No.142479

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第八話前編&幕間第二話

アボリアさん

今回は話の展開上短い本編と幕間話セットのお話です
幕間は今回二人、次回二人の予定です
誤字脱字、おかしな表現等あったら報告お願いします

2010-05-11 19:34:59 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:17996   閲覧ユーザー数:13458

数日後、俺たち董卓軍は洛陽に到着

その足で宮中の小帝様に面会する運びとなった

 

「河東郡太守、董卓仲頴。中常時が張譲殿の呼びかけにより宮中に馳せ参じました」

 

月が臣下の礼をとる

ちなみに恋たちを含めた俺たち董卓軍の将は月の後ろで頭を垂れていた

…ふと視線を感じたのでそちらを見たらあのじじい…丁原がこちらを睨んでいたが一切無視だ

 

「よく参られました董卓殿、陛下に成り代わり歓迎の意を示させて頂きます」

 

張譲が答える…やっぱりこの世界でも帝は傀儡で中常時が実権を握っているようだ

 

「何でもこちらに向かう途中に賊三万を討伐されたとか、いやまっこと大手柄ですなぁ。貴女を可進殿の代わりに宮中に招いた私の鼻も高いというものですよ」

 

そういって笑う張譲…ただその笑いはどこと無く薄暗く決して心の底からは笑ってない気味の悪い笑みだった

 

「張譲殿!!恐れながらこの場で申し上げるがわしが賊との戦闘からの撤退中、その者の部下があろうことかこのわしに手を上げおったのですぞ!!その者に厳罰を与えてくだされ!!」

 

俺たちが平然としているのが気に食わないのかそういって喚き散らす丁原

その姿はもはや呆れる位に醜かった

 

「…董卓殿、丁原殿がそういっておりますがその話について申し開きはあるか?」

 

張譲が冷たい声色で聞いてくる

 

「では恐れながら…確かにそこの方に私の仲間が手を上げたことは間違いございません」

 

「なっ…」

 

名前ではなくそこの方呼ばわりされた丁原は絶句、それを気にせず月は続ける

「ですがその方は自分の部下を一人残して戦場から逃げ帰るような無能者、宮中執金吾の器ではありません。張譲様、黄巾退治に功が有るとするならば願わくばその軍閥ごと私に執金吾の任お与えくださいますよう」

 

ざわざわ…

 

さすがにこの言いようは余りにも予想外だったのか他の官吏たちがざわめく

 

「静粛にせよ!…して董卓殿、それが許されぬと有らば?」

 

張譲が聞く

さすがの彼も予想外だったのか動揺が見て取れた

 

「そうなれば仕方ありません、私は私の仲間を守るために責任をとって宮中を辞して河東に帰るほかありません」

 

それを聞いて張譲が更に絶句する

…実はこれは洛陽にたどり着くまでに月、詠、ねね、俺の四人で考えた恋たち丁原の部下を奪うための作戦だった

実際丁原は、先の戦で大勢の兵を無くし力を失っていたし張譲も何進を殺した今となっては月に帰られてはただでさえ弱体化した官軍を担うものがまったく居なくなってしまうので辞められるわけにはいかないだろうと踏んだ上の策だった

張譲が苦々しそうな口調で答えた

 

「…よいでしょう、丁原の執金吾の任を解きその地位と軍閥は董卓殿に継承されることとする…丁原!即刻宮中を辞せよ!!連れて行け!!」

 

「な、張譲様!?それはあまりにも無体で…」

 

「だまれぃ!早く連れて行け!!」

 

警備の兵に連れて行かれる丁原…悪いがちっとも可哀想じゃなかった

 

「…では、改めて董卓殿。これより執金吾として宮中および都の警備、そして将軍としての賊討伐の任を与える、心して仕事に励むように」

 

「はい。その任務、拝領いたします」

 

そういって再び臣下の礼をとる月

これで正式に恋、ねね、霞が董卓軍に仲間入りをしたのだった…

幕間 月

 

「どうしたもんかなぁ」

 

誰に言うでもなくつぶやく俺

何を悩んでいるのかと問われれば我らが主、月のことだった

 

「やっぱこの前のアレが原因だよな…」

 

先日、洛陽に来る途中の黄巾賊退治で霞たちに恋の救援を頼まれた時華雄と一緒とはいえ兵を連れて独断行動を起こしてしまい、月に本気で怒られたのだ

それ以来皆で居るとき以外、特に二人っきりのときはお互いギクシャクしてしまっていた

きっと、俺があんな無茶はもうしないと謝れば月は許してくれると思うのだが

 

(でも、もしまたあんなことになったら黙って見過ごすわけにはいかないしな)

 

こんな気持ちで彼女に謝るのは失礼だという気持ちがあってなかなか切り出せずに居た

たぶん月もそれが分かっているからこんなことになっているのだろう

 

「…でも、いつまでもこのままじゃ嫌だし、悩むだけじゃなく行動に移さないといかないよな」

そう思い、ある準備をするため、俺は街に向かった

 

 

 

 

「へぅぅ~」

 

私は執務室で机に向かいながらも全然仕事が手につかない状態だった

 

「一刀さん、どうしてるかなぁ」

 

考えるのは一刀さんのことばかりだった

あの時華雄さんと一刀さんが向かわなければ恋ちゃんが危なかったということは十分分かっているし、一刀さんのとった行為はむしろ尊敬こそすれど、非難されることではないのも分かっていた

でも、もし彼に危険なことがあったらと思うとどうしても冷静になれなかった

 

「一刀さん、怒ってるかな…」

 

あれからというもの彼とまともに話していなかった

私も彼に対して理不尽に怒ってしまったという負い目があるためなかなか謝るきっかけがつかめなかったのだ

 

「へぅ~、どうしよう…」

 

そんなことを言っていると、コンコン、と戸を叩く音が聞こえた

「はい、どうぞ」

そういって戸を叩いた人に入室を促すと予想外の人が入ってきたのだった

「やあ、月。お邪魔するよ」

 

「か、一刀さん!?」

 

突然俺が尋ねてきたことに驚いたのか、吃驚して固まってしまう月

 

「ちょっと話があってね…今言いかな?」

 

「は、はいどうぞ!」

 

といって椅子を差し出してくれる月…やっぱなんだかぎこちないな

 

「えーと、話っていうのはこの間のことなんだけどね」

 

「…はい」

 

月もこの話に触れるのが躊躇われるのか、声のトーンが下がる

だからといってここで話さなければ先に進めない、と俺は話を続けた

 

「もしこの先、前みたいなことがあったら多分俺はまた飛び出して言っちゃうと思うんだ」

 

「…はい」

 

「月が俺のことを思って怒ってくれたのかも、どれほど心配してくれたかも分かってるつもりだよ…でもあんな場面で動けなければ俺は一生後悔する」

 

だから…と俺は用意してきた物を渡す

「これは…」

 

俺が持ってきたものは二つで対を成す首飾りだった

 

「これを片方月にもっていて欲しいんだ。そうすれば俺はどんな危険な目に遭っても必ず君の元へ帰るよ…約束する」

 

突然のことに驚いたのか、涙目になる月におれは笑いかけながら言う

 

「はい、これを一刀さんだと思って大事にします…だから、だからどんなことがあっても絶対に帰ってきてくださいね?」

 

「ああ、約束だ」

 

そういってとうとう泣き出してしまった彼女を抱きしめる

そうして彼女が泣き止むまで優しく抱き続けるのだった…

詠 幕間

 

俺と詠は街を歩いていた

…まあ、残念ながらデートなんかではなく、今後の洛陽の街中警備についての話し合い…つまり仕事なんだけど

 

「それにしても酷いな…」

 

「まあ、こんなご時世なんだし、洛陽も例外ではないということね」

 

帝や高官たちが住む都の中心街やその近くは比較的整備されておりさすがに首都としての体を守っているのだがそこから離れた場所や裏路地などは目も当てられないほどに荒れていた

店だと思われる建物には品物など一つも無く、ごみや崩れた建物の瓦礫がまったく片付けられずに散乱し、果ては餓死した犬の死骸までも放置されていた

 

「こんなになるまで放置されてるなんて…前の警備や宮中の政務官たちはなにをやってるんだよ」

 

一人怒る俺に詠は言う

 

「今の宮中に居る奴らにそんなこと言ってもしょうがないわよ。所詮、売官で私腹を肥やそうって奴等ばかりだもの…ほら、今度はこっちよ」

 

詠は今の大陸ではよほど立派な人物の統治している街でもなければどこもこんな有様だという

そりゃあこんなに酷ければ反乱ぐらいおきるよな…と考えていると前方に三人の男が老人を囲んでいるのが見えた

 

「おい、痛えなあじじい!」

 

「兄貴、大丈夫ですかい?…ああこりゃ折れちまってるなあ、おい」

 

「ア、アニキにこんなひどいことするなんて、ゆ、ゆるせないんだな」

 

…いつの時代でもチンピラみたいな奴はいるんだな

 

「はあ、街が荒れてくるとあいつらみたいなのばっかり湧いて来るんだから」

 

「…詠、警備の兵を呼んで来てくれないかな?」

 

「は?ちょっとあんたなにを…」

 

詠が何か言っていたが俺はスルーして奴等と老人の間に割ってはいっていった

「おい、なにやってんだよ」

 

「あん?なんだてめえは。関係ない奴は引っ込んでろよ」

 

「そうもいかないよ。お前等みたいな奴が好き勝手やってるのを黙ってみている事はできないたちでね」

 

「何だとこの野郎!!」

 

いきなり殴りかかってくるリーダー格の男

それをかわして顔面に一撃を叩き込んでやった

 

「ぐわっ!!」

 

「兄貴!?貴様、よくも兄貴を!!」

 

「ゆ、ゆるさないんだな」

 

ちびとデブのチンピラが一斉に襲ってくる

 

ちびの攻撃は何とか避けられたのだがデブの一撃は避けられずまともに食らってしまう

 

「がっ!はっ」

 

「へへ、口ほどにもねえなぁ、これでとど「あいつらよ!捕らえなさい!!」なっ!!」

 

間一髪という所で詠が呼んだ警備兵がデブとちびを取り囲みそのまま御用となった

 

 

 

「いったたた、助かったよ詠」

 

「まったく!何やってるのよ!!僕が間に合わなかったらどうするつもりだったの!?」

 

痛む体を押さえつつ立ち上がる俺に怒る詠

 

「俺は詠なら間に合わせてくれるって信じてたからね…しかしあれだけ格好つけてでてったのに、詠にはかっこ悪い所をみせちゃったな」

 

そういって頭を掻く俺

 

「そ、そんなこと、…見ず知らずの人のために助けに入った一刀は格好よかったわよ……」

 

「え?なんだって?」

 

俯いて小さな声でブツブツ言っている詠に聞きなおすと彼女は真っ赤になって怒って

 

「なんでもないわよ馬鹿!!ほらさっさといくわよ!!」

 

「お、おい!待ってくれよ!」

 

そうやって怒って先に行ってしまう彼女を俺は慌てて追うのだった…


 
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