寧…霞はその攻撃を弾くが衝撃で馬が止まってしまった

 

「お前が鈴の甘寧かい。ウチを止めたんは褒めたるけど、今日のウチとやりあうんは無理や、で!!」

 

「ぐ、がぁぁ!!」

 

そういって甘寧に一撃を放つ霞、その一撃を受けて甘寧は吹き飛ばされてしまった

 

「霞お姉様すごーい!!」

 

「あん?なんで蒲公英がおんねん?…まあええわ」

 

そういって孫権にむかって飛龍堰月刀を突きつける霞

「孫権、まだやるか?」

 

その武威に気圧されつつも孫権は剣を構える

 

「当たり前だ!!いくぞ張遼!!」

 

「いけません蓮華様!!」

 

周瑜が制止するがそれを聞かずに孫権は霞に切りかかっていく

 

「気迫はまあまあやけど…ふっ!!」

 

「きゃあ!!」

 

霞の一振りで剣を弾き飛ばされた孫権はその衝撃で倒れこんでしまう

 

「もう勝ち目はない。諦めえや」

 

「まだだ、まだお姉様が…!!…え?」

 

そういいつつ孫権は戦場を見るが、ちょうどその時先陣に翻っていた孫の旗が降ろされているのが見えたのだった

 

「まさか、伯符が…!!」

 

信じられない光景に驚愕する周瑜

 

「華雄の奴やりおったな!!…で?頼みの綱も居らん様になったことやし、降るか死ぬか選べや」

 

「…蓮華様、ここまでのようです。口惜しいですが、敵軍に降りましょう」

 

そういって孫権に頭を垂れる周瑜

 

「…わかった。我々の負けだ。旗を降ろし、まだ戦っている兵達を止めろ」

 

「苦渋の決断でありますが、ご英断かと。蓮華様…」

 

 

 

こうして孫呉との戦いは孫呉の降伏で幕を閉じるのだった…

 


 
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