No.149245

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第二十五話

アボリアさん

董卓IF√二十五話です
諸事情により投稿が少し遅れましたが孫呉の降伏、処遇決定のお話です
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると有難いです
追記 二十四話にて王冠をいただきました 支援してくださった皆様を始めコメントを下さった皆様、読んで下さった皆様に篤く御礼申し上げます

2010-06-09 18:37:15 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:18572   閲覧ユーザー数:13435

孫呉本陣陥落、降伏の報は即座に戦場へと齎された

それは黄蓋さんや彼女と戦っていた俺達も例外ではなく孫呉軍は悲しみの叫び、董卓軍は歓喜の雄叫びとなって広がっていったのだった

 

 

「本陣陥落じゃと…!!くっ、儂がこのような策に掛からねば…」

 

ガクリとうなだれる黄蓋さん

俺とねねはそんな黄蓋さんに近づいていって言う

 

「黄蓋さん。戦いは終わりました。落ち込んでる所に悪いですけど、俺達と一緒に月…董卓の元へ来てもらえますか?」

 

そう話しかけるのだが、黄蓋さんは俯いて黙り込んだままだった

 

「おい、聞いてるですか?」

 

その態度を不審に思ったねねが黄蓋さんの顔を覗き込む

 

「殺せ」

 

「は?」

 

「孫呉の負けは儂の責任。これ以上おめおめと生き恥をさらす事はできんわ。お前等にこの首くれてやる」

 

そういって俺達に向かって首を差し出す黄蓋さん

 

「いや、黄蓋さん。俺達は首なんて…」

 

「そうなのです!!ねねたちは降れといってるのですぞ!!」

 

いきなりの発言に俺達は慌ててしまう

 

「武人として、好き敵と認めた相手に首を取られる情けもかけてもらえぬか…。かくなる上は!!」

 

そういって矢の鏃を喉に突きつけようとする黄蓋さん

その行動に更に慌てた俺達は必死で止めに入る

 

「ま、待て黄蓋さん!!早まるな!!」

 

「何をする!!離せ!!」

 

「何をするはこっちの台詞なのですぞー!!」

 

二人がかりで黄蓋さんを抑えるも、流石は将なだけあって振りほどかれてしまう

「死んで亡き堅殿に侘びねば…「何が侘びだ!!黄蓋!!」なっ…!!」

 

大声で叫ぶ俺

その黄蓋さんの態度がいつかの華雄とかぶって見え、頭にきたのだ

 

「死んで侘びる!?そんなものは逃げじゃないか!!お前は責任から逃げてるだけだろ!!」

 

「なっ…!!貴様に何が分かる!!自分の責任で負けたのじゃぞ!!」

 

「お前のことなんてわかんないけどな!!俺の知ってる奴には、負けて、それでも守るもののため頑張って生きている奴がいる!!自分の責任で帝を死なせたと悩んでも平和の為、民の笑顔のために頑張った奴だっているんだよ!!」

 

黄蓋さんの態度は武人としては正しいのかも知れない、だけど華雄や月を知っている俺から見れば逃げているとしか思えなかった

 

「あんたはまだ生きているだろ!?だったら、死んだ主君に侘びるなら、孫呉の為にこそ自分の命を使うべきだろう!!」

 

 

 

「御使い君の言うとおりよ、祭」

 

 

 

激昂した俺の言葉に賛同する声が後方よりかかる

 

振り向くとそこには孫策とそれに肩を借りている華雄がいた

 

「策殿…!!」

 

「祭。今回の敗戦は私の責任でもあるわ。それに、責任をとると言うのなら今後も蓮華達の為、生きて頂戴」

 

そういって黄蓋さんの手をにぎる孫策

 

「…策殿に、ましてやそこな儒子なぞに諭されるとは儂も老いたものですな」

 

「あ~、なによ祭その態度は~!!」

 

「いやはや、武は抜きん出ていても中身はまだまだ子供と思っていたのですがな」

 

「ま~たそんな年寄りくさい事いって」

 

「むっ!!その言葉は聞き捨てなりませんな!!」

 

「さっきは自分で老いたっていったじゃない!!」

 

そういってわーわーと言い合いになる二人…それを見て俺達は一安心するのだった

「まったく、一時はどうなるかと思ったですぞ」

 

「まあ、何とかなったみたいだしいいじゃないか。なあ、華雄?」

 

そういって華雄のほうを見る俺…だがその肩から結構な出血をしているのに気付き驚いてしまう

 

「どうしたんだ華雄!!まさか孫策に…!!」

 

慌てて言う俺に華雄はむきになって反論してくる

 

「勝ったのは私だ!!この傷は許貢の毒を抜く為にだな!!…あ」

 

言って、しまったという顔をする華雄

 

「許貢の毒!?どういうことだ!?」

 

ばつが悪そうな顔をする華雄に詰め寄る

問いただすと華雄の隊に随行していた許貢が孫策を暗殺しようと毒矢で孫策を狙撃

それに気付いた華雄がそれを庇って傷を負ったらしい

その毒抜きのために短刀で血抜きを行った結果が肩の出血の原因らしい

 

「なんて無茶をするのです!!」

 

話をきいて、ねねが激昂する

 

「だからといって見過ごせるわけがないだろう!!それに敵とはいえ、暗殺などあったと知れば月様が悲しむ!!」

 

「落ち着けって。今はそんな言い合いしている場合じゃないだろう」

 

華雄の傷は止血こそしてあるものの傷口に巻いてあるのはぼろきれのような布でありお世辞にも衛生的とはいえなかった

俺は腰に下げた袋から包帯と消毒代わりに持ってきた強めの酒を取り出す

 

「ほら、華雄。傷の手当てするから肩をだして」

 

そういって手当てをしようとするのだが、華雄はなにやらがっかりしたような表情で言う

 

「…霞の時とは違ってお前の袖じゃないのか」

 

「は?包帯の方がいいだろう?」

 

霞の時はちょうどいい布がなかったから代わりに袖を破って使っただけで包帯があるのだからそちらの方がいいに決まっている

…そういえば霞もあの時巻いてもらった袖は大切にする、とかいってたけどあんなのに何の価値があるのだろう?

それともこの国には袖に何かこだわりがあるのだろうか

 

俺が本気で悩んでいると華雄がはぁ、と溜息をつく

 

「お前に言っても無駄だったな…。包帯でいいから、傷の手当てを頼めるか?」

 

「なんなんだ一体?…まあいい。まずは手当てしてからだな」

 

釈然としない気持ちを抱えつつも華雄の手当てに取り掛かる俺

まずは肩口を止血のためにきつく縛る

次に消毒の酒をかけると華雄は苦痛に顔をしかめるが必要な処置なので我慢してもらう

それが終わると包帯…その包帯を巻きつつ華雄に語りかける

 

「さっきねねも言ってたけど、無茶しすぎだよ華雄」

 

「だが…」

 

「うん、華雄のいっていることも正しい。月を悲しませないよう考えてくれてた事もね。でも華雄?」

 

包帯を巻き終わり、ギュッと縛りつつ俺は続ける

 

「華雄は女の子なんだから、無茶して欲しくない。傷なんか残ったらいやだろう?」

 

「…一刀は、傷のある女は嫌か?」

 

華雄が不安げに聞いてくる

 

「そんな事あるはずないだろう?これは華雄が人を守る為についた傷なんだから嫌なはずないじゃないか。でも、将来好きな男ができた時にだな…」

 

「そうか。ならば傷付いても問題はないな」

 

俺が話している途中だというのにそう言い切る華雄

 

「…話聞いてないだろ華雄?」

 

「…お前こそ今の流れでどうして気付かんのだ」

 

今度こそ呆れたと言わんばかりに嘆息する華雄…なぜここで呆れられるのかが分からない

 

「へ~、華雄は御使い君に気があるんだ~」

 

そんなとりとめもない話をしている俺達にいきなり孫策さんが話しかけてくる

 

「なっ!!孫策、貴様何を!!」

 

「え~?だって傍から見てればバレバレよ?」

 

孫策さんの言葉に突っかかっていく華雄

 

「華雄落ち着けって!孫策さんも変な事言ってからかわないでください!」

 

俺がそういうと華雄と孫策さん、二人揃って信じられないといった目で見られる…華雄をフォローしただけなのになんでそんな目で見られないといけないんだ?

 

「…貴女も大変ね、華雄」

 

「…まったくだ」

 

そういって二人して嘆息する…俺の分からない所で話が合ったらしい

 

「どういう意味?」

 

「それはね…」

 

「孫策!!お前は黙っていろ!!一刀、ねね、黄蓋!!早く本陣へ向かうぞ!!」

 

そういってふらつきつつも先に本陣へ向かっていってしまう華雄

 

「華雄!!無理するなって言ったばっかだろ!?」

 

そんな危なっかしい足取りの彼女を追って俺達も本陣へ向かうのだった…

俺達の本陣には董卓軍メンバーの他に孫呉の将も集まり、孫呉の処遇の話し合いが行われていた

 

 

「まず始めに。孫策さん、客将の身分とはいえ許貢が貴女の命を狙い暗殺を行おうとした事を謝罪します」

 

そういって孫策に頭を下げる月

 

「謝られることじゃないわ。結果的に華雄に助けられた訳だしね」

 

ちなみにその華雄は本陣に着くなり疲労と出血からくる貧血で倒れてしまい今は別の天幕で療養中である

 

「それでも、私の責任です。謝罪は受け取ってください」

 

「…貴女も大概頑固ね。わかったわよ」

 

「ありがとうございます」

 

孫策の言葉を聞き、微笑む月…だが、次の瞬間には真剣な顔になり話す

 

「では本題に入ります。孫呉からの侵略から始まった戦、その責についてです」

 

孫策たちをキッと睨みつついう月

 

「今回の戦は私と冥琳…周瑜が焚きつけたものよ」

 

「ああ。孫権様達は我々に言われて動いたまで、全責任は我等にある」

 

そういって責任を主張する二人

その言葉に反応したのは孫権さんたちだった

 

「お姉様!!そのようなこと…!!」

 

「策殿!!公瑾まで!!策殿は先ほど儂に言われたことをお忘れか!?」

 

将たちが次々に言葉を発するが二人は無視して続ける

 

「国の領土を取られるのも仕方ないわ。ただ、許されるなら建業一帯の統治だけは妹達…孫権と、ここにはいないけど尚香の二人に任せて欲しいの」

 

「われらの命はどうなっても構いませぬ。どうか将兵の命と江東の地だけは…」

 

そういって頭を下げる二人…それを聞き、月が答える

 

「分かりました。ただ、袁術さんの一件もありますから建業一帯を除く、荊州の一部を初めとした土地の没収。それと軍備の大幅縮小を条件に建業の統治とお二人を除く他の将兵達の命は安堵します。ただし…」

 

二人を睨み、強い口調で続ける

 

「私たちの再三に及ぶ降伏勧告を無視しての挙兵…その罰を二人に取ってもらいます。今後、二人が江東の地を踏む事は許しません」

「…つまり、追放って訳ね」

 

「首をとられる覚悟であったこの身だ。文句はあるまい」

 

二人の言葉に首を振って答える月

 

「いいえ。今後、孫策さんには長安にて宮中及び長安一帯の警護を。周瑜さんには詠ちゃん…賈詡の補佐について政務を担当してもらいます」

 

 

 

「「……は?」」

 

 

 

月の言葉が理解できないとばかりに聞き返す二人

それに対し、笑みで答える月

 

「これは罰ですので、貴方達に拒否権はありません。なので、文句は言わせませんよ?」

 

「…あなた、敵の大将に護衛をやらせるなんて正気?」

 

「ええ、正気です。孫策さんについては華雄さんより人となりは聞いていますし、その孫策さんと断金の仲である周瑜さんも然りです。それに死んで責任をとったり、追放にしてせっかくの才能を無駄にするなんて間違ってます。生きているのですから、生きて罪を償って貰います。…あ、二度と踏ませないといってもお盆とお正月、それに危急の際は戻る事を許可しますから」

 

そういってにっこりと笑う月…それを見て笑い出しながら言う孫策さん

 

「あははは、まさか、御使い君とおんなじことを言うとはね」

 

「え?同じ事って?」

 

突然笑い出す孫策さんに本気で分からないといった顔をして困惑する月…もちろん俺は恥ずかしいので黙秘を続けている

 

「い~え、こちらの話よ。…その話、受けて立つわ。私の真名は雪蓮。あなたに預けるわ」

 

「…正直、私は困惑しているのだが…伯符が乗るというのなら、私もその話に乗らせてもらう。真名は冥琳だ。よろしく頼む」

 

「私は月です。雪蓮さん、冥琳さん。よろしくお願いします」

 

こうして二人を仲間として俺達は長安への帰路へとつくのだった…

蜀 成都

 

 

「大変です!!我々が蜀を落としている間に孫呉と董卓軍が激突!!孫呉は破れ、董卓軍に下ったとの事です!!」

 

黒髪を靡かせつつ入ってきた関羽が主である劉備に報告をする

 

「え!?雪蓮さんたちが!?」

 

「ふむ、孫呉が破れたか…これで大陸に残るは我等と董卓の軍勢のみですな」

 

報せを聞き、慌てる劉備とは対照的に落ち着き払って答える趙雲

 

「星!!貴様、これがどれだけの大事か分かっているのか!?孫呉が破れた今、我々は単独で董卓軍と対峙せねばならぬのだぞ!?」

 

「だからそういっておるではないか。ぎゃーぎゃー騒いでどうにかなるものでもあるまいて」

 

「貴様…!!」

 

一触即発の空気をかもし出す二人…劉備はその間に入り両者を宥める

 

「愛紗ちゃんも星ちゃんも落ち着いて!!…朱里ちゃん、雛里ちゃんどうしようか?」

 

蜀軍が誇る二人の軍師に知恵を求める劉備

 

「はわわ、董卓軍とは国力、兵力ともに大きな差がありますからまずは相手の出方を見ていくしかありません」

 

「あわわ、それにこちらは後方に南蛮という脅威を抱えています…。今なら董卓軍も大規模な行軍はできないでしょう…。ですから、戦いになるにしろ、和平になるにしろそちらを先決するべきかと思います…。」

 

二人の軍師の意見を聞き、劉備が言う

 

「うん!そうだね、それでいこう!!」

 

「…桃香様、ちゃんと理解しておられますか?」

 

即答する主君を不安に思ったのか諸葛亮が聞く

 

「え?…えーと、もし董卓さんと戦いになってもいいように南蛮?に仲間になってもらうんでしょ?」

 

「…大筋は解っていただけていたようで何よりです」

 

ところどころ疑問形にはなっていたがなんとか伝わっていたようで安心する諸葛亮

 

「あ、朱里ちゃんひどーい!!私だって頑張ってるんだから!!」

 

「い、いえ!!決して疑っていたわけではないんですよ?」

 

頬を膨らませて怒る劉備に必死で謝る諸葛亮

 

「ぶー。…まあいいや。じゃあ皆、急いで南蛮の対策に取り掛かって」

 

「「「「御意(です)!!」」」」

おまけ 北伐軍

 

長城近くの集落

 

「蹋頓(とうとつ)殿!!丘力居(きゅうりききょ)率いる二万の軍勢が我々に合流いたしました!!既に合流した鮮卑族の族長、軻比能(かひどう)率いる二万、そして我々率いる三万の軍勢とあわせ総勢七万!!さらに匈奴の単于(ぜんう)率いる三万もまもなく合流するとの由にございます!!」

 

その報告を聞き、蹋頓は高笑いをしつつ言う

 

「かーっかっかっか!!そうかそうか!!よし、単于が合流次第長城を越え、漢の奴等に一泡…」

 

「と、蹋頓様!!漢の軍勢が長城を越え、こちらに向かっているとの報告が入りました!!」

 

「なぁにぃ!?奴等め、わざわざ死にに来たか」

 

そういって振り向き、蹋頓は自分の軍勢にむかって号令を下そうとする

 

「各部族の誇り高き勇士よ!!今こそ漢の糞どもを大陸より駆逐し、われらの天下とする!!全軍…〈ズドォォォォォン!!!〉…は?」

 

言い切ろうとした矢先、いきなり後方から何かが物凄い勢いで飛んできて、自分の軍勢を吹き飛ばしていた

 

いきなりの出来事に混乱する蹋頓…そんな彼に後方から声が聞こえる

 

 

 

「お前等のせいで、恋と翠だけ一刀と別行動になった…」

 

 

 

そうしている間にも次々と何かが飛来して軍勢を吹き飛ばしていく…その何かは矢にも見えたがその破壊力は矢とは思えない威力だった

 

 

 

「でも、お前等倒して帰ったら、月と一刀がご飯作ってくれるって約束してくれた…」

 

 

 

蹋頓は背中に物凄い威圧を受けていたが恐怖で振り向くことができなかった

 

 

 

「だから…」

 

 

 

声が真直まで迫り、蹋頓は勇気を振り絞り振り向く…そこには

 

 

 

「お前等、早く死ね」

 

 

 

赤い気を滾らせ、弓を背負い戟を構える龍の姿があった

「華琳様!恋が弓で敵の部隊を蹴散らしました!それによって生じた混乱の中に恋がその勢いのまま戟を携え突入!まさに三国無双の武により敵を薙ぎ倒しております」

 

恋と一緒に先陣を務めていた秋蘭が華琳に報告する

 

「敵に回せば恐ろしかったあの呂布の武を、味方として見ることができるとわね…。ふふっこれほど頼もしいものはないわ」

 

「か、華琳様!!私とてあのぐらいの働きはできます!!」

 

主の態度に嫉妬した春蘭が大剣を振り回しつつ言う

 

「あら、じゃあ春蘭?あなたは恋より大きな戦功を私に捧げてくれるというのかしら?」

 

「もちろんでございます!!」

 

「ではいきなさい春蘭。魏武の大剣の名に恥じぬ戦いを期待しているわよ?」

 

「おまかせください!!…夏候惇隊!!恋に遅れをとるな!!進めぇーー!!」

 

 

「「「「「うをおぉぉぉ!!!」」」」」

 

 

華琳の激励に気迫が最高潮に達した春蘭が敵を薙ぎ倒しつつ駆け抜ける

 

「ふふっ。可愛い子ね。…翠、貴女は匈奴の軍勢が合流する前にそれを叩きなさい。副官として季衣もついていきなさい」

 

「分かった。いくぞ季衣!!」

 

「うん!!」

 

「秋蘭は裏手に周り恋と春蘭の援護を頼むわ。流流もそれに随行なさい」

 

「はっ!!承知しました!!ゆくぞ流流」

 

「はい!!秋蘭様!!」

 

そうして本陣にて軍勢を見送る華琳…ふと思い出したかのように後ろを振り向いていう

 

「白蓮、貴女の隊はしっかり働いているかしら?」

 

話しかけられた白蓮はフルフルと小刻みに震えつつ答える

 

「あ、ああ。だがな華琳。何で、何で私の軍が…」

 

言いかけたところに伝令兵が駆け込んでくる

 

 

 

「公孫瓚将軍!!白馬隊を用いた輜重隊、滞りなく機能しております!!」

 

 

 

「なんで私の軍が輜重隊なんだよ!?仮にも私が援軍を頼んだ側だぞ!?」

 

激昂する白蓮に落ち着き払って答える華琳

 

「あら、一国の太守ともあろうものが輜重隊の重要さを分からない、なんていわないわよね?私たちは遠征軍である以上兵站は一番重要なのよ?」

 

「だからって地味すぎるだろ!?異民族退治なら白馬長史と呼ばれる私の出番だろうが!!」

 

「では聞くけど、あなたは恋達より活躍できるとでもいうの?」

 

二人が戦場を見ると、恋を中心に漢軍が異民族を圧倒、というよりもはや一方的な攻撃となっていた

 

「…いや、あいつ等と比べられても」

 

「なら我慢なさい。それに、貴女の率いる輜重隊は地味だけど堅実で正確、まさに理想の輜重隊なのよ。もっと誇りなさい。…じゃあ私はいくから、しっかりと頼むわよ?」

 

そういって華琳は全軍の指揮をとる為に本陣を出て行ってしまう

 

 

 

「…納得いかーーーーん!!」

 

その叫びに答えてくれる相手は誰もいなかった…

 

ちなみに異民族連合軍十万はその殆どを恋、春蘭に壊滅させられ、反乱は未然に防がれるのだった…


 
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